戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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前回、奏さんがお亡くなりになりましたがここから響のターンです。

タイトルでパートナーを察しましたが、393のパートナーもいるので誰かはお楽しみです!


第4話 衝撃の出会い!グレイモン爆誕!

 現在__

 

「以上がこの2年に起こった出来事です」

 

 クダモンとハックモン、ドゥフトモンはロイヤルナイツとイグドラシルに報告した。

 

「人間界も人間界で、ノイズという敵に加え、暴走デジモンが悪しき人間に操られるという事態になってしまいました」

 

 2年前、ネフシュタンの起動実験が失敗したため、多くの人々が恐怖や怒り、悲しみといった負の感情によりデジモンを操る力が発現してしまい二課はノイズ以外に強力になった暴走デジモンの対処に追われていた。

 

「そうですか。先程ガンクゥモンとエグザモンからの報告を受けたのですが、先程7大魔王 憤怒デーモンからの刺客が人間界に送られたようです」

 

「何ですと!? となると奴らは既に……!」

 

「とはいえ、復活には時間がかかるそうですので対策を検討しておくよう伝えてください。今の所そちらはどうなっていますか?」

 

 イグドラシルがドゥフトモンとハックモンに尋ねた。

 

「はい、人間たちの言う国連にて各国の連携を取ろうとはしていますが、我々と同じかそれ以上に複雑な事情があり進捗は著しくありません」

 

 ドゥフトモンは各国政府とデジモンの間で暴走デジモンを止めようとするのに躍起になっていた。ところが、一部の国家が利益を優先したり機密を安易に公開しないため滞っていた。

 

「とはいえ、デジヴァイスに選ばれた人々は暴走デジモンの数を減らしています。デジメモリのおかげでデジタマが新しくデジタルワールドで孵化しても以前のように暴走する兆しはありません」

 

 ハックモンは暴走デジモンが誕生したのはデジタマにウイルスプログラムが紛れており進化するとそれが体を蝕み、やがて暴走するシステムであると知り、その対策としてデジタマの一部からデジモンのデータを集め人間界で保管することにしたのだ。

 

 

 

 私立リディアン音楽院の教室では1人の教師が生徒を叱っていた。

 

「立花さん! また遅刻ですか!?」

「ええっと……すみません」

 

 立花 響は江東区の海を眺められる高台に位置するリディアン音楽院に親友の未来と一緒に入学した。しかし、華々しい学校生活はあっという間に滑り出し状態で始まった。

 

「この子が木に登ったまま降りられなくなって……きっと、お腹が空いてたのかなあ……って思ったんです」

 

 響は必死に弁明をしたが、教師の剣幕を受けた。

 

「立花さん!」

 

 教師の顔を近づけながらの剣幕を浴びた響は1日を終えた。

 

「ふああああ!!! 疲れたあああ!! 入学初日からクライマックスが100連発気分だよ〜!」

 

「もうちょっとしっかりしないとなんじゃない、響?」

 

「そうはいってもねえ、アグモン〜! 私って呪われてるんだよぉ……」

 

 自分の部屋で大の字になっていると未来が入ってきた。

 

「半分はドジだけど、もう半分はお節介でしょ?」

 

「そうそう、御節介な響が未来は大好きだしね〜!」

 

 ピヨモンが後ろからきた。

 

「こら、ピヨモン! そんなこと言わないの!」

 

「もう、人助けと言ってよ未来〜!」

 

「そうそう、響の趣味なんだよ。度が過ぎてるけど……」

 

 アグモンも未来を見て言った。実際、響は今日も同じクラスの生徒に自分の教科書を貸すと言う普通ならまずしないこともやってのけたのだ。本人曰く、「私は未来のを見せてもらうもーん!」と言う感じだった。ちなみに未来はそう言うのは満更でもないようだ。そしてパソコンの前にあったチラシを手に取った。

 

「そういえば明日だったね。CD発売日ってさ」

 

 アグモンはテクテク響に近づいた。

 

「やっぱかっこいいな〜翼さん!」

 

 何を隠そう響は翼に憧れリディアンに進学したのだ。とはいえ、本人の影すら見えないと言うが、本人の本当の目的は2年前について聞くことにあった。

 

あの時何が起こったのかや自分の知る天羽 奏と風鳴 翼、デジモンたちがなぜか戦っていたと言う事実を聞くためでもある。

 

 そんなことを頭に浮かべながら、夜食を取り、未来と同じベットで響は眠った。

 

 

 

 一方、東京から離れた三角地帯の小屋にて自衛隊がノイズに暴走デジモンでもあるユニモンの対処に追われていた。彼らも必死に攻撃を放つがノイズは通常攻撃を通過してまっすぐ歩いていた。

 

「やはり、通常兵器は効かないのか!?」

 

「いいえ! デジモンには効いています!遅くなりました!!」

 

