現在バグと戦いつつクリアに向けて頑張っております。
Scene20 リーンボックス再び~パーっと弾けちゃおう!…準備しよ~
「これで良かったのですか?」
「ああ…、感謝している。」
プラネテューヌ教会の近くにある墓地。そこに、プラネテューヌの教祖と、一人の男が真新しい一つの墓場が設けられている場所にいる。その墓石には“平和の為に戦い散った戦士・その思いを願った1億の民、ここに眠る。”と彫られている。男が、その墓場にアヤメとフリージアの花束を設け、意を込めたような表情で敬礼する。
「永守さん…本当に、ネプテューヌさん達には、貴方の本当の事を言わないでいいのでしょうか?」
「時が来たら話す。今は余計な迷いを持って欲しくない。」
「ですが、真実を知った時、皆さんがどういう反応をするか…。それに、女神程とは言えませんが、半不老となってしまった以上、様々な悲しみや失うものを見る事となります。私は、貴方にそういう事を背負って欲しくはありません。」
教祖イストワールの目の前にいる男“獨斗永守”。数ヵ月前、このゲイムギョウ界に舞い降りた超能力が使える戦士だった。だが、とある事を切っ掛けに、彼の意志とは無関係に、人間であることを捨てる事となってしまった。それも、女神の力だけでなく、悪魔に近い能力も引き継いだ。人でもない、女神でもない、況してや悪魔とも言えない異端とも言える存在となってしまった。その証拠として、右腕は包帯を外し黒いロンググローブを身に付けているが、その内は悪魔の右腕とも言えるものとなってしまったのだ。
「悲しみや涙など既に枯れている。それに、俺はまだ生きている。…人間としての俺は死んだ。だが、俺は自分の意志を持ち、この世界を歩んでいる。S.T.O.P.の獨斗永守ではなく、ゲイムギョウ界の獨斗永守として…。」
「それでも、貴方は一人で背負いすぎています。何時か壊れてしまうのではと…。」
「いや、それは違う。俺は、同じ
「永守さん…。」
「おーい、えいくーん!そろそろ時間だよーーー!」
「…もう時間か。では、行ってくる。」
「はい、御気を付けて。ネプテューヌさん達の事も宜しく願いします。永守さん、くれぐれも、無理はしないように…。」
そして、その男…獨斗永守はプラネテューヌの女神の元へ歩み始めた。
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墓地から離れ、ネプテューヌ達と同行する形でリーンボックスに向かい、現地にてラステイションとlルウィーの女神と候補生達含め合流する。妙にスケジュールが詰まっているかの如く慌ただしい(実際俺だけが慌ただしく準備したのだが)のは、リーンボックスでライブとパーティーを行う当日だからだ。休暇命令は出ていたものの、ネプテューヌが何度も「えい君も行くの!」と駄々を
「それだけ文章言えるなら十分元気じゃない?」
「…地の文を読むなよ。」
ネプテューヌの地の文を読むのは置いといて。野外ドームは、ミュージシャンがライブを行うような設備となっている。そして、ライブ開始時間が訪れ、音楽と共に舞台上から一人の女性が浮遊する円盤に乗って現れる。
「~~~~~~~♪」
『うわぁ…!』
「流石、リーンボックスを代表する歌姫、5pb.ちゃんね。」
「ですぅ!!」
ライブ会場は5pb.により大盛り上がりしている。以前悩んでたりした時の面影は無く、本当に歌が好きなんだという印象を受ける。恐らく、あれが本当の5pb.なのだろうと納得する。周りの盛り上がりに釣られているのか、顔と指足でリズムを刻みつつ歌詞を口パクしている自分がいる。リズムを刻んでいるのに気づいたノワールが何か言ってくる。
「へぇ、貴方も音楽好きだったりするのね?」
「ん…まぁな。」
「確かにそうね。わたしも、永守がピアノ弾けるのには驚いたけど、5pb.ちゃんの曲を弾いたり、一緒にデュエットしたり…あれは中々見れないものね。」
『へぇ~…って、な、なんだってー!!ΩΩΩ』
とまぁ、ピアノ弾ける事もそうだが、デュエットした事にも驚いたようだ。別にそこはいう必要無かったんじゃないか?アイエフよ…。それにしても、2台のジェット噴出搭載戦闘機により、青い空に色の付いた煙によるアートを見事な連携で描くというパフォーマンスをしている。
