あと、どうでもいいですが、モーコンX買ってみました。結構難しい。
―――お寺ビュー。
ルウィーの地表衛星撮影機だが、低画質である為に予定していたサービスは終了したのだが、リーンボックスの高画質変換システムの導入、4ヵ国で共有して使おうという事になっている。本来であれば、サプライズプレゼントという事で隠していたが、誘拐事件の捜査の為に使用するという繰り上げ紹介となった代物でもある。そのお寺ビューの事で今後どう使うか、どう共有するかという事をライブチャットで4女神と各教祖が集まり話していた。
…で、ここからが本題。
「…他国への体験出張?」
現在、プラネテューヌの女神補佐として身を置いている俺だが、「仮」補佐から正式な補佐に変更するという事に3ヵ国が不満を上げ物議となり、他国の事を知り俺自身に働く国を改めて決めるという話になったとか。まぁ不満を訴えたのはノワール、ブラン、ベールの3人であり、じゃんけんによりルウィー、ラステイション、リーンボックスの順に行くことになっており、明日からルウィーに向かう為の手配が完了済み…それでいいのか。愛用の中古バイクはラステイションに輸送済みと手際の良さ。何でも環境保護の為に現在ルウィーでのバイク走行は原則禁止とのこと。クエストから帰ってバイクの整備をしようと思って「バイクがねぇ…!」と思ったらそういう理由だったのか。ここまで準備がいいと拒否権は無いのだろう。
…俺の知らないところで勝手に決めないで欲しいものだ。
「ご、御免なさい。まさかこんな流れるように決まってしまうなんて思わなくて…。」
「もー、わたしだって反対したよ!ブーイングしたよ!」
「結果、ぐぅの音も出ない程論破されたと。」
「むぅ…これ絶対原作に追い付いちゃうからオリジナルの話を混ぜて話数を稼ごうって、製作者の企みだよ!それにそんなことされたら、暫くわたしが登場しなくなるじゃん!!意義ありありだyあいたぁ!!」
「メタ発言の上、私情だらけだ。」
余りにも我が儘過ぎるので、ネプテューヌに軽くデコピンをした。このやり取りも個人的には嫌いじゃないし、プラネテューヌは、結構自由にやれるというのが強みだと考えている。ただ、彼女達にとっては不公平なんだろう。何せ、友好条約の式典前日に突如“親方、空から人が!”という感じで登場し、半ば強制的にプラネテューヌに居候する事になっているのだからな。他国に居候する事も可能であり、そこで仕事をする権限もあるという事だろう。確かに、女神の心得の時と誘拐事件で訪れた時以外は、月1、2単位で他国には訪れるものの、基本的にはクエストの討伐や収集関係で訪れるだけで日帰り出張に近いもんだ。まぁ、確かに俺はプラネテューヌ以外に関して、情報以外は疎い。他国の事をより知ることの出来る機会だと思えばいい。まぁ、今回は強制的だが承諾し明日に向けて準備に取り掛かる事にした。
「しかし、各国に1週間滞在とはな…。」
自室で準備しつつ思わず呟いてしまう。2、3日ぐらいだろうと思っていたが1週間となると話は別だ。それも“1週間x3”だから3週間はプラネテューヌから席を外すことになる。俺がいない間はアイエフやコンパにお手伝いをしてもらうとかいってるが、それでいいのか本当に。一応見られても恥ずかしくない程度に整理しておく…とはいえ、仮眠が取れる仕事場という感じの部屋だから特に片付けるものとかは多く無い。部屋を捜索してベッドの下にエロ本が!とかもないし、そんな雑誌を集める趣味もない。ふと片付けをしていると、あるものを見つけた。
「…暫く身に付けてなかったな。」
文字は擦れてしまっているが、本来の機能としてはまだまだ使えるであろうS.T.O.P.と書かれた防弾チョッキとボロボロの迷彩柄軍服があった。ゲイムギョウ界に来る前に所属していた部隊の標準装備だったものだ。本来であれば、俺はのんびりしている暇などない身で、S.T.O.P.としての
「俺は、何の為に戦っているんだ。そして、お前は俺に何を与えてくれる…?」
………
今は目先の事に対処しよう。このペンダントが喋るなんて先ずあり得ないし、物に返答を求めても仕方ない。寧ろ、此奴を解明する事も視野に入れるべきだろう。それに、今は子どもっぽくて少し可笑しなところもあるが、俺の上司はネプテューヌとその教祖であるイストワールだ。自由にやりつつ彼女らの言う事に耳を傾ける。それと、あの謎の気味の悪い少年のような奴。俺の事を知っている素振りを見せたという事は、少なからず関わらなくてはならない存在だと認識しなければならない。とりあえず、この防弾チョッキは荷物に入れておこう。
休憩に入ろうとした時、Nギアにメール着信が来たのに気づく。送り主はネプテューヌからだった。直接話せばいいだろうと思いつつメールを確認する。
件名:お疲れ!