 作戦本部のようなところに拓実が入って来た。

 

「すまない、拓実くん! いつも助かるよ!」

 

 自衛隊が拓実を本部のテントに入れた。

 

「いえいえ! 僕は未来の防人ですから。さあ、守りましょう皆さん!」

 

 デジヴァイスを構えると自衛隊の銃撃部隊にシードラモンが現れた。

 

「シードラモン出現! 各員、シードラモンを援護せよ!」

 

 それと同時に詠も響いた。

 

「歌? なのか!?」

 

「来ましたか、ヘリで来るとはねえ……」

 

(以下、絶刀・天羽々斬を流しながら読むのを勧めます)

 

 天羽々斬をまとった翼が降り立った。

 

「翼、まずはシードラモンとともに敵の動きの様子を見るんだ!」

 

「いえ、私1人で十分です」

 

「ちょっ!? 俺ら足手まといですか? そりゃないですって、とりあえず俺らが…」

 

 拓実が話すのを遮り翼はノイズとユニモンに向かって行った。

 

「去りなさい! 無双に猛る炎!」

 

 翼は足を刃にして、コマのように回転しながらノイズを切り裂いた。

 

 <逆羅刹>

 

「あーもう!シードラモン、アイスアローを!」

 

「おう! アイスアロー!」

 

 シードラモンもアイスアローでノイズとユニモンを攻撃したが、ユニモンは空を飛ぶため決定打は与えられなかった。

 

「まだだ!」

 

 自衛隊の一斉攻撃でユニモンは怯み出した。

 

「ありがとうございます! もう一発だ。シードラモン!」

 

「アイスアロー!」

 

 今度こそ攻撃を受けたユニモンは撃ち落とされ、デジタマに戻った。

 そして翼は空中にジャンプし足元からノイズを切り裂いた。

 

 <蒼ノ一閃>

 

 ノイズは真っ二つにされ、倒された。

 

「よしっ!」

 

 戦いは終わった。

 

「大丈夫ですか翼さ…」

 

 拓実の言葉を無視して翼はそのまま去って行った。

 

「翼さん……」

 

 拓実が心配そうなまなざしを向けた。

 

 

 

 翌日、響は翼と運命的(?)な出会いをするもあっさり翼にスルーされて学校を終えた。

 

「そういえば、CDはどうしたの?」

 

 響はアグモンを連れて街に出た。しかし、街はすぐに静まり返った。

 

「ノイズ……!」

 

 そしてすぐに小さな少女の悲鳴を聞いた響は少女を連れてノイズから逃げ出した。

 

「邪魔するな! ベビーフレイム!」

 

 ノイズたちにダメージを与え数体を倒したものの、ノイズ集団に大して効果はなく2人と1匹は危機に陥った。

 

「そうだ! 捕まってて!」

 

 響は近くの下水道に飛び込み、ノイズとの距離を放した。

 

「ありがとう、お姉ちゃん!」

 

「うん、さあ逃げよう!」

 

 2人はビルの屋上のようなものに避難し安堵した。そして背後を振り返るとそこにはノイズの大群が迫っていた。

 

 

 

 同じ頃、拓実も駅前のフラワーというお店でバイトを始めたのだが初日でノイズの被害を受け臨時閉店することになった。

 

「チッキショー! なんでノイズが2日連続で来るのかねえ〜!」

 

 現場に急いで駆けつけた拓実はシードラモンでノイズたちをあっという間に一掃した。

 

「こちら、拓実。このあたりは一掃しました」

 

「そうか。そのまま数キロメートル先にもノイズの大群が探知されているんだ。すぐに向かってくれ!」

 

「はい! 行くぞ、シードラモン!」

 

 その時、バイクが現れた。

 

「乗れ! 水琴!」

 

 翼が運転していた。

 

「そいつはどうも……お言葉に甘えて」

 

 翼のバイクに乗って2人は響のいる周辺にたどり着いた。その響はというと絶体絶命の状況だった。迫り来るノイズを前に少女は泣いてしまっていた。

 

(私にだって……! きっと何かができるはず! きっと何かが!)

 

「生きるのを諦めないで!」

 

 その時、ふと響に奏の歌っていた詠を口ずさんだ。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

 すると響から大量の機械が飛び出してきた。

 

「どうしたの、響?」

 

 響はひたすら苦しむだけだった。司令室にもこの情報は届き、解析していた。

 

「これって……アウフヴァッヘン波形!?」

 

 了子が唖然とする中、波形の正体がモニターに移され、そこにはGUNGNIRと表示された。

 

「ガングニールだとッ!?」

 

 その通信を聞いた翼と拓実も驚いた。

 

「翼さん! 今のって……! マジですか!?」

 

「そんなわけない……」

 

(そんなわけない……だってそれは、奏の……!)

