この素晴らしい世界に大導師を!   作:ヴィヴィオ

1 / 9
生まれ変わって

 借金取りに負われて屋上から足を踏み外して落ちたはずが、宇宙空間のような場所に居て、目の前には青い綺麗な女性が居た。

 

「私は女神アクア。倉橋光太郎さん、貴方は死にました。分かっていますね?」

「はい……」

「しかし、借金取りに追われて落ちるなんて、馬鹿ですね。その借金も女に騙されてとか、本当に救えないわね。身の程を知るべきね」

「はい……」

 

 ムカつくが、ここは我慢だ。本当に女神なら、これからおだてなければいけない。

 

「馬鹿で愚かな貴方に我々は3つの選択肢を差し上げます。感謝しなさい。一つは天国に行くこと。二つ目は記憶を無くし赤子から人生をやり直すこと。そして最後に異世界に行くことよ」

 

 27という年齢からやり直せるのは助かる。

 

「というか、異世界転生でいいわよね?」

「はい。ちなみにその世界は?」

「その世界は魔王が人々を脅かしており、そこで死んだ人たちが輪廻転生を断る人が続出してしまい、このままだとこの世界は滅んでしまうのよ。そうなると、私のキャリアが大変な事になるのよね。だから、別の世界で死んでしまった人達に力を授けて転生してもらって魔王を倒してもらおうと神々は考えたのです」

「チートを持ってという事ですか。わかりました。でしたら、その世界のシステムを詳しく教えてください」

「面倒だけど、仕方ないわね。あの世界は職業、レベル、スキルが存在するわ。特典として固有職や武器、固有スキルを選ぶ方が多いわね」

「ちなみに前の人は?」

「魔剣グラムを与えたわ」

「なるほど……」

 

 さて、魔剣グラムか。こちらもそれ相応のを選ばないといけないな。

 

「質問です。スキルの習得はどうするんですか?」

「ギルドカードからスキルポイントを消費して習得するわ」

「特典を増やすのは?」

「天界規定により禁止よ禁止。特典は一人一つまで」

「わかりました。でしたら、スキルを作るクリエイト能力をください。代償は作るスキルによってスキルポイントを消費する感じで。それと最初のスキルだけは代償無しでお願いします」

「それだったら、制限を入れさせて貰うわ。現在レベルの十の位個までです」

「それはきついので、+5とかでお願いします。最初で詰んでしまいます」

「駄目よ」

「もしかして、綺麗で美しい女神様ともあろうお方がこの程度のこともできないのですか? いや、そんなはずはないですよね」

「……仕方ありませんね。では+3個です。これ以上は無理だからね」

「わかりました。流石は素晴らしく美しい賢い女神様です。それでお願いします」

「ふふ、当然よ」

 

 俺の足元には巨大な魔法陣が展開されて体が浮かび始める。

 

「さあ、倉橋光太郎。旅立ちなさい。あんた如きが魔王を倒せるとは思っていないけれど、一応役目だから送ってあげるわ」

 

 女神様は両手を上に上げて俺に告げてくれる。

 

「そして魔王討伐のあかつきにはどんな願いでも叶えて差し上げるわ! まあ、無理でしょうけど!」

 

 ぶっちゃけ、魔王討伐なんて興味はないが、美少女ハーレムは作りたい。というか、その為の布石は作った。ああ、とても楽しみだ。覚悟しておけよ、女神様。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆このすば!◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 転生というか、転移というか、目の前にはいきなり様々な人種の者達の姿が見えた。いやーかなり凄い。エルフ耳とか、最高じゃね?

 取り敢えず、アクセルという街みたいだ。取り敢えず、スキルを手に入れるためにギルドカードを手に入れるか。冒険者っぽい人に聞いてみるか。出来れば美少女だ。ちょうど右頬に傷のある銀髪美少女が居た。体系はスレンダーだが。

 

「すみません、ギルドは何処にありますか?」

「ギルド? その格好は……冒険者になりに来たのかな?」

「はい。どうか案内してくれませんか?」

「いいよ。ついておいで。アタシはクリス、よろしくね」

「倉橋光太郎……コウで」

「コウだね。こっちだよ」

 

 案内に従って、進んでいくと大きな建物に到着した。

 

「ここがギルドだよ。ささ、どうぞ」

 

 中に入って受付に進む。彼女が連れていってくれたのは男性の受付だ。女性の方は忙しいみたいだ。

 

