戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
3月、それは別れの季節でもある。ここリディアンでもそれは当然やってくる。
「翼さんも卒業か…」
「うむ、ノイズ亡き今私の夢である"世界を股にかけて歌う"ということを実現させてみせる。」
翼が空を見上げた。
「しかし、雪音がちゃんとやってけるか心配だな。先輩として苦労しそうだ。」
「ったく、精々泣くんじゃねえぞ。」
クリスが翼から目を背けながら言った。
「この身は剣!涙など決して流さぬ!」
そして式が終わる頃翼は滝のように涙し、クリスも涙を思い切り流していた。すると通信機が鳴った。
「はい!え?はい!」
「司令からの任務か!」
「行くぞ3人とも!」
3人は任務の為走り出した。未来は以前のように複雑な表情にならないままただ行ってらっしゃいと言い残し1人響たちの帰りを待った。
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(ここから終わりまでははRADIENT FORCEを聴きながら読むのを勧めます)
フロンティア事変から数ヶ月___NASAによりナスターシャ教授の遺体がシャトルにより運び込まれていた。案の定彼女は制御室ごと宇宙空間に飛ばされ、月の軌道を戻してすぐに死亡していた。
それの発見に伴い発見された異端技術と彼女の遺体を運ぼうとした寸前にシャトルは事故を起こしたのだ。当然二課もこれに駆けつけることになった。
「現在落下予想地は人口密集地になります!」
藤堯たちオペレータが本部から落下予想地の計算を進める中、安保理に従ってアメリカ政府との交渉を行っていた。
「安保理からの許可はまだか!?」
「いえ!外務省などから再三打診していますがまだです!」
友里が必死に入力を続けていた。そして少し経つと承認が下りた。
「承認おりました!我らの国外活動は安保理の範囲内でいけます!」
弦十郎がそれを待ってたと言わんばかりに拳を合わせた。
「おっし!お役所どもに見せてやるぞ!藤堯!」
「軌道計算なんてとっくにですよ!」
「さすが藤堯はんや!」
藤堯のパネル操作で潜水艦から何かが打ち上げられた。
「ヘッ!まあな!」
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シャトルでは必死に軌道を修正しようとするもどうにもならない状況だった。
「もうおしまいだ!ミサイルが飛んできたんだ!」
「致し方ない…このまま落ちて被害を出すくらいなら…いっそ…」
シャトルの搭乗員は諦めていた。その時声が響いた。
「へいき、へっちゃらです。だから…生きるのを諦めないで!」
そして歌声が響いた。打ち出されたミサイルの末尾部分は空中で分離した。そして先端部の中から響、翼、クリスが現れた。
クリスが両腕からミサイルを発射した。響と翼はそれに乗りシャトルに向かった。しかし、ミサイルの動きは安定していなかった。
「フッ!まるで雪音のようなジャジャ馬っぷり!」
「だったら乗りこなしてくださいよ、先輩!
拓実、こっちは到着した。あとは頼むぜ!」
「ああ!!今こっちもセッティング中だ!どデカイので受け止める!」
<メタルティラノモン!デルタモン!トリケラモン!デジメモリオン!>
「だからそっちはそっちでやってくれ!派手におかえりパーティーをしてやろうじゃないか!」
さらにデジメモリを拓実が取り出した。
<ディグモン!フレイドラモン!サイクロモン!メタルグレイモン!ダークドラモン!デジメモリオン!>
デジメモリを大量に使った拓実はメガシードラモンの背に乗りながら、シャトルを受け止めようとしていた。その中にはウォーグレイモン、ヤタガラモン、ムゲンドラモンもいた。
「おめえら!歓迎パーティーだ!行くぜ!」
「「おおおおおーーーー!!!!」」
そして響と翼に船体に貼りつくのに成功した。
「装者二名船体への貼りつきを確認!」
「軌道は以前山脈への激突コースにあります!」
二課のメンバーが必死に動く中、マリアたちFISのメンバーとアケミもその様子を見ていた。
「マムを…」
「お願いするデス…」
シャトルの落下を防ぐため響は足を固定して背中のブースターを、クリスはミサイル、翼はブレードを展開して勢いを削った。
「ダメです!シャトルが山脈に激突するのは免れません!」
「なんとか中の人たちだけでも!」
緒川が装者たちに呼びかけた。
「そんな!それじゃマムが…!」
「帰れないデス!」
調と切歌が唖然としていた。
「くっ…」
マリアが悔しそうに見ていた。
「マムをどうにかして…装者たち…」
「マムを地上に…」
アケミと爽谷はただ祈ることしかできなかった。
「悪いがそいつは出来ない相談だ!」
クリスがNOと言うと切歌と調とマリアは顔を上げた。
「人命に等しく人の尊厳は守らなければならない!」
「そうだ!それが俺たち防人の役目だ!
