戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
追記:チンフォージュシャトーではなくチフォージュシャトーでした。すみませんでした。
学校での調理実習を終え、響はSONG本部に向かった。ほぼほぼ勢い任せでもあったが…
「シンフォギア装者全員集合とは…いかないか…」
その場には響たち装者と拓実に爽谷が集まっていた。
藤堯と友里の調査により破損したイチイバルと天羽々斬のコア自体は無事だったが、エネルギーをプロテクターとして固定させる機能が破壊されたものであった。
「セレナのギアと同じ…」
「もちろん直せるよな?」
クリスが2人に尋ねた。現状海外では櫻井理論が開示されており、聖遺物研究の技術の向上はしていた。しかし、櫻井了子亡き今ペンダントは簡単には直らないようだ。
「となると装者面でまともに動けるのは立花さんだけと?」
「ああ…」
「そんなことないデス!」
「私たちだって…!」
響しか動けないと言う言葉に反発して切歌と調が主張するも、弦十郎たちに止められた。
理由としてはLiNKERで不足した分の適合係数が体の負担になることと、切歌と調の2人専用に調整したLiNKERがSONGにはないということだった。
「どうせ私たちは役に立たないお子ちゃまですよ…」
「メディカルケアの診断結果が良くないのは知ってる。それでも…」
「おいおい…
無茶して死なないでくれ。
昔みんなそれでかけがえのない命を落としてしまったんだ。同じ過ちは二度と繰り返したくはないんだ。それだけは分かってくれ。」
拓実が2人に頭を下ろした。
「ああ、二度とこんなことで仲間を失うのはゴメンだからな。」
「その気持ちだけでも十分だ。」
クリスと翼が微笑みながら2人を見た。
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次に一行はエルフナインの部屋に入った。
「んじゃあ、エル。悪いが知ってることを全部話してもらおうか。」
拓実がエルフナインの横に立った。そしてエルフナインの口から語られたのは自分はキャロルによって作られたホムンクルスで、命じられるがままにキャロルと七大魔王のデーモンの為にある巨大装置を作ったということだった。
「魔王…」
爽谷が顔を曇らせた。
「厄介なことになったな。デーモンは七大魔王の中でもかなりの実力者だ。
リヴァイアモンに勝るとも劣らないぞ奴は。」
クダモンが現れ補足した。
「んなのと錬金術師が組んでんのかよ!」
クリスが拳を合わせた。
「というか、その巨大装置使って何しようとしてるんだその錬金術師は?」
「はい、皆さんのギアが分解されたのは世界をバラバラにさせられる錬金術の利点によるものなんです。ある日僕は計画の真相を知るべくデータベースにアクセスしたんです。このままでは世界が破壊されてしまう。それを知った僕は逃げてきたんです。」
「その格好で?随分変わった趣味なのね〜」
アケミがエルフナインを見て苦笑いを浮かべた。
「姉さん!今真面目な雰囲気なんだから!」
爽谷がアケミを叱りつけた。アケミ自身はむぅと声を漏らす。
「はいはい…」
(可愛くないわねえ…)
「続けますね。ノイズをレシピにして生み出されたアルカノイズはシンフォギアを初めにした万物を分解する性能があります。」
「万物を分解する力…だと!?」
弦十郎が驚くなか、エルフナインは冷静に言葉を続けた。
「しかし肉体がプログラムでできたデジモンに関しては、退化を促す性能しかありませんが何れにせよ厄介なのは事実です。
それら分解機能を"世界規模に行う"のが建造途中のチフォージュシャトーになります。」
「チフォージュシャトー?噛みそうな名前だな?ラーメンの一種かよ。」
「黙って!今真面目な雰囲気なんだから!」
マリアに睨まれ拓実が黙った。
「すいません…」
「一つ聞くが、君も錬金術師なのか?」
翼がエルフナインに尋ねたが、実際はすべての知識は持っておらず限定目的で作られたにすぎなかった。しかもインストールされた知識にも詳細はないようだ。
「でも、君がいれば僕らも連中と渡り合えるってことだよね?」
爽谷が尋ねるとエルフナイン首をゆっくりと縦に振った。
「はい。チフォージュシャトーは完成間近だということだけしか今はわかりません。お願いです!力を貸してください!」
すると拓実がエルフナインの肩に手をポンと置いた。
「いいぜ。あいつらにコテンパンにされた以上あいつらは野放しにできねえ。構いませんよね、みんな」
「承諾しよう。」
クリスと翼が首を縦に振った。
「そうこなくっちゃ!キャロルってやつだけじゃねえ、デーモンにも教えてやるよ、喧嘩売った相手が悪かったってな!
