盗賊「ひゃっはー!」
リベラル「盗賊死すべし、慈悲はない」
アルマンフィ「私はペルギウス様の下僕だ」
私はどうにも頭が固い人間ですので、一度「これだ!」と思うと、それ以外のことが考えられなくなります。例え、矛盾や穴があろうと、一切気付きません。なので、この作品内でそういった疑問点などがありましたら、ご指摘お願いします。ここらからタグが本領発揮ですので。
……もっとも、矛盾してたり穴があった場合のことを考えてないので、上手く修正出来るか微妙ですけど…。やっぱり、指摘しないで微笑ましく見守って欲しいなぁ、とも思ったり。
…つまり、指摘は私が泣き出さない程度にお願いします(殴
空中城塞ケイオスブレイカー。
かつてラプラス戦役にて、『甲龍王』ペルギウス・ドーラが、ラプラス本陣に強襲を仕掛けた空飛ぶ城。アスラ王国王城よりも大きく、強固であるこの城は、いつか復活するラプラスを監視するために、世界中の空を旅している。
リベラルは、そんな城の中の奥、長い廊下の果てにある謁見の間にいた。彼女の周りには、十二人の男女が赤いビロードの絨毯の両脇に立ち、全員が白い服と仮面を被っている。
そしてその先、玉座のある場所に、一人の男が座っていた。輝かしい銀髪。相手を威圧するような三白眼、金色の瞳。全身から立ち上る王者の気配。
彼こそ三英雄が一人、『甲龍王』ペルギウス・ドーラである。
しかし、ペルギウスは忌々しそうな表情を浮かべ、目の前にいるリベラルを睨み付けていた。周りにいる使い魔たちも、僅かに殺気立っている。
「リベラルか。相も変わらず、図々しい奴よ」
「いえいえ、近くに寄りましたので、挨拶に来ただけですよ」
彼女の言葉に、ペルギウスは「ハッ!」と吐き捨てるように笑う。
「魔族の血を引く貴様がここにいることが、我には耐え難い事実なのだ。かつての戦友である貴様であれば、我の言うことも分かるであろう」
ペルギウスはラプラス戦役にて、人族側として戦っていた。幾度となく魔族と殺し合いを行ない、彼は数多くの仲間を失っている。長らく戦い続け、魔族の底を知っているのだ。
端的に言ってしまえば、生理的に受け付けないのである。魔族が嫌いで、醜くて、卑しくて、仲間たちの仇で。魔族との長い戦いを続けていたペルギウスは、魔族を拒絶していた。
魔族を受け入れるには、争いの時間が長く、失ったものが多すぎたのである。
「戦友の貴様であるからこそ、我は堪えているのだ」
「ご配慮、心痛みます」
「……フン」
面白くなさそうにそっぽ向くペルギウスに、リベラルもやれやれと言いたげな仕草を見せる。
リベラルはラプラス戦役に参加していた。
死ぬ危険や未来が変化してしまうリスクを背負ってまで、参加したのには様々な理由があるが、“ペルギウスと仲良くする”と言うのが目的のひとつであった。
ラプラスを封印した三英雄の一人、ペルギウスはこの時代では有名人だ。そんな男とあらかじめ友好関係を築いていれば、何かと便利なのだ。その他にも、世界中の空を旅しているケィオスブレイカーは、いずれ復活する『魔神』ラプラスとの決戦に横槍を入れやすくなる。
「とは言え、生まれだけはどうすることも出来ませんよ」
自身が与える、歴史への影響力を調べる必要もあった。
人神がルーデウスに言っていたことなのだが、この世には“運命の強さ”という不確かなものがあるのだ。
運命の強さとは、世界に与える影響力だ。運命が弱ければ、世界どころか、自分の命運すら変えることが出来ない。
己の行動がどの程度の変化を与えるのか、検証する必要があった。もしも運命が弱ければ、リベラルはリベラルの知る歴史を1つたりとも覆すことが出来ないのだから。ラプラスを失ってしまった時のように。
だから、その不確かなものを調べるには、大まかな歴史を知っているラプラス戦役に、参加しないという選択肢などなかった。どの程度の行動で、歴史が変化するのか知るのには、丁度いい機会でもあったのだ。
