戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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オリジナル展開(1)
第53話 暴け!入れ替わり大騒動!


 フロンティア事変より数ヶ月後いつもの日常に戻った響たちリディアンの生徒たちは明後日のテスト勉強に追われ、拓実はフロンティア事変の後から海洋考古学に興味を持ち始め進学のための勉強とそれぞれが奮闘していた。しかし、暴走デジモンは未だ各国に現れていた。

 

「響、寝ちゃダメだよ。ノートくらいは纏めとかないと。」

 

「うう…わかってるよ…」

 

「ファイト響!」

 

「はい、2人ともあったかいのどうぞ。」

 

「うん、ピヨモンありがとう。コラ響!」

 

 未来は眠りそうな響の名を呼ぶと響はどうしてリディアンで理科の勉強をしなきゃなんだと言い始めた。

 

「けど、そういうことか。こうやって元の日常に戻れたのか。」

 

「響?」

 

「遅くなっちゃたけどただいま、未来」

 

「おかえり、響」

 

 未来が笑いながら響を見た。それを見たアグモンとピヨモンはお互い笑い始めた。

 

「やっぱり夫婦だ。」

 

「ラブラブ〜」

 

「もう…ピヨモンったら。」

 

____________________

 

 夜のビル街の屋上が歪み始めた。

 

「ふむ、ここがニーホンのビル街か。実に人々が多いな。ここなら格好の場所になるな。」

 

「そう?邪魔されるんじゃない?」

 

「そう言うな、レイ。きっと面白くなるぞ。」

 

 現れたのは灰色のデジヴァイスを持ったツインテールで仮面を被った少女と死神の姿をしたデジモンが現れた。

 

「ならいいわ。じゃあメタルファントモン、始めて。」

 

「うむ、グレイブストリーム!」

 

 メタルファントモンが鎌を振り回した。その中には響がたちの住む街にも広がっていた。

 

「これで人はひっくり返る」

 

「そうだよ、自分を変えたいんだろう?だったら私の言うことを聞くんだ。」

 

 そして夜が明けた。

 

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「ふわああああああーーー!!!よく寝た…」

 

 拓実が起きて大きな欠伸をしたのちにテレビを見ていると唖然としていた。するとデジヴァイスから通信が入った。

 

「大変だ拓実!今東京の一帯で人の次々と倒れたり変になってるんだって!

 

 しかも石とか招き猫とか信号が突然喋り出してるみたい!」

 

「なんじゃそりゃ!」

 

 すると二課から連絡が入った。

 

 

 拓実が二課の本部に入ると光景に唖然とした。

 

「だ、か、ら!あたしが先輩になってんだよ!」

 

「ええ〜!私とか枕だよ!?」

 

「私は響だけど…」

 

 拓実が見たのは荒っぽく喋る翼と枕、そして持ち落ち着いた口調で喋る喋る響の姿だった。

 

「おお…そうなのか。」

 

 弦十郎や二課の職員たちは平気だった。

 

「これはデジモンの仕業に違いないぞ、弦十郎。」

 

 弦十郎の肩からクダモンが現れた。ロードナイトモンはクダモンが復帰したことでデジタルワールドに帰還したのだ。

 

「うむ。現に翼もクリスくんと入れ替わってしまったしな。」

 

「まさか私が雪音と入れ替わるなんて…」

 

クリスがいつもと違う沈着な口調であたりを見回していた。

 

「ええっと、クリス?翼さん?」

 

「「なんだ?」」

 

「ダメダコリャ!」

 

 拓実が呆れてしまった。

 

「ま、とにかく状況整理をしましょう司令。

 

 入れ替わるときになんかしらのエネルギーとか探知はしたんですか?」

 

「それなら、数時間前に謎のエネルギー波がリディアンの近くで探知されていたんだ。けどすぐに消えたんだ。」

 

「何かあるとしたらそこかもね。」

 

 藤堯と友里がモニターに円形の図を見せた。

 

「これは?」

 

 クリス(中身は翼)がモニターを見て立ち上がった。

 

「赤いですね!」

 

 中身が響の枕が跳ねた。

 

「ちょっと響!?」

 

 中身が未来の響が押さえつけた。

 

「未来〜痛いよお…」

 

「ごめん…」

 

「これはエネルギーの拡散した範囲を示すんだけど、日に日にこの範囲は拡大する恐れがあるんだ。けど、この中には一つだけ分かったことがあるんだ。」

 

 藤堯が図を拡大した。

 

「これは一体?」

 

「実はここ数日僅かながらエネルギー波が発生しているんだがどれもこの拡大したエリアで起こってるんだ。このエリアの中に首謀者がいるのかもしれない。」

 

