超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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今回は少々文字数少なめ+釣り経験2回しかない人が釣りの場面を書くという何とも言えない感じですが、生暖かい目で見て下さい。


Scene10 スピリットユニティ~しがない冒険者と精神統一~

―――前回のあらすじ

 

無心という名の精神統一の為にバーチャフォレストで修業をしていたが、とある格闘少女“鉄拳”との奇妙な出会い。そしてイストワールからの緊急の依頼による共闘により修業を中断する事となった。教会に戻るとネプ姉妹が釣りゲーをしていたので、釣りによる精神統一をしようと考えた。

 

「今まであらすじなかったのに、なんで急に入れるのさ?」

「…地の文を読まないでくれないか。」

 

何故か、ネプ姉妹も本気(ガチ)の釣りをしてみたいという事で、3人でリビートリゾートへと行くことになった。アイエフとコンパもネプテューヌが誘ったが、流石に仕事の関係で無理となってしまい今回は同行パスとなった。今回はニジマスの管理釣り場へと向かい、初心者コースを体験、自分は慣れている為後ほど経験者側へ向かう予定である。釣り道具は一式レンタルで、今後楽しくやるなら購入すればいいと説明…。

 

「さて、エサはイクラ。…お、クチボソが奇跡的にあるな。こいつも買うか。」

「ねぇねぇ、この“ブドウ虫”ってのは使わないの?」

「釣り用の“虫”だぞ?」

「あの、見た目はどんな感じなんですか?」

「…カブトムシの幼虫を小型化した感じか。」

『うわぁ…。』

 

まぁ予想通りの反応か。という訳でブドウ虫は買わないことにした。

 

 

 

―――リビートリゾート:釣りポイント

 

 

 

「よーしまた釣れたぁ!!」

「ふぇええ、ヌルヌルしてて取れないよぉ!!」

 

初心者コースでネプ姉妹が絶賛釣りの真っ最中である。素質があるのか開始してから30分程度で、二人合わせて既に4匹釣り上がっている。

 

「さて、もう二人だけでも大丈夫だろ。俺は向こうで釣ってくる。」

「えぇ~!!なんで、一緒にやらないのぉ!?」

「そうですよ、一緒にやりましょうよ!!」

「俺は遊びに来たわけじゃないが。」

「むぅ~…。じゃあわたしもそっちで釣るから!」

「私も、お姉ちゃんと永守さんの3人で出来ると期待してたのに…。」

「(ネプギアも意外と我が儘なのか…?)」

『ねぇ、お願い(します)…!』

 

とまぁ、一緒にやろうとという眼差しで俺を見ている。目から星が出て此方に流れているようなイメージだな。とある幼稚園児の眼差し攻撃的な…。ネプギアは兎も角、ネプテューヌは一度言うと中々食い下がらないし、後が面倒だからな。

 

「…分かった。好きにしな。」

『やったぁ!!』

 

まぁ、この二人の精神修行にもなる…かもしれないだろう。とりあえずやってみて飽きたら戻らせよう。

 

 

 

―――

 

 

 

という訳で経験者・上級者コースへとやってきた。ここは基本的にキャッチ&リリースの管理釣り場数年ぶりのかえしなし釣りだからうまくいくかは分からないところだ。

 

「とりあえずこの針を見てくれ、違いは分かるか?」

「うーん、違い?」

「…あ、先端に尖っている部分がない。」

「そう、この針は“かえし”という部分がない。かえしがあると、餌を飲み込んだ際にそこが引っ掛かるから逃げる確率がグッと下がる。だが、かえしがないから簡単に釣れない訳だ。」

 

へぇ~っという反応をするネプ姉妹に対し、黙々と釣り針に餌を付けている。

 

「…さて、久々だから上手く出来るか分からないが手本しよう。」

 

餌を仕掛けた釣り竿を持ち、釣り場に向けて投げ安座をする。これは無心になることも大事だが、忍耐力も大切なポイントだと個人的には考えている。

 

「おお、竿がピクピク動いたよ!」

「かえしがないから、慌ててあげると抜けてしまうぞ。」

「あ、そうか…。」

「水中にいるニジマスを想像し、針に掛かるのを見計らう…。」

「ふむふむ…。」

「そして、食いついたと感じたら一気にリールを巻く…!」

 

