この最低な錬金術師に祝福を!   作:葉桜さん
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この錬金術師に住む場所を!

うぇへへ……
特別なクラス、アルケミストになれるなんてこいつぁいい出だしだ。
ギルドの皆から期待の新人なんて言われてるし、能力もいい感じみたいだし!
話によるとスキルだって錬金術関連の他に、初級なら魔法を扱える。
器用貧乏で才能を潰すことも無いし、でも色々できる。
こりゃあ冒険者人生の将来安定は決まったも同然!
これがあの女神のくれた『無限』の恩恵かぁ……
こりゃ感謝しないと。
でもまぁ……

「良かったですね、リオンさん」

あの女神より女神のような人が目の前にいるんだけどね?
だいたいこの人がいなければ俺も登録とかまで行かなかったけどね?
本当に感謝の極みです……
いつかのこの狩りは返さなくてはいけないな。
えーと、その為には姿と名前を覚えていなくては。

「ありがとうございます。あっ、そうだ……名前を教えてくれませんか?後々、この恩も返したいので覚えておきたいんです」

下心なんてない。
……本当だよ?……本当だよね?
いや、普段だったら下心丸出しだろうけど今回ばかしはね?
本当に助かったんだからそんな真似はしない。
むしろそんなことをしたら俺の中では
『恩を仇で返す』
と同義も同然!
ほら、だってさ?
もやしだし?
見た目良くないし?
ヘタレのヲタクだし?
そんな奴が下手な行動に出ようものなら処刑ものだわ!
せっかくね、憧れの異世界に来たんだからそんなすぐには社会的にも肉体的にも死にたくないわけですよ。
だから、正当な理由で名前を……

「私、ですか?私はウィズと言います。気軽にウィズ、と呼んでください」

微笑んで答えてくれた。
この人あれ?
天使?桃源郷の使者ですかね?
ちょっと助けてくださいよ……
待って、昇天しそう。
ほら、現実とかいうクソゲーの比じゃないわ!

「はい……ありがとう、ウィズ」

「どういたしまして」

あぁ……致命傷になりそう(おい)。
この人には必ず恩を返そう。
ここは疑心暗鬼にならなくてもいいから純粋に生きれる!
もう俺は善人として生きるからね!
前見たいな汚れ役なんてオサラバですよ!
こんないい人がゴロゴロ転がってるような世界だったらそれでも真っ当に行けるからね!

……話を戻して。
取り敢えず冒険者になれる云々はこの人のお陰で解決できた。
これで収入やら目的やらの安定はできたとして。
次は寝床……
拠点の確保だ。
それじゃあ、良さそうなところを探しにれっつらごー!

「この恩は何時か返させてもらいます!俺は宿探さなきゃなんで、これで」

「あ、待ってください!」

おん?
あれ、呼び止められた?
まさかフラグ?フラグなのか!?
落ち着け、何度も落ち着けって言ってるだろこの野郎。
こんな早とちりをするから独り身なんだろ。
取り敢えず、要件だけでも……
ふふふ……どんな内容かなぁー……?




「あの、ついさっきお金が無いって言ってましたが……宿に泊まれるだけのお金はお持ちですか?」




「……あ”っ」




忘れてたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
そういや俺金無いじゃん!
宿泊まれないじゃん!!
安心して寝れないじゃん!!!
金が無いだけでこんなにヘヴィだとは……
世界はどこ行ってもやっぱり金じゃないですかヤダー!
金金金ってそんなに欲しいかぁ!?
いやまず金ないと纏まらないけどさぁ!
驚異のダブルパンチで俺の胃痛はマッハだよ!
なんてこった!
今もう時間も時間だから外にも行けないし!
凶暴なモンスターばっかりだし!
何だろう、壁にぶつかっては助けられぶつかっては助けられの連続でもう何か、罪悪感が芽生えてきちゃったよ俺公……

「えーと……」

「……オ、オサッシノトオリデス……」

あからさまに顔伏せて言う。
いやだってアホでしょここまで来たらさぁ!?
俺知力高いんじゃなかったっけか……
おかしいなぁ……バグってるのかなぁ……
いや、もう……助けてくれよ……
絶対俺あれだよ。
女神様に笑われてますよこれ。
もう女神とか信じない。
俺は現実に生きるんだ!!
……掌返しみたいだからやっぱりこの発言撤回。
現実逃避してる暇なんてない(白目)

「な、なら、私のお店がありますから、そこを使いますか?」

「えっ、本当ですか?」

嘘だろ……
この人どんだけ助けてくれるんだ……
現実だったらむしろ怖くなるレベル。
いやでもここは異世界。
あの夢の異世界だ!
きっと嘘はついていない。
もうこれフラグ立ってるって信じていいですかね……
正直内心ヒャッハーしたくなりそう。
誰か黄色い救急車の用意しといてくれないかな……

