超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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タイトルが全く思いつかず、流用作戦で落ち着く自分がいます。
とりあえず、アニメ基準のルウィー編最後となります。


Scene08 マジックカントリーオブルウィー~双子奪還~

 

 

 

 

日が暮れ始め、ルウィー教会内には夕暮れの光が窓から差し込んでいる。ブランを職員と手伝い、自室へ休ませた後ベールの提案により、全員が執務室のブランが普段使っているPCの前へ集まった。

 

「実は、ブランとはある計画を進めていましたの。永守さんは初めてだと思いますので、順を追って説明しますわ。嘗てルウィーでは、人工衛星を使っているサービスが行われていましたわ。」

「えっと、それってお寺ビューの事?」

「確かそれって10年前に終わった奴よね?」

「10年前に終わったサービスの名を出すという事は、何かあるのか。」

「ええ。確かにサービスは10年前に終了していますわ。ですが、人工衛星自体は稼働していまして、撮影された地上写真のデータを送る事が出来るのですわ。但し、低解像度の…。」

 

そう言って、ベールはその人工衛星から撮影されたであろう写真を見せてくれる。…確かにこれは何とも言えない写真となっている。まるで初代FCウォーズのマップチップを更に拡大して白黒にした感じだ。これでは簡単な看板地図ぐらいにしかならないだろう。

 

「ただ、リーンボックスの研究所で、あらゆる画像を解析して高解像度にするソフトウェアを開発していまして、それでお寺ビューに特化したソフトウェアの開発に成功しましたの。」

「おお、流石ベールの所は進んでるねぇ!」

 

若干ネプテューヌに突っ込みたいところもあるが、ここは黙ってベールの話を聞くことにしよう。

 

「そこでブランに、プロジェクトとして持ち掛けたのですわ。ルウィーの写真データを提供してくれれば、我が国はこのソフトを提供すると…。」

「今の話だと、お寺ビューで撮影されたデータを、リーンボックスに送り、そのシステムで高解像度になったデータをルウィーとの二国間で共有する事になる。」

「…ええ…確かに…永守さんの言う事も間違いではありませんわ。」

「え?それって、貴方達だけが世界中の情報を得られるってことになるじゃない。」

「ええ!?わたし達見られすぎて困っちゃうじゃん!!」

 

俺の言っている事が正しいようで、ルウィーとリーンボックスのみで提供しあうとなれば、プラネテューヌとラステイションが新しい建物や軍事施設等を建設しているのも筒抜けになってしまう。だが、このシステムを利用してシェアを奪うようであれば友好条約の規定外ではないか?恐らくそんなことはないと思うが俺は聞いてみる事にした。

 

「ネプテューヌとノワールの言う通り、それでシェアの影響が出たら友好条約の規定に引っかかるんじゃないか?」

「いいえ、そんなことはしませんわ。わたくし達はそのデータを、皆で共有しようと思っていましたのですわ。」

『ええ?』

「ブランが最初に持ち出した話ですわ。友好条約を結んだのだから、四つの国で等しく利用すべきだと…。」

「ブランが…?」

「ええ、だから公開する機会を窺っていたのですわ。ちょっとしたサプライズプレゼントみたいで、洒落ていると思いまして?」

「ある意味今回はサプライズプレゼントだな。」

「そうですわね。このような形で、皆さんに公開するなんて思ってもいませんでしたわ。」

 

そうしている内に、PCから解析が終わったような音が発せられる。

 

「解析が終わりましたわ。これで誘拐犯の逃げた足取りが分かりますわ。早速…あら、ここは?」

 

ベールの発言と同時に全員がPCに目を向ける。二人のシェアエナジーの足跡や監視カメラ風に撮影された画像を元に犯人の場所を突き止めた。その場所は―――――

 

「スーパーリテールランド…?」

「機材や重機があるということは、建設途中かしら。」

「報告によれば、警備隊はそのエリアを調べてないようだ。なるほど、隠れるにはうってつけの場所って訳だ。灯台下暗しってとこか。」

「よーし、そうと分かれば殴り込みだぁ!!」

「お待ちになって、作戦を考えずに行くのは無謀ではなくて?それに、まず優先すべきは人質となっているロムちゃんとラムちゃんの救出ですわ。」

「まずは、その建設現場の見取り図があればいいが…。」

「ブランには失礼だと思いますが、少々調べてみますわ。」

 

