EXPRESS LOVE   作:五瀬尊

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 今回あまりにも恥ずかしくて校正出来ませんでした。その内、自分で読み返して、此処違うなと思ったら書き換えて行きたいと思います。


#7 夕焼け、放課後、教室に2人きり

 夕日に照らされた教室、向かい合って立つ生徒が2人。一見して穏やかな風景でありながら、2人の間には決して割って入る事の出来ない異様な雰囲気が漂っていた。しばしの沈黙の後、女子生徒―小柏 彩葉―が口を開く。

 

「北城君。今日は、どうしても伝えたい事があって来て貰いました。」その口調は何処か事務的でありながら、気恥ずかしげなたどたどしさを多分に含んでいた。

 

「・・・うん。」応える北城は何でも聞こうという意志を含ませた、強い返事を返す。

 

「ぅん・・・わ、私は北城君の事が好きです!」少しばかり詰まりながらも彼女の口からは迷いのないキッパリとした言葉が紡がれる。その言葉は、一度は自らが発しようとした言葉、だが、一歩が踏み出せず、ただ待ち焦がれるだけだった。それを彼女の口から聞き、一瞬歓喜に目を見開く北城。

 

「北城君は、私の事、どう思ってますか?!」この想い届け!と言う様に最後は大声で言葉を出し切った後、顔を俯かせる彩葉。その姿を見て、北城は一つ大きく息をつき、少しの間をおく。(俺は何を迷っていたのだろう。)

 

「・・・俺も、小柏さんのことが好きだ。」それまでの、何を言われるか分からないという、緊張した表情を、柔らかさを持った眼差しに変え、自身の気持ちを返す。

 

「・・・本当に・・・?」北城の気持ちを聞き、俯かせていた顔を上げる彩葉。北城はその姿に頷きで返す。

 

「ああ、本当だよ。だから・・・。」そこで一旦言葉を切り、一歩前へ出る北城。彩葉はその行動の意味が分からず、口を僅かに開き、ポカーンという様な表情を浮かべる。

 

「・・・だから、俺と、恋人として、付き合ってくれないか?」躊躇いがちな、北城のその言葉を聞いた瞬間、今度は彩葉が目を見開く。

 

「―はい、喜んで。」だが、彩葉はすぐに口を閉ざした後、たおやかな笑みを浮かべ、その申し出を承諾した。その様子に、北城も表情を和らげる。

 

「・・・良かった・・・。」だが、その顔は直後に硬直することになる。なぜなら・・・

 

「うっ・・・。」突然彩葉が涙を流し始めたからだ。

 

「えぇ!?ど、どうしたの!?」彩葉の突然の涙に狼狽える北城。その姿には何処か滑稽ささえあった。

 

「だ、だって、ずっと心配で、もし、断られたらって・・・。」少ししゃくり上げながらそう言う彩葉。北城は一瞬躊躇った後、彩葉の肩を抱きしめる。

 

「えっ・・・。」思いがけない事に、戸惑いの声を上げる彩葉。そんな彩葉に北城は優しい声で語りかける。

 

「・・・俺もずっと、もしかして、と思って、一歩が踏み出せずにいた。でも、・・・好きになるって、相手の事を信頼するって事だと思ったから・・・、俺は小柏さんの事信じるから、小柏さんも、遠慮無く俺の事信頼してくれたら嬉しいよ。」そう言う北城の胸に、少し恥ずかしげに顔を埋める彩葉。

 

「うん・・・。」その仕草に頬を緩める北城。だが、突然脇腹周辺に鋭い痛みを感じ、彩葉から体を離す。

 

「いって!な、何?」再三の狼狽えの声を上げる北城。彩葉は、意地の悪い様な、はぶてたような表情で北城を睨み付けている。

 

「彩葉。」

 

「へ?」突然自分の名前を言った彩葉に対し、間抜けな声を出す北城。

 