 

 そして響はガングニールを纏った。

 

「この詠……僕に力を……!」

 

 今度は響のデジヴァイスがオレンジ色に光り出した。

 

「アグモン進化あああああああ!!!」

 

 アグモンが光に包まれた。そして光の中からオレンジ色の巨大な恐竜型のデジモンが現れた。

 

(以下、激槍 ガングニールを聴きながら読むのを勧めます)

 

「グレイモン!」

 

「ええ!? なんで? 私どうなっちゃったの!? アグモンも変になったし!」

 

「進化だよ、響! 奴らが来る!」

 

 その様子を少女が見ていた。

 

「お姉ちゃんと恐竜さん……かっこいい!」

 

 響は少女を抱き寄せた。

 

「絶対……放さない。この繋いだ手は! こんなにほら、あったかいんだ。人の作る温もりは!」

 

 響が歌い出すとグレイモンもノイズを薙ぎ払った。グレイモンにノイズは次々と倒されて行った。

 

(今わかるのはこの子を助けなくっちゃなんだ!)

 

 ノイズをグレイモンに任せた響は屋上から飛び降りた。そして、床に着地したが少女と響自身は怪我をしなかった。しかし、ノイズの攻撃を避けるのが手一杯で攻撃出来ずにいた。

 

「その子を連れて安全なところへ!」

 

 シードラモンに乗った拓実が現れた。そしてノイズをバイクで跳ねながら翼は飛び上がった。

 

「高そうなバイクでも使い捨てかよ。全く……」

 

 拓実は少々呆れていたが、翼は聖詠を唱えた。

 

「危ないから下がりなさい!」

 

 走り出した翼は蒼ノ一閃でノイズを倒した。すると、上空からギザモンとサイクロモンが襲ってきた。

 

「ぎしゃあああああ──ー!!!」

 

「ぐをおおおんんん──ー!!!」

 

「ったく! ちょっとは空気を読みやがれ!」

 

 拓実はデジメモリを挿入した。

 

 <メラモン! デジメモリオン! >

 

「バーニングフィスト!」

 

 メラモンが現れ、一撃でギザモンを倒した。

 

 <シェルモン! デジメモリオン! >

 

「ハイドロプレッシャー!」

 

 サイクロモンは水流で吹き飛ばされたのをシードラモンが足止めされた。

 

「ええっと、あんた!今がチャンスだ!パートナーになんか命令を!」

 

「そんなこと言われても!」

 

 響が狼狽えた。

 

「ガンバって! お姉ちゃん!」

 

 少女が励ました。

 

「グレイモン、やっちゃえ!」

 

「うん! メガフレイム!」

 

 シードラモンが離脱し、サイクロモンはメガフレイムを正面から受け、デジタマに戻った。

 

「すごい……」

 

 響はその様子を見ているだけだった。

 

「やったな!」

 

拓実がガッツポーズを浮かべるも響は状況が飲み込めずにあははと笑うことしかできない。

 

 そしてしばらくすると、あたりは事後処理に入った。

 

「ママ!」

 

「無事だったのね!」

 

「良かったな、お母さんに会えて!」

 

「ありがとうございます!」

 

「いえいえ! 僕の仕事ですので!」

 

 すぐに母と娘に二課のメンバーが機密保護の確認の説明を聞く中、響はぽかんとしながら突っ立っていた。

 

「あったかいもの、どうぞ」

 

 二課の隊員がコーヒーを渡した。

 

「あったかいもの、どうも」

 

 ホッと一息つくと響は変身が解け倒れてしまいそうになった。しかし、翼がそれを受け止めた。

 

「ありがとうございます! 実は翼さんに助けられるの、これで2回目なんです!」

 

「2回目……?」

 

「あああ、道理で見覚えがあるかと思ったが君はあの時の……」

 

「ええっと、どちら様でしたっけ?」

 

「おいっ!!」

 

「それより、私も帰らないと……」

 

 すると黒服が響を取り囲んだ。

 

「このパターンか、すごいデジャブだ……」

 

 拓実もやれやれと言いながら車に乗った。

 

「あなたをこのまま帰すわけにはいきません。特異災害対策起動部二課にどうこうしてもらいます」

 

 響は手錠をかけられた。

 

「ごめんなさい」

 

「なんでこうなるのおおおおおお!!!」

 

 車の中では拓実が笑うのをこらえていた。

 

(ダメだ……さっきの人のリアクション完全に2年前の俺だ……!)

 

 拓実も本部に向かった。かつての自分と同じリアクションをとった恥ずかしさと共に……




「ふう、落ち着いた。完全あの人のリアクション俺だよなあ…」
「もしかして恥ずかしいの?」
「あったりまえだろ!?あんなリアクションしてたんだぞ!?そりゃ恥ずかしくなるって…!」
第5回 拓実、ベタモン(in 自宅)

追記:ピヨモンのイメージCVは重松 花鳥さんでお願いします。

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