―――――――――――
ライブ会場近くの海辺付近…透明度があり美しく様々な魚類が泳いでいる中、2足歩行の特殊潜水服を身に纏った一匹の鼠がいる。
「全く…ライブか何か分からないけど五月蠅いッチュねぇ。こっちの身にもなって欲しいッチュ。それに、海と鼠を掛けたら海鼠ッチュよ。全く、笑えないッチュ…。」
一人虚しく冗談を交え、右腕に付けている何処かで見た事あるようなレーダーを頼りに、鼠は海底を全速前進しつつ辺りを見回している。どうやら、何かを探しているようだ。そして、そのレーダーに反応する付近に到達。そこには、不気味な赤色に光る一つの石があった。
「チュ、見つけたッチュ!」
鼠は、それを拾い上げるとその場からすたこらさっさするように、港の方へ向かうのだった。
――――――――――
「全く、ライブ招待を送った肝心のベール自身が来ないなんて…どういう事なの?」
「何か事情があるのよ…。」
「だといいが…。」
午前のライブが終了し、握手会が始まった中、前回のパイプを利用し俺は差し入れを持っていくついでに裏方へ入る。ベールがいるのではないかと思い行ってみたが、代理プロデューサーと、警備に当たっているケイブしかしかおらず、昨夜の夜から教会内にいるのは確かだが会ってはないらしい。それで、今こうして午後のライブはあるのだが、ライブへ呼んでおいたベールを探すために教会へ来た事になる。因みに、休憩中の5pb.と会い、そこで今度デュエットライブをしようよ!ってお誘いがあった。現状日程が分からない為保留ということにするが、何時かやってみようという約束はしておいた。
それにしても前々から思ったが、大きさだけでなく扉の数も多いこと…一体何処にいるのか分からないくらいだ。一行の少し後ろに、ネプテューヌ、ロム、ラムが、それぞれ1つずつ扉が開かないか確認している。その殆どの扉は鍵か掛かっている為に開かない扉ばかりである。もしこれが某静丘ゲー風にマップを表現するなら、殆どの扉がぐしゃぐしゃ線になっているだろう。
「あ、ここ開いてる!!」
後方の方で、ネプテューヌが開いている扉を見つけたようだ。分担して探すってのもありだが、どうやらその部屋は様子が変だという事で全員集合となった。
「おぉ…。」
「うわぁ…。」
「何が…あったです?」
「まるで荒らされた後ね…。」
「というより、片付けてないだけじゃ…?」
「…寧ろ、俺は散らかっている品が気になるな。」
電気が付いてない部屋の床一面には、様々なジャンルのゲームソフト、攻略本、フィギュアといった物が散乱している。また、壁にはゲームグッズと思われるポスターが額縁に入れられて保管されている。服を脱がせて相手を倒すゲーム、(三)こんな顔をした一般人が戦う
「おお!これは18歳以上にならないとできないゲーム!!」
「ちょ…やめなさいよ。ちっちゃい子もいるんだから…。」
「(俺から見たら、ネプテューヌも子どもだがな…。)」
そう心の中で思いつつ、周りの物を踏まないように進んでいく。そんな時、ネプギアが何かに気づいたのか、奥の方の扉に手を掛け開ける。
「わたしくが援護しますわ。貴方方は先に行ってくださいまし。あぁ!もう、早い、早すぎますわよ!!」
ネプギアが開けた扉の先から聞き覚えのある…というか、ベールの声が漏れている。全員がその扉の方に向かう。そこには、6つのPC画面とにらめっこしつつ、何処かで見たことあるようなゲームコントローラーを握りしめ、ボイチャをしているのか、マイク付きヘッドホンを装着している。
「ああ、居たぁ。」
「な、何やってるのよベールは…。」
「どう見てもネトゲね…。」
「凄い集中力だ…こっちに気づいてないな。」
何やら集中力が高まっているのもそうだが、そもそもヘッドホンを付けている時点で回りの音が聞こえにくくなっているのだろう。こっちの気配にも気づいてないようだ。ネプテューヌが近づいても全く見向きもしない。
「四女神オンライン?」
ユニが近くにあったパッケージを持ち、描いてあったタイトルを読み上げる。話は聞いたことあるが、ゲイムギョウ界で1、2を争う人気のオンラインゲームらしい。恐らく今はそれをやっているのだろう。しかし、どうも不釣り合いだ。これが仕事をしているのであれば立派なのだが、廃人の如くPCに向かってゲームをするベールの姿が妙に不釣り合いに見える。なんだろうなこの違和感…、ああそうか…。