「折角付き合うんだから、名前で呼ぼ?だから、私は彩葉。」それで漸く納得したという様に北城が頷く。

 

「そう言う事か。俺は修也な。知ってると思うけど、一応確認に。」

 

「うん。今日からちょっと関係が変わるけど、よろしくね?修也。」少しはにかみながらそう言う彩葉。北城も微かに笑いかけ、頷く。

 

「ああ。よろしくな彩葉。」そう言った後で2人揃って笑い声をあげる。夕焼けに照らされた教室に高校生らしい明るい声が響く。

 

 

 

***

 

 

 

 彩葉の告白から少し時間は遡る。第1予備教室の外側に4つの影があった。耳を壁に押し当て、中での会話を聞き取ろうとする穂崎 鞘音。恐る恐る中の様子を窺おうとする諸星 陽向。気怠げに座り込む男子2人・・・森山 亮太と、桐島 賢太。彼らは、放課後の彩葉と北城の動向が気になり、つけてきていたのだが・・・。

 

(まさか、彩葉が自分で北城君を誘うとはねぇ・・・。)彩葉と北城は完全に奥手だと思っていた鞘音は、意外感を包み隠さず、しかし中には聞こえない小声で話す。

 

(いやまあ、それは良いんだけどよ・・・これ見つからないのか?)女子2人は面白そうに中の様子を窺っているが、森山と桐島は見つかれば彩葉と北城の仲を邪魔するのではないかと、気が気でない様だ。

 

(まあまあ、こういう時、以外と仲の人間は気付きにくいんだって。)完全に仲の様子に集中してしまっている鞘音の代わりに答えたのは陽向。覗き方は恐る恐るではあるが、それなりに面白がってはいる様だ。

 

(それにしたってねえ・・・ちょっと危なくない?中覗くのは・・・。)若干引き気味で言ったのは桐島。

 

(まあ、気にしない気にしない。)

 

(ちょっとみんな黙ってて。今良いところだから。)陽向が言葉を続けようとしたところで鞘音が口を挟んだ。

 

(へいへい・・・。ホントに物好きだねえ・・・。)それ以降暫くの間、その場が沈黙する。

 

 

 

(・・・みんな、撤退するよ。)中で2人の告白が終わった頃、鞘音が目で合図する。

 

(あいよ。そろそろっとな。)一足先に森山が腰を低くし、階段へ向けて小走りで逃げていく。それに、他の3人も続く。

 

 

 

「ふいー。まさか盗聴やらなんやらまでする事になるとは・・・。って言うか、何であのタイミングで撤退したんだ?」座っていただけで中の様子が分かっていなかった森山が言い、桐島も頷く。

 

「んー?ああ、それはねえ、結構あの2人の雰囲気が良くなって行ってたから。」少し遠い目をする様に話す鞘音。だが、その様子に桐島がゲッというような顔をする。

 

「まさか、上手く行かなかったら突入するつもりだったんじゃあ・・・。」いくらなんでもそれはないだろうと言う様な問いかけだったが、

 

「ん?当たり前じゃん?」鞘音は一切悪びれる様子もなく言った為、グループ内に嘘だろ・・・という様な空気が流れてしまった。鞘音は一瞬あちゃーと言う様な顔をしたが、すぐに元の顔に戻し、

 

「まあ、良いじゃん。あの2人の恋の成就を祝って、喫茶店でお茶して行こーよ。」空元気の様な声でそう言った。

 

「はあ、その位なら良いか。・・・割りか?」割り、と言うのは割り勘の事だろう。

 

「ん?とーぜん。」こういうのは男子が多めに払わされる事が多い。森山と桐島はやれやれと言う様に顔を見合わせ、女子陣に付いていく。どうせ祝いだからと腹をくくったのだろう。ある教室に2人の笑い声が響いていた頃、校庭には楽しげな4人の笑い声が響いていた。

 

 




 駄目だ・・・文章が纏まってない・・・。

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