この素晴らしい世界に大導師を!   作:ヴィヴィオ

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第4話

 

 

 カズマさんと別れて一週間。宿屋から出ずにエセルドレーダとふしだらな生活を続けました。ええ、お猿さんになったのです。ですが、流石にこのままだと堕落しきって不味いので、今度はデートです。ベッドの上の可愛いエセルドレーダから誘惑から逃げるのは大変でしたが、問題ありません。

 エセルドレーダと一緒に手を繋ぎ、アクセルの街を探索します。まともに武器屋とか行った事もないので、少し楽しみです。

 

「マスター、何処に行きますか?」

「取り敢えず、武器屋ですね」

 

 道を聞きながら進み、武器屋に入る。日本では有り得ない多数の剣が壁に掛けられている光景が広がっています。

 

「いらっしゃい」

「私でも持てる剣はあるでしょうか……」

「それは……」

「マスター、私は捨てられるのですか?」

 

 エセルドレーダが縋り付いてくる。剣を手に入れたら、自分が捨てられるとでも思っているのでしょうか?

 

「有り得ない事ですから、安心してください。剣は持ってみたいだけです。後は解体用の短剣とかですね。包丁に使えるのも欲しいです」

「……よかった……」

「取り敢えず、剣は無理だと思うが……ショートソードを持ってみるといい」

「はい」

 

 案の定、持てませんでした。仕方ないので、剣は諦めて短剣を買いました。次は道具屋です。道具屋というか、雑貨屋でした。調理道具を始めとした野営道具を買いました。

 

「傷薬はあるのですが、ポーションは無いのですか?」

「お嬢ちゃん。ポーションは魔道具屋だよ」

「そうなんですか。どちらにありますか?」

「この近くだとウィズ魔道具店だね。場所を教えてあげるよ」

「ありがとうございます」

 

 エセルドレーダと一緒にウィズ魔道具店なる場所を目指します。

 

「マスター、ポーションを買ったら終わりですか?」

「後は家を買う為の下見ですね。冬になる前に家が欲しいです。エセルドレーダはどんな家がいいですか?」

「マスターと住めるのなら、どこでもいいです」

「そうですか。エセルドレーダは良い子ですね。では、ウィズ魔道具店に向かいましょう」

 

 ウィズ魔道具店へと到着した私達は、早速店に入ります。この店の品ぞろえは変なのがいっぱいあります。カエルの餌に見える炸裂魔法が封じられたマジックアイテム。お値段、なんと20万エリス。明らかにカエルの買い取り金額よりも高いです。魔力を込めると発動し、使用者の恥ずかしい過去を投影する仲良くなる水晶。着けた本人の願いがかなうまで外れず、しかも日ごとに締まっていく装飾品。暗い所で読めないライティング魔法のスクロール。商売する気はあるのでしょうか? 魔法効果上昇ポーションすら、碌な物がありません。

 

「いらっしゃいませ~」

 

 店に入って、商品を見ていると奥から茶髪の女性がやってきました。

 

「マスター、コイツ人間じゃありません」

「え?」

「ふむ。どうやら、そのようですね。なるほど、リッチーですか」

 

 エセルドレーダに指摘された瞬間、心を読むと確かにリッチーでした。

 

「なっ、何かの勘違いじゃ……」

「いえ、貴女の心の声が認めています」

「っ!?」

「エセルドレーダ、倒しなさい。恐らく、店主を殺してなり替わっているのでしょう」

「イエス、マスター」

「待ってっ、待ってください!」

 

 エセルドレーダが瞬時に接近し、リッチーを押し倒しその手に作り出した十字架の剣を突き刺そうとします。

 

「私がここの店主です! 殺してなんて居ません! 人を殺した事なんてありません!」

「なるほど。確かにそのようですね。ですが、リッチーがアクセルの街の中に存在している事自体が、あり得ません」

「マスターの命令です。諦めなさい」

「そっ、そんなっ!?」

「それに魔王軍の幹部みたいですからね……」

「おっ、お願いしますっ、お願いしますっ! なんでもしますからっ! こんなやばそうな人をけし掛けないでくださいっ!」

「そうですね……」

 

 アンデットなので無害でしょうが、なんだろうが確実に殺した方がいいでしょう。ですが、殺すのも勿体無いのも事実。周りを見てから考えます。ここで殺すのは簡単ですが、彼女の心が事実ならこの店は彼女の物です。だったら、それを貰いましょう。

 

「いいでしょう。エセルドレーダ、殺すのは無しです。ですが、そのまま押さえておいてください」

「イエス、マスター」

「ほっ」

 

 スキルクリエイトを使って、テイミングスキルを作成する。絶対成功テイミングを作成……っとした瞬間、ERRORが出ました。成功率100%も駄目。これも駄目。アンデットテイミングも駄目。徹底的に弾かれます。これはアクアではありませんね。なるほど、クリス……いえ、エリスが対策をしてきましたか。なら、テイミング・リッチーウィズ(絶対成功)で作成します。ふむ、流石に個人名まで指定したら通りましたか。

 

「テイミング・リッチーウィズ」

 

 彼女の首に首輪が現れ、私と魔力回路が繋がりました。

 

「え? あれ、テイミングされました!? リッチーをテイミングとか何を考えているんですか!?」

「これでアクセルの街に居ても問題ないでしょう。私のペットなのですから。ああ、この店の権利書とかも全部貰います」

「そんなっ!?」

「お前の全てはマスターの物です。わかりましたか?」

「はっ、はいぃぃっ」

 

 取り敢えず、二階に案内して貰って権利書など全て貰い、影に仕舞います。これでこの店は私の物です。目の前に座っているウィズは項垂れています。心の中はこれからの事が不安いっぱいのようです。