そう言ってベールはPCを操作し、数分もしない内に建設予定図を開く。流石、ゲームだけでなくこの手の事もお手の物って訳か。

 

「入口は、正面口と非常口の2つか…。」

「恐らくですが、犯人はこのあたりにいるのではないかと推測できますわ。」

「資材置き場…広さ的にもあのトカゲ野郎が入っても広すぎるスペースだな。だが、2つの出口に行くまでの道は一方通行…。奴の体格ならそこにいるのが妥当だが、もし本当にいるとなると袋のネズミ状態だな。」

「となると、突撃班、通路を見張る班、2つの出入口を見張る班に分かれる感じかしら。」

『よし、じゃあここはわたし(俺)が―――――』

 

と、俺とネプテューヌが同時に突撃班を担当しようと声を上げた時、ベールが提案をする。

 

「お待ちになって、突撃班はわたくしが担当しますわ。」

「え~、主役はわたしだよ?わたしが裏方になるなんてあり得ないよ。」

「何か考えがあるの?」

「永守さんのような男性が行くより、女性である方が交渉に応じやすいと思いますわ。それに、貴方達にはなくてわたくしにはある秘策がありますのよ。」

 

なるほど、何となく察した。ここにブランがいたらキレてるだろうな…と思ってしまった。ここはベールに任せるのが無難だろうと考え、不満を漏らしているネプテューヌの頭をポンポンッと優しく叩く。

 

「分かった。ここはベールに任せて、俺とネプ姉妹は出入口、ノワールとユニは通路を頼む。」

『え?』

「ちょっとぉ、それじゃあわたし達3人は裏方じゃん!!ダブル主人公が裏方って変じゃん!!」

「あれ、さりげなく私も含まれてる…?」

「失敗は許されない一発勝負だ。何より極力建設現場を破壊したくはない。」

 

そう言って全員が納得したような雰囲気になり、ネプテューヌも渋々招致した。ネプテューヌには申し訳ないが、成功率が高い方法で行った方が最小限に収まると思うからな。執務室に置手紙を置いた後全員で現地に向かった。

 

 

 

 

 

【ルウィー:スーパーリテールランド建設途中地】

 

現地に到着後Nギアで連絡をし合い、各自の配置に着いたのを確認し通話を切る。丁度メインホールの出入口の為か外であり、万が一外に出た場合は容易に追える場所でもある。入口に簡易式網罠を仕掛け、入口と上を交互に見つつ警戒をしている。そんな時にこんな声が聞こえてきた―――――

 

「出てこーい誘拐犯!わたしが直々にねっぷねぷにしてやんよぉ!!」

 

自ら居場所を教えていると思ってしまう程に響き渡るネプテューヌの大声が聞こえた。ネプテューヌらしいと言えばそうだが、状況を考えると宜しくない行為だ。

 

そんな時、上から“ドゴーーーンッ”という轟音と共に見覚えのあるトカゲ野郎が吹っ飛んでいるのが見えた。ベールの攻撃で吹っ飛んだのか、壁を破ってまで逃げたのか、ここからでは詳しく分からないが、俺は吹っ飛んだ方へ向かう事にした。なるべく最短距離を進むべく真っ直ぐに向かい、跳躍で超えれそうにない壁はトラベルハットに空間移動の念力を蓄積させ、塀の向こうへ投げて地面から空間移動する。因みにこの空間移動自体はScene05で一度披露している。…それにしてもあんな吹っ飛び方するのは、アニメぐらいでしか見た事ないぞ。読者に分かりやすく説明するなら、とある空飛ぶパンの宿敵の菌男が「バイバイ菌ーっ!!」と言って空の彼方に飛んでいくような感じだ。

 

 

 

 

 

【ルウィー:スーパーリテールランド・機材置き場】

 

「幼女は命を懸けても守る!それが紳士のジャスティス!!…あれ、幼女は何処…?」

 