やることに関する路線変更なんざまっぴらだ。そうですよね!?」
「拓実さんの言う通りです!ナスターシャ教授は世界を救った英雄なんですよ!?なのに帰れないなんておかしいです!」
「それに…教授もあの年だ。帰る家くらいあるはずですよ」
拓実が移動していた。
「チクショウ…敵わないわけだ…」
マリアは潔さそうにモニターを見ていた。
その横で切歌と調は涙を軽く流していた。
「どこまでも…」
「欲張りデスよ…」
「命には誰だって欲張りになりたい理由があるけど、こんな状況で言えるなんて彼女たちらしいや。」
爽谷が苦笑いを浮かべていた。
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シャトルは地球に入ったものの山脈は目前だった。
「クリス!」
「分かってる!こうすりゃいいんだろ!?」
拓実は指示を出しながらデジヴァイスを構えた。
「メガシードラモン究極進化!!メタルシードラモン!」
「行け!ムゲンドラモン!デルタモン!メタルシードラモン!」
3体は前に出た。
シャトル内では機体を離脱させようと搭乗員がレバーを下ろそうとしていた。
「燃え尽きそうな空に歌が聞こえるんだ!諦めるな!」
その間に直撃まで1キロを切った。クリスが前に出た。その時に自分の腰が響の顔に当たっていたが特に構っていなかった。
<MEGA DEATH SYMPHONY>
発射されたものは拡散し山々に命中した。
「行け!」
「ムゲンキャノン!」
「トリプレックスフォース!」
「アルティメットストリーム!」
両サイドから山は攻撃された。
「殴れ!」
「ええ!?」
戸惑いながらも、拳で山脈を攻撃した響によりシャトルは激突を免れ山脈を貫いた。
「K2の山脈!"世界3位に下方修正"!」
緒川が呆れながら見る中、藤堯は冷静だった。
シャトルが飛び出そうとした中、デジモンたちがシャトルを左右から押さえつけていた。
「頑張れ!立花さんたちは宇宙空間で第1段階を踏んだなら俺たちで決めるんだ!」
シャトルに激突する障害は全て装者とデジモンにより破壊されていった。
「よしこれなら!」
「まずい!村だ!」
すると響がシャトルの前に立ち、受け止めようとしていた。
「デルタモン!メタルティラノモン!サイクロモン!フレイドラモン!ダークドラモン!立花さんを助けるんだ!」
デジモンたちもシャトルを食い止めようとしたが、坂道ということもあってかシャトルの滑る勢いがわずかに増大し村の建物を次々と破壊した。デジモンたちもそれに巻き込まれ吹き飛ばされた。
「立花さん!」
「南無三!」
「立花あああああああああ!!!!」
皆が叫ぶと響はそのままシャトルを宙に投げ飛ばした。シャトルはそのまま搭乗員により垂直に立ち、無事任務は終了した。二課本部でも喜びの声が上がり、切歌と調もハイタッチを交わした。
「よかった…」
「予想外…これが彼女たちの本当の力…」
アケミも興味深く響たちを見ていた。
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任務が終わると響が大の字で笑っていた。
「大丈夫か?立花!」
「おかしなとこぶつけたか?」
「私、嬉しいんです!"シンフォギアを纏える奇跡"が!」
響は青空のように澄んだ笑顔を浮かべていた。
「お前…本当のバカ!」
クリスが笑いながら言った。
「はあっ…疲れた〜」
「いや、お前そんな動いてねえだろ?」
クリスのツッコミをよそに拓実は息切れしていた。
「だって、何起こるか予測不能だったんだぜ?思考が一瞬フリーズすりかと思ったぜ。山脈を突き破るとか前代未聞だろ…」
「立て、水琴。防人には予想外の出来事がある。それには柔軟な思考で挑め。私のようではポッキリ折れてしまうぞ。」
「はい!」
「水琴 拓実。お前に防人の意思を託したぞ。人類守護の役目を果たせ…」
「はい!俺が翼さんを超える防人になりますから!」
「フッ!それは楽しみだな!」
「はーい!私ナスターシャ17歳!今は幽霊になっちゃったけど、みんなのことを応援してるの!今日は私のことを"あの年"呼ばわりした水琴君だけどちょっとお仕置きに行ってくるね〜!」
「はあ…シンドい。ってウワアああああああああああああ!!」
(拓実、坂から転げ落ちる)
「拓実さん!?大丈夫ですか?2、3歩歩いただけでどうしてそんなに転んだんです?」
「わからない。まるで誰かに押し倒されたような…気のせいか」
第50回 ナスターシャ(幽霊)、拓実、響(in事後処理中)