この素晴らしい世界に大導師を!   作:ヴィヴィオ

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第9話

 

 

 

 

 カズマ達の勝負が終わり、ミツルギさんには興味がないのでそのまま家に戻りました。すると、ウィズがまた不用品を購入してくれていました。

 

「何度いえばわかるのですか……?」

「う、売れますよ? だって、魔剣ですよ、魔剣!」

「待ってください。魔剣ですか?」

「そうです! 一度抜けば相手を殺して血を吸うまでは止まらない魔剣です! ただ、敵味方の区別はつきませんが……」

「不良品じゃないですか。ですが、いいでしょう。おいくらでした?」

「なんと、たったの一億エリス……」

「……なるほどなるほど、返してきてください」

「えー」

「せいぜい三千万くらいでしょう。ほら、いってきてください。それと後で売った人のことも教えてくださいね」

「わかりました……しゅん」

 

 ダーインスレイブだったから、後で回収してエリスに渡してあげようと思ったのですが、まさかあんなことになるとは……思いもしませんでした。私がそれを知ったのは別の街に買い出しにいった後でした。

 

 

 

 

 

 一週間の旅でめぐみんを除くエセルドレーダとエリス達で別の街からの帰ってくるとアクセルの街の門や防壁が壊れていました。

 ギルドにいって事情を聴くと、どうやら魔王軍幹部のベルディアをカズマ達が倒した時に放ったアクアの魔法のせいらしいです。話を聞いていると、机を叩く音がしてそちらに向くと、カズマが二人のグラムを侍らせながら、アクアに怒鳴りつけていました。

 

「何事ですか?」

「金が欲しい!」

「あら、お母様」

「ん? さとりんか」

 

 娘でもある彼女達にお土産を渡しつつ、心を読むとベルディアとは順調にグラム達のお蔭で戦えていたそうです。ですが、ベルディアが大剣ではなく、長剣を引き抜くと話がかわったそうです。

 その長剣は呪われていて、凄まじい力でカズマ達を圧倒したそうです。いくらグラムを持つカズマでもまだ使いこなせてはいないので、アクアの水で弱まらせたらしいのですが、その水によって門などが壊されたようです。カズマの記憶を見せてもらうと、ベルディアは見覚えのある剣を使っていました。

 私は汗をだらだらと流しながら、そっぽを向きます。

 

「さとりん? さとり~ん?」

「な、なんですか?」

「そういえば、アイツ……あの魔剣、買ったとか言ってたわね」

「お母様? もしかして、お母様があの魔剣を作ったのですか?」

「違います。作ってません……」

「そうか。売ったんだな」

「私もそう思うは……」

「ねえ、つまり借金はこいつのせいってこと?」

 

 やばいです。ダーインスレイブがなければここまで被害が大きくなかったかもしれません。とりあえず、ウィズに確認しないといけませんね。

 

「さとりさん、さとりさん」

「ああ、ウィズ、ちょうどいいですね。あの魔剣は誰に返品したのですか?」

「返品なんてしていませんよ? 返品しにいくときにたまたま昔の知り合いのベ……剣士さんにあったので、彼に買ってもらいました。だから、お金もここに……」

 

 どうやら、彼女がベルディアに売ったみたいです。これは私達の責任になるのでしょうか?

 

「なあ、さとりん。ちょっと話そうじゃないか」

「話すことはありませんが……」

「それで、あの魔剣はなんだったんだ?」

「あの魔剣の銘はダーインスレイブです。勝利するまで殺戮するという大変危険な魔剣ですね」

「おい、まさか……」

「いえ、この人が買ってきたので返品を頼んだのですが……転売したようですね」

「あんた達のせいじゃない! 借金を支払いなさい!」

「お断りします。こちらは商売をしただけなのですから、返済はそちらでどうぞ。ですが、まあ少しぐらいは助けてあげましょう」

「まじか!?」

「まじです。そうですね……借金は四千万でしたね。半分は支払ってあげましょう。では二千万を支払いましょう。ただし、その代わり娘達にはちゃんと宿に泊まらせるようにお願いします。それで、魔剣はどこに……」

「エリス教会に渡してある」

「わかりました」

 

 こんな感じで話を付けてから、家に帰ってウィズはお仕置きして、エリスに伝えてダーインスレイブの回収をお願いしました。まったく、面倒なことです。

 

 

 

 

 あれから数ヶ月が経ちました。必死に売り上げを稼いでいるとデストロイヤー警報なるものが発令され、ウィズ達が走っていきました。仕方ないので私も準備をします。

 

「エセルドレーダ、リベル・レギスは動かせますか?」

「問題ありません」

「では、いきましょう」

 