ウィズ、それはまさに女神。
俺は確信したよ……

「……ごめんなさい、少しだけ、ご好意に甘えさせてもらってもいいですか?」

「は、はい!大丈夫ですよ。じゃあ、お店まで案内しますので、付いてきてください」

同居……同居……
いかんでしょ……
頭の中が如何にも薄い本的展開が起きそうとかいう真っピンクな状態に早変わりしてるんですよ今!
ダメだ未成年なのにR-18な本とか見てたからこうなるんだよ!
良い子のみんなはお兄さんみたいになっちゃダメだぞ!
的なことを凄く叫びたい。
元々こうなっちゃダメだけども。

取り敢えず思考と話を切り替えて……
ウィズの店かぁ……
何の店だろうか……
……待ってくれよ……
思考変わってねぇ!
考えれば思いつくのまたイカン方向じゃないか!
ほら、水商売とかしか頭に浮かばないって相当ダメですよこいつ!
誰か俺を捕まえて(懇願)

……そういや聞けばいいだけじゃん……

「そう言えば、ウィズは何の店をやってるんですか?」

「お店はマジックアイテムとかですね。アルケミストならここに並んでいるアイテムを材料として使う機会もあるかもしれませんね」

良かった、思考通りじゃなくて。
にしてもマジックアイテムかー……
賢者の石とか、テンション上げるタンバリンとかか?
……どこのドラ〇エだよ!
でも、直訳すれば魔法の品……
錬金術をする時にはたしかに役に立ちそうだし、店もよーく見ていこう。
将来常連になったりして。
逆に俺がマジックアイテムを作ってこっちに仕入れ物として送ったりとかもありそうだな。
どちらにせよ、世話になることには変わりはないよな。


「着きましたよ、ここが私のお店です」

「お邪魔しまーす……わぁ……」

如何にも、というアイテムがずらりと並んでいる。
それこそ素材になりそうな石やらなんやらだったり、ポーションの類まで売っている。
多分マジックアイテムなんて言うくらいなのだから、特別ないい効果があったりとかがするんだろうなぁ。
見ていても飽きないだろうな、ここ。

「私はちょっと準備してきますので、お店の中を見てもらっても構いませんよ」

「あっ、はい!それじゃあ遠慮なく……」

とりあえず目に付いたあのポーションを見てみよう。
んー……どれどれ?
『強い衝撃を与えると爆発します』
ふむふむ、いわゆる現代でいう爆薬ってやつだな。
モンスターの群れに投げつけたりとかするといいかもしれない。
ここら辺は俺が錬金術で作れるようになると楽になりそうだな。
次のヤツは……
『フタを開けると爆発します』
おい待て、フタ開けたら爆発ってダメじゃねぇか。
前向きに考えたとしても見え見えの対人用罠程度だよこれ……
いわゆるミミック的something。
これは用途ほとんどないな……次。
『水に触れると爆発します』
まずポーションなのに水に触れることあるのこれ?
容器に入ってるし、まずこれ液体だし。
なんかもう用途がわからなくなってきたなこれ……
『温めると爆発します』

爆薬ばっかりじゃねーか!
マジックアイテム(爆薬)ってことなの!?
すごい失礼だけどこれはちょっと……
小一時間くらい問い詰めたいよこれ?

「……これ売れ行き大丈夫なのか…………」

最低な俺でも、本心から心配になった。



「部屋の準備が出来ましたよ」

「あ、はーい」

ウィズに呼ばれたので部屋に直行!
寝床まで貸してもらって本当に申し訳ない……
……お店の手伝いもさせてもらおう。
恩返しと同時に、ちょっと心配だし……

「重ね重ねありがとうございます、ウィズ」

「い、いえいえ。そこまで感謝されるほどではないですよ。それと、一応一緒に住むわけですし、敬語じゃなくても大丈夫ですよ。すこし言葉がおぼつかなくなっていますし……」

おろ?
なんか文章おかしかったっけかなぁ……
まぁ、いいか。
ウィズがいいって言っている事だし、素で行かせてもらおう。
あ、だからといって全開だとクズ野郎になりかねないから自重は一応しながら……

「あ、分かった。どっちかと言うとこっちの方が楽だから、多分タメ口の方が多いと思う」

「はい、よろしくお願いしますね……リオンさん」


こうして、最初の難関はなんとかこの親切な魔法店の主、ウィズによって乗り切ることが出来た……
次はクエストに行って、とりあえず冒険者としての初仕事をしよう。




初日から波乱過ぎたけど、大丈夫よな…………?






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