“今から展望台に集合。拒否権は無しね!”
―――プラネテューヌ:展望台
プラネテューヌ教会のプラネタワーにある展望台から、わたしはプラネテューヌの夜景を眺めている。展望台出入り口が開いたような音がして、振り返るとえい君がそこに居た。
「要件を聞こうか。」
こっちに向かいつつ、どう考えても女の子に掛ける第一声じゃないよね?と思いつつ、わたしはえい君に話しかけた。
「わたし、ここから眺める景色結構好きなんだ。えい君もそう思うよね?」
「これを見て嫌いという奴は早々居ないだろ。…ここへ呼んだ理由はそれだけじゃないだろ?」
「………。」
どうやら、ただ単に夜景を一緒に見たいという形で呼んだんじゃないだろってのがばれて見るみたい。もう、こういう所は妙に鋭いんだから…。わたしは一呼吸置いて本音を言うことにした。
「ねぇ、本当に体験出張に行くの?」
「決まってしまった事だからな。他国を知るいい機会でもある。」
「それだったら、わたしやネプギア、いーすんに、アイちゃんやコンパに聞けばいいじゃない?」
「話を聞くのと、実際に向かって肌で感じるとでは違う。」
「それで、どっかに行っちゃったりしない?戻ってくる…よね?」
今回の件で何処か行っちゃうんじゃないかと、不安だった。だって、折角仕事出来て、わたしが暇出来る時間が増えてるんだよ!…ていうと怒られちゃうよね。大切な人というのも違うけど、何だか何処にも行って欲しくないというか、わたし自身良く分からない感情が巡っている感じ。でも、わたしが思っていた、何処にもいかない的なのを期待していたのとは違う、予想に反した返答がえい君から語られる。
「何時かは居なくなる。俺は、ニグーラに対抗する手段を見つけ地球に戻らなければならない。それが、俺に与えられている任務であり、亡くなってしまった、地球の勝利を信じていた数億人の一般市民、共に戦い戦死した仲間達の為にも俺は前に進み続けなければならない。」
色々な意味で驚いてしまった。ああ、何時かいなくなってしまうのか…と考えちゃって顔を上げることが出来なくなっちゃった。でも、えい君は手すりに背を向け、寄りかかるようにしつつ話を続けた。
「…が、それはあくまで所属していた組織としての話だ。こんな事言ったら相棒に怒られるだろうが、俺はこの世界、ゲイムギョウ界が好きだ。ここに居座ってもいいなとも思った事も度々ある。それでも、ここでどんな肩書を得ようが、俺はS.T.O.P.の一員…。そして、死ぬことも、放棄する事も許されない…。ある意味、今回は対抗手段を模索する為のいい機会だと思っている。」
「えい君…。」
「それに、お前はプラネテューヌの女神、一国のトップだろ。俺一人の事より、プラネテューヌにいる何万、何億の人々の期待に応えるべきだろ。違うか?」
えい君が言うことも一理あるのは分かっている。普段はああだけど、わたしはバカじゃないしやる時はやるよ!わたしは、皆が笑顔で居ればそれでいい。…でも、えい君は笑顔にならない。
「まぁ、暫くは安心してもいいだろ。この世界にいるだけでも会いに行けるのだからな。で、何故そんな事を聞いたんだ?」
「…わたしは、もっとえい君と遊んだり一緒にクエスト行ったりしたいよ。」
「ネプギアや、コンパにアイエフじゃダメなのか?」
「確かに、ネプギアとも、コンパにアイちゃんと遊んだりクエストするのも楽しいよ。…わたしね、こう見えて数十年、プラネテューヌの女神としているの。いーすんから聞いたんだけど、女神は人々からの願いによって生まれる存在。生まれた時からわたしはこの格好だったんだって。それこそ、女神候補生だった時もあるし、お姉ちゃんのような立場の女神だっていたよ。でも、お兄ちゃんのような存在にも憧れてた。だから、えい君は憧れの存在でもあるんだよ。きっと、ネプギアも同じ事思ってるんじゃないかな?」
「…つまり、本当の家族はいないと?」
「うーん、いーすんは母親…というのはちょっと違うかな?えい君は母親とか父親いたの?」
「俺か…。俺は、孤児だ。いや、肉親はいたがな。」
「…なんか、ごめんね。聞いちゃいけない事聞いちゃったような。」
「別にいいさ。…考えているのと違うだろうが。」
最後、何か言ったような気がしたけど、聞き取ることが出来なかった。でも、確かにえい君の顔が険しくなっているのが見えてしまった。するとえい君は、まるで聞くことが終わっただろうという感じに、展望台から離れようと歩き始め出入り口の扉前まで行こうとしてた。ちょちょちょ、まだわたしのターンは終わってないよ!