勢いよくリールを巻きあげ、頃合いの所で竿を思いっきり上に上げる。そこそこ立派なニジマスが釣り上げられる。

 

「…よし。」

「おぉ、すっごーい!!フィーッシュ!!って叫びたいくらいだよ!!」

「…お前が釣ったわけじゃないのに、それを叫んでどうする。」

「お姉ちゃん。もし永守さんがそれ言ったら、なんか違うような気がするよ。」

「さり気無くディスってくるな。」

「あ!いえ、あの…。」

「まぁいい、やってみるなら竿は用意してある。」

「よーし、えい君が出来るならわたしも出来るよね!!」

「何処からその自信が出てくるんだ。」

 

 

 

………

 

 

 

「ほいなぁ!!」

「思ったより難しい、けどいけます!」

 

手本を見せてから30分程度粘っているネプ姉妹。苦戦するかと思ったがまさかの勢い良く釣れている。

 

「(ネプギアは兎も角、ネプテューヌはまるでゲーム感覚でやっているようだ。)」

「流石わたし!やっぱ主人公の名は伊達じゃないね!えい君もそう思うでしょ?」

「…ああ。(これじゃあ苦労して出来るようになった人達が可哀そうだな。)」

 

かえしなしの釣りを3人で行っていると、ネプギアが“あっ”と言い、少し離れた場所へ道具一式を置きっぱなしに小走り気味に向かう。そこには一人の女性がおり、釣りをしている。恐らくネプギアの知り合いなのだろうが、どうもネプテューヌは知らない人らしい。とりあえずネプギアの後を追いかける事にした。見た目は俺と同い年か少々下ぐらいで、雰囲気から冒険者か傭兵と分かる風貌(かなり軽装のようだが)をしていた。…何故かバイオリンケースがあるのが気にある。

 

「ファルコムさーん!」

「ん?やぁ、ネプギア。こんな所で会うなんて奇遇だね。」

「冒険から帰ってきた感じですか?」

「そんな所だね。次の冒険に向けて道具の調達もひと段落したから、好きな釣りでもしようかなって思ってしているところさ。」

「ネプギアぁ。急に走り出すからビックリしたよ、もぅ。」

「道具も忘れるくらいだったからな。」

「ご、ごめんなさい…。」

「おや。君が、ネプギアが言っていた姉のネプテューヌさん?」

「そだよ、わたしがネプテューヌだよ!んで、こっちはえい君!」

「あだ名で言うな。」

 

俺は彼女に軽く自己紹介をしつつ、ネプギアとの関係を聞いてみると、俺がまだゲイムギョウ界に来る前に、ネプギアが一人でクエストをしている際に困っていたところを手助けしたり、軽く手合わせをしたりする仲との事。読者の方の殆どは知っているだろうが、俺が知らないので軽く説明をすると、冒険者では彼女の名を知らない者は少ないであろう一流の冒険者で、自らの冒険の記録を元に“クリスティン漂流記”という小説を出版しているそうだ。確かブランが熱愛している小説の一つでもあるというのを聞いたことがある。前述の通り、次の冒険に向けて買い出しがひと段落して冒険に出る前に、好きなことをやろうという事で好きな釣りをしているとのこと。あと、言葉遣いは気にしなくていいとも受けたので、今後はいつも通りに接する心算でいる。因みに、彼女は俺の事を知っていた事が次の言葉で分かる。

 

「そうか、君がプラネテューヌに舞い降りた期待の新人と言われている女神補佐官か。」

「期待の新人かは兎も角、訳あって補佐をしている。旅をしていたと聞いたが何処でその情報を手に入れたんだ?」

「君の事は旅先のギルドを訪れた時に聞いたよ。僅か一ヵ月強でクエストランクをS級まで上げたプラネテューヌ補佐がいるってね。ルウィーの生放送に途中から映ったのも君だったね。私もあれには若干怒りを覚えたけど、中々大胆なこともするね。」

 

他にも“勇敢なる黒き傭兵”、“ジャック・ザ・リッパー”、“プラネテューヌのダーティーハリー”、“魔法拳士”等々色々な通り名が出来てしまっているようだ。ジャック・ザ・リッパーは一番気に入らないが、通り名が多すぎるのも困るな。

 

