無職転生ールーデウス来たら本気だすー   作:つーふー

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前回のあらすじ。

ラプラス「娘返せンアアァァァァ!」
リベラル「ごめん、私が娘なんだよね(テヘペロ」

改訂前の扱いについて意見が欲しいです。消そうかと考えております故。活動報告を見てくださると幸いです。
因みに、意見がなければ……申し訳ありませんが改訂前を削除しますので…。


10話 『足りないものは』

 

 

 

「……あ…ま、待って下さい…!」

 

 一人洞窟の外へと去って行くラプラス(父親)を見て、リベラルは反射的にその後を付いていった。龍鳴山に戻らない選択肢もあったのに、それでも帰ることを選んでいた。

 その選択によって、どのような運命が宿命付けられているのか知っているのに。

 

「……………」

 

 ラプラスは付いてきたリベラル()を一瞥するが、すぐに無言で出口へと向かった。リベラルもそれ以上は何も言わず、黙ってついていく。

 どうしてそんな選択をしたのかは、自分でも分からない。あれほど嫌だと思い、家出のようなことまでしたにも関わらず、こんなにもアッサリと翻して。

 

 ただ――ラプラスの背中はとても寂しそうだったのだ。

 

 同情だったのか、それとも慰めだったのかは自分でも理解出来ない。けれど、立ち去って行くその背中を見て、リベラルは追い掛けていた。放って置くことが出来なかった。

 彼女にとって、ラプラスが好きではない一番の理由は、鍛練を要求してくることだ。それも、よく手合わせと称して、ぼろ雑巾のような姿にしてくる。だからこそ、嫌になった。寧ろ、それで嫌にならない人などいないだろう。

 けれど、逆に言えば“それだけ”だ。元よりどうしてそんなことをしてくるのか知っているし、どれほどのものを背負い込んでいるのかも知っている。

 

 そんな大きな背中が、今にも崩れ落ちてしまいそうなほど、儚く見えた。

 今にも消えてしまいそうなラプラス(父親)を、見ていられなかった。

 

 二人は無言のまま洞窟の外に出る。

 そして、外で待機していたサレヤクトの背に騎乗した。

 

「…………」

「…………」

 

 空を飛んでる間、気まずい沈黙が二人を包み込み、風切り音が嫌に大きく聞こえる。

 

 ラプラスはその雰囲気を特に気にした様子も見せず、ずっと変わらぬ表情のままだった。

 リベラルは何か話し掛けようとしては、結局話し掛けることも出来ず、空回りしていた。

 何を話せばいいのか、分からなかったのだ。普段から、二人の間に大した会話はない。精々、鍛練に関することか、昔のお話だけである。そんな状態で、こんな状況になり、会話を出来る訳がない。

 

 と、そこでリベラルは、ふと人神のことを思い出す。人神との会話の内容によっては、話さなかったかも知れないが、今回のことはラプラスに報告すべきことだろう。

 しかし、つい先程のことが頭を過る。リベラルのことを転生者だと知り、殺されそうになったことを。

 このまま話して大丈夫なのかと。人神の使徒だと怒り、殺そうとしてくるのではないかと。

 そのことでしばらく悩み続けたが、リベラルは決心して話すことにした。

 

「ラプラス様…人神が私の夢に現れて……」

 

 だが、言葉は続かなかった。

 

「――――」

「ひっ」

 

 とてつもない殺気がラプラスから漏れ出し、彼女は情けない悲鳴を上げてしまった。

 

「……続けなさい」

「は、はい…」

 

 怒気の孕んだ雰囲気であったが、ラプラスはその場から微動だにせず、リベラルに続きを促した。その空気に気圧されながら、リベラルは何とか別れてからのことを話す。

 

 キシリカ・キシリスと遭遇したこと。

 アトーフェラトーフェの親衛隊にされかけたこと。

 今の状況が魔王と変わらなく感じたこと。

 だから、嫌になって飛び出したこと。

 そして、人神が夢に現れたこと。

 

 なるべく状況を細かく説明し、何があったのかをリベラルは話していく。その話を、ラプラスは黙って聞き続けた。

 相槌を打つこともなく、疑問点を口にすることもなく。ただただ黙って聞いていた。

 やがて、ラプラスに会うまでのあらましを語り終えると、

 

