戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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第46話 ガングニールVS神獣鏡!死の時間と生への機転!

 戦場はノイズで溢れ、クリスや他のパートナーデジモンたちはノイズを一掃していた。するとノイズにより炭素還元された亡骸を発見した。クリスが亡骸を見ると、その手には娘を抱きかかえた写真の入ったペンダントが握られていた。

 

(分かっている!あたしが背負わなきゃいけない十字架なんだ!)

 

「ムゲンドラモン!」

 

「どうしたんだ、クリス!」

 

「実は…!」

 

____________________

 

 あるところに2人の少女がいた。2人は長年の最高の親友でもあった。

 

 1人は生きるために足掻いたが周囲の誹謗を受け、もう1人は普通の学生生活を送っていたが親友のために続けていたものを辞め、親友の陽だまりとなった。そして今、その2人が大海原にて激突しようとしていた。

 

 

 1人は立花 響__ガングニールの適合者であり、その影響で死が近い少女である。もう1人は小日向 未来___響の陽だまりであり、親友。響を戦わせないがために悪魔に魂を売ろうとしている少女である。

 

「帰ろう!未来!」

 

「帰れないよ。だって、私にはしなきゃいけないことがあるんだ。」

 

 今まで閉じていたバイザーが開いた。その眼差しに光があまり宿ってはおらず虚ろなものだった。

 

「お願い、未来!元に戻って!」

 

 すると、響のデジヴァイスから未来のピヨモンが現れた。

 

「聞いて、響にピヨモン。この輝きはね、争い一つもないしみんなが笑いあえる素敵な世界を照らし出してくれるんだって。」

 

 未来が笑みを浮かべながら響と未来に話した。

 

「私ね、これ以上響には戦って欲しくない。遠くに行って欲しくないの…私にとって響は大切な親友なんだよ?」

 

 しかし、未来は現に親友の1人であるクリスはおろか生身の調を殺そうとしていた。それは理想を叶えるために他者を傷つけるウェル博士のやり方と相違ないものである。

 

「だけど!こんなやり方は間違ってるよ、未来!」

 

 ピヨモンが周囲の艦艇を指差しながら、首を横に振った。

 

「そうだよ!その世界ってあったかいの?

 

 こんなやり方で作った世界ってあったかいの?私が一番好きなのは"未来が側にいてくれるあったかい陽だまり"なんだ。ピヨモン、戻ってて。」

 

「うん、未来を助けて!」

 

 ピヨモンが響のデジヴァイスに戻った。

 

「だから!未来と戦ってでもそんなことはさせない!」

 

 それを聞いた未来は響を睨んだ。

 

「私は響を戦わせたくない!」

 

 未来の目元のバイザーが再び閉じた。

 

____________________

 

 一方、ブラックウォーグレイモンはマリアと対峙していた。

 

「何のようなの、ブラックウォーグレイモン。」

 

「もう自分を偽るのは止めろ!」

 

「フッ、そんなものを聞くはずがないでしょ?」

 

 マリアは冷静さを保っていた。

 

「お前はただ目を背けてるんじゃないのか!?爽谷のように!お前は本当は…!」

 

「やめて!」

 

 マリアにより、言葉が遮られた。

 

「私には覚悟が足りなかった。だから、二度とあんな真似は繰り返させない!邪魔をしないでちょうだい!」

 

「それはできない!お前のパートナーデジモンとしてそれだけは絶対にできん!」

 

「だったら、意地でも止めることね!」

 

<オニスモン!デジメモリコンバート!>

 

 マリアの手で究極体の古代鳥型のオニスモンが現れた。

 

「マリア…!」

 

 オニスモンの攻撃を無防備な状態で受けたブラックウォーグレイモンはオニスモンを握りしめた。

 

「消え失せろ!」

 

「コズミックレイ!」

 

 オニスモンが放った眩い光がブラックウォーグレイモンを攻撃した。

 

「ガイアフォース!」

 

 負けじとブラックウォーグレイモンも負のガイアフォースで応戦した。その隙にマリアはフロンティア起動のために逃亡した。

 

「ま…!て?」

 

 ブラックウォーグレイモンは飛行船から水色のオーラが浮かんでいるのが見えた。

 

「あれは!まさか!」

 

 驚くブラックウォーグレイモンはオニスモンの翼で攻撃され、両者は大空へと移動した。

 

____________________

 

 その下では、響が決心した表情で未来を見た。

 

「ありがとう。でもね未来、私は…戦うよ!

 

 Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

 決意を込めて響はギアを纏った。

 

(ここから先はRainbow Flowerを聴きながら読むのを勧めます)

 

「響ちゃん、交戦中!」

 

「カウントダウン開始します!」

 

 数分前__

 

「何だそれは!?」

 

 弦十郎は策が思いついたロードナイトモンを見た。

 

「分かりますよ、あのエネルギー波を使って未来のギアを解除させるんですよね?」

 

「その通りだ。しかし…!」

 

「翼さんやクリスちゃんが戦ってます!だから、ロードナイトモンさん!師匠!私がやります!死んでも未来を連れ戻します!」

 

 それを聞いた弦十郎とロードナイトモンが驚いた。

 

「死ぬのは許さん!」

 

「そうだ!この策は咄嗟に思いついたもので…!」

 

