暁のスイーパー 〜もっこり提督と艦娘たち〜   作:さんめん軍曹

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おはようございます、さんめん軍曹です。
今回のお話は色々な艦娘にスポットを当てております。
全体的にコミカルです。

ではでは本編をば!




特ダネです!鬼の金剛と都会の掃除屋(スイーパー)の大騒動

 

 

「はぁ〜あ。なんかこう、いいネタは無いんでしょうかねえ…」

 

そう呟きながら歩くのは青葉。

彼女は出撃の時以外は基本的にネタ探しの為鎮守府内をウロウロとしているのだ。青葉の艦としての歴史をたどって見るとわかるが、その経験もあってか趣味で記者をやっている。

キャッツアイが開店した時ももちろん記事にしており、事前に広報をしていたお陰か初日から大行列という結果をもたらしたのだ。

 

「ん…?あの光は…」

 

実は彼女、カメラを日頃扱っているせいかレンズの反射光は直ぐに見分けることができる。

今回も、門の外のビルからそれがキラリと一瞬だけ光ったのを見逃さなかった。

青葉はおもむろにインカムに手をやり獠に向けて通信をした。

 

 

「なに?怪しい光?」

『はい、門の正面を1kmほど行ったビルにスコープの反射光が見えました』

 

キャッツアイで食事をとっていた獠達だが、青葉からの通信で空気が一変する。

 

「間違いないな?」

『はい、あれは間違いなくレンズの光…』

 

その時、獠の耳に音が聴こえてきた。

彼は地獄耳ですらも及ばない聴力を持っている。ただ、撃鉄を上げる音やトリガーを絞った音、それとこちらに向かってくる弾丸に対してではあるが。

 

「青葉!避けろ!」

『えっ?ひゃあっ!!』

 

おそらく着弾したのであろう。獠は直ぐに青葉の安否確認をするため彼女がいるであろう場所に向けて飛び出した。

 

 

「青葉!」

「青葉は無事です!敵は逃げたようなので、安全確認をしてから証拠を抑えました!」

 

そう言って彼女は手を開くと、そこにはひしゃげた弾のようなものが現れた。

 

「そうか。直ぐに明石達に解析してもらおう。もっとも、これをみてどんな武器を使ったか、大体はわかるがな」

「そうなんですか?」

「ああ。こいつはおそらく7.62mm弾だ。日本で手に入る中でこいつを使う銃は限られている」

 

青葉の手を引いて立たせると、すぐ脇を水偵が飛んでいった。

 

「冴羽さん。あのビルから降りるまでにもそれなりの時間はかかります。何か手がかりをつかめるかもしれないので水偵を1機飛ばしておきました」

 

そう話すのは鳳翔。獠が血相を変えて飛び出したのをみて、彼女もまた戦闘機を離陸させるのに使う弓矢を持ってついてきたのだった。

 

「鳳翔さん、そいつは助かるぜ」

「いいのです。私達の可愛い子に手を出した事を後悔してもらいたいので」

 

これは相当怒ってますね鳳翔さん。

いつもは怒られる立場の青葉ではあるが、鳳翔が味方につくとこんなにも頼もしく見えるのかと思ったのだった。

 

1時間もしないうちに鳳翔の艦載機から連絡が来る。

 

「敵の本拠地を発見したようです」

「なに?どこだ?」

「それが…」

 

 

「本当に…ここか?」

「はい」

 

獠と青葉、それに鳳翔が立っているのは彼の家の隣にあるビルだった。

 

「R.N.探偵事務所…?」

「そう、ここは麗香の事務所さ」

「あら、獠」

 

声をかけられたので後ろを見ると、ちょうど本人が買い物を終えて帰ってきたところらしく、片手に紙袋を持っていた。

 

「おぉ、麗香。どうやらお前の事務所に誰かが忍び込んだみたい…」

 

そこまで言った彼の背中に悪寒が走る。

ちょうど麗香の事務所の上から、カチリとあの音が聴こえてきたのだ。

 

「冴羽さん!あぶない!」

 

そういうが否や、鳳翔は即座に展開して艤装についている甲板を使い獠を守った。

鉄と鉄が弾ける音を立てて、飛んで来た弾丸は跳ね返っていく。

 

「大丈夫ですか?!」

「また来るぞ!!」

 

獠の言う通り次々と弾の雨が降って来る。

どうやら、鳳翔が飛ばしていた艦載機はすでに敵へバレていたらしい。

だが、弾丸はいつか尽きるもの。どうやら1人らしい敵は弾切れなのか射撃が止んだ。

その隙に獠はビルの中に飛び込み、後の3人もそれに続く。

 

「俺が先に行く。後ろに気をつけろ」

 

そして階段をそろそろと上がり、問題の場所へとたどり着いた。4人はそれぞれ位置に着くと、タイミングを測った獠は扉を開けて中へと飛ぶ。

くるりと回転して敵の銃を弾いた彼はそのまま銃口を向けていた。

 