「この人のギルド登録をお願い」

「かしこまりました。では、手数料として1000エリスを頂きます」

「1000エリス?」

「これだよ。今回は私が払っておくね」

「いいんですか?」

「うん、いいよ」

「助かります」

 

 出された用紙に名前などを書き込んでいく。不思議とこちらの文字が書ける。気にもしなかったが、言葉もわかるので異世界特典という事だろう。

 

「えっと、どれも平均値以下ですね……知力はDでそれ以外はEですね。冒険者に本当になりますか?」

「あははは、だっ、大丈夫だよ」

「なります。それしか道がないので」

「では職業は……おや、冒険者だけのはずが、クリエイターという職がありますね」

「それでお願いします」

「く、クリエイター……?」

 

 何故かクリスが顔を真っ青にしている。どうしたのだろうか?

 

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます。ところで、スキルの習得方法はどうやるのでしょうか?」

「ギルドカードから行います。習得欄の所でタッチして……」

「アタシが教えてあげる」

 

 クリスがそう言ってくれたので、酒場のテーブルへと移動する。そこでクリスに教えて貰う。初期スキルポイントは20点だけだった。

 

「何これ、スキルクリエイトって……」

「では、スキルクリエイトを10ポイントで習得っと」

「あっ、最初は代償無しみたいだね」

「だな……じゃあ、スキルポイント無限っと」

「ちょっ!?」

 

 スキルクリエイトで選択して、試してみるとエラーが出た。メッセージが表示された。

 

『残念でした~。増加なんてさせないわよ!』

「ちっ」

「流石です、アクア先輩……」

「なら、スキルポイント消費を1点に変更」

「それも流石に……」

「あっ、通った」

「ちょっ!?」

 

 これで完了。クリスが何故か頭を抱えている。俺は取り敢えず、彼女を置いておいてスキルを習得する。スキル枠が残り3個だから、先ずはスキル枠を増やす。これで残り8ポイント。続いて状態異常完全耐性と神器作成(精霊付き)を習得。これで残り6ポイント。死なないために不老不死(即時再生)のスキルと装備制限解除を習得。これで4ポイント。

 

 

 名前:コウ

 年齢:27

 職業:クリエイター

 レベル:1

 スキル:スキルクリエイト、SP消費1、スキル枠増加、状態異常完全耐性、神器作成(精霊付き)、不老不死(即時再生)、装備制限解除。

 

 

「さて、神器作成」

 

 これも素材はスキルポイントにしてあるので、消費は1でいい。なので、作り出すのはデモンベインに出て来る魔導書だ。そう、その名はーー

 

「来い、ナコト写本」

 

 目の前に黒い禍々しい魔導書が出現した。

 

「なんてものを作ってるの!」

「ああ、復活したか」

「えっとね? それはやばい物なんだよ?」

「わかってるって。だから状態異常完全耐性を習得したんだ。なんの問題もない。それよりもクリス。お金をくれたお礼にその短剣を凄い武器に作り変えてあげようじゃないか」

「え、遠慮します」

「いやいや、いいよ」

 

 クリスからさっさとマジックダガーを拝借して、神器作成を行う。姿はそのままで、風の精霊リュカリオンを宿した短剣にする。当然、攻撃力もかなり上昇した。

 

「ほら」

「あ、ありがとう……その、これ他の人にくばるとか……」

「気が向いたらな。取り敢えず、自分用を用意してからだが」

 

 ナコト写本を開くと、身体の中にやばいものが入ってくるが、状態異常完全耐性のお蔭で問題ない。契約は完了した。

 

「でも、狙われるよ」

「姿は変えるさ」

「そ、そう……(やばいやばい)」

「さて、それじゃあ狩りに行って来るか」

「あ、アタシも付いて行ってあげる」

「それは助かる。それで、何を倒せばいいんだ?」

「ジャイアントトードね」

「わかった」

 

 クリスと共にアクセルから出て、しばらく歩く。人が居なくなってきた所で、ナコト写本を開いてエセルドレーダを呼び出した。黒紫色の髪の毛をしたゴスロリ美少女の登場だ。

 

「ひっ!?」

 

 回りが一瞬で、消し飛んだ。クリスは俺の後ろに回って事なきを得たようだ。

 

「貴方が私のマスターですか?」

「そうだ。これからよろしく頼むぞ、エセルドレーダ」

「イエス、マスター。全てはマスターの御心のままに」

 

 抱き着いてくるエセルドレーダの頭を撫でながら振り返ると、そこにはクリスは居なかった。別の銀髪美少女が結界を張りながら立っていた。

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。