戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
フロンティア浮上から数分後、二課本部で調と爽谷は手錠にかけられていた。
「すみませんが、これは没収させていただきます。」
ギアのペンダントと黄緑のデジヴァイスを没収された2人は特に抵抗もしなかった。ただ、調が仲間を止めて欲しいとだけ言っていた。それを弦十郎に報告し、二課は初めてFIS側の事情を知ることになった。
「これがフロンティアだと!?」
その場にはいち早く応急処置を終えた拓実もいた。
「こんなどデカイのが奴らの目的だったのか…こんなので本当に月の災厄を守る気があんのかよFISの連中は」
「さあな。しかし、何か良からぬことの前触れでないといいんだが…」
すると外務省の斯波田事務次官が二課に連絡して来た。彼らはアメリカ政府の艦艇がフロンティアに向かっていることからフロンティアに移住し、自分たちが助かろうとしているのでは?ということを弦十郎たちに伝えた。そばを食べながらだが。
(あの人…斯波田だからそばが好きってわけじゃないよなあ…たぶん)
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ここは二課の医務室___神獣鏡のギアを纏った未来が目を覚ますと、ピヨモンと響と翼に友里、カメモンが入って来た。
「「未来ーーーー!!!」」
ピヨモンと響が未来を抱きしめた。しかし、翼は頭に包帯を巻いていた。
「小日向の容態は大丈夫なんですか?」
友里が首を縦に振った。
「ええ、どこにも異常はないわ。」
しかし、未来には響の頬が見えてしまった。
「ごめんね…響」
それは自分が響を傷つけたという事実があることを意味するわけだが響は嬉しそうな表情で微笑んだ。
「ううん!未来のおかげで私は助かったの!ありがとう!」
「え?」
「カメモン、お願い。」
友里によりカメモンが響のレントゲンをモニターに表示した。そこにはガングニールの侵食の跡が綺麗さっぱり無くなっていた。
「あのギアには聖遺物の力を消し去ってしまう光があるの。それのおかげで未来ちゃんのギアはもちろん、響ちゃんのガングニールも消滅できたの。だから、もう死ぬことはないわ。」
(よかった!でも、それってつまり…!)
未来の思う通り、ギアの消滅は響自身がもうガングニールを纏って戦うことは出来ないことを意味している。
「案ずるな、例え立花が戦えずとも私と水琴がいる。あの者とは立花が来るまで戦って来た友だ。」
「え?クリスは?」
未来が響に尋ねるが、とても裏切ったなどとはいえなかったのだ。そんな中で翼はクリスの行為に一部違和感を覚えていた。友里曰く、翼の傷は寸前のところでかわされていたという。
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一方、拓実は爽谷の部屋にいた。
「よっ、大丈夫か?」
拓実が部屋からひょこっと顔を出した。
「あなたか…」
爽谷も拓実も包帯や湿布を貼っていた。
「お互い派手にやりあったが今、どんな気分だ?」
「さあね…けど、不思議と軽くなった気分だ。何故か、救われたよ…」
爽谷が笑顔を浮かべた。
「そうかい、でお前は何したい?」
「昔の少年マンガ的にいうと"昨日の敵は今日の友"ってことかい?」
「それ、俺のセリフ!」
2人は笑いあっていた。
「そうだね。僕は家族を守りたいかな。
今、うちは分かりやすく言えば家庭崩壊してる。」
爽谷が俯いた。
「よし、わかった。俺らがなんとかする。俺らの仲間も1人そっちにお世話になってるわけだからどうにか連れ戻したいんだ。俺と一緒に戦ってくれないか?」
「そう来たか…
けど、調がどう思うか。彼女は立花 響を偽善と言った。彼女が行くなら僕も必ず行く。」
「そうか、待ってるぜ。」
そして拓実は部屋を出た。
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一方、FIS側はすでに上陸していた。クリスはあの時翼を攻撃したのを証明として二課を裏切ったのだ。その時、彼女は切歌に対してこれ以上の争いを止めるのは力しかないということを伝え認めさせた。
「こんなのが海底に沈んでたとはな…」
しかし、マリア自体はクリスを信用してはいなかったのに対して
「怪しいなら後ろから攻撃すりゃいいだろ?違うか?なんならあたしのデジヴァイスもやろうか?」
と、クリスは言った。
「もちろん。とはいえ、そんなのよりももっと素晴らしいものがありますよ。取って置きの切り札がね…」
そうこう言っているうちに一行はフロンティアの一室にたどり着いた。そこはジェネレータールームで、フロンティアの起動に関わる部屋だった。そこでウェル博士はネフィリムの心臓を動力に取り込んだ。
あたりが眩い輝きに包まれる中、ウェル博士は満足そうに笑み、切歌は調に言われたことを思い返していた。
(違う!ドクターのやり方__フロンティアでないと誰も救えない!調だって…救えないんデス!)
