戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
翌日になっても響は目を覚まさなかった。エルフナインもほとんど徹夜でギアの修復を行っていた。
「さてと…今日はどうしたものかね?」
拓実が廊下で腕を組みながら考えていた。
「水琴か、どうした?」
翼とマリアが現れた。
「どうも翼さん、マリアさん」
「それは、メモリ?」
「はい、デジクロスって言ってもどういうのがいいのかちょっと悩んでたんです。俺はメタルシードラモンをベースにして水中戦面で強化するか、陸上にするかいまいち分からないというか…というか2人はどんなのにしたんですか?」
「ああ…私は小柄で俊敏なレイヴモンに決めたぞ。そしてデジクロスするのはスティングモンとアクィラモンだ。」
「なるほどレイヴモンの鳥王丸に刺突能力を向上させたんですね?」
「まあ、それもあるが、あのファラというオートスコアラーのソードブレイカーに対応するには角といった刺突する武器を使おうということで真っ先に思いついたのだ。」
「なるほど…じゃあ、マリアさんはどうしたんですか?」
「ええ、私はライズグレイモンを基にしたわ。その上で、ディアボロモン単体にしようと思ってるわ。ディアボロモンのカタストロフィーカノンとライズグレイモンのトライデントリボルバーは似た感じがしたの。あのガリィっていうオートスコアラーのバリアーは予想外だわ。だからそれを破って一気に攻撃すればきっと…!」
「やっぱり2人とも自分のデジモンの長所を伸ばして選んでるんですね。俺もそうした方が…」
「いいや、君にふさわしいデジモンの組み合わせは君自身で見つけてこそ意味がある!」
マリアが拓実をジッと見た。
「マリアさん…」
「うむ、戦い方は自らで確立するものだ。自分で考えなさい。」
「はい…」
3人は集合場所に向かった。
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数時間後装者全員と拓実に爽谷が集まった。
「やあ、みんなおはよう。今日はデジクロスの実践と行こうか。」
アルフォースブイドラモンが司令室に現れた。
「それじゃあ、さっそく赤のデジヴァイスの人から発表してもらおうかな」
クリスはムゲンドラモンを基にして、ゴリモンにエビドラモンの2体とクロスさせることにしたらしい。ゴリモンの腕のカノン砲を右肩に、エビドラモンのハサミをトライデントアームに取り付け、相手を補足して一気に高火力で攻める攻撃特化型だった。
「まっ、ざっとこんなモンだな。」
「そうか。やっぱり自分のデジモンの長所を伸ばす感じか。それもいいね。」
アルフォースブイドラモンは感心しながら見ていた。
「次は私たちデス!」
調と切歌が手を挙げた。
「私はデスメラモンを基にサラマンドラモン、キュウビモンにしたわ。デスメラモンはパワーがあるけど広範囲への攻撃は難しい。だからキュウビモンの尻尾から放つ火の玉ならデスメラモンとの相性は抜群だと思う。」
調がサラマンドラモンとキュウビモンのメモリを取った。
「はーい!私はジュエルビーモンにメガシードラモン、サーチモンデス!ジュエルビーモンのスパイクバスターからの雷攻撃で広範囲の攻撃を可能にし、サーチモンのレーダー機能で一気に索敵を行なって逃げ場をなくすデス!」
「2人は連携攻撃に特化してるわけか。うちのロードナイトモンとデュナスモンのコンビみたいだね。」
アルフォースブイドラモンが続いて爽谷と拓実を見た。
「じゃあ、あとは君たちだけだ。」
悩んでいる拓実を見て爽谷がデジヴァイスを見せた。
「ええっと…僕はスコピオモンにメタルグレイモンのトライデントアームとアンドロモンにするよ。メタルグレイモンのトライデントアームを尻尾に取り付ければスコピオモンの毒針が空飛ぶ敵にも対応できるしね。アンドロモンの必殺技のスパイラルソードの威力は強力だからこれさえあればパワーアップはするはず。」
「で、最後に水色のデジヴァイス所有者はどうしたんだい?」
拓実はデジヴァイスを取り出した。
「俺は…メタルシードラモンを基にして、メタルガルルモンとサブマリモンにします!」
「ほう?水琴はなぜその組み合わせにしたんだ?」
「はい!メタルガルルモンのガルルトマホークは攻撃以外にも相手を凍結させて動きを封じさせる効果があるんです。メタルシードラモンは全体を通して、胴体への攻撃に弱いんです。そこにガルルトマホークの発射口をつければ反撃もできます。そして頭部にはサブマリモンの角をつけ突進をより強力にしました。以上です。」
「それが…己で見つけた答えか?」
「はい!」
「うむ、なら胸を張って今後精進あるのみだ。」
翼が拓実の肩に手をポンと置いた。
「まるで師匠と弟子ね。」
マリアが微笑みながら見ていた。
「うん!みんな見つけられたみたいだね。デジクロスの相手が見つかったところで君達にとってのパートナーはなんなのか最後に聞かせてほしい。」
拓実たちがデジヴァイスを構えながらアルフォースブイドラモンを見た。
「パートナーは自分との心を1つにしてくれる。」
拓実がベタモンを肩に乗せた。
「パートナーは自分と同じ道を歩める。」
「悪くねえ友達だ。」
「一緒なら一緒に強くなれる!」
「昨日を超えられる!」
「ほんの少しの勇気をくれるデス!」
翼、クリス、マリア、調、切歌も各々パートナーと交流した。
「そして、僕らも進化していく!」
爽谷もクネモンを見て首を縦に振った。
「君達全員合格だ!これを君の仲間に!」
アルフォースブイドラモンが立ち上がってメモリのようなものを投げた。
「これは?」
「デジクロスの修行を受けていない彼女へのプレゼントさ。君たちはもうデジクロスを使っても問題はないさ。さあ、頑張って!ここからは君たちの道を自分で開くんだ!」
アルフォースブイドラモンは風とともに去っていった。全員SONG本部へと戻った。
それから数日経っても響は目を覚まさなかった。そんな中でもエルフナインは寝落ちしながらも順調にギアの修復を済ませていた。そんな中でエルフナインはキャロルとその父イザークとの幸せな生活の思い出が頭をよぎっていた。
(世界を知るって…パパは何を告げたかったんだろう?その意味が知りたくてボクはキャロルを止めようって決めたけど…どうしてキャロルはボクに錬金術にキャロル自身の記憶を与えたんだろう?)
その様子を見ていたキャロルは玉座から立ち上がった。
「頃合いだ。仕掛けるぞ!」
「フッ、ようやく次のステップに…!」
(今厄介なのはベルゼブモン…私自ら始末してやるのも良いが今の段階は放っておいても問題はないな)
デーモンが笑いながらキャロルを見た。
「万象目次録を始めよう…!」
「デジクロスか…」
「どうかしました?司令?」
「いや、いろんなデジモンと合体するってのか何回もそれ繰り返したら原型がなんなのかさえあんまし分からないよな?」
「まあ…極端に変化するものはないと思いますよ。たぶん…」
「うむ…しかし、デジモンだよな?軽くロボットアニメになってやしないか?」
「気のせいだ弦十郎!」
第59回 弦十郎、緒川、クダモン