暁のスイーパー 〜もっこり提督と艦娘たち〜 作:さんめん軍曹
おこんにちわ〜、さんめん軍曹です!
時間的にはこんばんはでしょうか?(すっとぼけ)
この休日は家でまったり…小説を書き進めようと思ったらほぼ寝てました()
なんだかんだありましたが、無事に書き上げることが出来ましたので、早速本編行ってみましょー!!
「なに、黒い飛翔体だと?」
「ああ、嫌な予感がするんだ。良くないことが起こりそうな気が、な」
「なるほど。お前さんがそう言うのなら警戒するに越したことはないだろう。ちょうどもうすぐ球磨達が帰って来るところだ。演習が終わるまで海を警戒しててもらうか」
提督の言葉に頷いた獠はインカムに手を伸ばした。
「あー、あー、こちら横須賀鎮守府ー。海の球磨さん達聞こえるかー」
『感度良好だクマ。冴羽、普通に呼んでほしいクマ』
「おーすまんすまん。どうだった?遠征は」
『楽しかったクマよ。ついでに釣りもしてきたクマ、飯もいっぱいあるクマ』
「そいつは楽しみだ。帰る前に一つ、頼みごとをしていいか?」
『なんだクマ?』
「うちの上空に怪しいのが飛んでてな。ここら辺に不審な奴がいないか見張ってほしいのさ」
『お安い御用だクマ。その代わり条件があるクマ』
「?」
『間宮券を5枚だクマ』
「わかった、それで手を打とう。それじゃ、頼んだぜ」
無線を切ると、獠は提督達の方に向き直った。
「頼れる武闘派が警備をしてくれる事になった。パーティの再開といきますか」
「さすがだな、獠。もう提督の資質が芽生え始めたか」
「よせよ。今夜の就任式があるまで正式な提督じゃないんだから」
「言っとくが、俺も今はただの憲兵だ。今後はお前が俺の娘達を育てていくんだぞ」
「わーってるよ。こりゃ、厄介な事になりそうだな」
はははと2人は笑い、獠は吹雪と叢雲に声をかける。
「2人とも、準備はいいな?」
「はいっ、さっきの反省を踏まえて負けないように動きます!」
「当然よ。私達だっていつまでもアンタにやられっぱなしじゃないんだから」
「良い心がけだ。それじゃ、海に出るとするか」
4人はまた先程の位置に着くと、いつでも開始できるよう準備を整えた。提督が合図を出すと、また一斉に動き出す。
「やっと言えたじゃん、提督」
「セリフはなかったけどな」
「今回はそこそこシリアスな分、鈴谷達がギャグ担当になってるんじゃない?」
「マジか、随分雑だな」
「鈴谷は面白ければナニされたっていいよ」
「そうだな」
海上では2人同時にボートへ向かっていたが、叢雲が吹雪に話しかける。
「吹雪。さっきの反省点はわかっているわよね?」
「うん、そのつもりだよ」
「じゃ、この後の動きもいちいち説明する必要はないわね」
「うん、タイミングは叢雲ちゃんに任せる」
「そう。…今よ!」
獠達まで残り僅かの距離になった時、2人は同時に左右に分かれた。獠が撃ってきた弾が当たるが、小破以下のダメージだ。そして、背後に着くなり魚雷と砲弾の雨を降らす。
「…しまった!」
「吹雪の奴等、すぐに成長したじゃねえか。おかげで避けきれなかったぞ」
「大破か…こりゃ負けだな」
しかし、吹雪達の攻撃はそれだけでは終わらない。そのままボートの近くまで来ると、前を走っている叢雲が屈んだのである。そして、馬跳びの要領で上へ飛びながら一回転。落下しかけている途中で連装砲を構えた吹雪は、そのまま撃ち出した。
「ぷっ、くく…」
「よし、判定はお前らの負けっ、だっ、獠っ…」
「あーっはっはっはっは!」
「あの獠が負けるなんて…見ものだわ!傑作よ!」
「ふふっ、ファルコン…」
「天下のシティーハンターも、海の上ではただの人間ね」
なぜ、彼らがこんなに笑っているのか。それはペイント弾をまともに喰らった2人が全身ピンク色になっていたからである。そして、あまりに呆気なくやられたせいで、大勢の笑いを買ってしまったのだ。
「うーるせぇなー。まさか2人が急にここまで伸びるとは思わなかったんだよ」
「すみません…、やり過ぎました」
「別にいい。今回はお前らを成長させるのが目的だ。俺も久々に本気で操縦していたからな」
ニッと笑う海坊主。そして叢雲に向き直ると、お前はどうだと聞いた。
「今回ばかりはあなた達に助けられたわね。お礼は言っとくわ。吹雪や私もここまで行くとは思わなかったけど、まだまだ足りない」