「……そうか」

 

 彼は静かに頷いた。状況を整理するかのように、しばらく沈黙し、

 

「…魔界大帝キシリカキシリスが復活していることを知れたのは大きいね。……そして恐らく、アトーフェラトーフェの言う魔王によって…」

 

 そこでまた考える仕草を見せる。ラプラスの予想では、そう遠くない内にまた戦争が起きると考えたのだが、流石に判断材料が少なすぎるので確信を持てなかったのだ。

 ただ、人神が関わっているかも知れないという、漠然とした予測だけはあった。

 

「…それに、そうか。…リベラルにも、奴は接触してきたか」

 

 毅然とした態度だった。なのに、リベラルの名前を呼ぶときに、僅かに言い淀んでいた。

 そのことに彼女は気付くが、何も言わずに言葉の続きを待つ。

 

「そして、私の元に戻れ、と……」

 

 ラプラスは再び考える仕草を見せる。

 これは、リベラルがいくら考えても分からなかったことだ。一体どういう目的があれば、そんな助言になるのかサッパリだった。

 もしかしたら、ラプラスはその話を真に受けて、このままサレヤクトの上から突き落とされるのではないかと、リベラルはひやひやした気持ちでいたのだが、

 

「奴の言うことを一々真に受ける必要はない。……自分の意思で戻ると決めたのならば、それでいい」

 

 と、言うのだった。身も蓋もない結論だったが、それこそが人神に対する対策なのかも知れない。

 人神は自分に都合の良いように人を誘導しようとするので、その甘言に惑わされなければ問題ないのだ。そうすれば、人神は動かしたい人物を、動かすことが出来ないのだから。

 言うは易く行うは難し。目の前に餌をぶら下げられ、それに釣られない者がどれほどいるのだろうか。

 

 とは言え、今回のリベラルの件に関しては、あまりこの考えに当てはまっていない。人神が現れなかったところで、結果は何も変わらないのだから。

 一人で龍鳴山に戻れない以上、探しに来たラプラスに殺されかけた筈だ。

 人神が現れたことに違和感しかなかった。どうして現れたのかが意味不明だった。けれど、その明確な原因が今一つ理解出来ないのだ。

 

「…………」

 

 結局、会話はそこで途切れる。ラプラスはそれ以上は何も言わず、沈黙した。重たい空気だ。

 人神にも感じたが、ラプラスにも違和感を感じていた。彼はリベラルがリベラル(転生者)であることを受け入れたのかは定かでないが、それにしてはあまりにも静かなのだ。

 普通なら、もう少し何か話すだろう。怒りでも、悲しみでも、何かしらの感情を見せる筈である。だが、内容は全て報告のような考察だけだ。

 リベラル自身のことに関して、ラプラスは一切触れていない。

 

 龍鳴山に辿り着くまでの間、ずっと、沈黙が支配していた。

 

 

――――

 

 

「やっと着きましたか…お疲れ様ですサレヤクト様。ありがとうございました」

 

 龍鳴山に到着し、サレヤクトから降りたリベラルはからだを伸ばしながら、感謝の言葉を口していた。頭を撫でて上げると、サレヤクトは「ええんやで」と言いたげに一鳴きし、施しを素直に受け取ってくれた。

 それからラプラスをチラリと見るが、彼はずっと静かなままだった。その気まずい雰囲気に耐えきれず、リベラルは家の中にそそくさと入ろうとしたが、

 

「リベラル」

 

 ずっと黙っていたラプラスに、声を掛けられた。そして、リベラルが振り返ると同時に、彼は何かを投げ渡す。

 それを受け取った彼女は、それをまじまじと観察した。

 緑と銀色の混じった腕輪だ。よく分からないもので繋ぎ合わされているが、不思議と脆さは感じられない。内側にはびっしりと紋様が書き記され、リベラルにも理解出来ない術式が編み込まれていた。

 彼女は思わずラプラスを見る。

 

「これは?」

「……君の呪いを抑える魔道具だよ」

「私に…いいのですか…?」

「そうだね……元々その為に作った物だよ。むしろ、着けて貰わないと困るね…」

 