色々と追い付くまでの課程を吹っ飛ばしたが、目視できる範囲まで到達し物陰に隠れる。あと、なんか変なことを喋っていたのが聞こえた。どちらかというと、見た目も含め紳士というより変態の方が似合っていると思うな。それと奴の言っているように、ロムとラムがいないのであれば、ベールが保護したのだろうと思った。と思った時期が俺にもあった。丁度奴が背中を向けているその背中方向の金網に、必死になって金網を登っているロムとラムがいた。

 

「人質も巻き込んで攻撃したのか…。」

 

ここに居ないベールに対して何とも言えない気持ちが沸き上がっていたが、奴がロムとラムがいる方を目視していた。

 

「これほど生きの良さとは…。全く、幼女は最高だぜ!!」

 

トリックが二人を捉えたのか、妙な手付きをしつつあの長い舌を出した。銃では恐らく奴の舌の勢いを止められないと判断した俺は、トラベルハットに風と念力を溜め込み、暗器の山高帽の如くブーメランのようにトカゲ野郎の舌に向けて投げる。

 

「いてぇええええ!!」

 

鈍い打撃音と共に、痛そうに舌を戻す。投げたトラベルハットを念力で手元に戻し被り直す。

 

「切り落としてタン塩にしてやろうと思ったが、衝撃になってしまったか。」

『永守お兄ちゃん!!』

「お前は、昼間に俺様が吹っ飛ばした奴か!よくも俺様と幼女との遊びを邪魔する気だな!!」

「…言いたいことは分かった。兎も角、昼間の借りを返しにきたぜ…でっかいトカゲさんよ。」

「俺様はトカゲじゃない!トリックと言う幼女に愛されし立派な名があるのだ!!」

「ボスクラス的な名前を持っていたのか…てっきりモブキャラかと思ったぜ。」

「俺様を馬鹿にするとは、いい度胸じゃないか小僧…!」

 

端から見れば、挑発して怒らせてるようにしか見えないだろう。怒らせるには理由がある。まず1つ目は、標的をロムとラムから俺に移すこと。2つ目は行動を単純化させる事。2番目はおまけだが、無心か冷静な奴じゃなければ乗ってくれるはずだ。当然奴の舌は俺目掛けて飛んでくるが、比較的一直線な為に横に空中側転しつつ小型のリボルバーを撃つ…がやはり効果は今ひとつのようだ。

 

「アックックックッ、そんな攻撃など、蚊ほども痛くないわ!」

「やはり、見た目通り頑丈か。」

「これ以上幼女との時間を邪魔されると困るな。だから、さっさとくたばれ!!」

 

さっきより早い舌の攻撃が俺目掛けて飛んでくると同時に、二人の心配する声も聞こえていた。だが、俺はこの時を待っていた。

 

 

 

 

 

―――ドーーーンッ

 

「いっててててて!!」

 

突如空から大槌がトリックの舌目掛けて振ってきて、奴の舌にめり込むようにぶち当たる。そして物陰から見覚えのある少女が現れる。

 

『お姉ちゃん!!』

「銃声が聞こえたから、既に倒しているかと思ったわ…。」

「とんでもねぇ、待ってたんだぜ。ブラン。」

 

そう言いつつブランは俺の元に来る。それと同時に念力で大槌をブランに渡す。

 

「そうね、じゃなかったら置き手紙なんて用意しないわね。」

「有っても無くても、無理して着いてくるつもりだったろ。」

「そうね、個人的な恨みもあるけど…わたしの大事な妹達に手を出したこと、只じゃ済まねぇぞ、この変態が…!」

「変態?それは誉め言葉だぁ!」

「そうかい…なら褒め殺しにしてやるぜ!」

 

そう言い終わったと同時に、ブランが光り出し女神化した。白のバトルスーツに、水色の髪、大槌が巨大な戦斧へと変形した。

 

「わたしが奴に近づいて攻める、てめぇは援護を頼むぜ。」

「ネプテューヌと似たような事を言う…まぁ、妥当だな。」

「覚悟しろよ、このド変態が…!」

「アンタに恨まれるような事はしてないが、仲間を傷つけた代償は払って貰うぞ。」

 

ホワイトハートとなったブランはトリックに向けて戦斧を構え、俺は両拳をぶつけ両手に炎を纏わせ、右手に炎の弾を作り出す。

 