「ところで、ここにいるってことは君達も釣りをしているって事だとね?」

「はい、永守さんの提案で訪れた感じです。」

「ゲームでしかやったことなかったけど、釣りって結構楽しいね。」

「…俺は、そこの女神と違って精神修行の一環で来たのだがな。」

「精神修行ねぇ。確かにかえしのない釣りは修行にもなるね。でも、君は少し思い詰めていたりしてないかな?」

「そんな気はないが…。」

「でもえい君は、考え込んで話を聞かなかったってのは減ったけど、思い悩んでいるような雰囲気は消えてないよ。」

「なるほどね…。確かに強くなったりするのは大事だけど、偶には羽を伸ばすことも大事だよ。」

「それって、私にも言ったことですね。」

「そうだね、ネプギアにも言ったね。休むことも修行の一環だと思ってみるのもいいかもね。」

 

数々の冒険を潜り抜けているファルコムならではの考えってやつか。昔の俺なら考えたかもしれないが、つい数ヵ月前、元の世界ではここに来るまで血生臭く、生死を掛けた戦いに身を投じていたからな。銃を持った首無しの人型生物、それの亜種だろう両手に爆弾を持って突撃してくる首無し爆弾魔、触手のようなのに浸食されている戦車や戦闘ヘリ、二足歩行の生物ロボット、炎の岩を投げてくる巨大エイリアン。そんなニグーラとの闘いを数年間続けてきた為に、常に緊張感を持つ事が身についてしまったのだろう。今考えれば、話しても信じられない事をしていたな。

 

「えいっ!」

 

恐らく、また気難しい顔をしていたのだろう。それを見たネプテューヌは急に目の前から抱き着いてきた。

 

「何急に抱き着いて来ている。」

「だって、まだ気難しい顔してたんだもん。男の子はこういうの好きでしょ?ほらほら、ネプギアも!」

「え、えぇ、私も!!…えいっ!!」

 

一瞬躊躇ったような感じはしたが、直ぐに俺の後ろに向かってネプギアが抱き着いてきた。

 

「…最初の戸惑いはなんだったんだ。」

「君は表情が硬いのかな?それとも鋼の心臓でも持っているのかい?」

「姉妹サンドウィッチの具になるのは初めてだがな…。」

 

正直、慣れていない為に脈拍が上がっているのが自分でも分かる。それが分かってて面白がるかのように、ネプテューヌは胸元に向かって顔をスリスリし始めている。そして周りからのリア充爆発しろ的な視線が向けられているのが分かる。

 

「…そろそろ周りの視線が痛いから離れてくれないか?」

「あはは、女神様は面白い人だって聞いたけど、君も結構面白いね!」

「えい君は変わったところ多いけど、頼りになる人だよ!」

「誉め言葉として受け取っておこう。あと、本来の目的を忘れているぞ。」

「そ、そうでした。ここに来たのは釣りをする為でした。ファルコムさん、お隣いいですか?」

「うん、構わないよ。女神様と釣りをするなんて、なんだか光栄だね。」

「それじゃあわたし達もお隣でしよ!」

「済まないなファルコム。五月蠅くなってしまって。」

「ああ、いいよ気にしなくて。賑やかにしてやるのも悪くはないからね。」

「それを聞いて安心した。助かる。」

 

そうして、4人でかえしなしの釣りをすることになった。

 

数時間後、ノワールとユニが何故か俺達4人の所に掛け寄ってきた。なんでもクレームがあって、内容としては凄腕の釣り人4人のせいで全くこっちが釣れないという内容らしい。ノワールとユニに頭を下げつつ丸く収まり、何故か一緒にニジマスを焼いて食べる事になった。確かに、ファルコムの言う通り偶には羽を伸ばしてゆっくりするような生活をするのも悪くはないな。そんな時間はあっという間に過ぎるのだった。

 

「今日は楽しかったよ!また会えたら宜しくね。」

「ファルコムさん。また旅に出るんですか?」

「うん、明日にはまた冒険に出る予定だよ。ああ、永守さん。今度会ったら手合わせをお願いするよ。」

「ああ。次会えた時は此方も宜しく頼む。」

 

そういう事があり、プラネテューヌへ帰る事となった。収穫としては、ネプ姉妹含め羽伸ばしにはなっただろう。久々に優雅な日を、平和だった頃の地球の生活が出来たと感じた日だった。

 

 




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

ノワール・ユニ『って、私(アタシ)達、名前した登場してないんだけど!!』
…そういう事もあります。お二人のファン申し訳御座いませんorz

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