戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
4月の入学式に響、未来、クリスがいた。この日から暁 切歌と月読 調がリディアンに入学した。その中でクリスはマリアとのやり取りを思い出していた。
「それじゃあ、2人を頼むわね。クリス、アケミ。」
「任せな!あたしにかかればあの2人なんか楽勝だ!」
「ええ、あの2人は任せて。ママのあなたがいなくても大丈夫だから。」
アケミの茶化しにマリアは赤面した。
「ちょっとアケミ!」
「冗談よ、冗談!」
「とにかく、"愛されキャラクター"の君にならあの2人を任せられる。」
マリアは柔らかな笑みでクリスを見た。
「はあ!?」
「君はいかにもなセリフをいかにもな格好で言う愛されキャラクターだと立花 響が言っていたぞ。」
マリアがポカンとしながら、クリスにそう言っていた。
「よっ、愛されキャラクター!」
アケミがまたも茶化したがクリスは赤面したまま動けなかった。なおここ最近妙に砕けた感じな喋り方で響たちと接しているため初対面の時とのギャップの差にまだ慣れている人物はいない。
「お前のせいかい!」
そして現在ではクリスが響に鉄拳制裁を浴びせていた。
「どうしたの?クリス?」
「なんでもねえ!ちょっと嫌なこと思い出したわけだ!」
未来が唖然としながらクリスに尋ねたが、本人は息切れを起こしていた。
「痛いよ〜クリスちゃん…」
「あのなあ!私はお前より先輩なんだ!だから…先輩って呼べよな。」
「そんな〜!」
「響?大丈夫?」
響がショボンとする中、アグモンが励まし未来は微笑みながらクリスを見た。
「ねえ…私も先輩って呼んだ方が良いのかな?」
するとクリスはハッとした。
「普通は呼ばなきゃいけねえけど…」
「クリス…カノジョハクリスノオンジンダヨ?」
「分かってる!ああ〜!どうすりゃ良いんだ!」
「そんなに悩まなくて良いんじゃない?クリスちゃ…」
「だから、お前は先輩と呼べって言ってんだろうが!!」
クリスの鉄拳制裁が響を襲った。
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入学式を終えた調と切歌はクリスたちに校舎を案内された。
「それでね!ここはね!」
「どうするの?切ちゃん?」
デジヴァイスからワームモンが尋ねた。
「確かに…デジャブだよな」
「一回学祭に潜入したことがあったから大体は知ってるんだけどね?」
調と切歌が気まずそうに着いて行った。しかし、響からは今と昔のリディアンの校舎の比較の話をされた。それによると旧リディアンはグラウンドが直角で教室には急な斜面があって大変だったそうだ。
(なんてことなの?リディアンは適合者候補がいっぱいいるって聞いたけど…!)
(普段からこんなハードなことしてたんデスか!?)
(アンビリーバボ…)
(きつそう…)
放課後、響たちはリディアン周辺の街を歩き、調と切歌の家に上がっていた。
「あっ、お帰り2人とも。」
部屋のドアが開くとエプロンをつけた爽谷が出てきた。
「ただいまデス!」
「ただいま」
「へえ…お前も住んでたんだな〜」
クリスもふーんと言いながら首を振った。
「ええ、姉さんが2人の面倒みるって言い出したので一緒に来るよう頼まれちゃって…」
爽谷も照れたような動作をしていた。
「あっ、待っててください!お客様にはお茶を出すって言うのは日本じゃ大体よくあることなんです!」
「爽谷には主に掃除と洗濯とか任せてるんです。」
「とはいえ、まだそんなに掃除させるほどじゃないんデスけどね。」
「ったく、お前ら…あんまし呑気してんなよな。明日から授業開始だからちゃんとやれよ。」
「分かってるデスよ!先輩!」
「さっ、どうぞ!」
爽谷がお茶を運んで来た。
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それから数時間後、品川周辺にデジモンが現れたという情報を得た響たちは出動した。
「私たちも…!」
「ダメだ!LiNKERもないままお前らに危険な真似はできねえ!」
「ちょっと待ってて!すぐに終わらせるから!」
響たちが向かった。
「私たちも力になりたいデスよ…」
「守られるだけじゃ嫌なのに…」
「2人とも。戦うことだけが本当に大切なことじゃない。
小日向さんがその例だと思うよ。彼女は力が無くてもバビロニアのゲートを閉じたじゃない?そのうち僕らにだってきっと…
さあ!買い物にでも行こうか!幸いここから遠いとこにデジモンが現れたんだ、買い物には行けるでしょ」
「そうデスね!きっと信じて待てば天命が…」
「切ちゃん、それを言うなら"人事を尽くして天命を待て"だよ?」
「デエエエエエエエーーーーーース!!!」
調が切歌の間違いを指摘すると3人は買い物に出かけた。