「燃えろ…!」

 

トリックの足下目掛けて炎の弾を飛ばすが、それと同時に気味の悪い笑い声と共に驚異的な跳躍で回避する。それに便乗するかのようにブランも上空へ飛ぶ。そしてトリックはブランに向けて得意の舌攻撃をする。ブランも負けじと避けるが、その涎まみれの舌は追尾性能がついているかのように、避けた方向に向かっていく。だが、それでもブランの方が速い為、攻撃が追いつかず優勢であり戦斧の射程範囲内まで接近した。

 

「この、超絶変態!!」

「ぐぅうッ!!」

「激重変態!!」

「ぐあああああ!!!」

 

ブランの重々しい戦斧が、トリックの脳天当たりに二撃入る。落ちながら戦っていたトリックも、その衝撃には浮いていられず地面に向かって落下する。その落下ポイント付近で、足に力を溜め込み炎を纏わせ構える。

 

「悪いが、地面に足を着かせはしないぞ。」

「ぐへぇっ!!」

 

そう言った俺は、トリックの顎目掛けて強烈なサマーソルトキックをお見舞いし、もう一度空中へ浮かせる。

 

「此奴で終いだ!!テンツェリントロンペッ!!」

 

空中で体ごと高速回転しつつ、その勢いを利用しトリックにトドメの一撃並の一振りが放たれる。振り上げるような重々しい一撃は、トリックの重量を無視したかのように勢いよく空高く飛んでいく。

 

「があああああ幼女ばんざあぁぁああああいいいい!!」

 

“バイバイ菌”並の妙な台詞と共に、空の彼方へと消えていった。

 

「女神に喧嘩売ったんだ。文句はねぇよな。」

 

吹っ飛んでいったトリックに対しての決め台詞だろう。それを言い終えたと同時に女神化を解き、何時ものブランに戻った。そうして、ブランは申し訳なさそうな顔をしてロムとラムの方を向く。

 

「ロム、ラム、御免なさい。こんな目に遭わせて…。姉として失格ね…。」

 

自分がしっかししていれば、一緒について行けば…とそんな事を思っているような悲しい顔をしているブランが横にいる。確かに、一歩間違えれば取り返しのつかない事にもなったろう。人の事を言えた立場ではないが、教育者としては二流だろう。だが…

 

「俺は、姉失格とは思わないな。」

「え…?」

「万全とは思えない状態で、二人が心配だからこそ、置き手紙を読んでロムとラムを助けに来たんだろう…違うか?」

「でも、わたしは二人より私情を優先してしまった…。」

 

どうしても、自分の事が許せないブラン。確かに、ブラン自身が二人の側にいてやれば未然に防げたかもしれない今回の誘拐事件で、諸事情を優先してしまった事により発生してしまった。だからこそ自分を責めてしまうのだろう。そんなブランの元に、ロムとラムは駆け寄って、数枚のメダルを取り出す。それは誘拐現場の道標のようにあったメダルだ。

 

「お姉ちゃん。これ、お土産…。」

「デッテリューだよ!」

「ロム、ラム…。」

「よかったな。二人はブランの事立派な姉だと思ってるようだ。じゃなかったらこんな事はしないだろ。」

 

ブランは優しい姉のような表情になり二人を抱きしめていた。この場に俺がいるのは場違いだろうという事と、仕掛けた罠を回収しに行く為に、その事をブランに伝えその場から離れる。

 

 

 

 

 

その場から離れた俺は、念の為にベールとノワールにNギアで現状報告をした。ノワールの話によれば、下っ端を吹っ飛ばしたあと暫く探したが、他に敵はいなかったとのこと。ベールは自分の胸の事をバカにされた事に吹っ切れて、ロムとラムを巻き添えにしてしまったことを反省していた。しかし、ネプテューヌに連絡しても何故か出てこない。非常口側でまだ敵が出てくるのを待っているのかと考えつつ、罠を仕掛けていた正面入り口へとやってきたら、目の前にこんな光景があった。

 

「うぅ、主人公がこんな単純な罠に引っかかるなんて…!!」

「ご、ごめんねお姉ちゃん…。」

 