「現状この辺りの探索を進めるしかないな。」

 

 その後拓実たちが探索を始めた。

 

____________________

 

「どうです翼さん?」

 

「ああん!?私は先輩だぞ?」

 

「悪いクリスだったか…」

 

「ああ!訳わかんねえ!一体何がしたいんだよ!こんな意味のねえことしてよ〜!」

 

「わからない。どうして俺や二課の人たちはクリスたち同様入れ替わらなかったんだ?」

 

「言われてみればそうだな。もしデジモンの仕業なら拓実やオッさんたちだって入れ替わってもおかしくない。」

 

 クリスも顎に手を当てて考え始めた。

 

「危ない!」

 

 するとカートのようなものが拓実の頭にぶつかった。

 

「あん?ぐわっ!!」

 

「おい大丈夫か!?」

 

「すみません!私がしっかりしなかったばっかりに!」

 

 カートが喋り出すと少女がが荷台から転がった。

 

「ベタモン!」

 

「おう!」

 

 頭をさすりながらベタモンがなんとか少女を受け止めた。

 

「この人ってまさか…!」

 

乙 レイ(きのと れい )、それが私の名前です。昨日の夜バイトして帰ると突然カートと入れ替わってしまったんです。こんなうら若き学生がカートなんて…うう…」

 

「マジかよ…」

 

 クリスが唖然としていた。

 

「どうしてこんなことに…うう…」

 

 レイが泣いていると拓実が立ち上がった。

 

「大丈夫ですって!俺たちがなんとかしますから!」

 

「え?」

 

「だから、少しだけ待っててください。」

 

「はい!それでは気をつけて!」

 

 カートが走り去っていった。

 

「おまえ…あの子があたしよりいいから、いいカッコしたかったんだろ?」

 

「んな訳あるか!それより真相がわかったぜ。立花さんたちに連絡だ。」

 

「はあっ!?」

 

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 一方、中身は翼のクリスと中身は未来の響が街を歩いていた。

 

「ワンワン!!」

 

「ニャーお…」

 

「誰か助けてくれ〜!」

 

 街中では人が犬や猫の真似をして電柱や車が人の言葉を話していた。

 

「小日向、どうやら街の人々も全員は入れ替わってはいないようだな。」

 

「はい…けどどうしてでしょう?」

 

「うん?」

 

 クリス(中身は翼)が振り返った。

 

「だってこの街はビルとかが多いですけどそれに反して被害にあった人が少ない。

 

 それに朝になってその症状が見られるっていうのには違和感を覚えるくらいです。」

 

「ふむ…そうだな。考えられるとしたらやはりなんらかのプログラムによるものなのかもしれんな。小日向の言う違和感はきっとそれによるものだろう。」

 

 その時2人の通信機が鳴った。

 

「翼さん、立花さん、未来さん!分かりましたよ!今回の事件の謎が!」

 

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 数時間後、とあるビル街にメタルファントモンが現れた。

 

「今日はイーケブクロとシンジュークにシブーヤを狂わせてやる!」

 

 ローブを纏った人が灰色のデジヴァイスを構えた。

 

「そこまでだ!」

 

 その時、ドアが開かれた未来たちが入ってきた。

 

「何い!?どうしてバレたし…」

 

 メタルファントモンが鎌を振るのをやめた。

 

「簡単なことさ!」

 

「本当に戻れるのか?水琴?」

 

「ええ!クリス、じゃなくて翼さん!

 

 俺の予想が間違いないなら、こいつの能力はきっと時間が限られてるんだ!

 

 こいつはまず朝になったら魂が入れ替わるように仕組んでいたんだ。けど俺や二課の人たちのようにその能力を受けなかったのは地下あるいは建物の中にいたからだ!」

 

「どういうことです?」

 

「つまり、メタルファントモンの能力は地下とか建物の中には届かないってことだろ?」

 

 クリスが拓実に確認した。

 

「そうだ!翼さんたちから聞いたけど一部の人たちは入れ替わってないのは能力が届かない地下もしくは建物にいた可能性がある!この場所は地下鉄とかが走ってるしな!それに幸いオフィス街だ。被害のが少ないのは単純にビルが多いからってことだ」

 

「そんなことまで…」

 

 デジヴァイスを持っていた少女は狼狽した。

 

「そしてその犯人はあんただったのか!