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「あれだ!」
街中で暴れていたのは、ゴーレモンとデビドラモンだった。
「あいつらか!上等だ!」
「拓実さんは今こっちに向かってる!行くよ!クリスちゃん!」
「言われなくても!」
「アグモン進化!!グレイモン!」
「ハグルモン進化!!メカノリモン!」
グレイモンがゴーレモンを、デビドラモンをメカノリモンが押さえつけた。
「じゃあ、私たちも行こう!クリスちゃん!」
「ああ!!」
響とクリスは人命救助にあたっていた。
「2人とも!早くこの人を!」
到着した拓実も近くのビルに取り残された人をクリスたちに預け、次の場所に向かった。
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一方、調たちはスーパーの帰り道だった。
「良いデスねえ…笑っていられるような生活って…」
「施設にいた時とは大違い…辛いことあったけど、みんなあの人たちのおかげだね。」
2人がニコニコ笑っているなか爽谷は重い荷物を抱えて息を切らしていた。
「2人とも〜!ちょっと重いんだから少しくらい持ってよ〜!」
「爽谷は普段から家にいすぎデスよ!だから、しっかり働くんデスよ!」
「ファイト!爽谷」
切歌と調がルンルン言いながら歩く中、爽谷はゆっくり歩いていた。
その時、空が割れてキンカクモンとギンカクモンが現れた。
「あれは!」
「こちら爽谷!リディアン付近に暴走デジモン出現!」
「何!?そっちにもだって!?」
品川にいる拓実たちは今、デビドラモンたちの被害にあった者たちの救助に当たっていた。
「分かった!こっちが駆けつけるまでなんとかしてくれ!」
「できるだけ急いでくれ!」
爽谷が避難させに向かおうとしたが2人はデジヴァイスを構えた。
「2人とも何を!?」
「私たちが戦う。フュージョンレボリューションを失ったあなたは救助を!」
「私らがやっちゃうデス!」
「けど…!」
爽谷が反論しようとしたが2人が凛とした顔つきで見たためやむなくその場から離れた。
爽谷は以前までデジメモリのデジモンと融合するフュージョンレボリューションを持っていた。しかし、フロンティア事変以降彼は普通の人間に戻るように治療され今はデジヴァイスを持つだけのただの人間だった。
「じゃあ、行くデス!」
「うん!」
切歌と調がデジヴァイスを構えた。
(僕だって戦いたい!けど…)
「ワームモン進化!!スティングモン!」
「キャンドモン進化!!メラモン!」
スティングモンがキンカクモンに、メラモンはギンカクモンを攻撃した。
「行くデス!スティングモン!」
「スパイキングフィニッシュ!」
腕の甲から放ったレーザーの短刀がキンカクモンを突いた。
「メラモン!」
「バーニングフィスト!」
メラモンも炎を纏った拳でギンカクモンとアルゴモンを攻撃した。
「よし!このまま…!」
切歌が勝ちを確信したかと思われたが、キンカクモンが身体を翻した。
「怒気怒鬼怒灸(どきどきどっきゅーん)!」
全身から放たれた電撃が2体に命中した。メラモンは炎でそこまで聞いてはいないものの、スティングモンはひるんでしまった。
「ぐわああああああああ!!!!」
「スティングモン!」
「銀角突貫(ぎんかくとっかん)!」
スティングモンを見ていたメラモンもギンカクモンのパワーに押されていた。
しかもその攻撃は爽谷が避難を行なっていた建物に当たった。
「きゃあああああああ!!」
「危ない!」
近くにいた女性を庇って、爽谷はその場に取り残されてしまった。
「早く逃げて!僕は大丈夫!」
「はい!」
女性は走り去っていた。爽谷はデジメモリで瓦礫を破壊しようと考えたが、デジヴァイスに手が届かなかった。
「届いてくれ!僕は多くの命を救わなきゃいけないんだ!僕自身の罪はそうでないと救われないんだ!僕が…多くの命を救うんだあああああああああーーーー!!!!」
デジヴァイスに手を伸ばした爽谷だったが、次の瞬間瓦礫が落ちてきた。
「うわあああああああああああ!!!!」
一方、切歌たちはキンカクモンとギンカクモンの連携に苦戦していた。
「強すぎるデス!」
すると、キンカクモンとギンカクモンが肩車をし始めた。
「金銀雷鳴撃!」
その電撃でスティングモンとメラモンが倒れてしまう。
「そんな!」
「まだだ!」
2人が振り返ると傷ついた爽谷とアケミが立っていた。
「人が弟の料理を楽しみにしてる時にやってくれたわね。
このお礼をしてやらないとね!」
「うん!行くよ姉さん!クネモン!」
爽谷がデジヴァイスを構えると黄色い幼虫のようなデジモンが現れた。
「ええ!」
「ああ!」
アケミと爽谷のデジヴァイスが光った。
「ピコデビモン進化!!アイスデビモン!」
「クネモン進化ーーーーーー!!!!!