「とか言って、本当は嬉しいんじゃねえのか??このっ、このっ!」
「ふぅん…冴羽、酸素魚雷のお代わりが欲しいようね?」
「上等だ!このむっちりツンデレ!」
ギャーギャーと騒ぐ一同であったが、突如鎮守府にアラートが響き渡る。全員の動きが止まり建物へ注目すると、大淀と明石が走ってきた。
「皆さん、大変です!」
「何が起きた?」
「すぐに球磨さん達に無線を繋いでください!敵が目前まで迫っています!」
獠は無線機本体のスピーカー機能をオンにし、周波数を球磨達に合わせた。
「おい!球磨型姉妹!誰でもいいから取れるか?!」
『…こちら北上。冴羽っち、今相当やばい』
「状況を教えてくれ」
『冴羽っちの読みは当たってたよ。ヲ級とヌ級が2体ずつ、それとチ級とル級がいる。厄介なことに、全員エリートレベルなんだよね。こっちはアタシが小破で球磨姉が中破、大井っちとくまのん、そして…うわっ!?』
北上の悲鳴とともに雑音に包まれ、獠は少し冷静さを欠いてしまった。
「おい北上!大丈夫か、しっかりしろ!」
『あー、うっざ…。…ごめん冴羽っち。木曽とアタシ、4人が大破したわ』
「なに?!」
『球磨姉も中破じゃ、いつまで持つかわかんないや』
「待ってろ、すぐに応援を向かわせる!信号弾を撃て!」
『わかった、ちょい待って』
全員が沖の方を見やると同時に信号弾が上がった。
「位置がわかりました!ここからさほど離れていません!」
「よし、死ぬんじゃないぞ!なんとしてでもお前らを守ってやるからな!」
『冴羽っちのそーいうとこ、好きだよ。それ……待っ……』
ブツリと無線が切れると同時に、何者かが2人、海に出た。よく見れば、それは鈴谷と多摩であり、隣にいた提督は地面にノックアウトしていた。
「待て、お前ら!」
『こんな時にゆっくり待って』
『姉や妹を見殺しにするようなら』
『艦娘なんて』
『やってられないじゃん!!(にゃ!!)』
地面で伸びている提督を見て、ああ、あれは相当頭に来てるな、と獠は思った。
しかし、キレているのは彼女らだけではない。
「冴羽殿!命令をくれ!」
ふと振り返れば、そこには長門以下艦娘全員が整列していた。
「お前ら…」
「さあ、素敵なパーティしましょ…!」
「私より不幸な娘なんていらないの…。でも、奴等にはもっと不幸になってもらおうかしらね…うふふふふ」
「よし、提督としては少し早いが、お前らに命令を下す」
「何なりと」
「現時刻を持って、すべての活動を休止し遠征部隊を救援しろ!明石!」
「はい!」
「ここで夕張と修理を担当!助手を何人かつけてもいいぞ!」
「わかりました!」
「青葉ァ!お前は逐一状況を報告だ!」
「合点です!」
「高速戦艦!お前らは現場に急行だ!他にもまだ敵の部隊がいるかもしれん!残りはその捜索及び掃討に専念だ!」
「「「「了解!!」」」」
獠の伝達が終わるとともに一斉に散り散りとなる。
残ったのは提督と香達、そして叢雲と吹雪だけだった。
「お前ら、まだあと一戦残っていたな?」
「そうね」
「それじゃ、この戦闘で2人がどれくらい成長したか、見させてもらおうじゃないか」
「わかったわ。せいぜい楽しみにしてなさい。吹雪、行くわよ」
「はっ、はい!」
2人が海に出ると、香が声をかけてきた。
「吹雪ちゃん、震えてたわね」
「まだ過去のトラウマを克服しきれていないんだろ。それを乗り越えられるかどうかは今回にかかってる」
「無事に帰ってこれるといいけど…」
「心配するな。あの2人ならできる」
まっすぐに海を見つめる彼らに、少し強めの風が吹き抜けていった。
さて、いかがでしたか?
事態は急展開、でも艦娘達の絆ってすごいや…!
普段はフリーダムな北上さんですが、いざ戦うとめちゃめちゃ冷静になります。自分らがやられて獠が焦っているのになぜか冷静です。
実は彼女、筆者の鎮守府では最高練度を誇っております。言うて、改2までは程遠いですが(トホホ)
心の内が読めない北上さんですが、獠に対して意味深な発言をしていますね。今後の彼女に注目かも??
さて、次回予告を置いていきます。
次回予告
事態は急展開!大ピンチの球磨達に鎮守府の艦娘が動き出した!
遅れて現地に向かった吹雪と叢雲だったが、強敵に道を阻まれてしまう!
果たして、吹雪は過去のトラウマを乗り越えることができるのか?そして、艦娘達は無事に帰還することが出来るのだろうか?!
次回もお楽しみに!