「じゃあ、死んでも生きて帰ってきます!」

 

 弦十郎の拒絶に対し響は凛とした表情で弦十郎とロードナイトモンを見た。

 

「何?」

 

 ロードナイトモンは響の訳のわからない言葉に困惑していた。

 

「それは…絶対に!絶対です!」

 

 その中で、藤堯と友里が響を見た。

 

「過去のデータと現在の融合深度から計測すると、響さんは"2分40秒"が活動限界です!」

 

「私たちがたとえ微力でも響ちゃんの支えになればきっと!」

 

「そうでっせ!ここまできた響はんは止まるまへん!」

 

「そうです!動けるのは響ちゃんだけです!拓実くんは現在応急処置中です!」

 

 テントモンもカメモンも弦十郎を見た。拓実は爽谷とのリアルファイトで軽く怪我をしており、現在応急処置を受けていた。

 

「しかし、オーバヒートまでの時間は短いぞ!勝算は!」

 

 弦十郎が尋ねると響がニッと言わせながら笑った。

 

「思いつきを数字で語れるものかよ!」

 

 それはかつて、弦十郎が櫻井 了子に言ったセリフでもある。

 

「そんな無謀な!」

 

「いいや、ロードナイトモン。今の立花くんには確固たる決意を胸に込めている。止めるだけ無駄だ。それに、俺の言葉を言われちゃあな!行ってこい!」

 

「はい!」

 

____________________

 

 激突する響と未来、2人は初めて喧嘩をすることになる。しかし、響には2分40秒というあまりにも短い時間が迫っていた。未来と響は互いのアームドギアで攻撃と防御を空中から艦体の上で繰り返していた。

 

(熱い!身体中の血が沸騰するかのようだ!)

 

「何度でも 立ち上がるんだ!ちょっとだけ来た道を 見てごらん?」

 

 響は未来の攻撃を防御していると弦十郎から通信が届いた。

 

「胸に抱えた時限爆弾は本物だ!時間を過ぎて訪れるのが確実な死だということを忘れるな!」

 

(死ぬ…!)

 

 響は自身の死のイメージを想像した。

 

「死ねるかあああああああああああああ!!!」

 

 響は脚部のパーツを伸縮させて、未来に蹴りを放った。

 

 すると未来は小型の鏡を取り出してレーザーで響を連続的に攻撃しようとしたが悉く外れ、艦艇の一隻にレーザーが被弾した。

 

 それを見かねたマリアは飛行船からミラーリフレクターを放出した。放出されたミラーリフレクターは神獣鏡から放たれた光をさらに反射させた。それをかわすうちに、響の制限時間があと20秒台になった。

 

 すると、響の胸から鉱石のようなものが露出し出した。

 

「戦うなんて間違ってる。戦わないことだけが、本当に温かい世界を約束するの…戦いから、解放してあげないと…」

 

 神獣鏡に歪められた未来がひたすら攻撃を放つので、響の胸を始めとして全身からから鉱石状のガングニールがますます露出していった。

 

「うっうわあああああああああ!!!」

 

「違う!私がしたいのはこんなことじゃない!こんなことじゃ…ないのにいいいいいい!!!」

 

 未来の目元のバイザーが破損した。

 

(誰かが未来の体をいじっているんだ!誰だ!)

 

 親友を操った怒りを覚えながら、響は全速力で未来を抱きしめた。

 

「放して!」

 

 未来が涙目になる中、響は必死に抱きしめていた。

 

「放さない!もう、絶対に放さない!」

 

「来る!フロンティアへと至る道が!」

 

 マリアは響と未来をよそにフロンティア起動の調整を行なっていた。そして反射と屈折を繰り返した光はやがて大きな光になった。

 

「絶対に! 絶対にいいいいいいいいい!!!」

 

(それが聖遺物だって言うんなら!)

 

 その光に響と未来が割り込んだ。

 

「こんなの脱いじゃえ!未来うううううううううううううーーーーーーーー!!!!」

 

 2人はその光に巻き込まれた。その光は海底へと届き、激しい揺れとともに眩い光を放った。

 

 

 

「作戦…成功…なのか?」

 

 二課のメンバーたちが驚愕する中、FIS飛行船ではウェル博士がナスターシャ教授の治療を終えた。

 

「作戦は成功です!これで封印は解除されました!フロンティアの浮上です!」

 

 ウェル博士が光を指差した。

 

「あれは!」

 

 ブラックウォーグレイモンがオニスモンを撃破して、艦艇の近くから光を見ていた。

 

 そしてすぐに、海底から遺跡のような島が浮上した。

 

「一体何が!?」

 

 戦っていた翼と切歌が戦いを中止した。遺跡の浮上と同時に石柱が次々と浮上して来た。そして悲劇が起こった。後ろから翼は攻撃されたのだ。

 

「なっ!」

 

 攻撃した主を見た翼は息を飲んだ。なんとそこにはクリスとムゲンドラモンが立っていた。

 

「雪音…!?」

 

「さようなら」

 

 そう言うとクリスは翼に追い打ちを仕掛けた。何故クリスは裏切ったのか?フロンティアはなんの目的を果たすのか?

 

 

 

 

 




最近、大学が忙しくて今後の投稿ペースが多少遅くなる場合がありますが気長に待っててください。Gもあと数話になります。次回をお楽しみに!

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