「ふん、心の臓となってもなお喰らうとはな…わしよりもいい食いっぷりのようだな。」
その時、宝玉から声が響いた。
「何者!」
マリアが身構えた。
「わしはこの男の願いを叶える存在だ。文句でもあるのか?」
「いえ…」
「それでは、ナスターシャ教授。僕とマリアはブリッジへと向かいますね。制御室でフロンティアの面倒をしっかり見てくださいね。」
「分かりました…」
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マリアとウェル博士の2人がブリッジに着くと、ウェル博士が懐から取り出したLiNKERを腕に打ち込んだ。すると肌がみるみるネフィリムの体色に酷似したものとなった。
「それは?」
「ヒヒヒ…ネフィリムの細胞サンプルから生成したものです。」
そのまま球体に触れた彼は艦隊が迫るのを見て悪そうに笑い始めた。
「ちょっとくらい動かしたいなあ〜!動かしても構いませんよねえ…マリア〜?」
「え?」
マリアが唖然とする中、ナスターシャはフロンティアは先史文明期に飛来したカストディアンの遺産でありそこから月の落下に対抗する手段を模索していた。
「ひとつにつながることでフロンティアのエネルギー状況が伝わるなあ…ああ〜いきり立つぅ!」
「待ちなさい!早すぎます!ドクター!」
ナスターシャの制止を振り切ったウェル博士により光を放ったフロンティアが大きな手を形成し、一気に宇宙空間へと伸び月を叩き落とした。
「どっこいしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーー!!!!!」
それによりフロンティアが浮上し、宙へ浮いた。
しかし、彼にとって誤算だったのは二課の潜水艦まで浮上したことである。他の艦艇も攻撃を仕掛けるが、まるでフロンティアには通じず、重力操作で艦艇を次々に圧縮させて破壊させた。
「楽しすぎてメガネがずり落ちてしまいそうだあ〜!」
(本当に…これが人類を救えるの?)
するとモニターに黒い影が映った。
「マリアーーーーーーーーー!!!マリアーーーーーーーーーーーー!!!!!」
それはブラックウォーグレイモンだった。ひたすらガイアフォースを怒りのままに撃ち込むのがウェル博士に見えた。
「邪魔なやつだ!行け!フロンティアを壊されてたまるか!」
すると宝玉が宙を舞い、超スピードでブラックウォーグレイモンの近くに現れた。現れたのは長大な体をした魔王型のデジモンだった。
「ようやく復活の時が来たか!実に長かったぞ!」
二課にもその様子は知れ渡っていた。
「バカな!?リヴァイアモンが現れるとは…」
ロードナイトモンが絶句した。
「あれが、魔王…!」
「なんて悍ましいの…」
藤堯と友里もその姿に慄いていた。
「やはりお前だったか!リヴァイアモン!」
「ハッ、貴様のような小虫に覚えてもらってもまるで嬉しくないな!」
「そこをどけ!ガイアフォース!」
負のエネルギーを込めたガイアフォースがリヴァイアモン目掛けて飛んで行った。
「カウダ!」
しかし、リヴァイアモンは尻尾を一振りしてそれをはじき返した。
「ふん、小虫が…わざとはこういう使い方をするのだ!ロストルム!」
リヴァイアモンが顎を開き、思い切り閉じた。それにより、周囲の陸が完全に削られてしまった。
「くっ!なんてパワーだ!強すぎる!」
それを見たウェル博士はマリアの横でバカ笑いを始めた。
「やったあ〜!ついに、ついに手に入れた!手に入れたぞ!