 まさか、このような物を貰えるとは思えず、リベラルは静かに喜ぶ。これさえあれば、ロステリーナに、それ以外の者にも呪いの影響を与えることがないのだから。

 ラプラスがサラリと、このような魔道具を作り上げていることに畏怖すると同時に、感謝の念に包まれる。

 

「……ありがとう、ございます」

「…………」

 

 感謝しなくてはならない。勘違いしていたのだ。ラプラスは言葉にしなかっただけで、ちゃんと優しさを持ち合わせている。

 ちゃんと、娘のことを考えていたのだ。ただ、彼が不器用なだけだった。

 

 しかし、お礼を言うリベラルに対し、ラプラスは目を合わせようとせず、どこか上の空のような態度であった。

 

「…………」

 

 そこで、リベラルはようやく気付く。

 ラプラスに感じた違和感の正体を。

 

 リベラルへの態度が、どこか余所余所しいのだ。

 

 ラプラスはここに辿り着くまでの間、一度もリベラルと目を合わせなかった。なのに、妙な優しさのようなものを見せて。

 気持ち悪い、とも言える。その中途半端な仕草は、ラプラスが何を考えているのかを分からなくしてるのだ。だからこそ、違和感を感じていた。

 

「ラプラス様…」

 

 もしかしたら、ラプラスはまだ受け入れられてないのかも知れない。リベラルが転生者である事実に。どのように接すればいいのか分からず、曖昧な態度になっているのかも知れない。

 けれど、だからと言って、リベラルがどのように声を掛ければいいのかも分からなかった。

 

「……ああ、リベラル。そう言えば人神が夢に出たと言っていたね。なら、しばらく鍛練はしなくても構わないよ」

「……それは…嬉しいですけど……その、理由を訊ねても?」

「君には『龍神の神玉』の研究をしてもらいたい。もし、かの御方の力の一端を扱えるようになれば…奴の力から完全に逃れられるようになるだろう」

「なるほど…つまり、人神への対策ですか。把握しました」

 

 結局、それ以上のことを話すことが出来なかった。

 

 

――――

 

 

 ラプラスは分からなかった。

 己の娘に対し、どのように接すればいいのか分からなかったのだ。

 

 彼は使命のために、様々な犠牲を払いながらも、ここまでやってきたのだ。迫害される龍族を見捨てたりもした。だからこそ、使命を突き通さねばならなかった。

 リベラルは、不安因子になった。本来の娘を乗っ取り、紛いものとして存在していた。人神とも遭遇していた。あまりにもおかしな存在だろう。

 

 本来ならば、殺すべきだった。

 

 けれど、ラプラスは殺せなかった。涙を溢しながら謝罪する娘を前に、何も出来ずに立ち去ってしまったのだ。

 それは、昔からずっとリベラル(転生者)だったからか。それとも、情に絆されてしまったか。どちらにせよ、何も出来なかったのは確かだ。

 しかし、ひとつハッキリ分かったことがある。

 

 リベラルは生まれたことを後悔していた。

 泣きながら生まれたことを謝罪していた。

 

 だからなのだろうか。

 不安の芽を摘み取ることが出来ず、洞窟から立ち去ってしまったのは。リベラルとして誕生したのは、彼女の望んだことではないと分かってしまったから。

 ポッカリと胸に穴が空いたかのような気分だった。娘を既に失っており、更には娘の代わりとして存在していた彼女にまで、そのように言われたことがショックだったのかも知れない。

 

「……リベラル…」

 

 ラプラスは分からなかった。

 己の胸に抱く気持ちが、ラプラスは分からなかった。

 

 彼女は生まれたときから偽者だった。しかし、そんな彼女に愛情を注ぎ込み、龍族の技術を何十年も教えた。

 未来に繋げる希望として、ずっと見ていた。

 それは長い年月を生きる龍族にとっては刹那とも言える間だったかも知れないが、その愛情に偽りはなかったのだ。

 

 モヤモヤとした奇妙な感覚である。

 胸の中でずっとリベラルのことを考え、それ以外のことに手が付かなかった。まるで、恋煩いをした乙女のようになっていたのだ。

 彼女が転生者であることは、理解している。しかし、だからといって受け入れられるかは別なのだ。

 

