「夏だ!水着だ!プールだ!泳ぐよ~!!ひゃっほーい!!」
「いっちばんのりー!」
「待ってよ、ラムちゃん。」
「お姉ちゃん、準備運動しなきゃダメだよ!」
「ロムもラムも、準備運動しなさいよ。」
ゲイムギョウ界にも四季というのがあるようだ。話によると、ルウィーも四季によって、雪が溶け、印象がまた変わるとか。今のゲイムギョウ界は7月下旬に当たる。
でだ、ここからが本題なのだが、数日前の出来事になる。そう、それは突然の一言から始まった。
―――――――――――――――――――――
【数日前:プラネテューヌ教会】
「と言う訳で、プール行こうよ!プール!」
「…何が、と言う訳なんだ。」
「本当に急だね、お姉ちゃん…。」
「暑いからネジが錆びたか取れたか…。」
「ちょっとぉ、わたしを割れ物注意的な扱いにしないでよ!」
「…で、どうしてプールに行こうと?」
「だって、皆で集まってあs…体を動かせるんだよ!それにえい君も言ってたでしょ?プールや海で泳ぐのは全身を鍛えるには適してるって。」
「俺はそんな事一言も言ってないぞ。第一話から見直してもな…。」
特段プールや海に行こうという理由は、俺からしたら思いつかない。別に教会の冷房が壊れた!とかそんな事でもない。…にも関わらず暑そうな感じでグデェとしているネプテューヌがいる。しかし、スケジュール的に余裕はギリギリないという所であり、正直遊びに行ける余裕はない。そもそも、前回の大戦でシェアが全く影響の無かった為、一時的に僅差でシェアトップになったのはいいものの、それも数日後には
「(この女神がもう少し、仕事に手を付けていればな…)」
「んぁ?なーにーえい君。わたしの顔になんか着いてる?」
「………いや。何も。」
「いーすんさん。何かそれらしいのって無いですか?」
「急に私に振られても困りますよ…。」
頼みの綱である教祖イストワールもこの反応である。だが、神は
「あ…そう言えば…。」
ふと何かを思い出したかのように、イストワールが何かを検索し始める。
「え~と~………。ああ、これなら。」
「何だ…?」
「何かあったんですか?」
「ええ、去年も今年のような猛暑が続いてましたから、こんな案件が来てたのを思い出したんです。」
「あ~…去年は相当暑かったよねぇ。冷房が壊れた時は死ぬかと思ったよ。」
「………。それで、ですね。とりあえず、見て頂いた方が早いですね。」
「あれ、無視…?」
イストワールから提示された情報は、猛暑により雪は解けるものの比較的涼しいルウィー、広大な美しい海とビーチがあるリーンボックスの2国に、この時期は国民が旅行に行ったりしているらしい。そこで、国民からの要望でそれに似たような施設的なのが欲しい…と。
「プール施設を用意したと?」
「ええ、それで3日後には一応完成するので…。」
「それと、どういう関係があるんですか?」
「その施設に視察をして貰おうかと思いまして。仕様書通りに出来ているか、警備体制とか…。」
「なるほど。仕事を兼ねて、施設の評価をしてこいって事か。」
「はい。そうなります。ただ、遊びじゃ無いって事は忘れてはダメですよ?」
「分かっている…。だそうだネプテュー…」
「うん!もうばっちりだよ!」
一応話は聞いていたようだが、そこには何時ものジャージワンピに、水中ゴーグルと浮き輪を装備しているネプテューヌが居た。気が早いにも程があるし、遊びに行く気満々な状態にしか見えなかった。で、一応施設の感想を複数欲しいからという事を提示し、念の為3カ国に3日後の事を伝えておくことにした。
―――――――――――――――――――――
そして今現在に至る。開幕早々、仕事の“し”の字もあるとは思えない状況である。なんだかんだで、4カ国の女神と候補生全員が集まっている。それと、ジンにも一方入れて知らせていた為、日本一と共に来てくれた。しかし、日本一はスク水に赤スカーフとはまた変わった装備をしている。後、皆が来ている水着は俺には分からないが、無印やmk2に登場した物というらしい。スミレもここに居て、グラマラスリーフと言う名の水着を着ている。如何やら着痩せするらしく、普通にサイズはネプギア並にあり、ブランが目を丸くして凝視していた程だ。肝心の俺は普通にサーフパンツにパーカーというスタイルをしている。因みに、誘った時の事になるが、最初はノワールは不参加の予定だったが、全員が行くと分かった途端、私も行く!と言い出した。最初から行くと言えばいいものを…。
「色々と読者に語るのはいいけど、貴方は貴方で真面目に精査とか…。」
「そいつはブーメランか?」
「何よ、私は私でちゃんと切り替え出来てるわよ。」