全てを蹂躙する力を!これで僕も英雄だ〜!この星の"ラストアクションヒーロー"だあ〜!ヒャハハハハハハ!!」
そして冷静になったウェル博士はマリアを見た。
「そうそう、月の落下も早めときましたよ。」
悪びれず言ったウェルの言葉でマリアは球体に触れた。
「そんな、早すぎるわ!まだ、色々な準備が終わっていないというのに!人類が滅亡してしまうわ!」
しかし、端末を制御できるのはウェル博士だけでマリアがいくら触ってもなんの意味もなかった。
「LiNKERがある限り僕に制御権があるんですよ〜」
マリアが歯ぎしりしながらウェル博士をにらんだ。
「それに、人類は滅亡しませんよ。
"僕が生きている"限りね。これこそが僕の提唱する一番確実な人類の救済方法です!」
「そんなことのために私は悪になったのではない!」
マリアは激怒してウェル博士を止めようとするが、彼女はギアで人を殺すこと自体に抵抗を覚えていたためギアを纏わずそのままウェル博士の裏拳を受け、倒れた。
「ダメな女だなあ〜!」
ウェル博士がマリアを指差して、嘲笑した。
しかも仮に彼に手をかけてもフロンティアを制御できずに何れにせよ人類の滅亡は避けられないこともある。そしてウェル博士はマリアにトドメと言わんばかりにフィーネ気取りの時を思い出して泣いていろとだけ罵った。
「うう…セレナぁ…私は…」
「好きなだけ泣いててください。帰ったら…僅かに残った人類をどう殖やしていくか考えましょう。」
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その頃、東京では残された人々がフロンティア浮上の様子をモニター越しで見ていた。しかし、中継用ヘリもフロンティアの重力操作で破壊されてしまった。
「テラジ、これって…」
「ええ、立花さんが…」
「関係したりして!」
「うん、でもってとんでもないことが起こるんじゃ…」
安藤たちも響と行方不明になった未来を心配していた。
「雪音さん…」
近くの家電量販店でもクリスのクラスメイトの五代、綾野、鏑木、根方はここ数日休んでいる雪音はこの事件を知っているのか心配だった。
クリスの家にいっても本人は外出中で行き先も彼女たちには伝えられていなかったのだ。その近くではマミーモンこと真水が絶句していた。
「どうなってんだ?あのテレビの場所からすげえイヤな感じがしたぜ。どうなってんだよ!」
世界中の人々はこれから未曾有の危機に陥ることを知る由はなかった。
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そして、二課も翼が先陣を切ってフロンティアを攻撃する手筈になった。
「翼さん!」
「フッ、案ずるな立花。1人でステージに上がるのは慣れた身だ。行くわよ、ファルコモン。」
「うん!」
「俺も行くぜ!俺たちが終わらせてやるんだ!」
そして翼はバイクに乗りながらギアを纏った。
「任せたぞ、水琴!」
<エアドラモン!デジメモリオン!>
「気をつけて、翼さん!」
「Imyuteus amenohabakiri tron」
そしてデジヴァイスを構えた。
「ファルコモン進化!ペックモン!」
翼はバイクに乗ったまま、立ち塞がるノイズたちを打ち倒していった。
<騎馬ノ一閃>
「苦無羽!」
ペックモンも羽で翼の前に立ち塞がろうとしたノイズを迎撃した。
「さすがは翼さん!」
友里が感心するが、現状二課の装者は翼1人で圧倒的に戦力の上ではFISが優勢だった。
「翼さん1人じゃないです!」
「ギアを纏えない響くんを戦わせはしないからな。」
「いいえ!戦うのは私じゃありません!」
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数分後、調と爽谷が解放された。
「まさか、こう来るとは…"青天の霹靂"とはこう言うのかな?」
「と言うか、捕虜に出動要請って…どこまで本気なの?」
「ああ!全くもってアメイジングでアンビリバボーだ!」
調が不審に思う中、響は優しく微笑んだ。
「頼んだよ、調ちゃん。当然全部に決まってるじゃない!」
「私は…あなたのそう言うところが好きじゃない。正しさを振りかざす偽善者のような所が…」
調が目をそらしたが、響は顔色ひとつ変えずに自分はしていることが正しいとは思っていないと告げた。響はライブの惨劇後に家族のためリハビリを頑張ったものの、世間からのパッシングで家族は暗い顔をしたままだった。だから、響は誰とも手が繋げなくなりたくないと決意し自分の気持ちだけは裏切らないのだと本心を明かした。
「手を…繋ぐ…」
「融合症例…いや、立花さん。ごめんなさい。僕が以前あなたを甘いと吐き捨てて、傷つけたことを…」
爽谷が頭を下げたが、次の瞬間調と爽谷の手をぎゅっと握った。
「え?えええーーーー!!」
「だから、2人は2人のしたいことをやり遂げて欲しい。もし、それが私たちと同じ目的なら…」
「分かってます。"力を貸してほしい"ですね?彼にも言われましたよ。」
爽谷は笑って響を見た。
「私のしたいこと…」
そして調はそっぽを向いて協力すると言った。しかし、彼女自身響に対して信じられるの?と言った。確かに調は響を一度偽善者と言ってしまったこともあった。
「敵だ味方とか言って子供のしたいことをなんもしてやれないなんざ大人的にカッコ悪くて敵わねえんだよ。」
弦十郎が調に聖遺物のペンダントを渡しながら言った。
「相変わらずなのね…」
「甘いのは分かってる。性分だ…?」
弦十郎には調の返した言葉に違和感を覚えつつも2人を出撃させた。
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(僕は今まで自分に目を背けてた。けど、今は何がしたいのかが分かる!僕がマリアさんたちを止める!)