「……………」

 

 リベラルに対し、以前のように愛情を注げるのだろうか。

 

 そんなこと、分からない。

 

 心の中にわだかまりがあったのだ。愛情を向けることに何かつっかえのような、小骨が喉に刺さったような、そんな違和感があった。

 言葉には出来ない、小さな感情の揺らぎだ。どこかでリベラルが己の娘だと、受け入れられてないのかも知れない。

 けれど、ちゃんと受け入れてもいるのだ。でなければ、洞窟でリベラルをそのまま殺してしまった筈なのだから。

 

「……龍神様。龍神様は、一体どのような気持ちで私を拾って下さったのですか…」

 

 かつて、遠い昔のことを思い出す。

 己が魔界で魔獣のように生活していた頃のことを。

 あの時、死にかけていたラプラスを、龍神は助けてくれた。

 

 それは打算だったのかも知れない。気まぐれだったのかも知れない。興味が湧いたからかも知れない。

 しかし、明確な意思を持って助けたことは確かだ。

 

 どんな気持ちだったのかは、本人にしか分からないだろう。けれど、魔族との混じりものであったにも関わらず、龍神はラプラスを助けたのだ。

 引き合いに出すべきではない。だが、リベラルも似たようなものではないだろうか。

 

 混ざりものと、紛いもの。

 

 なるほど、親子揃ってなんとも厄介な存在だ。親と子でこんなところが似てしまうとは、失笑するしかないだろう。

 もしも龍神様がここにいたとすれば、ラプラスの時と同じように、リベラルを我が子として扱うかも知れないだろう。

 奥方であるルナリア様ならば、きっと隔たりのない愛情を注いだ筈だ。

 

 けれど、ラプラスと龍神は違う存在だ。例え状況が似ていようが、同じ気持ちを抱く訳ではない。抱ける訳ではない。

 

「………私は、どうすればいいのですか…」

 

 意味などないのに、虚空に浮かべた龍神へと問い掛けてしまう。

 ラプラスは人だ。どれほど冷酷に振る舞おうと、彼には心がある。使命だけに生きてくことなど、出来やしない。耐えることなど出来やしない。

 

 ラプラスにとって、リベラルとは大切な家族である。全てを失ってしまった彼に、唯一残された宝物。

 

 なのに。

 その娘を失ってるのか、失ってないのか。

 それすらも曖昧だ。

 

 気持ちを整理したかった。

 己が何を求めているのか、ハッキリさせなければならない。

 

 

――――

 

 

 あれ以来、ラプラスはずっと上の空で過ごしていた。何をするにしても、心ここにあらずといった様子だ。

 最近は龍鳴山からも出ず、家の中でボーっと考え事をしている姿を、リベラルはよく見ていた。

 

「リベラル様、リベラル様!」

 

 ふと、声を掛けられたリベラルは、そちらへと視線を向ける。

 ロステリーナが頬を膨らませながら、彼女を見つめていたのだ。

 

「どうしましたかロステリーナ?」

 

 呪いが解消されたリベラルは、ロステリーナと呆気なく仲良くなれた。当たり前と言えば当たり前だろう。

 元々二人が関われなかった原因は、畏怖される呪いがあったからに過ぎない。その原因が解消された以上、仲良くなるのは当然の帰結だ。

 仲良くなろうとしていたロステリーナと、仲良くしたかったリベラル。

 避けてしまったことをロステリーナが謝り、そんなことは気にしてないとリベラルが言って終了だ。

 たったそれだけで、二人のわだかまりは解消された。

 

「ラプラス様…最近は元気がないように見えるのです」

「そうですね…それは仕方ないことでしょう」

「それに、リベラル様もどこか上の空だと思います」

「…やっぱり、そう感じますか」

 

 ロステリーナと仲良くなったとは言え、リベラルは馬鹿みたいにはしゃいだりすることはなかった。

 ラプラスは気持ちに整理が出来てないのだが、それは彼だけではないのだ。リベラルもまた、そんな父親の姿を見てどうするべきか悩んでいた。

 ずっと、重たい空気のままなのだ。顔を合わせても、父と子の間に会話は一切なかった。

 

