戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
(早速ですが、ここから先は絶刀 天羽々斬を聴きながら読むのを勧めます)
ネフシュタンの鎧が現れたことは二課の本部にも知られモニターに表示された。
「バカな!? ネフシュタンの……鎧だと!?」
弦十郎はすぐ現場に向かった。
「私も行くぞ! あの鎧からは強大なオーラを感じる……今の彼らでは危ない!」
クダモンも乗った。その翼たち3人と謎の少女がにらみ合い、月が雲に隠れようとしていた。
「ネフシュタンの鎧!?」
「バカな!? ネフシュタンは2年前に行方不明になったはず……それがどうして?」
「へえ……あんたら2人はこの鎧の出自を明らか知ってんのか……」
翼がこぶしを握り締めながら少女をにらんだ。
「忘れるものか……私の不手際で失った物に……失った命を忘れるものか!
去りなさい! 無双に猛る炎 神楽の風に滅し散華せよ!」
歌いだすと同時に翼は剣を構え、ネフシュタンの少女も杖のようなものを構え今にも、戦いが始まろうとしていた。
(ネフシュタンに……奏の遺したガングニールの奏者……なんという残酷な巡り合わせ……
だが、この残酷はむしろ心地いいッ!)
「やめてください! 翼さん! 相手は同じ人間です!」
響が翼を止めた。
「そうだぜ、翼さん!手の内がわかんねえようなのと今ここで戦うのはあまりにも不利だ!
それに……なあ、あんた! あんたって味方なんだよなあ?だったら……俺たちと一緒に戦ってk」
拓実も2人の間に入りネフシュタンの少女に近づいた。
「「戦場(いくさば)で何をバカなことを!」」
2人が見事にシンクロした。
(どんだけ似た者同士なんだよこの2人は……)
「むしろ、あなたと気が合いそうかもね!」
「だったら……じゃれ合うかい!?」
ネフシュタンの少女の攻撃に響と拓実は吹き飛ばされた。
「わがよたれぞ常ならむと 全霊にていざ 屠る」
<蒼ノ一閃>
蒼ノ一閃をネフシュタンの少女は鎖のようなものを振り回して相殺した。
「なんだと!? 翼さんの技が!」
翼は剣で攻撃を仕掛けるもことごとく避けられ一撃を受けてしまった。
「これが……完全聖遺物のポテンシャル!?」
「ネフシュタンの性能とは思わないことだな!」
鎖を鞭のように振るうのを翼は必死に交わしていた。
「まずい……! 翼さんが押されている! 立花さん、あの少女を止めよう!
このままじゃいずれ翼さんが、負ける!」
拓実が響に近づいた。
「でも……! さっき進化したからもうアグモンのエネルギーが!」
「だったら、このデジメモリを! これで援護するんだ!」
響にクワガーモン、トゲモン、ガルルモンのデジメモリを渡した。
「任せて! ベタモン進化! シードラモン!」
シードラモンがネフシュタンの少女に向かっていった。
「お前らはお呼びじゃないんだよ! こいつらでも相手してな!」
すると杖から緑の光が出てそこからノイズが現れた。
「ノイズが……操られている!?」
「じゃあ、あいつが今回の黒幕って訳か!?」
「お前はこれだ! 持ってけダブルだ!」
しかも、少女は赤いデジヴァイスを出し、デジメモリを挿入した。
<レオモン! オーガモン! コンバート! >
すると暴走したレオモンとオーガモンが現れた。
「うをおおおおおお!!!!」 「ぐわああああ!!!」
「なんだと!? デジメモリから暴走デジモンが……ったく、厄介なダブルだよ!」
「ええっと……これだ!」
響は受け取ったデジメモリを自分のデジヴァイスに挿入した。
<クワガーモン! ガルルモン! デジメモリオン! >
「シザーアームズ!」
「覇王拳!」
「アイスアロー!」
「獣王拳!」
「フォックスファイアー!」
あっという間に戦場はネフシュタンと翼、5大デジモンで分けられ混乱状態だった。
「まずい……混戦状態になっている!」
弦十郎も車に向かっていた。
「弦十郎! 頼む! 私を先行させてくれ!」
「……分かった。頼むぞ!」
弦十郎のデジヴァイスが茶色に輝いた。
「クダモン進化! レッパモン!」
クダモンが尻尾がヤイバのレッパモンに進化し、弦十郎よりも先に戦場に向かった。
「無事でいてくれ!」