スナイモン!」
クネモンは巨大な鎌を持ったカマキリに進化した。
「あれが…!」
「爽谷のパートナー!」
数分前、爽谷に瓦礫が落ちたと同時にデジヴァイスが光った。
「これは?」
「始めまして!ミーはクネモン!ユーのパートナーだ!」
「クネモン?」
「ささ!早く行くよ!ユーのフレンズが大変な目にあっちゃうよ?」
「ああ!!」
そして爽谷はアケミと合流しこの場に現れたのである。
「2人とも行ける?あいつを倒そう!」
「あったりまえデス!」
「多くの人を救ってみせる!」
2人がデジヴァイスを構えた。
「こっちもスペシャルサービスと行きますか」
アケミもデジヴァイスを構え、メガネをクイッと上げた。
「スティングモン超進化!!ジュエルビーモン!」
「メラモン超進化!!デスメラモン!」
「アイスデビモン超進化ーーーーー!!!!レディーデビモン!」
アイスデビモンが黒いオーラに包まれ、小悪魔のような姿に変わった。
「レディーデビモン、遠慮無くやっちゃって…」
「あいよ!遊んであげる!」
スナイモンとレディーデビモンはギンカクモンをジュエルビーモンとデスメラモンがキンカクモンを攻撃した。
キンカクモンが攻撃の動作を見せた。
「今デス!ジュエルビーモン!」
「スパイクホーン!」
キンカクモンの胴体にジュエルビーモンの槍が突き刺さった。
「調!」
切歌が調を見た。
「うん!デスメラモン!」
調がキンカクモンを指差した。
「分かった!ヘビーメタルファイアー!」
高温の炎でキンカクモンは灰と化した。
「シャドウシックル!」
スナイモンの攻撃でギンカクモンの腕に亀裂が走った。
「今だよ!」
「ええ!!レディーデビモン!」
「オッケー!ダークネスウェーブ!」
レディーデビモンが手を掲げるとコウモリのような飛翔物がギンカクモンを襲い、焼き尽くした。
「さらに…特別サービスがもう1つ」
アケミがデジメモリを取り出した。フロンティア事変以降国連とデジモンの知識でデジヴァイス所有者には特殊なメモリホルダーが支給された。その機能は欲しいと思ったデジモンをホルダーに自動的に支給するというものである。それによりデジメモリをどれにするか選ぶ必要が無く、好きな数を好きな時に呼ぶことが可能になった。
<リリモン!デジメモリオン!>
花の妖精リリモンが現れた。
「爽谷!一気に行くよ!」
「うん姉さん!」
「フラウカノン!」
「ダークネスウェーブ!」
「シャドウシックル!」
3方向から攻撃を受け、ギンカクモンは倒れた。
その後クリスたちに切歌たち3人は叱られた。
「動くなってあんだけ言っただろうが!」
アケミがクリスと切歌たちの間に入った。
「クリスちゃん、言いたいことはわかるけど彼女たちがデジモンを引き付けながら人命救助を率先して行ってたのよ?待機なんかしてたら被害がもっと大きくなるのではなくて?」
「っ!分かったよ…まあ、一理はあるな。けど!今度はちゃんと言うことは聞いとけよな!」
「「はい(デス)!」」
新たなる仲間たちと共に響たちの戦いが始まった。
「そういやなんでユーのエプロンの柄がハートなんだ?」
「いや、姉さんが爽谷は可愛いからこれつけろって…」
「ユーのシスターはユーが好きすぎるんだな。」
「まあ、何年も会ってなかったしね。」
「そうそう、なんならあんなことやこんなことしてもいいのよ?」
「ちょっ!姉さんいつの間に!?そういうのはまずいって!」
「別にいいでしょ?」
「アーッ!!」
第52回 クネモン、爽谷、アケミ
今回デジメモリのシステムですが自動的にホルダーに支給されるのはデジメモリはもともとデジモンのデータあるいは暴走デジモンのウイルスだからです。そしてホルダーにはデータの形で送られ、ホルダーで実体化しデジヴァイス所有者に送られることになっています。