 次元爆弾も多数用意したので、走っていく。移動していくと、すでに冒険者の人達は移動していたので、後ろから待っている。どうやら、ウィズとめぐみんのエクスプロージョンでけりをつけるらしいので、私は見学することにしました。

 見学していたのですが……自爆がどうのこうの言われたので手を出すことにしました。

 

「はいはい、みなさーん。この箱をあそこに置いてきてください。これはとっても強力な爆弾が入った箱です。威力は一つ一つがエクスプロージョンに匹敵します。もうお分かりですね?」

「まじかよ……だが、これで助かる! いくぞ!」

「おお!」

 

 カズマ達の号令で次元爆弾が運び込まれていく。しばらくして、私が起爆させるとキノコ雲を作った後にオーラが現れて綺麗に消し飛んでくれました。いえ、火力過多なせいか、空高くに一部の破片が飛んで行ってしまいましたが……まあ、いいでしょう。

 

「なにやってるの! なにやってくれてるの!」

「なにって、ちょ~と次元爆弾を……」

「世界が大変なことになってるんだけど!」

 

 次元爆弾……次元の壁を壊しちゃったようです。空の一部が割れて、そこから名状しがたい巨大な生物が……現れました。私はクリスにガクガクされる。

 

「お~いさとりん?」

「ワタシハシリマセン」

「あれ、クトゥルフ系じゃないのか?」

「どうにかしてくださいよ! 世界が、世界がぁぁぁっ!」

「もう、仕方ないですね……エセルドレーダ! さっさと片付けてきますよ!」

「イエス、マスター」

 

 私の背後についたエセルドレーダの足元に巨大な魔法陣が現れ、機械仕掛けの巨人。リベル・レギスの中に一瞬で移動し、エセルドレーダと共に操る。さらにアル・アジフもこちらに飛んできた。なので、三人で空に飛び上がって壊れた場所から外にでて、戦う。

 ただ、相手にすらならない。所詮は雑魚モンスターなので心を読みながら、矢を放ち、雷撃を放っていくとあっさりと終わってしまいました。やはり、この世界に大導師の力はオーバーすぎるようです。

 数日、頑張っているとエリスが世界の壁を修復してから、世界に戻ると……捕まっちゃいました。何故か国家転覆罪とかいうのでした。ただ、すこし街の近くの街道が消し飛んで巨大なクレーターができただけです。後、飛んで行った破片が領主の館を直撃したそうですが……安い犠牲ですね。

 

「聞いているのですか!」

「いえ、どうでもいいので聞いていません」

「あなたは……」

「それよりもさっさと釈放してください」

「ふざけっ」

「ふざけていませんよ。国家転覆罪ですか? 構いませんよ? 貴方達がそれを望むのなら、私が国家を破壊してさしあげましょう」

「なっ!?」

「とりあえず、この爆弾を王城にでも送ればいいですか?」

 

 机を元素に分解し、再構築して彼女に渡してあげる。彼女は慌ててそれを投げ返してくるので、ジャグリングして遊んでみる。

 

「どうしたのですか? ほら、いってみてくださいよ。私はちゃんと貴方達に国家転覆罪の罪状を押し付けられたので、その通りに行動しますと宣言してあげますよ? 私ってすごく優しくて良い子ですね」

「ちょちょっとまってください!(それって私達のせいになるじゃないですか!?)」

 

 嘘と真実を判明する魔道具が、私の言葉に嘘がないことを証明しています。

 

「調書はまた次の日に……」

「はあ、わかりました。ただ、飽きて来たのでそろそろ帰らせてもらいますよ。そうしないと、私の子達が助けにくるでしょうし」

「なにを……」

「いっておきますが、この街ぐらい片手で滅ぼせるような子達なので気をつけてくださいね」

 

 牢屋に戻ってその辺の物を錬金して爆弾をポコポコ作っていく。当然、ベッドも高級な物を作っている。さてさて、どうなることやら楽しみですね。

 次の日、取り調べで飽きて来たので取り調べ官の人達とお話して、三日後には快く一時的な釈放をしてもらいました。

 

「大丈夫だったのか?」

「大丈夫だったんじゃないですか?」

「さとりん?」

「11人ほど倒れたようですが、取り調べ官とは大変ですね♪」

「……トラウマをえぐったのか……」

「さとり妖怪としては普通のことです」

 

 カズマと一緒に帰り、家に戻ると不良在庫があんまりなかったです。というのも、エセルドレーダ達が頑張ってウィズを止めていてくれたようです。

 

「というか、なんで捕まったんだよ」

「いえ、面白そうだったからです」

 

 それが理由です。後、本当に領主ぐらい滅ぼすのは簡単です。リベル・レギスなら惑星だって簡単に滅ぼせますからね。

 

 

 

 

 

 

 

 


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