 

「ああ、安心してください。ちゃんと面倒は見てあげます。まず、この店の要らない物を作り変えて売れる商品にします。こんな赤字経営は許しません」

「そ、それは……」

 

 帳簿を見た限り、冒険者の収入で店を維持しているような物です。さて、こうなればスキルクリエイトで錬金術・全種を習得します。これは普通に通りました。

 

「ウィズとエセルドレーダは基本的に売り子ですね。魔導具は私が作りますから。それとウィズは私達のお世話をお願いします」

「わっ、わかりました……」

「そうそう、頑張ったらリッチーから人間に戻れるようにしてあげましょう」

「本当ですか!?」

「ええ、任せてください」

「では、取り敢えず店の名前をウィズ魔導具店からさとりのアトリエに……」

「やめてっ、名前は残してください!」

「じゃあ、ウィズとさとりの魔導具店ですね」

「ほっ」

 

 取り敢えず、二階で私達が住む用意をして貰っている間に私は店を閉めて要らない道具を錬金術で作り変えます。先ずは奥の部屋に無駄に高価な魔導具を使って錬金釜を作ります。続いて、自動で延々とポーションを生み出す神器を作成しました。後は同じく神器で自動集金システムを作って、店内に設置します。樽からセルフで汲めるようにしました。

 

「この爆裂ポーションは分割して、火力を増加する触媒にしましょう」

 

 錬金術を使って商品を作り変えて、安くて売れる物にしました。後は魔導具も作っておきます。例えば収納量が見た目に比例しないマジックバッグや、時間が止まる巨大な容量の奴も作りました。他にも武器類も作っておきました。

 三日ほどかけて、全ての商品を作り変えました。その間に用意したメイド服にウィズとエセルドレーダは着替えて貰って売り子をしてもらいます。

 

「わっ、私の店が……こんなの売れるのでしょうか……」

「間違いなく売れます。というか、ウィズが仕入れた物は売れません。素材としてはいいかも知れませんが」

「でも、ロマンがありません!」

「ロマンなど商売に必要ありません。それを今から証明してあげましょう」

 

 この二日間の間にウィズとエセルドレーダに看板を持たせて、アクセルの街を歩かせながらチラシを配らせたので宣伝は大丈夫です

 

「では、オープンです」

「イエス、マスター」

「はい……」

 

 店を開けると早速、人が……居ませんでした。街の人の心を読むと、どうやらウィズの店だから警戒されているようです。

 

「こうなれば店頭販売と実演販売です」

 

 外に出てポーションを置いたり、エセルドレーダに剣を持たせて実際にフレイムランスを放たせたりしていきます。次第に客も増えてきます。男性客が多いですが、目当ては私達でしょう。

 

「信じれません。こんなに売れるなんて……」

「今日の売り上げは269万エリスですね」

「流石はマスターです」

「しかし、流石にマジックバッグの時間停止は売れませんか……」

 

 まあ、価格が億越えですから仕方ないですよね。

 

「さて、私は明日の準備をしておきます。エセルドレーダは掃除をお願いします。ウィズは食事の用意をお願い致します」

「イエス、マスター」

「わかりました」

 

 さて、明日の準備です。今日、心を読んで欲しがっているアイテムと値段を調べておいたので、問題ありません。

 

 ウィズ魔道具店の赤字ですが、どうにか一週間で黒字に転じました。何故かギルドから感謝状が届きました。どうやら、クエスト達成率がお店のアイテムで上がったそうです。これで冒険に出られると思いました。ですが、敵は身内に居ました。

 

「それで、これはなんですかウィズ」

 

 正座させたウィズに詰問します。

 

「買った商品です……」

「こんな爆裂アイテムばかり、誰が買うのですか! だいたい、使ったら味方諸共死ぬようなアイテム、本当に使う人が居ると思っているのですか! 使う人はアンデットではないのですよ!」

「ごっ、ごめんなさい……でも、買ってくれないと家族を養えないって……」

「それは作っている人が悪いのです。放置しなさい」

「そんな! 鬼ですか、悪魔ですか!」

「このアイテムを作る技術があるのなら、売れる物が作れますから問題ありません。その人が馬鹿なだけです! そんな事よりも仕入額が460万エリスって買いすぎです!」

「で、でもさとりなら作り変えれるでしょ?」

「確かにそうですが、運転資金として200万エリスは最低でも残さないと危ないのですよ」

「だ、大丈夫です。稼いできますから」

「はぁ……わかりました。今回はいいですが、せめて100万エリスまでに抑えてください」

「ありがとう!」

「今日は私がご飯を作りますので、正座でいてくださいね」

「はい……」

 

 取り敢えず、今日はトンカツを作って三人で仲良く食べました。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆このすば!◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 名前:コウ

 年齢:27

 職業:クリエイター

 レベル:7→9

 スキル:スキルクリエイト、SP消費1、スキル枠増加、状態異常完全耐性、神器作成(精霊付き)、不老不死(即時再生)、装備制限解除、変身・古明地さとり、能力封印、幻影魔法、魔力値・マスターテリオン、テイミング・リッチーウィズ、錬金術・全種。

 装備:ナコト写本、魔導服、異空間倉庫の指輪。

 SP:0

 

 

 名前:さとり

 年齢:11

 職業:大導師

 レベル:7→9

 スキル:読心、状態異常完全耐性、幻影魔法、極大魔力、テイミング・リッチーウィズ、錬金術・全種。

 装備:ナコト写本、魔導服、異空間倉庫の指輪。

 SP:0

 

 

 


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