戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
シャトーが爆破する中、地面に落下したのを見て、響たちは涙を流していた。
「こんなのって…!あんまりだよ!」
「なんでだよ…!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
翼は怒りのままに剣を振り回し、やがて切っ先をキャロルに向けた。
「投降勧告だ!貴様の描く未来は完全に崩れ去ったぞ!」
「未来?」
キャロルは涙を流しながら空を眺めていた。
「チフォージュシャトー…機能停止ですが…マリアさんたちの反応…消失です!」
シャトー倒壊に伴い分解された建物は復活したがその命までは復活できなかった。
そんな中エルフナインはキャロルに対してイザークの遺した言葉に関する答えを間違えていると言った。
「分かってる!だが、他に何があるんだ!?パパから託された無念と悲しみはどうしたらいいんだ!?」
「確かにパパは命題を出しただけで答えは教えなかった!」
エルフナインも疲労が困憊しており、辛そうな表情だった。
「それは…君のお父さんが何かを残したかったんじゃないのか?命がけで出る言葉は…一番伝えたい言葉なんじゃないかな?」
晄が恐る恐るエルフナイン越しにキャロルに尋ねた。
「フン、伝えたかったことなど心理以外ありえん!」
「錬金術の根底は世界を調和することだよ…キャロル」
「世界の調和だと!?パパを奪ったようなこの世界を受け入れろとおまえは本気で言ってるの「違う!!」」
珍しく怒鳴ったエルフナインは冷静に命題の答えが"赦し"だと告げた。エルフナインはキャロルの思い出の断片からイザークの遺した答えとは世界を赦し生きていくことだというように結論づけた。
「もはや…未来など失われた。ならば!想い出を捨てて今を蹂躙してくれる!」
なんと、たまりにたまった想い出を一気にキャロルは燃焼して響たちを攻撃すると言った。
その時、SONG本部に警報がなった。
「なんだ!?」
弦十郎が藤堯を見た。
「デジタルワールドから緊急の入電です!モニターに移します!」
「こちらアルフォースブイドラモン!手短に話すからクダモン聞いてくれ!デーモンの野望が分かったんだ!」
するとアルフォースブイドラモンがモニターに映った。
「なんだと!?」
「奴は…最初から…k…ど…世…」
通信が途切れた。
「もはや俺には復讐以外ありえん!」
「なっ!復讐の炎は想い出を焼き尽くして燃え尽きるまで消えないのか!?」
「エルフナインは復讐なんか望んじゃいねえ!」
「どうした?かかって…!こ…い?」
一同は驚愕した。なんとアルカディモンがキャロルを背後から攻撃しているのが見えたのだ。
「フフフフ…ご苦労、ご苦労!シンフォギア奏者の諸君!」
なんと奇声ばかり発していたアルカディモンがデーモンの声で喋り出した。
「!!なんの…真似だ?」
キャロルがアルカディモンを払いのけた。
「この時を待ってたのだ!この私が人間世界を取るためにはどうしても派手な事件を引き起こそうと考えるくらいに激しい憎しみを持った人間が必要だったのだ。そこで私は部下たちを使い、キミら錬金術師に接近したのだ。そして私は今までずっと貴様を支えてきたふりをしていたのだ!まあ、お陰様で君達が人間たちとバカな遊びを繰り広げてくれたおかげで計画を一部引き継ぐことはおろか目障りになる連中をまとめて疲弊させることもうまく行ったよ!」
「しかし、シャトーはもうないぞ!見ての通りの有様だ!」
翼がアルカディモンを指差した。
「フッ、チフォージュシャトーには私が予め細工を施しておいたのだ!シャトーによって分解されたもの___特に人命は錬金術であろうと戻らない。そこで私はシャトーを経由して少しづつこのアルカディモンに供給されるよう密かに細工したのだ。奴らの生命をデータとしてな!最初に喰われたのは私がアルカディモンを吸収し、一気に進化するための過程だったのだ!その結果私はさらなる力を手に入れた!みるがいい!!これこそが究極体を超えた超究極体だ!」
するとアルカディモンからデーモンの顔が出てきた。
「ってことは!あいつらはてめえのために死んだってのか!?」
クリスが歯ぎしりしながらデーモンをにらんだ。