だから俺はエル、お前を信じるぜ!俺らの人助け見せてやるよ!」
「なに1人で乗り気になってんだよ!」
クリスがガッツポーズを浮かべた拓実にチョップした。
「いってえ〜!いいじゃねえかよ、一致団結してやってこうって空気なんだからよ〜」
「まあ、そう言うことだから。ていうかその箱ってなに?結構大事そうに持ってたけど…」
爽谷が箱を指差した。
「これは、アルカノイズや錬金術師に対抗する聖遺物___魔剣ダインスレイフの欠けらです。」
「魔剣…嫌な感じがするね。」
爽谷が引き気味に欠けらを見た。
「ねえねえ、後2つほど聞きたいんだけどいい?」
「はい?」
アケミが立ち上がった。
「ひとつは____あなたって男なの?女なの?」
その質問に全員ずっこけた。
「なんですかそれ!?」
「このタイミングで感じで聞くか普通!?」
響とクリスが突っ込んだ。
「えーっと…一応エルフナインちゃんのメディカルチェックをしたんだけど…」
友里が苦笑いを浮かべながらメディカルチェックの結果を表示した。
「特に怪しいところはなかったんだ!けど…」
カメモンがモニターを指差した。
「けど…何?」
マリアがカメモンに尋ねた。友里曰く、エルフナインには性別は無く本人曰く自分はホムンクルスだから決して怪しくないと言うそうだ。
「「「あ、怪しすぎる(デス)…」」」
全員怪しいと言いながら奇抜な格好をしたエルフナインを見た。
「そう…じゃ二つ目。敵のオートスコアラーだけど妙なものを使ってたわ。あれはなんなの?私たちもおんなじのを持ってるのだけれど…」
アケミが現在SONGで回収したものをモニターに表示した。
「はい、それはスピリットと言い伝説の十闘士への進化を可能にします。」
「十闘士だと!?」
「知ってるのかクダモン?」
「十闘士とは先のデジタルワールドでの魔王との戦いで我らロイヤルナイツが戦ったのはご存知だな。」
「ええ…それで、魔王を封印したのよね?」
マリアがうなづいた。
「しかし、我らが駆けつける前に魔王たちは各地を攻撃し始めたのだ。
それにより多くのデジモンがその攻撃で犠牲になったのだ。当然これに抵抗したデジモンたちもいた。彼らは命懸けで魔王と戦い、散っていった。終戦後多くのデジモンにとってそのデジモンたちは英雄視されたのだ。それが十闘士だ。」
「けど、メモリを使ったフュージョンレボリューションとはどこが違うの?」
「デジメモリを使った進化はあくまでも人間ベースでの融合ですが、スピリットレボリューションは十闘士の残したヒューマンスピリットとビーストスピリットへの進化を行き来するハイブリット体になれます。」
調の疑問に淡々と答えたエルフナインを見て爽谷はうなづいた。
「確かにメモリを使った進化は他のやつに進化したかったら一旦進化を切ってその上でもう一度やらなきゃいけなかったし、そう言う面では二度手間だったね。」
「さらにメモリはデジモンの戦い方の幅が広かった訳ですが、スピリットは何通りにまで絞られるため戦い方を変える手間も省けます。」
「そうか…じゃあこれを俺や爽谷が使えば連中とやりあえるわけか。」
拓実がスピリットの一個を持った。
「はい、ですが一定のダメージを受けたり精神力が安定しないと進化が解かれてしまいます。気をつけてください。」
「分かった。俺はこいつらを暫く使いこなせるようにしてみるぜ!」
拓実は光と木、鋼のスピリットを取った。
「待て水琴!なんの考えもなく力に手をつけるのは危険だ!」
「いいや、俺は覚悟はできてますよ翼さん。奴らと戦う覚悟がね。
あいつらのせいで涙を流す人が増えないようにするんですよ。せっかくの平和です。どうせなら笑ってたいんですよ。司令よろしいですか?」
「やれるのか?勝算は!」
弦十郎が拓実をじっと見つめた。
「ヘッ!思いつきは数字じゃ語れないですよって!」
そう言うと弦十郎は拓実の頭にポンと手を置いた。
「じゃあ、やって来い!」
「風鳴司令、僕も以前メモリを使ったフュージョンレボリューションを使っていました。僕も加わります。拓実のバックアップ程度には役立ちますので」
拓実も氷、雷、闇のスピリットを取った。
「爽谷…」
「爽谷!あなたまで戦う必要はないのよ!?」