それに、己がどれほど戦えるようになったかも知ることが出来る。もう二度と負けないと誓ったリベラルが、どれほど強くなったのかを。それも、重要なことであった。
他にも“ナナホシとの関係”も理由に上がる。
この世界にやって来る七星 静香は、元の世界に帰還するために異世界転移の研究を行う。その際に、彼女はこのケィオスブレイカー内で暮らすことになるのだ。
リベラルは、ナナホシとどうしても必要最低限の友好関係を、築いておきたかった。そのためには、魔族嫌いであるペルギウスとの関係が必要となる。故に、魔族の混血であるリベラルが彼と仲良くなるには、戦争に参加するのが一番の有効手段であった。
共に死線を潜り抜ければ、嫌でも心を許すものだ。幸いにも、龍神ウルペンは龍族の悲願を知っていたので、彼に協力してもらい、仲良くなれた。
「それと、勝手に光輝のアルマンフィ様を召喚し、契約を結んだことへの謝罪を」
「貴様は悪いと思っていながらも、召喚したのか」
「ええ、まあ、それだけアルマンフィ様が優秀と言うことですよ。彼以外の存在なんて思い付かないです」
「我にそのように宣うのは貴様だけだな、リベラル」
「貴方だからこその台詞ですよ、ペルギウス様」
挑発とも思えるやり取りにより、互いに剣呑とした雰囲気が晒される。
「昔から変わらず生意気な奴よ」
「貴方は随分と老けてしまいましたね。昔はもっとイケメンで、小生意気な感じでしたのに」
「そういう貴様は、一向に姿が変わらんな。それも魔族の血であろう」
「いえいえ、淑女の嗜みですよ」
「淑女とは呼ぶには、その手は汚れすぎておるがな」
だが、どちらともなく笑い出し、一触即発の空気から和んだものへと変化した。
ペルギウスはリベラルの魔の部分は嫌いだが、リベラル本人は嫌いではないのだ。昔から命を助けられたりしたからこそ、このような軽口を互いに叩き合うのであった。
それは、信頼の証拠でもある。
「それで結局なところ、リベラルは何をしに訪れたのだ? まさか、本当に挨拶をしに来ただけではあるまいな?」
「いえ、挨拶と謝罪だけですよ?」
「……何?」
「いやいや、何ですかその反応は。友人が遊びに来てはいけないのですか」
リベラルの返答に、ペルギウスは目を丸くし、再び笑うのだが、
「……構わぬさ。リベラルは我に残された、戦友の一人なのだからな」
寂しそうに、ポツリとそう呟くのであった。
ラプラス戦役にて、ペルギウスの友は数多くが亡くなった。無論、生き延びた者も多数いるが、そこから現在も生きている者はほとんどいない。
龍神ウルペンは人族の血が濃かったためか、寿命で亡くなった。北神カールマン・ライバックも、王竜王に挑んで戦死した。
ペルギウスにとって、リベラルは昔のことを語らえる、唯一の友でもあるのだ。歓迎はすれど、無下に扱う道理はない。
「では、ゆるりと過ごすがいい。我が友よ」
こうして、ペルギウスとの謁見は終了した。
――――
「……ふぅ」
リベラルは城塞から見える庭を見下ろしながら、一息吐いた。ペルギウスの魔族嫌いはともかく、ラプラスへの執着を考えれば、ラプラスの娘である私とよく友でいてくれるな、と感じるのだ。
当然ながら、ペルギウスがそのことを知らないなんてことはない。隠していたところでいずれバレると思っていたので、ずっと昔にそのことは告白してるのだ。告げた時は、ウルペンの陰に隠れながらであったが。
しかし、その事実を打ち明けたからこそ、ペルギウスは許してくれているのかも知れない。
「おや、溜め息など溢されてどうなさいましたかリベラル様」
背後から聞こえた声に、リベラルは後ろを振り返る。
そこには、白髪に近いブロンドを肩口までたらし、顔には白い鳥の仮面をつけた女性が佇んでいた。法衣のような純白の衣装を身にまとい、その背中には漆黒の翼があった。