「その通りだ!全くいいピエロだったよ!いや、あれでピエロはおかしいか…しかし、もう怖くはない!究極体を超えた私はもはやあの傲慢のルーチェモンやオメガモンはおろかデジタルワールドの秩序にもなれるのだ!」
「ふざ…けるな!」
キャロルがダウルダブラの糸で締め上げ、アルカディモンの体を破壊した。
「ふう…最後の仕上げだ!君の憎しみを頂くとしよう!」
デーモンは抜け殻のように体を突き破ってその姿を現し、翼を生やして以前よりもはるかに禍々しいオーラを曝け出していた。
「やめろ!やめろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
デーモンはキャロルを取り込んだ。
「キャロルちゃんをどうしたの!?」
「私の肉体の構成に使ったんだよ!さて、あとはゴミどもの掃除と行こうか…」
するとデーモンはキャロルに姿を変えた。
「さあ、これからやる気が沸くはずだろう?」
「これ以上そんなことはさせない!泣いてるキャロルちゃんをこれ以上悲しませないためにも!」
響はイグナイトモジュールのスイッチに手を伸ばした。
「随分と分の悪い賭けだな。」
「だがこの状況下ではそうも言ってられないな。」
翼とクリスが響の肩にポンと手を置いた。
「そうだ!この力はエルフナインちゃんがくれたんだ!だから、疑わない!」
「「「イグナイトモジュール!!ダブル抜剣!!!」」」
「奏者3人にイグナイトモジュールのプロテクト全3段階中第2段階まで解放!」
「フェイズ ニグレドからアルベドへシフト!」
「ほう、楽しませてもらおうか!」
イグナイトモジュールを2段階ロックを解除した3人はキャロルデーモンを3方向から同時に攻めた。
「甘いねえ…」
デーモンが手をかざすとキャロルの使っていたバリアが展開された。
「なに!?」
「ならばこれならどうだ!」
<千ノ落涙>
翼とクリスが距離を取って攻撃してもなおバリアは砕けなかった。
「僕たちが…戦えれば…!」
「はああああああ!!!!!!」
するとデーモンの上からベルゼブモンが攻撃してきた。
「まだいたのか…」
「ああ、てめえの邪魔させてもらうぜ!」
「愚かな…喰らえ!」
キャロルデーモンが構えた。
「ふん、またドットマトリックスか!ダブルインパクト!!」
ベルゼブモンがベレンヘーナを構え、攻撃を仕掛けた。しかし、次の瞬間その攻撃が分解された。
「なに!?」
「ふん、これ以上抵抗はしない事を勧める…まあ、させる時間はないがな!そもそも与えん!ダークスプレッダー!」
強力なエネルギー波でベルゼブモンはあっという間に倒れ伏してしまった。
「バカな…強え…あのロイヤルナイツより強え…」
ベルゼブモンは気絶してしまった。
「今のはドットマトリックスよりも強力なゴットマトリックスなのだ!まあ、シャトーなどなくともキャロルの肉体が手に入ったことで得た錬金術の知識さえあれば貴様など虫ケラに等しい!フッ、では今度はこちらから行くとしよう!」
キャロルデーモンが歌い出したことによりさらにエネルギーが増幅しているのが3人には分かった。
「どんだけフォニックゲインがあんだよ!」
「けど、こっちはそれを待ってた!」
「「「抜剣、オールセーフティーリリイイイイイイイイイイスッッッッッ!!!!」
「一気に最終フェイズに到達!お願い!勝って!」
アケミが本部から祈りを込めていた。そしてイグナイトモジュールを発動できる時間も一気に減少していった。
「くっ、もう手立てはないのか…!」
弦十郎も苦虫を噛み潰したような表情で見守っていた。
そしてキャロルの歌のエネルギーとイグナイトモジュールを全て解放した3人のエネルギーが激しくぶつかり合った。響たちはS2CAトライバーストをエネルギーのぶつかり合いを利用してキャロルの歌のダメージによる負荷を中和させながら発動させた。しかし、キャロルデーモンは涼しい顔を浮かべていた。
「バカめ!イグナイトモジュールの限界などとうに理解しているわ!理解しているから今まで放置していたことに気づかぬとはなんと愚かな!まとめて葬り去ってくれる!いい事を教えてやろう、本来のキャロルのファウストローブ時の歌はたった1人で70億人分の絶唱の威力なのだよ!」
エネルギーはそのまま暴発するも響たちは吹き飛ばされ地面に叩きつけられてしまった。
イグナイトモジュールを3段階全てのロックを解放させてもなお強力なキャロルデーモンに響たちは勝てるのだろうか?