「そうデスよ!」
「爽谷は戦わなくてもいい。戦うのはギアを持つ私たちが…!」
アケミとマリア、切歌、調が心配そうに見たが爽谷は優しく微笑んだ。
「心配しないでみんな。僕にしかできないことがあるんだ。
みすみす死にはしないって。それに、僕の家族を泣かせる奴らを許せないから…」
「じゃあ、行くぞ爽谷!早速特訓だ!」
「うん!」
そう言うと2人は出ていった。
「男2人はやる気満々みてえだな。」
クリスがやれやれと言いながら、響たちも苦笑いを浮かべていた。
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一方キャロルの城では、ガリィが人知れず奪った想い出を最後のオートスコアラーのミカにくちづけで供給した。
「これで4体。彼女たちオートスコアラーが起動する…」
デーモンが妖しく笑んだ。
「ああ…うううああ…」
ミカがぎこちなく立ち上がった。今ここにオートスコアラーズのガリィ、ファラ、レイアそしてミカが起動してしまった。
「お腹すいたゾ〜」
「は?」
デーモンが呆れながらミカを見た。
「キャロル、本当にミカは戦闘特化型なのだな?それにしてはいささか燃費が悪すぎないか?」
「分かっている。ガリィ!」
「はいはい、ガリィの出番ですね〜」
ガリィがうんざりしながら、出発しようとした。
「ついでにもう一仕事こなしてくるといい。」
デーモンがガリィに提案すると振り返ってキャロルを見た。
「そういやマスター…エルフナインのやつ連中に保護された見たいですよ?」
「うむ、"把握"している。」
把握の意味とは?それを見たデーモンはまたも妖しく笑んだ。
(この木偶どもめ。勝手にバラバラにでもなれ。最終的に勝つのはこの私なのだから…
2つの世界の支配者は私を置いて他にない…)
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翌日、拓実と爽谷は休日ということもあってかスピリットレボリューションの訓練を行なっていた。
「それじゃバーチャルデジモンを出すぞ。1分間でどれだけ行けるか計測だ。」
バーチャル空間でのトレーニングで藤堯がスロットにデジメモリをセットした。
「それじゃあ始め!」
拓実がデジヴァイスを右手に構え、左手に光のスピリットを構えた。
「スピリットレボリューション!」
スピリットをデジヴァイスに近づけ下から上に突き上げた。
「あれがスピリットレボリューション!」
「水琴も私たちの横で戦うのか。防人としてはまあ嬉しい限りだな。」
マリアたちが訓練の様子を見ていた。その間に進化を終えた拓実が現れた。
「ヴォルフモン!」
そして目の前に現れたのはデルタモンだった。
「トリプレクスフォース!」
スカル、メタルそして本体の3つから放たれたエネルギーを前にヴォルフモンは光の剣"リヒト・シュベアート"を構え、剣を回転させた。
トリプレクスフォースは弾かれ、それが命中しデルタモンは倒れた。
「次…頼みます!」
「んじゃあこれだ!」
藤堯はそういうとティラノモン、ダークティラノモン、メタルティラノモンの3体を呼び出した。
「ティラノモン軍団!?」
ティラノモンは巨体を駆使してヴォルフモンを攻撃したが素早く避けられ懐をリヒト・シュベアートで攻撃された。
「リヒト・ズィーガー!」
光の剣でティラノモンが一刀両断された。
「ほう、なかなかの太刀だな。私の戦い方を見た賜物なのかもな。」
拓実の剣の使い方に翼は感心していた。
「ファイアーブラスト!」
「ギガデストロイヤーⅡ!」
ダークティラノモンとメタルティラノモンの攻撃を防げずヴォルフモンは吹き飛ばされた。
「くっ!」
立ち上がったヴォルフモンはリヒト・シュベアートをもう1本構えた。二刀流になったヴォルフモンは2体の攻撃を防ぎ斬撃を浴びせた。
「ツヴァイ・ズィーガー!」
二刀を合体させてヴォルフモンは2体を切り捨てた。
「よし!今日はここまで!」
藤堯のアナウンスと同時に拓実は進化を解いた。
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訓練を終えて拓実が休憩しているとエルフナインがタオルを渡してきた。