ノワールに言われる通り、俺はプール施設の全体マップを片手に、監視員の立ち位置や監視カメラの有効範囲等を調べ、警備体制に問題はないかを全体地図を片手に視察している。まぁ、そこは流石プラネテューヌと言った所、これと言って抜け穴は無いといった感じだ。怪我防止の為に数時間毎に、客には休憩をするよう放送を入れるといった事もしている。管理面では申し分無いだろう。
「もう、えい君は何時までそんな事やってるのさ?」
「………。メインは遊ぶ事じゃないだろう。」
「むぅ~。それはそうだけどさぁ。折角のプールだよ!バカンスだよ!!これを目の前にして仕事なんて出来るわけがない!」
「ドヤ顔で言われても困るんだが。」
「貴方も苦労してるのね…。でも、ネプテューヌの言ってる事も何となくだけど分からなくもないわ。折角客として私達が来てるのに、目の前で仕事されてるのもね…。」
「そーそー!それに、わたし達の姿を見て何とも思わないの?」
「確かに、それは一理あるわね。」
「それは、わたしも気になるわ。」
「わたくしも気になりますわね。変わっているとは言え、殿方である永守さんが、わたくし達をどう思っているのか…。」
ネプテューヌとノワールだけだったのが、何故か急にブランとベールも寄って来ていた。しかもネプテューヌに限っては目をシイタケのように光らせている。昔の俺なら何とも思わなかっただろうが、正直今の俺もこう答える。
「………。全員、いい感じに似合ってる。」
『………。』
全員何かを期待していた感から、求めていたのと違うというガッカリが漂っている。
「え~、それだけ?」
「意外と、普通の回答ね…。」
「ええ、至って普通でしたわ。」
「…期待していた私が馬鹿みたい。(小声)」
「ハードル高いな…。」
「て言うか、えい君。目が明後日の方に向いてるけど…?」
ネプテューヌの言う通り、今の4人を俺は直視できていない。前と同じく、俺の目には刺激が強すぎる奴だ。女神化のプロセッサユニットは慣れて来たから直視は出来るが…。するとネプテューヌが
「ッ!!」
「ふっふーん。そーかそーか。えい君はわたし達の魅惑ぼでーを直視できないと…。」
「だからって、俺の腕に抱き着くな。」
「やーだよー!普段出来ない事を、今のうちにやっておかないと!」(ムニュムニュッ)
小さいながらも、確実にネプテューヌの胸の感触が腕に伝わっている。俺が手を出してこないのを知っていてやっているのか…。俺の額から焦っているのか、冷汗が出てくる。ノワールが手を出せばいいのに的な質問をしてくる。
「ねぇ、凄いしかめっ面してる割に、なんで手出したり払ったりしないの?」
「本当に悪に染まった女性には手を出さない…そう誓っている。」
「………。なるほど…。じゃあ、えい。」
「な…に…っ!?」
ナントイウコトデショウ。ブランが反対側の腕に抱き着いてきた。
「ちょ、ブランまで!?」
「何してるんだ…。」
「ルウィーの誘拐事件の時、庇ってくれた事。まだ借りを返してなかったから。これでチャラになるとは思ってはないけど…。」
「それなら、わたくしも。えーい!」
「ええ!べ、ベールまで!!」
「どうしてこうなった…。」
恐らく、5pb.のCD売り上げを助けた借りと言った所だろう。だが、何故背中から抱きしめてくる。そして、ワザとなのか豊満な何かを押し当ててくる。
「あらあら、御耳が真っ赤になってますわよ。」
「おお、本当だ!…あれ、ベールがしがみ付いてからだよね。なんか負けた気分。」
「………。」(目を細くしている。)
「俺は加害者だぞ。」
「でも、表情が変わってないから良くわからないなぁ…。それで、ノワールは?」
「え、わ、私は良いわよ…!」
「いいんですの?普段、こんな事できませんのに…。」
「次は何時、こんな事出来るか分からないわよ。」
「それだから、ボッチって言われちゃうんだよ!」
「な!ぐぬぬ…。それと今は関係ないでしょ!!」
遠慮していた所に、ネプテューヌ達が催促するようにノワールを攻めていく。もう訳が分からん…。
「えーい!こうなったらヤケよ!当たって砕けろ!!」
ノワールがそう言った途端、俺に思いっきり真正面から抱き着きに行く。
トゥルンッ
「のわあああああああ!!!!」
『ちょおおおおおおお!!!!』
なんと、ノワールが抱き着く少し前で滑り、全員それに巻き込まれて転倒してしまう。良い子はプールで掛けっこや走ったりしちゃダメだぞ。
――――――――――――――――――――
並が流れるプールで、日本一含め女神候補生と一緒にビーチボールで、遊んでんのはいいんだが…。遠目で兄貴が女神達に抱き着かれて、転倒している。…なんてこった、ノワールに抱き着かれてるなんて全くうらy…けしからんじゃねぇか!!