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響の前にノイズが現れ逃げようとしたが、粘液に捕らえられてしまった。
「クッソ! こいつらが邪魔で助けに行けない!」
シードラモンと拓実はレオモンとオーガモンを相手にしているため、とても響を守りに行けるほどではなかった。
「しっかりしろ!」
そこにレッパモンも現れ2対2になった。
「誰だ!?」
「弦十郎もここに向かっている! 持ちこたえろ!」
「ああ! クダモン!」
「レッパモンだ! 駆駆烈空斬《くるくるれっくうざん》!」
レッパモンの回転斬撃がオーガモンの骨こん棒をへし折った。
「獣牙乱撃!」
さらに放った連続引っかき攻撃でレオモンにダメージを与えた。
「行くぞ!」
「ああ!!」
シードラモンとレッパモンが連携攻撃を放った。
「真空カマイタチ!」
「アイスアロー!」
2体の攻撃でレオモンとオーガモンが倒された。
「よし、あとは……!」
拓実が最初に見えたのはネフシュタンの少女に一方的に痛めつけられていた姿だった。
「のぼせ上がるな人気者! 誰もかれもが構ってくれると思ってんじゃねえ! 主役気取りだから教えてやるよ。私の目的はハナっからあいつさ」
なんとネフシュタンの鎧の少女は響を生け捕りにすることだった。
「鎧も仲間をすぎたものなんじゃないのか?」
(強い……この強さ……本物……)
「そんなことはない! 翼さんに奏さんのパートナーは最高だった。それに比べ今の翼さんと立花さんの相性はよくない。それでも過ぎたものだという風に勝手に決めるな!
頼む! 立ってくれ翼さん! あんたが倒れたら俺はどうすりゃいいんだ!?」
拓実の声援をよそにシードラモンがネフシュタンの少女を止めるもその実力に押されていた。
「アイスアロー!」
「効くか、んなもん! オネンネしてな!」
クリスは鎖から光弾を放った。
<NIRVANA GEDON>
その光弾でシードラモンはベタモンに戻ってしまった。
「そんな!」
その時、翼さんが立ち上がり小刀を投げつけた。
「ちょっせえ!」
当然それは鎖で切断された。
「ヘッ、こんなものか……よ?」
なんと剣の破片が少女の影に突き刺さり動きを停止した。これぞ、翼の影縫いである。この技は元々彼女のマネージャーである緒川のもので彼女が彼から3年かけて習得したものである。
「月が覗いているうちに……決着をつけましょう……」
翼が怪しく微笑んだ。
「お前……まさか歌うのか……絶唱を!」
「絶唱……? おい待てよ、翼さん! 絶唱なんか使ったら奏さん同様死んじまうぜ! 今ここに司令も向かっている。だからこの場は!」
「拓実、あなたは自分を防人だというけれどそこの立花同様あなたの覚悟は今ひとつ足りない。だから防人の生き様を……あなたたちの胸に焼き付けなさい!」
「やらせるかよ! こんなの……!」
翼が滅びの絶唱を口にしながら剣を収め、少女に近づいた。
「おい、嘘だろ! やめろよ! やめろって! やめろって言ってんだろ!?」
必死に拓実は叫ぶがその声は届かなかった。
「チッキショー!」
苦し紛れにノイズを出した少女の前に翼が迫った。それと同時に翼は歌を歌い終えた。
下線
あたりには凄まじい衝撃波が発生しノイズは皆、塵芥と化した。
「うわあああああああ!!!」
ネフシュタンの少女も吹き飛ばされ、その後撤退した。その場に了子と弦十郎も駆けつけた。
「翼さん……あんた……」
「無事か翼!?」
「私とて……人類守護の務めを果たす……防人……こんなところで折れる剣ではありません」
振り返ると響たちに見えたのは全身から血を流しながらその場に立ち尽くし無表情の笑みを浮かべた翼だった。
「俺のせいだ……俺のせいだあああああああ────ー!!!!!!」
「翼さ────────ん!!!!!」
響と拓実の叫びが木霊した。
「何故だアアアアアア!!!」
「どうしたんだい?」
「なんでだ!?なんでいつの間に死んでたんだよ!ふざけるな!こんな扱い認めん!抗議してやる!」
「やめときな…そのうち翼にエアムシャモンとして認識してもらえるって。それにあんたはデジタマから新しく生まれんだろ?」
「うっ、それは…」
「次に期待だよ。さあ、翼の活躍を見ようか」
(お茶を差し出した)
「おう、あったかいのどうも」
第8回 ムシャモン、奏(inあの世)