ネプ姉妹が俺の仕掛けた簡略式網罠に仲良く(?)引っかかっていたのだった。

 

 

 

 

 

【ルウィー:翌日】

 

「えぇ!?ね、寝不足ぅ!?」

 

昨夜は遅かった為、ルウィーの教会で泊まる事ととなり現在に至る。丸テーブルに座っている女神達。ネプテューヌはブラン本人から、突然倒れてしまった事の理由を問いただしたら、その問いに対しての答えが「寝不足」だった事に驚く。仕事が忙しかったのだろうと俺は納得した。…因みに俺は相変わらずボディーガードの如くネプテューヌの隣で立っている。

 

「えぇ、気を失ってしまったのはそのせい。遊びに行けなかったのも…。」

「何よ、それ…もう、こっちは心配したんだから…。」

「ここの所、徹夜続きで貴方達と向き合う時間がなかったの。」

「徹夜は関心出来ないな…。」

「そうね、少し考えておくわ。それでも、ロムとラムを押しつけてしまったのに、二人を助けてくれて有難う、ベール、ノワール。それに、永守とネプテューヌも、中継の時わたし庇ってくれて…。」

「ああ、いいよいいよ!わたしもあの幼女には無性にムカついたからさ。追い出して当然だよ!!そんな事よりあの時のえい君は怖かったけど…。」

「悪かったって…。」

 

そんな俺怖い的な事をいうネプテューヌに苦笑しつつ、他の三人はクスッと笑っている。なんだかんだ言って四人は仲いいんだなと再確認をした場面でもある。

 

「お姉ちゃん、これ見て。」

 

ロムが、ブランの所に駆け寄り、一冊の薄い本を差し出す。そこにはブランに似た絵が描かれている。その本は青黒い表紙をしており、真ん中には二つの斧が交わっているイラストが載っている。

 

「うん、良く描けてる。………?」

 

最初は描いているものを褒めていたが、直ぐに何かを察したかのように険しい顔へとなっていた。そして、ラムは何処にいるのかと聞いたら、急に立ち上がりホールの方へと走り出す。

 

「ね、ねぷ!?」

「随分と、落ち着きがないように見えましたが…?」

「後を追ってみましょ。」

 

ブランを追いかけるようにホールの方へ向かうと、そこには大量の段ボールがあり、先ほどの薄い本に絵を描いているラム、その本を広げて座りながら読んでいるネプギアとユニの姿があった。しかし、入り口を塞ぐほどの段ボールの量…なんだこれ。

 

「ラム、落書きやめて!!」

「えぇ?こんなに同じ本があるんだから、いいでしょ?」

「ダメったらダメ…!!」

「何で?」

「そ、それは…。わ、わたしが描いた小説だからだ!!」

 

まさかの驚愕の事実だった。落書きされている薄い本は小説であり、その著者はブランだったことを頬を赤くしながら暴露した。つまり、ここにある段ボールの中は全てブランが描いた小説になるってことか。

 

「つまり、その小説はブランが書いた同人誌ってことかしら…。」

「まさか、徹夜していた理由って…。」

「そ、そうだよ。悪ぃか!!」

「別に、悪いとは思ってないが、自己管理としては…な。」

「余計なお世話だ!」

「ところでユニ、どんな話なの?」

「えっと…空から落ちてきた少女と、生まれつき特殊能力を持った少年が世界を救う話…。」

 

まさかの発売される前に中身の一部を聞いてしまった。しかも、ネプテューヌは此方が気づいていない内に小説を持って中身を見ていた。

 

「ふむふむ、邪気眼と書いて“デスティニー”と読む。」

「じゃ、邪気眼…?」

「ちょ、読むな!あと言うな!!」

「す、凄い、主人公が新しい能力に目覚めた!右手に炎、左手に氷を纏って操る…格好いい!!」

「よ、読むなぁぁああああああああああああああああああああ!!!!」

 

更に顔を真っ赤にしつつ、ぐぬぬという表情からブランの悲痛とも言えぬ叫び声が、教会に響き渡る。

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

予定ではまたしばしオリジナルの話でも挟もうかと考えていたりしなかったり…。
どっちにするかは自分の気分次第ですサーセン。

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