 

 乙 レイさん!」

 

 デジヴァイスを持っていた少女が仮面を外した。

 

「気づかれちゃったみたいね。」

 

「どうしてこんなことを!」

 

「別に…ただ変わりたかった。それだけよ。

 

 わたしは人からそれほどいい印象を持たれなかった。だから、必死に努力してきたの。けれどテレビに映るのはいっつも眩しい人ばかり!あなたのようにね、風鳴 翼!そしてある時私はこのデジヴァイスを授かった。そしたらメタルファントモンがいい考えがあるって言ってた。わたしはこれで変わってみせる!明日の自分へ!」

 

 レイがデジヴァイスを掲げた。

 

「メタルファントモン!」

 

「はいよ!」

 

 メタルファントモンが鎌を構えた。

 

「行くぞ!Imyuteus amenohabakiri tron」

 

 聖詠を唱えた翼だったが、反応しなかった。

 

「なぜだ!?」

 

「あほ!私の体だから当然だろ!?」

 

「2人なんかまだいいよ!私なんて枕だよ!?」

 

「だったら、雪音!これを!入れ替わってるなら聖遺物のペンダントを交換すれば!」

 

「そうは行くか!ソウルプレデター!」

 

 メタルファントモンがエネルギー波を起こした。

 

「ピヨモン!」

 

 未来がデジヴァイスを構えた。

 

「ピヨモン進化!!バードラモン!

 

 バードラモン超進化!!ガルダモン!」

 

 ガルダモンが攻撃から翼とクリスを守った。

 

「おのれ…!」

 

 メタルファントモンが後方に下がるとガルダモンが追いかけ始めた。

 

「レイさん!もうやめてください!」

 

「やめられないわ。私は一生そのままになっちゃう…」

 

 レイは虚ろな目で響たちを見た。

 

「みんな変になればきっと…」

 

「いい加減にしろ!お前1人の我儘が通用するものか!」

 

 クリス(中身は翼)が叱責した。

 

「うるさい!あなたみたいな眩しい人には日陰者のことなんて…!」

 

「私は目立つことなど考えてはいない!ただ夢のために歌うだけだ!」

 

「え?」

 

 翼たちと乙が向かい合う中でガルダモンはメタルファントモンを捉えていた。

 

「すばしっこいんだよ!邪魔をするな!ソウルプレデター!」

 

 ガルダモンはメタルファントモンの攻撃を受けて体勢を崩した。

 

「まだまだ〜!」

 

「ガルダモン!立って!みんなを助けよう!響を枕から元の響に!!」

 

 すると未来のデジヴァイスが輝いた。

 

「これは!」

 

「ガルダモン究極進化あああああああああーーーー!!!!ホウオウモン!」

 

 ガルダモンが光に包まれ黄金のホウオウへと進化した。

 

「ホウオウモン?」

 

「少し進化したくらいで!行け!メタルファントモン!」

 

「あいよ!グレイブスクリーム!」

 

 メタルファントモンが今回の入れ替わり大騒動の元凶となったグレイブスクリームを放ったがホウオウモンには通じなかった。

 

「この2つのホーリーリングには不浄な力などは通用しない!」

 

「馬鹿な!?」

 

「ホウオウモン!行っちゃええええええ!!」

 

「スターライト…」

 

「おのれ!グレイブ…!」

 

「エクスプロージョン!!」

 

 4枚の黄金の羽から粒子が降り注いだ。

 

「ぎゃああああああああーーーーー!!!!!」

 

 メタルファントモンは消滅した。

 

 すると町中から魂が溢れ出た。そして魂たちはみな元の場所に戻って行った。

 

「そんな…」

 

 メタルファントモンが倒れるとレイは気絶した。

 

「おい!しっかりしろ!おい!」

 

 元に戻った翼が気絶したレイを助け起した。

 

「あなたは…翼さん?あれ?私は一体?」

 

「覚えてないのか?」

 

「はい…でも、私って変わりたかったんです。本当はあなたみたいに。」

 

「なんかさっきと変わってないか?」

 

 拓実が変容っぷりに疑問を抱いていた。

 

「たぶん、メタルファントモンが操ってたんだろうな。乙、無理に変わろうとするな。己を偽った結果大変なことをしでかしたものを私は知っている。」

 

「はい!」

 

 

 

 翌日、無事元に戻った響たちはテストを迎えることになった。

 

「うん?あれって…」

 

「どうかした?拓実?」

 

「いいやベタモン。何でもない。」

 

 そして拓実は地下鉄の駅で彼女らしき女性を見かけたという。

 




入れ替わりネタは必ずと言っていいほど作品に出たりするネタですが人以外のものに憑依したっていう話はあまり聞かないので今回の話を書きました。人間が枕と入れ替わるとか地味にシュールでしょう?
では、あとがきどうぞ。

「私にも究極体が追加されたよ未来!」

「よかったね、ピヨモン。」

(でも今回なんで進化できたのかしら?まあいいか。響と一緒にまた寝れるしね。でも、響が枕なのもいいかも…)

第47回 ピヨモン、未来(in自宅)

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