「ちょ、ちょっと待った!」
「…まだ何か?」
「あのさ、約束していいかな?出張終わっても、プラネテューヌに居てくれる?」
「それは、俺次第だな…。」
「じゃ、じゃあ、この話は、皆には内緒でってことで…!」
「…そいつは無理だ。もうバレてる。」
『え…?』
…ん?わたしは確かに”え?”って言った。でも複数人、それも扉の向こうから声が聞こえたような…?えい君が扉に手を掛け、思いっきり引き開けると雪崩れ込むかのように、誰かが倒れ込んだ。
『あいたたた…。』
「あれ、ネプギアに、コンパにあいちゃん、いーすんまで!?」
「盗み聞きとは…関心しないな。」
「な、なんで分かったですか?」
「扉が半開きになっているのが見えたんでね。それに、人数が多すぎた為に気配が消えていなかった。」
「うぅ、絶対ばれないと思ったのに…。」
「ち、違うのよ!これには理由があって、決してネプ子が告白するんじゃないかと…。」
「すみません永守さん。あの話の後からネプテューヌさんが浮かない顔をして、それで気になってしまって。」
どうやら、わたしの変化に気づいてた模様でそれで皆来てたみたい。もぅ、ばれてないと思ったのに…!
「それで、永守さん出張終わったら帰ってくるんですよね…?」
「プラネテューヌから離れる気なのかしら…?」
「永守さん、本当に何処か行っちゃうです?」
「…一遍に喋らないでくれ。」
ネプギア、コンパ、アイちゃんの言葉は違えど見事に内容はハモっていたよ。3人ともわたしと同じ事思っていたみたい。…別に隠す必要はなかったのかな?するといーすんがえい君に話し出す。
「永守さん。私は、何処へ行っても構わないと思います。式典の忙しさの中、急遽決めてしまった事でもありますし、何よりプラネテューヌ以外を知るいい機会です。後は永守さん次第です。ですが、私も出来れば居て欲しいと思っています。」
それを聞き終えた後、えい君がふぅっと息を吐いたのと同時に、一瞬だけど…笑っていたように見えた。それも凄く優しい感じの…。
「お手上げだ。ここまで居心地がいいんじゃどうしようもないな。それでも、俺は自分の意思を貫く。俺の、元いた世界を救わなければ…と。」
「じゃあさ、えい君がいた世界が救われたら、こっちに戻ってきてくれる?」
「それは、お願いか?命令か?」
「うーん、両方!!」
「…欲張りな。だが、それくらいなら約束してもいいだろう。」
「ホント!?約束だよ!!」
そう言うと、皆えい君の前に集まっていた。
「永守さん、私からも約束です…!」
「これで約束破って、ネプ子を泣かせたら許さないからね?」
「永守さん、必ず戻ってきて下さいです!」
「私からは、無理をせずに、気をつけて下さい。」
そう言い終わると、無意識に全員が中央に手を乗せ合っていた。
翌日、えい君は荷物を掲げて集合場所に一人向かうのだった。
【用語集】
○最高政府賢者
永守が住んでいた地球で、政府に属する中でも最高位に位置する世界の秩序を安定に導く為に選ばれる三人衆。永守が知っている範囲では、謎の死を遂げた元賢者達に変わり、副賢者達が賢者になる。そこからはあまりいい噂は聞かない上に、何かを企んでいたという情報もあった、らしい。
○親方、空から~!
言わずともしれた、かの有名なジ○リ作品の一つでもある名言(?)。ただし、永守はあんな低速ではなく高速落下に限りなく近い落下ですが。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
まだ12話なのに、永守に対する好感度が高いような気がしてきました。
リリィランクが高いのか、カリスマがあるのか…。