そして爽谷はデジメモリを出した。
<テイルモン!アクィラモン!フュージョンレボリューション!ジョグレス!シルフィーモン!>
(心のモヤモヤが晴れたからいつもより力を感じる!溢れる!)
走り出したシルフィーモンから光が放たれた。
<シルフィーモン!ライズレボリューション!ヴァルキリモン!>
ヴァルキリモンに進化した爽谷はフロンティア中央へと向かった。
「では、弦十郎。そちらは任せた。」
「ああ!そっちも気いつけな!」
「わいらも行くで!」
「うん!」
二課の潜水艦本部の近くでリヴァイアモンが暴れているため、ロードナイトモン、テントモン、カメモンが迎撃に向かった。
「テントモンワープ進化!!!!」
「カメモンワープ進化!!!!」
「ヘラクルカブテリモン!」
「ジャンボカメモン!」
藤堯と友里のデジモンも究極体に進化し、ロードナイトモンと共にリヴァイアモンの迎撃に向かった。そしてモニターにはデジモンたちと調が映った。その背には戦えなくなった響がいた。
「響!?」
未来が驚く中、弦十郎は早く戻るように言った。
「響くんを戦わせる気はないぞ!」
「いいえ!戦いじゃないです!人助けです!」
響が調の背に掴まりながら反論した。
「減らず口のうまい映画など見せた覚えはないぞ!」
その横で未来がフフッと笑い、弦十郎に人助けは響の趣味だと言った。
「ハハハッ!だったら、子供にばっかいいカッコさせられないな!」
「ええ!そうですね!」
「我々にバックアップは任せてください!」
「私たちにできることをします!」
戦っているのは響たちではない。彼女たちを支える大人たちも戦っているのだ。
(予想の斜め上だな…!)
翼が笑いながら駆け抜けていた。
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一方、エアドラモンに乗って中央へと向かった拓実は運悪くブラックウォーグレイモンとリヴァイアモンの戦う場所に遭遇してしまった。
「人間か…わしの邪魔をするなら貴様も死ね!」
リヴァイアモンの攻撃を受けそうになった拓実だったがデジヴァイスを構えた。
「ベタモンワープ進化!!!」
ヴィジョンを通過したベタモンがリヴァイアモンの攻撃から拓実を救った。
「メタルシードラモン!」
「すまない!」
拓実も、高台に避難し戦いを見守っていた。
「なんだお前は!」
ブラックウォーグレイモンが攻撃を仕掛けようとしていた。
「敵じゃないんだ!待ってくれ!」
「うるさい!」
ブラックウォーグレイモンがメタルシードラモンを攻撃し始めた。
「なんだ?勝手に潰しあってくれるなら、しばらく眠らせてもらうぞ。」
リヴァイアモンのは欠伸を上げながら眠った。
「くそっ!魔王以前にこいつが相手か…!」
(奴は強い。俺じゃあ、いつまで粘れるかどうか…)
そう思いつつも拓実はデジメモリを取り出して挿入した。
<エクスブイモン!スティングモン!ジョグレス!パイルドラモン!>
エクスブイモンとスティングモンが現れ、すぐに光に包まれ、パイルドラモンにジョグレス進化した。
「デスペラードブラスター!」
腰からの連続射撃でブラックウォーグレイモンを攻撃するも黒いクロンデジゾイド製のボディにはまるで効果がなかった。
「アルティメットストリーム!」
メタルシードラモンもアルティメットストリームで攻撃した。
「ブラックトルネード!」
ブラックウォーグレイモンのブラックトルネードがアルティメットストリームを打ち消しダメージを与えた。
「やりやがる!翼さんのレイヴモンが苦戦させるのも納得だ。」
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翼もノイズを蹴散らし、響たちと合流するべく進むも遠距離からの攻撃でバイクが破壊されてしまった。
そこにメガドラモンとクリスが待ち構えていた。彼女の首にはネックレスのような機械が巻かれていた。
「誘い出されたか!そろそろ来る頃だと思ったぞ!雪音!」
翼がデジヴァイスを構えた。
「ペックモン超進化!!ヤタガラモン!」
一方、響たちも進んでいたが突然調が動きを止めた。その先には切歌とワームモンが立ち塞がった。
「ワームモン進化!!スティングモン!