「ど、どうぞ!」
「おう!サンキュー!」
「スピリットレボリューションには慣れたのか水琴?」
翼が近くに座って飲み物を飲んでいた。
「ええ。とはいえまだヒューマンスピリットだけですが。ビーストスピリットは攻撃のムラが大きいんですよ。だからいまいち使いにくいというか。」
「まあ、ビーストだしな。」
クリスがスピリットを持った。
「俺が持ってるのは光と木と鋼。爽谷は闇と氷と雷。それぞれ奴等に対抗できそうな組み合わせで考えたが、まだ底知れない力がある。」
「…」
クリスたちが不安そうな顔を浮かべた。
「それよりももっと大変なのはまともに動ける装者がたった一人って言うことよ。」
マリアが響を見た。響はマリアを不安そうに見た。
「戦わないで、分かり合えないんでしょうか?」
「恐れているの?」
マリアの言葉に響が立ち上がった。
「違います!適合して以来、このガングニールは自分の力になりました。けど、それを知ったからこそ人助けの力で誰かを傷つけるのが嫌なんです!」
「響…」
「それは力を持つものの傲慢だ!」
マリアは響の言葉に対して傲慢だと言うと響は走り去ってしまった。
「マリア!幾ら何でも言い過ぎだ!」
翼がマリアに詰め寄ったがマリアのアグモンが現れた。
「翼さん、マリアの言葉には一理あるぜ。
マリアはあのファラとか言うやつに人が殺害されてるのを見た。それに今は戦えないような奴等がいる状況だ。そんな時に使い方なんか選んだって余計に死人が増えるだけだ。」
「けど、他に言い方はなかったの?」
ファルコモンがアグモンに首を傾げながら尋ねた。
「不器用なんだよ。マリアは…優しいくせに無理をするんだ。」
そして2日後、響たちは普通に登校していた。響はマリアの言葉が気にかかり浮かない表情だった。
「きゃああああああ!!!」
すると寺島たちが倒れている人を発見した。彼らは皆、白髪となり脈が止まっていた。
「聖杯に思い出は満たされて____生け贄の少女が現れる。」
響は声の主を見てハッとしたが他の面々は唖然としていた。
「キャロルちゃんの__仲間だよね?」
「そしてあなたの敵」
そう言うとガリィはシャコモンのメモリを取り出した。
<シャコモン!コンバート!>
「スピリットレボリューション!」
シャコモンに水のスピリットを使うと人魚の姿をしたラーナモンが現れた。
「違う!私は話し合いがしたいんだ!戦いたくなんかない!」
「響…」
「チッ…あなたみたいな〜メンドくさいのを戦わせる方法はわかってるの〜!」
ガリィがニコッと微笑むと次の瞬間ゲス顔で響を見た。そしてアルカノイズを召喚した。
「頭ん中のお花畑を〜踏み躙ってあげる〜!」
ガリィが満面の笑みで響を見た。
「何こいつ!性格悪っ!」
安藤が引き気味にガリィを見た。
「あたしらの状況も良くないよ!」
板場も頭を抱えていた。
「さらに…大サービス!」
ガリィがニヤッと笑いながらデジメモリを取り出した。
<デビモン!ヴァンデモン!コンバート!>
ガリィの目の前にデビモンとヴァンデモンが現れた。
「お願い!」
未来たちがデジヴァイスを構えた。
「ピヨモン進化!!バードラモン!」
「ゴツモン進化!!モノクロモン!」
「フローラモン進化!!キウイモン!」
「マッシュモン進化!!ウッドモン!」
デジモンたちがデビモン、ヴァンデモンそしてアルカノイズと戦い始めた。響もそれを見てペンダントを取り出して聖詠を唱えた。しかし、何故か声が出なかった。
「響?」
「どうしたの響!」
「いい加減…観念しなよ」
その近くではデジモンたちが交戦していた。
「歌えない…聖詠が浮かばない…」
「え!?」
「ガングニールが…答えてくれないんだ…」
「そんな…!ビッキーが歌えないなんて!」
「しゃーない!あたしが歌うよ!」
「私も歌います!」
「私だって!」
「いいや、ここは俺に歌わせてもらおうか!」
「「「えええええ!!!!」」」
「やめろ弦十郎!お前が歌ったら物語が終わってしまうぞ!」
第56回 安藤、寺島、板場、弦十郎、クダモン
まあ司令はアプリのOPで動きまくってましたけどね。適合者の皆さん。あと緒川さんもね。
追記)まさかの 2018年1発目のイベントでした司令は!!