「…衣装か。」
「何一人で納得したように呟いてるのよ。」
「おーい、そこの廃人さーん。」
全く気付かないベールに痺れを切らした訳でもないが、ネプテューヌがベールに向かってトゥントゥンする。
「………へ?あ、あら?み、皆さんいらっしゃいませ。今、手が離せなくて…。」
ネプテューヌのトゥントゥンにより、ようやくこっちの存在に気付いたようだ。常時ボイチャをしているのか、マイクを手で覆い隠し此方に話しかけてくる。
「なんで呼んでおいた本人がゲームなんかしてるのよ!!」
「えっと…出掛ける前に、1時間だけログインしてやめようと思ったら、攻城戦が始まって…。」
「攻城戦に参加して、つい忘れていたと。」
「ええ、それで抜けられなくなったのですわ。」
「凄い弁解ね…。」
「ライブの後は、ホームパーティーで持て成してくれるんじゃなかったかしら?」
ブランのその言葉を聞いたベールは何故かキョトンとしている。
「………あ。もう少しで、攻防戦に勝てますので、その後で………。」
少しの間の後に、主催者とは思えない返答が返ってきた。恐らく現状では準備の“じ”すらしてないのだろう。
「…こういう人だったのね。」
「ま、まぁ、趣味は色々だから。」
「ダメダメだねぇ。若しかしたら、わたしよりダメかもぉ?」
『それはない。』
「ねぷぅ!こんな時だけ気が合ってる!!それに、『』←これじゃ分かりにくいけどえい君もさり気無く言わないでよ!!」
「…どうします?この状況だと、もう暫くかかりそうですけど。」
「そうね…。」
そう言ってノワールが何か考えだしたかと思ったら、直ぐに行動に動いていた。
――――――――――
「…で、どうしてこうなったのやら。」
「ま、まぁ…早く済ませてお姉ちゃん達の手伝いをしましょう。」
「そうだな。」
あの後、急にやる気を出したノワールさんが、何処から出したか分からないメイド服を着て、ホームパーティーの準備をする事になりました。参加者が準備しなきゃいけないってのは、変な気もするけど決まった以上仕方ないですよね。…お姉ちゃんは面倒臭がっていたけど、ノワールさんはリーンボックスまで呼ばれたのに何もしないまま帰ることが不服らしく、どうしてもホームパーティーをしてから帰りたいとのことです。それで、わたし、アイエフさん、コンパさん、永守さんが食料の買い出し。残りは掃除整理担当になりました。永守さんは私と一緒に買い出しへ行くことになりました。何でも、週に1回は訪れている上に一週間体験が終わって直ぐという事も含め、私よりもリーンボックスの地理に詳しいだろうって事で選ばれたみたい。という訳で、今は永守さんと食料の買い出しへ行ってます。
「で、永守さん。少し値が張るのを買いすぎでは…?」
「折角、皆で集まって騒ぐんだ。だったら、少しぐらい上手い物食った方がいいだろ?…ああ、心配するな。予算オーバー分は俺が出す。」
と、私が予算の事を話そうと思ったら、超えた分は払う等何かと心配事を解消…というよりは請け負ってる感じです。
そんなこともあり、一通り買い出しが終わり教会へ帰る途中です。私は果物の入った袋を一つ。それ以外は永守さんが持っています。そんな帰ってる時、私は前々から気になる事があったので聞いてみることにした。
「あの、永守さん。一つ聞いてもいいですか?」
「…何だ。」
「体験出張後も、どうして他の国じゃなくてプラネテューヌを選んだのかって…。」
「プラネテューヌじゃない方が良かったか?」
「あ、いえ、そんな心算じゃ…。」
「冗談だ。まぁ、居心地がいいってのもあるがな。」
冗談でも心臓に悪いよもう。私も質問の仕方に問題があったのかもしれないけど…。少し間があった後、永守さんが口を開きました。
「そうだな…約束の件はなしとしてだ。右も左も分からない俺を受け入れたこともあるが、俺はネプテューヌが、プラネテューヌがどういう風に動くか見届けたいと思った。」
「どういう事…?」
「…確かにどの国も、明確な目標や目的がある。だが、ネプテューヌの考えだけが未だに見えてこない。だからこそ可能性もある。俺は、生きている限りは見届けてみたい。…グータラだけど。」