「私、リベラル様が帰ってきてくれて嬉しかったのに…二人とも、全然嬉しそうじゃないです…」

「……色々と難しい事情があるのですよ」

「喧嘩したのですか?」

「違いますよ。しかし、説明に困りますね…ややこしい状況なのですよ」

 

 キョトンと無垢な姿を見せて、疑問を投げ掛けてくるロステリーナに、リベラルは苦笑する。

 ラプラスとの事情は、単純と言えば単純なのだが、色々と複雑な面もあるのだ。

 

 カッコウの托卵。

 そんな一言が過る。

 

 もちろん、鳥であるカッコウとリベラルは全く違う。親鳥から餌をより多く貰うために、態々他の卵を壊すかのようにラプラスの邪魔をするつもりはないし、するわけがない。

 どこかの物語シリーズを思い浮かべたりもする。遺伝子上では娘だろうが、分かる人には異質に映ることだろう。

 親としては、あまりにも複雑な気持ちを抱くことが理解出来た。

 

「どんなですか?」

「うーん…そうですね。例えば、ロステリーナが誰かカッコいい男の子を好きになって、付き合うことになったとしましょう」

「……私、そういうのまだ分からないです」

「まあまあ、例えですから。それで、その男の子が、実は女の子だったと後から知ってしまった…みたいな? ずっと騙してたようなそんな感じの状況……うん、例え下手くそですね私」

 

 いい感じの例が思い浮かばず、ションボリするリベラル。ロステリーナも、あまり分かってない様子だった。

 けれど、彼女はリベラルよりもずっと純粋で、真っ直ぐな心を持っていた。

 

「……よく分かりませんけど、どうすればいいのかはよく分かりました」

「なんですか?」

 

 何てことないかのように、ロステリーナは悩みもせず、

 

 

「そんなの、お話したらいいだけじゃないですか」

 

 

 あっけらかんと、そう言ったのだ。

 

「お話…ですか?」

「そうですよ! ラプラス様もリベラル様も、二人とも全然お話しないじゃないですか!」

「それは…何と言うかお互いに顔を合わせるのも気まずくて…」

「何言ってるのですか! 言葉にしなければ、気持ちなんて伝わらないのです!」

「……あ…」

 

 当たり前のことじゃないですか、と言わんばかりの様子を見せるロステリーナに、リベラルはようやく気付く。

 単純な話だったのだ。互いに、言葉が足りなかっただけだった。

 

 もしも、ラプラスが娘への優しさを口にしていれば。

 もしも、リベラルが最初から己が何者なのか話していれば。

 

 きっと、互いに理解し合えたことだろう。

 

「そう、ですよ…そうですよね…! 私はラプラス様にまだ自分のことを知ってもらってませんよ!」

 

 そうだ。リベラルは洞窟で、ラプラスを父親だと思っていることを告げた。だが、まだそれだけしか口にしていない。

 何を思ってここにいるのか、ラプラスにどんな思いを抱いているのか、自分が何者なのか。

 ラプラスはそんなことを、まだ知らないのだ。

 

 ラプラスのことも分からない。

 何を思って見逃したのか。リベラルにどんな思いを抱いているのか。何を迷っているのか。

 

 互いに、何も知らないのだ。

 だったら、知ればいい。

 本当に、単純な話だった。

 

「ロステリーナは凄いですね…私はダメダメですよ」

「そんなことないと思いますけど」

「でも、ありがとうございます。私、ちゃんと向き合いますから……」

 

 言いたくないこともある。

 隠したいこともある。

 腫れ物のような秘密を抱えてたりもする。

 

 けれど。

 それら全てを引っ括めて、受け入れて欲しい。

 

「ラプラス様の娘として」

 

 それが、家族と言うものだと信じてるから。




シリアスばっかりですが、私はギャグを書くことが苦手です…。
書いてる時は「ぶっはっwwアホらしwwけれどそれがいいww」みたいな感じで思考停止して書いていくのですが、見返すと「……えっ、なにこれ…?つまんないんですけど…小学生並みの内容なんですけど…」と冷静になり、何を見てもそう感じてしまいます。

ギャグを書ける人を本当に尊敬します。
現実で受けることがあっても、常にワンパターンのネタしかないので…。

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