天人族である彼女は、ペルギウスの第一の僕、空虚のシルヴァリルだ。
「ああ、シルヴァリル様。どうにもこうにも、昔のことを思い出していただけですよ」
「昔のことをですか」
「ええ、ラプラス戦役のことをですよ」
シルヴァリルはペルギウスに創り出された精霊ではなく、ラプラス戦役にてペルギウスに助けられた天人族の女性だ。故に、シルヴァリルにとって、その当時の話は苦い思い出が沢山である。
「ここに来ると、その時のことをよく思い出します。ペルギウス様は今でこそ威厳たっぷりですが、あの頃は小生意気な若造でよく負けていたなー、てことを」
「……もっと別の思いを抱いて欲しいのですが」
「何を言ってるのですか。昔はウルペン様の後ろに隠れてたようなガキだったのに、今では歴史に名を残す英雄になってるのですよ? そりゃあもう、当時を知る私としては感慨無量ですよ」
「そうですか…」
シルヴァリルがペルギウスに助け出されたのは、彼がもっと逞しくなった頃なので、貶すような話はあまり面白くないのだろう。話しているのが、女であるリベラルだからこそかも知れないが。嫉妬の可能性もある。
シルヴァリルがペルギウスに、どのような感情を抱いてるのかは本人にしか分からないだろうが、少なからず尊敬以上の好意を持ってることは確かだ。
己が一番という自負を持ち、ある程度の好意を抱いているのに、自分の知らぬペルギウスの顔を語られてはつまらないものだ。
リベラルはそのことを考え、「ふむ」と悩む仕草を見せた。
「まあ、昔のことはいいでしょう。大切なのは今ですよ」
「確かに、過去に拘る必要はありませんね。リベラル様の言う通り、大切なのは今です。私は、ペルギウス様の第一の僕なのですから」
ちょっと誇らしげに胸を張るシルヴァリルに、リベラルは「チョロいな」と思ったが、決して口にすることはなかった。
「とりあえず、それはさておき」
リベラルは一息置いて、もうすぐでターニングポイントが訪れることを思う。
彼女にとって、ラプラス戦役など前哨戦に過ぎないのだ。全力を尽くすための、準備運動みたいなものだった。
ルーデウス・グレイラッドが誕生し、転移事件によってナナホシが現れた時、リベラルは本格的に行動を起こすのだ。この時代には、ラプラス戦役ほどの猛者は多くないが、人神と真っ正面からぶつかりあうことになる。
バーディガーディに敗北した日以来、リベラルはヒトガミの攻撃を一度も受けていない。それが何故なのかリベラルは何度も考えたのだが、理由など分かる筈もなかった。
何の目的を持ってリベラルを生かしているのか不明だが、転移事件によってヒトガミの視る未来が大幅に変わることとなる。未来が改変されれば、リベラルの行動も変化するだろう。
そうなれば、リベラルはヒトガミの攻撃を受けても不思議ではない。ヒトガミが干渉をしてこないのも、もしかしたらそれが理由なのかも知れない。
「私はそう長く生きられないかも知れませんから、貴方だけはちゃんとペルギウス様のことを見て上げて下さいね」
「リベラル様? 何を……」
「もうすぐで転換期ですからね。私はそこを乗り切れるかどうかが微妙でして」
「……?」
「とにかく、シルヴァリル様はペルギウス様を支えて下さいってことです」
何を言ってるのかよく分からない。
そう言いたげなシルヴァリルであったが、リベラルはそれ以上何かを話そうともしない。なので、素直に諦めようとしたのだが、
「貴様のそういうところ、我は気に食わんな」
背後から聞こえた声に、シルヴァリルは一歩後退し、彼の側に控えた。ペルギウスだ。
彼は不愉快そうな表情を浮かべ、リベラルを睨み付けていた。
「リベラル。貴様は昔からずっとそうだ。
「いけませんか?」
「…貴様の目線が苛立たしいのだ。未来も運命も、不確かなものだ。だというにも関わらず、確信して行動しておる。昔からずっとな」