「確かに、お姉ちゃんは凄いと思いますよ。グータラだけど一定の支持はありますし、いーすんさんに怒られてもめげないですし…。」
「後半はどうかと思うが。」
何となくですが、私の思っていた事は解消された…かな?永守さんはまだ暫くは、プラネテューヌに居てくれるみたいです。
――――――――――
「あれは、コンパさん?」
「…誰かに話しかけているのか?」
暫くネプギアと教会への帰路を歩いている途中の大通りで、座り込んでいるコンパがいた。気分が悪くて座り込んでいるのではなく、その先の何か話しかけている感じだ。ただ、話してる相手が小さいのか、コンパが死角となって此方からでは話し相手が見えない。
そんな時、ネプギアが足元に何か気になるものがあったらしく、座り込みそれを拾い上げる。それは、十字の形をしており、色は以前に見た深紅の石並に赤黒いのだが、まるで悪魔が持っていそうな不気味な黒い淀みがある。何やら、深紅の石とは違い嫌な感じを覚える。
「っ!?」
「ネプギア、どうした…!?」
座り込んで、その石を持って直ぐの出来事だった。まるで、左手を手に付いてないと上半身を支えられないような、貧血のような状態になっているネプギアがいた。
「…!!勝手に触るなっチュ!!」
コンパの死角から現れた、二足歩行の鼠のような奴がネプギアの元まで走り出し、右手に持っていた石を奪い取り走り去っていく。異変に気付いたコンパもネプギアの元に駆け寄ってくる。
「ギアちゃん、大丈夫です?」
「わ、分かりません…、突然、力が抜けるような感覚に…。」
「まるで、貧血のような症状だが…。」
「貧血ですか?…でも、女神さんが貧血になるなんて、聞いたことないです。」
「三人ともどうしたの?」
「あ、アイちゃん。それが…。」
丁度後ろから来ていた、アイエフに事情を話す。すると、アイエフが何か気になった事があるらしく話しかけてくる。ネプギアに関しては、少し休めば大丈夫という判断になるが、一人では立てない状態らしい。
「…アイエフ、少し俺の荷物持ってくれるか?」
「いいけど、どうする気?」
「ネプギア、恥ずかしいかもしれないが少し我慢してくれ。」
「え…、きゃあ!!」
急にされたら誰でも驚くだろう、ただの“おんぶ”だ。おんぶ用の紐は生憎持っておらず、直接ネプギアの太腿を持つ事になってしまう。
「あああああああ、あの!ひ、一人で歩けますから…!!」
「立てないのに何言ってる。恥ずかしいのは分かるが、今のうちに休んでおけ。」
「永守さん、大胆ですぅ。」
「アンタじゃなかったら通報してたわ。でも確かに、永守の方が適任かしら。」
「冗談にしては物騒だなアイエフ。…という訳だ。それに、教会まではまだ歩かなければならない。目を瞑って俺の心臓の音でも数えてろ。気づいたら教会に着いてる。」
「…わ、わかりました。」
恥ずかしがるように言ってるが、分かってもらえたらしく、俺の背中に耳を傾けているのが背中越しに分かる。暫く歩いていると、落ち着いたのか、小さな寝息が聞こえる。…ちなみに、アイエフが持っていた手提げ袋を俺が持っており、俺が持っていたのをアイエフが持っている形になる。
「ねぇ、さっき通りかかった鼠の事だけど、何か知ってる?」
「あの二足歩行の鼠か?生憎、今の俺には分からないな。」
「わたしもさっき話したばかりで、わからないです。」
「そう…何処かで見た事があるのよ。」
「諜報部に連絡したらどうだ。」
「…そうね、確認してみるわ。」
悪そうなネズミさんには見えないです、とコンパは言うが、白か黒かをはっきりしておきたいアイエフの意見に俺は賛成する。…この時はまだ、あの石が原因だとは気づきもしなかった上に、あんな出来事が起きるとは思っていなかった…。
【用語集】
○(三)こんな顔をした一般人が戦う絶命異次元
EAが世に出しためちゃ恐と言われていた、TPSサバイバルホラー”DeadSpace”。絶命異次元はアジア版のタイトルである。
○顎が妙に尖っているBL物
顎が凶器となるPVがあったことで驚きを隠せなかった”学園ハンサム”の事。まさかアニメも出るとは思っていなかった…。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!