「動くな!お前は何者だ?」

「俺はただの雇われ屋さ。もっとも、囮役としてだがな」

「なに?」

「お前が匿っている娘が俺の雇い主のまずい現場を見ちまったらしい。そこで、始末しろとの命令というわけだ」

「…」

「まあさっきも言った通り、俺はお前をあそこから離すのが目的だ」

「まさか…」

「そう、そのまさかさ。今頃は周りを大勢のお兄さん達が囲んでるはずだ」

 

その途端に青葉が飛び込んで来る。

 

「冴羽さん!鎮守府の正門前に多数の不審者がいるそうです!」

「…わかった。だが、お前は一つ勘違いをしている」

「なんだと?」

「まずうちには海坊主を始めとした傭兵経験者、そして好戦的な艦娘達がいる」

 

その言葉を聞いた敵の顔は、さーっと青ざめていった。

 

「お前ら、艦娘を舐めすぎだ」

 

 

その頃、鎮守府ではーーーー。

 

「どうやって潰すクマ?」

「正面から切り込む」

「殴る」

「Boom!しマス」

「ちっとは真面目に考えろ…」

 

獠が不在の執務室では、海坊主や球磨、天龍、摩耶、金剛といったお馴染みのメンバーが作戦を練っていた。

 

「だってよー、正直言って今回の敵は雑魚臭しかしないんだよなー」

「確かに、正面固めてりゃいいって発想の時点で脳ミソがピーナッツくらいの大きさしかないクマ」

「今回、オレの刀の出番はなさそうだしな」

「そりゃそうだが…」

「んじゃ、アタシたちは行くよ。流石に無いだろうけどヤバくなったら出てきてくれな」

 

摩耶がそう言って席を立つと、あとの3人もそれに習ってぞろぞろと出て行った。

 

 

「これだけの人数で来れば、さすがのあいつらも怖気付いて出てこないだろう」

「そっすねーアニキ」

 

正門前では、勝った気でいるヤクザたちがのんびりと会話をしていた。

 

「おっ、誰か来たぞ」

「あの娘は…いませんね」

 

門の脇の通用口から出て来た金剛たちは、そのままごろつき共に声をかける。

 

「Heyみなサーン、武器を捨てて大人しく投降してくだサイネー」

「は?」

「あのな、アタシらは忙しいんだよ。お前らみたいな雑魚どもを相手にする時間が勿体ねえ」

「だからどうした?大人しく…」

 

アニキが言い終わらないうちに、鉄のひしゃげる音が聞こえて来た。

えっと思いそちらを向いてみると、ベンツのボンネットが大きく凹み、シュウシュウと音を立てて煙を上げている。1番凹んでいる箇所に左の拳を置いていたのは、最初に話しかけて来た片言の艦娘だった。

 

「Hurry up.午後のティーパーティーを邪魔した罪は大きいデスよ?」

「なっ?!」

「この車の様になりたくなかったら早くしろって言ってるんだ。戦艦がキレると恐ろしいぞ」

「鬼の金剛だクマ。最も、球磨たちが出て来た時点でお前らに勝ち目は無いクマ」

「オレらをナメてかかった時点で、な」

 

満面の笑みで話しかける金剛の額には青筋が立っており、その他の3人もゲスな笑みを浮かべている。

 

「さあ、猶予は与えたネ。それでも投降しない場合は相当の脅威であると見なしマース」

「ちょっ」

「Fuck you,Asshole.」

 

金剛の台詞とともに、ゆっくりと近づく艦娘達。今日の中で1番不運なのは先程まで勝ち誇っていたこのヤクザ達だったのだ。

 

 

しばらくして、獠達が戻ってみるとひしゃげた車やボロボロの黒スーツがあちこちに散らばっているなど、まさに死屍累々の光景が広がっていた。

 

「おぉ〜お。こりゃまた派手にやったもんだ」

「いい特ダネが入りました!」

「青葉ちゃんはブレないわね…」

「はい!青葉はこれが生きがいなので!」

「あら、金剛さんがいらっしゃいますね」

 

鳳翔が言ったので前を見ると、正門付近には確かにこちらに向かって手をブンブンと振る金剛がいた。それも、左手にはボロボロになっている黒スーツの男の胸倉を掴んでいる状態でだ。

 

「まさに一方的なS勝利、ってか…ハハハ」

 

その言葉を発する獠の顔は、引きつった笑いを浮かべていた。

 

 

 

 

 






さてさて、如何でしたか?
個人的には金剛さんにスラングを言わせてみたかったので、あえて敵は雑魚にしました。かなり強いですね()

今回のお話にはヒロインであるはずの羽黒ちゃんは登場しませんでした(((
でも書いててめちゃくちゃ面白かったですw

では、また次回お会いしましょう!



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