その瞳は、憎々しげであった。
リベラルの見ているものは、当時の戦友たちと何もかもが違ったのだ。彼女は、未来しか見ていない。過去を嘲り、現在を貶める考えだ。
行動によって未来を作り出すのではなく、未来に起きることに合わせて行動しているのだ。
昔も、今も、己の意思を持って生きるペルギウスにとって、それは許せないものだった。
「今が未来を作るのだ。未来は定められてなどおらぬ」
「そうかも知れませんが、それはペルギウス様の願望ではありませんか?」
「己の意思で選んだ選択が、全て予定調和であるなどあり得ん。未来とは作るものだ。断じて作られてるものではない」
「……まあ、私もそこまでは思ってませんよ。それこそ
リベラルの言葉に、ペルギウスはつまらなさそうに明後日の方に顔を向ける。
「ならば、その目を止めよ。
ペルギウスの言う通り、リベラルは現在のことを軽視していた。当たり前と言えば当たり前なのかも知れないが、彼女は未来を知っており、それを元に行動を起こしているのだ。
更には、ルーデウスやナナホシが現れたら本気を出すなどと考えており、そのために今までずっと力を付けてきたと言っても過言ではない。
ペルギウスもラプラス戦役も、眼中にない。そんなふざけた考えをしていれば、彼が苛立つのも当然だろう。
「…………」
何も反論することが出来ず、リベラルは無言となる。その様子にペルギウスは「ふん」と鼻を鳴らすと、踵を返して背を向けた。
「我はラプラスのことを決して許すつもりなどないが、貴様のその姿勢も同じくらい許せんぞ」
「……それは、貴方にかなりの恨みを向けられてるみたいですね…」
「当然であろう」
「…………」
そのまま立ち去っていく二人の姿を見送り、リベラルは再び庭を見下ろす。
「……はぁ…だからと言って、際限なく好き勝手しては、勝てる戦いも勝てなくなるのですよ…」
ペルギウスの言い分はもっともで、どうしてそんなことを愚痴るのかも理解している。だが、リベラルが頼れるのは、頭に刻み込んだ未来の歴史なのだ。
彼女としては、転移事件が起きれば、歴史を大きく改竄したところで構いやしない。むしろ、望むところである。
オルステッドがループさえしていれば、彼の方が未来の歴史について詳しいのだから。最悪でも、リベラルは転移事件によって発生する、オルステッドの知識の埋め合わせで問題はない。
だが、もしも。
転移事件すら起きなければ。ルーデウスが誕生しなければ。オルステッドがループしていなければ。
そんなもの、完全に詰みである。
「それこそ、強くなった意味がなくなるのですよ」
とは言え、リベラルはその可能性はほとんどないと考えていた。
忘れそうになるが、前世では一応ながら、時空間についての研究をしていた身である。それなりの確信を持っていた。
「しかし…ラプラス様と同じほど恨まれてるとは、あまり笑えませんね」
ペルギウスが魔族嫌いになったのは長い争いが原因なのだが、それよりも魔神ラプラスの存在が大きいのだ。
魔神ラプラスは技神ラプラスと同様、使命と記憶を失ったが、『人』への憎しみだけは忘れなかった。それこそが、ラプラス戦役の原因だ。
ラプラスは『人』――人神に全てを奪われた。それこそ、心も完膚なきまで破壊された。ラプラスは感情すら奪われたが、それでも残っていたものがあった。
『憎悪』だ。
勇気も、優しさも、慈しみも、全ての心が削ぎ落とされた、純粋なる憎しみ。
心を失ったラプラスは、『人』を殺さねばならぬという目的のために、あらゆる手段を用いた。以前のような優しさは失われているので、理性という歯止めが存在しなかった。
ラプラスが人族にした仕打ち。それは、ヒトガミがラプラスにしたことと大差がなかった。本当はヒトガミが姿を変えているのではないかと思うほどに、卑劣で残酷な悪逆非道を尽くしてしまったのだ。
