戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
魔法少女事変が終わり数日が経過した。翼とマリアはロンドンへと戻りはしたもののSONGのメンバーである以上有事の時には出撃できるようになっている。そして響たち装者は各々の宿題という壁にぶち当たっていた。
「ふう、今日もありがとうございます。」
エルフナインに冷たい飲み物を配っていた友里が微笑んだ。
「いいってことよ。硬いプロテクトだけど、確実に解読には当たれてるわ。」
「それでも、結構苦労すんだけどなあ…」
「ぼやかないの」
「まま、友里さん。藤堯さんのボヤキは状況把握には的確なんですから。」
するとアケミがひょこっと顔を出してきた。
「ちょ、全然フォローになってない気が…」
「すいません、アケミって結構わけわかんない性格だったりするもので…」
ピコデビモンが謝罪した。
「まあ、あおいたちもそれに慣れちゃってるしね〜」
カメモンがデジヴァイスから飛び出してきた。
「どうせ俺なんて…」
「気い落とさずに、行きましょ藤堯はん」
落ち込む藤堯をテントモンがなだめていた。
そしてここは切歌たちの家___調と切歌は扇風機で涼んでいた。
「はあ〜快適デスね〜」
「そんな中でも切ちゃんの二の腕がひんやり冷たくて…くせになりそう」
「ったく、あっちは夏だろうが御構い無しだぜ。」
「というかキャンドモンでも暑さを感じるんだね。」
「そりゃデジモンだしな。」
そんな2人が涼しい思いをする中爽谷は拓実の家に遊びに来ていた。
「結構いいかんじの部屋だね」
「だろ?今までもらった給料全部まとめて使ったんだよ。で、最近そっちはどうなんだ?」
「2人は夏休みの宿題に手間取ってるよ。まあ昔あった知識でどうにかこうにか手伝ってるけどね。」
爽谷は白い孤児院でアケミと隔離された中、当時アメリカ政府が狙っていた機械による聖遺物の起動を可能にさせる人材として動かすこととしてのついでにレセプターチルドレンの戦闘教育の相手にされたり、英才教育を無理矢理コンピューターからデータとして脳に焼き付けさせたりしていたのだ。しかし、そのほとんどは今や消えかかっていた。本人曰く、デジモンとのフュージョンレボリューションがなくなった時にそういうのも消えていたからということらしい。
「夏休みは長いぜ。まあ、仲良く3人でお出かけでもしな。」
「うん、そだね。2人も時々遊びたいって言ってるたびに宿題を終わらせるよう言ってるけどその度にブーたれてたよ。」
「ハハ、そりゃ大変だ。」
その日の夕方、デジモンとアルカノイズが発生したことを知った響たちは直ちに現場に直行した。
「なっ!あれは!」
街中で暴れていたデジモンはたった5体だった。
「確認されるデジモンは、ヴァイクモンにガイオウモン、デビタマモンにキングチェスモンそしてクイーンチェスモンです!」
「全て究極体だと!?」
弦十郎が驚きの表情を表していた。
「みなさん!なんとか持ちこたえてください!」
現場に向かった響たちはパートナーと拓実に爽谷たちにデジモンの足止めを任せ周辺の住民の避難誘導や救助に当たった。
「オラッ!!」
拓実はメルキューレモンに、爽谷はブリザーモンにスピリットレボリューションしてパートナーのサポートに回っていたが、他のパートナーは人々の救助が完了していないために完全体で戦うことになっていた。
「まだなの、響!?」
「こっちも忙しいんだよ〜!」
響も目の前に現れたアルカノイズを撃破し、人々を避難させていた。
「どんだけいやがろうが大したことじゃねえんだよ!」
「私たちもいるデスよ!」
切歌たちも別の場所で交戦していた。
「今は耐えるしか…!」
「現在、アルカノイズは三箇所に散らばっていますが装者たちに迎撃されています。しかし…!」
「暴走デジモン市街地に向かってます!なんとか自衛隊が足止めしていますが、突破は時間の問題です!それに切歌ちゃんと調ちゃんはModel_Kを使ってます!」
「早くLiNKERを作っていれば…!」
「気にするな。そんなことより、まだ魔法少女事変の時のダメージが癒えていないこの状況を狙うなんて…!一体何者の仕業だ?」
落ち込むエルフナインを藤堯が励ますとモニターからすぐさま各地の避難状況を探りはじめた。
一方その様子をデジタルワールドから監視しているものがいた。
「あははは!!やっぱりシンフォギア装者に十闘士もどきはやるねえ!ほんと、飽きないね!」
無邪気そうな青年型のデジモンがポップコーンをつまみながらテレビ型のデジモン___モニタモンと共に戦いを傍観していた。
「イグニートモン様、この先如何なさいます?アルカノイズに暴走デジモンもただのホログラム…いずれバレてしまいますぞ。何よりこのようなこと姉様が知れば…」
「えーい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさいぞ、スワンモン!さっさと飲みモン持ってこい!せっかく俺は楽しい思いしながら見てんだから!」
「はい、分かりました。」
「けど、確かにそうだね。イグニートモン、何か策はあるの?」
「まあね、今あいつらを送っといたから。もうすぐ面白くなるよ。じゃあ、ここまでにっと」
イグニートモンがフィンガースナップをするとアルカノイズにデジモンたちが消失した。
「あれれ?デジモンたちがいなくなった?」
「なぜかアルカノイズも同時に消失しました!」
「うむ…何故そのようなことが起こったのだろうか…」
「まさかね…」
その状況もわからぬまま響たちは家に帰り眠りについた。しかし、イグニートモンの罠が迫っていたことは知らなかった。