「おふっ」
「ちょっと、余所見し過ぎだよ!」
日本一が飛ばしてきたビーチボールが側頭部へ当たってしまった。
「いやな、あれが気になっちまってな…。」
指を差した方に、
「ああ~………。」
「何やってるんだか、お姉ちゃん達は…。」
「でもユニちゃん、なんだか楽しそうだよ。」
「うん、お姉ちゃん、楽しそう。」
「なんだか面白そう。わたしも混―ざろう!!」
「わたしも…!」
「ごふっ!!脇腹はきつい…。」
まるでタックルするかのように、兄貴の脇腹へダイブした二人。なんか分からないが、兄貴が痛そうに悶えている。何となく、兄貴が俺をも誘ってきた理由が分かった気がするが、あれが主人公特権か…全然羨ましくなんかないからな…決して…!
「ねえジン。ああ言うのに憧れてるの?」
「男なら誰でも…て訳でもねぇだろうが憧れるっつーの。…兄貴があんな態度でいられるのが不思議なくらいだ。」
「普段の行いがいいからでしょ?アンタ、アタシとお姉ちゃんに初めて会った時、行き成り抱き着くような事する?」
「へ、へぇ~…。」
「そんな事があったんですね…。」
「あ、あれはだな…。」
日本一と、向こうさん達の事を話していたら、ユニちゃんが来ていて昔の事を話し出してきた。その後ろにいるネプギアとスミレが苦笑する。頼むから黒歴史を掘らないでくれ…。
―――――――――――――――――――――
あれから少し悶えていたが、とりあえず気を取り直し施設を体験して感想を考えておくことにする。施設としては“波の出るプール”、“流れるプール”、“競技用プール”、“幼園児プール”といった物から、ウォータースライダーも用意されている。
「よーし、えい君いっくよー!」
何故か今はネプテューヌとウォータースライダーを体験している。とりあえず数分前の話をすると、このウォータースライダーは1人用と2人用の浮き輪がある。どういう訳か、俺と一緒に乗りたいと言ったのがネプテューヌ、ノワール、ブランの3人。ベールはスミレと乗ると言って手を上げてはいない。で、一発勝負の“拳じゃんけん”でネプテューヌが勝利して今に至る。因みに、流石にパーカーを着っぱなしで乗ってはダメとのことなので、パーカーは脱いでいる。まぁ脱いだら何故か“ヒューッ”と何処からか聞こえた気がした。で、一番高いのを滑る事になっている。
「おお、流石わたしの国で考えられただけあって、たーのしー!」
「自分で設計した訳じゃないのか。」
「わたしは、只判子押しただけだから!」
ウォータースライダーを滑りながら、それを自信満々に言うのもなんだかな…。そこそこ左右に揺れるが、速度はそれなりある為、手すりにしっかり捕まってないと人物だけコースアウトしかねない。
「ひゃっほー!!」
…にも関わらず、この女神様は思いっきり両手を上げている。御陰で俺が体を支えてなければならず、妙に密着している形となる。まさか狙ってやっているんじゃないだろうな。そんな事をしている内に、ウォータースライダーの出口を出て着水。流石に勢いがある為に、場合によってはここで振り落とされる可能性はある。万が一溺れる可能性もあるかもしれないから、近くに救護班かその施設があればいいだろうと考える。
「よーし、えい君もう一度乗るよ!」
「また乗るのかよ…って引っ張るなよ。」
そう言って俺はネプテューヌに再び乗る為に連れていかれる。まぁその後結局ノワールとブランにも誘われて数回乗る羽目になる。遠目でジンが羨ましがっている眼差しを向けていたような気がしたが、俺からしたら疲れる…これに尽きる。
「で、遊びに全てのエネルギーを使ってこれか。済まないな。誘った本人がこれで。」
「ネプテューヌらしいっちゃらしいけど…。」
「まぁ、わたくし達も楽しめましたし、いいじゃありませんか。」
「それもそうね。ロムもラムも喜んでいた事だし。」
時刻は夕方前。色々と端折っているかもしれないが、特に俺からいう事はない。遊び疲れてしまって、眠っているネプテューヌをおんぶしつつ、プラネテューヌ教会に向かっている。まぁどうせ教会に着いたら、ゲーム三昧なんだろうな。ノワールとブランが羨ましそうに見ているが気のせいだろう。後は報告書を提出すれば、とりあえず今日の
後日、女神直々の依頼がメールで来ており、詳細を聞く為に現地へ向かうのだった。
【用語集】
○ナントイウコトデショウ
言わずとも知れた、ビフォーアフターに出てくる決まり台詞。それを単にカタカナ表記にしただけでも、大分印象が違う…気がする。
○“ヒューッ”
元ネタは、鬱ブレイカーでもある一匹狼の宇宙海賊で伝説の男と言われたコブラが、ある回で上着を抜いた時に、周囲に居た人が放った言葉。
「見ろよやつの筋肉を・・・まるでハガネみてえだ!!」とヒューッの後に言う台詞も個人的には痺れる憧れる!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
次回からはちょっとアニメ版からずれる形になります。(予定)