だからこそ、ペルギウスは魔神ラプラスを、そんな行いに加担した魔族を、憎悪している。ラプラスとリベラルが、ヒトガミを憎悪しているのと、同じほどに。
「まあ、どうしようもありませんが…」
リベラルの姿勢に対し、それほどの怒りを持たれているのは由々しき事態だが、どうにか出来る問題でもない。そのことから一度頭を切り離し、この後どうするかを考える。
(オルステッド様はどこを彷徨ってるのでしょうか…一度コンタクトを取りたいのですが…)
オルステッドは過去に何度か、ケイオスブレイカーに訪れたことがあるらしいのだが、リベラルがその場に居合わせたことはない。その時のことをペルギウスから話を聞いたので、オルステッドがループをしていると分かっているのだが、本当に本来の歴史通りのオルステッドなのかまでは分からない。
つまり、ループ開始からどの時点のオルステッドなのかを、リベラルは知りたいのだ。
実は、前ループがルーデウスと遭遇した後のオルステッドなどという、嬉しい可能性すらあり得るのだから。その辺りのことも、詳しく知りたかった。
(ペルギウス様に伝言をしてからは、ケイオスブレイカーに来てないみたいですし…)
会うことが出来ないので、世界中の各地にある、転移魔法陣の遺跡に伝言を刻んでやろうかとも考え、ペルギウスに相談してみたのだが、
「禁術となった転移魔法陣に、貴様がいた証拠を残すつもりとは…」
と、呆れた表情を浮かべたり、
「愚か者のすることだ」
と、溜め息まじりに告げられたり、
「呆れて何も言えんな」
などと、盛大に馬鹿にされた挙げ句、十二の使い魔たちに罵倒までされたのだ。遺跡が取り壊されたら困る、と。こっそり使っているからこそ、誰も文句を言わないが、あまり目立つことをされては、壊されかねないのだ。
そんなことになれば、やがて訪れるラプラスの復活時に、活用出来ねぇじゃねぇかボケェ! と言うことである。
リベラルが原因で、本当に遺跡が破壊されては堪らないので、結局諦めてしまった。
最終的に出た結論が、「気長に待てばよかろう」である。ペルギウスもまた、長寿な種族だ。一秒の価値が、低すぎるのだった。
(これだからボッチは……どこをほっつき歩いてるのやら)
もしもオルステッドに仲間でもいれば、既にコンタクトを取って行動を共にすることも出来ただろう。だが、オルステッドに仲間などいない。常に一人旅である。孤独な男なのだ。呪いが原因だけど。
お陰さまで、動向が全く掴めない。
(これも全て人神のせいだと思っておきましょう。人神がいるから、こんな些細なことで躓いてるのですよ)
たった一人の人物を探して、世界中を巡ったところで時間の無駄になることなど目に見えている。なので、こうしてケイオスブレイカーに立ち寄る頻度を増やしているが、一向に現れてくれないのだ。
「ハァ……」
再度溜め息を溢し、ボーッと雲を眺めた。「この空の続く下で、きっと生きている」などと馬鹿なことを思いながら、いずれ出会える日を夢見て。
「……よしっ」
それから、ポエムな気持ちを振り払い、考えを纏めたリベラルは、
「ブエナ村にでも行きますか」
もうすぐで誕生するであろうルーデウスへと、会いに行くことにした。
Q.別にペルギウスと仲良くしなくても、ナナホシと仲良くなれるのでは?
A.保険です。ナナホシはサイレントとして、ラノア大学に在籍するのは数年だけなので、会うことなくケイオスブレイカーに引っ越しされた時のためです。
Q.オルステッドにそんなに会いたいなら、遺跡じゃなくてそこら中の街全てに伝言でも書けばいいじゃん。
A.リベラルはラプラス戦役に参加しましたが、名前は広まらないようにしてます。ラプラスの娘ですので、広まり過ぎると不都合があるので。なので、念のためですがあまり名前を広めたくないのです。