スティングモン超進化!!ジュエルビーモン!」
「あれは!切歌ちゃん!?」
「Zeios igalima raizen tron」
光に包まれた切歌はギアを纏い、ジュエルビーモンと共に響たちと向かい合った。
「切ちゃん!」
「調…!どうしてもデスか!?」
「ドクターのやり方じゃあ、何も残らない!」
「ドクターのやり方でないと残せない!間に合わないんデス!」
アームドギアを構えた切歌と調の間に響がたった。
「やめようよ!落ち着いて話し合おうよ!」
「「戦場で何をバカなことを!」」
数ヶ月前の翼とクリス同様見事にハモった切歌と調であった。
「あなたは先に!あなたならきっと…!だから、胸の歌を…信じなさい。」
その言葉はかつてフィーネこと櫻井 了子が最期に遺した言葉でもある。それを聞いた響は走り出した。
「何考えてるんデスか!?あいつは調の嫌う偽善者なんデスよ!?」
「けど、彼女は自分を偽ってはいない!動きたくて動く彼女が羨ましくて仕方がない。だから、少しだけ信じてみたい!」
「そうだ!あいつは十分フェイスフル___信頼できるぜ!」
キャンドモンも説得したが、切歌は自分が生きていた証があるとしてこれを拒否した。
(ここから先はEdge Works of Goddess ZABABAを聴きながら読むのを勧めます)
「キャンドモン進化!!メラモン!
メラモン超進化!!デスメラモン!」
パートナーデジモンたちが戦闘を始めた中、切歌の切・呪リeッtオと調のγ式 卍火車がぶつかり合った。
「警告メロディー! 死神を呼ぶ 絶望の夢 Death13 レクイエムより鋭利なエレジー 恐怖へようこそ!」
背中のブースターで調との距離を一気に詰めようとした切歌だったか、調もシュルシャガナの鋸で迎撃しようと連続で放った。
<裏γ式 滅多卍切>
「DNAを教育してく エラー混じりのリアリズム 人形のようにお辞儀するだけモノクロの牢獄」
調の技で攻撃を防がれた切歌は鎌を二本にした。
「「この胸に…ぶつかる理由があるのなら!」」
切歌はブースターで二本にした鎌で調の守りを崩そうとし、調も切歌の攻撃を防ぐ事に専念していた。
「「だから(今すぐに just so now)そんな世界は(痛む間も無く) 切り刻んであげましょう」」
そして翼とクリスの戦いも調たちの横で始まり、今までと違いクリスもガトリングなどの遠距離攻撃からハンドガンを使っての近接格闘の面で翼と互角だった。
「甕布都ノ神!」
「ジェノサイドキャノン!」
デジモンたちも空中戦を展開していた。ヤタガラモンは大きい分、隙が大きいという欠点を狙ったメガドラモンに押されていた。
クリスも後方にジャンプして翼の斬撃をかわしながら、リロードを終え連続射撃で追い込んでいた。その様子をウェル博士が監視していた。
調と切歌、翼とクリスのそれぞれが火花を散らす中マリアはそれをみて泣き崩れていた。
「仲の良かった調と切歌が…私の選択はこんなことを望んではいなかったのに!」
「マリア」
ナスターシャがマリアにフロンティアを解析し月の落下を止める方法を発見したことを告げた。それはマリア自身の歌を世界中に届けることによってなされるということを聞いた。
「私の歌で!?」
「ええ。月はカストディアンによって生み出された人類の監視装置。故にもう一度月の機能を回復させれば落下は止められます。」
しかし、ナスターシャが吐血した。
「あなたの歌で…世界を救いなさい!」
そして、響もマリアのいる場所に向かっていった。
「胸の歌が、ある限り!」
「今思ったんだけどね、ピヨモン。」
「なあに?」
「奏者の歌ってさ…心象に思い描くものに由来してるんだよねえ?」
「うん!そうだけど、どうかした?」
「実は…あああああああああ!!!!」
(未来頭を抱えているしゃがむ)
「どうしたの未来!?」
「あああ!!あああーーー!!!あああああああああーーーーーー!!!!!」
(こんなに好きだよ 大好きだよってあれは私の心なんだ!!いやあああああああ!!!)
第42回 未来、ピヨモン(in二課本部)