戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
響が緊急手術を受ける中、未来が響の手術が終わるのを祈っているとそこに緒川が現れた。彼によると応急処置は無事にすんだらしい。それを知ったすぐ後に2人は司令室に向かった。中に入るとクリスが握り拳を握っていた。
「クリス…」
心配そうにハグルモンが見ていた。
「君には知っておかねばならないことがある。」
弦十郎は未来に聖遺物に侵食された響のレントゲンを見せた。
「響くんの胸の聖遺物の進行だが…これ以上進めば"彼女が彼女で無くなってしまう"だろう…」
「つまり…"これ以上"響を戦わせないようにさせればいいんですね?」
「ああ…君と穏やかな日々を過ごすことでしか、ガングニールの侵食は抑えられない…響くんを守って欲しい…」
弦十郎が未来を見ると未来は凛とした表情で弦十郎を見た。
「はい!わかりました!私…響を守ります!」
次の日も響は学校を休み、未来は自分が響きを守ることを決心した。
ちなみにマミーモンは安藤たちに運ばれ、現在入院中である。
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そして二課本部の廊下にて翼と拓実が座っていた。
「どうしたら…いいんですかね?翼さん…」
「ん?どうしたんだ水琴?」
「立花さんは戦えない今、俺たちでFISに立ち向かえるかどうか不安なんですよ。さっきの戦いで立花さん自身も絶唱を唱えました。
敵であった切歌ちゃんと調ちゃんを守るために…」
「ああ、聞いている。」
「俺も彼女たちを止めようとしたんです。
けど失敗して…今回こうなったのは俺の…!」
「それ以上言うな水琴!」
俯いていた拓実の頬が翼にはたかれた。
「貴方自身だけで戦っているのではないのよ!?誰のせいだとかそんなことを眼中に入れるな!大切なのは"これからどうするか"だ!私はこれ以上何も失いたくはないのだ…奏の時みたいに…」
翼が拓実から目をそらし、唇を噛み締めた。
「翼…」
ファルコモンが翼心配したがすぐに頭を撫でた。
「すまない、水琴…」
拓実も立ち上がった。
「いいんです…なんかスッキリしましたし…
今度は俺らが立花さんと同じくらい自分にとって何ができるのかを考えて、実行するってのを頑張らなきゃいけない時なのかなって思いました。」
「そうか、では私はこれで…」
「はい!気をつけて…」
翼が去った後、拓実はこれからどうするかを1人考えていた。
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翌日、山岳地帯に身を潜めたFISはウェル博士からフロンティア浮上に必要な神獣鏡が集まったことを告げ、喜びで踊り狂っていた。そしてナスターシャもフロンティアの場所を突き止めたが、少しだけ休ませるようウェル博士に言い、LiNKERの過剰投与の効果が抜けきるまで調と切歌は買い出し役になった。
「本当に退屈デス!」
「仕方ないよ…切ちゃんとしらちゃんのLiNKERはまだ抜けないんだから…」
切歌とワームモン元気な横で調は辛そうだった。
「どうした調?さっきから顔がペイル__青ざめてるぞ?」
「平気だよ…キャンドモン…」
「だったら、少し休んでいきましょうデス!」
2人とデジモンたちは無人の工事現場に座ってスーパーで買ったものを食べていた。
「嫌なこともたくさんあるけど、こんなに自由があるなんて施設にいた時には想像できなかったデス!」
「そう…だね…」
調は顔が青ざめているのに気づかない切歌はそのままマリアに辛い思いをさせているのではと思い悩んでいた。
「調?おい調!どうしたんだ!?」
キャンドモンが息を切らしている調を見ていた。
「どうしたんデスか!?調!調!」
その時、上から鉄骨が降ってきた。
「危ない!」
ワームモンとキャンドモンが駆けつけたが鉄骨が2体の目の前の地面に落ちてしまった。
「調ーーーー!!!」
「切ちゃん!しらちゃん!」
土煙が晴れると切歌が手をかざし、バリアーのようなものを展開していた。
「一体どうなってるんデスか!?」
それはかつてフィーネが使っていたバリアーと酷似したものだった。
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一方飛行船で待機中のナスターシャとマリア、爽谷、ウェル博士は…
「何故なんだ?何故僕たちを融合症例は助けたんだ?」
爽谷は自分の部屋に篭りながら、思い悩んでいた。すると、マリアがノックしてきた。
「爽谷…少し、外に出ているわ。」
「うん、分かったよ。」
爽谷は何故だ何故だと連呼している中、外に出たマリアとナスターシャは話し合っていた。
「分かったことがある。それは私自身の決断と覚悟の軽さと甘さ。それがもたらすのがなんなのかも…」
ナスターシャは難しそうな表情を浮かべていた。マリアは回り込んでナスターシャの前に立った。
「だから…マム!私は…」
「その必要はありません。」
ナスターシャがマリアの言葉を遮った。
「え?」
「あなたにはこれ以上…"新生フィーネを騙ってもらう"必要はありません。あなたはマリア・カデンツァヴナ・イヴ。フィーネの魂など宿していない。ただの…やさしいマリアなのですから…」
ナスターシャが優しく微笑む中、マリアはショックを受けていた。
「そんな!」
「フィーネの魂はどの器にも宿らなかった。ただ…それだけのこと…」
その様子を木陰からウェル博士が聞いていたことは知る由もなかった2人だった。
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その夜、フロンティアの沈むポイントへと向かうFISの飛行船を操縦しながらマリアは数年前の出来事を思い浮かべていた。
数年前、シンフォギア奏者として訓練していたマリアたちはいつものようにノイズを倒して行った。
「マリア、ブラックウォーグレイモン…この通信はあなたたちだけに聞こえるようにしています。」
マリアはノイズをスムーズに撃退して行ったが、通信でうっかり一般人を攻撃しようとしたがすんでのところで攻撃を止められた
「またあの話?私にフィーネを演じるっていう?」
「ナスターシャ…そんなものマリアには必要ないはずだ…」
ナスターシャは真剣な眼差しでウェル博士を引き込むにはマリアがフィーネを継ぐ演技をして自分たちに彼を引き込むためと言った。
「無理よ!私たちはレセプターチルドレンだけど…現実じゃあ魂を受け止められなかった!今更そんな!」
とっさにアームドギアを振りかざしてビームを放ったマリアだったが、それは一般人に当たってしまった。
「マリア…」
ブラックウォーグレイモンは静かにマリアを見つめていた。
「あれ?」
切歌たちもマリアのらしくないミスに違和感を覚えていた。
するとウェル博士が拍手しながら入ってきた。
「やはり素晴らしい…シンフォギアシステムは…何より君たちのような適合係数の低い者でも僕のLiNKERでギアを纏えるようになったんですからねえ…」
ウェル博士が調と切歌の肩を嫌らしく触っていた。もちろん本人たちは不快感を顔で示していた。マリアも舌打ちをしながらウェル博士を睨みつけていた。
「お疲れ様です…て言うか博士、おいたがすぎる英雄は英雄じゃなくて変態なんじゃないですか?」
当時から入った爽谷は主に雑用などをやらされており、3人分のタオルを持ってきた。
「マリアさん、調ちゃんに切歌ちゃん、どうぞ。」
「ありがとう…」
まだマリア以外は爽谷やウェル博士を受け入れられてはいなかったので調や切歌に睨まれる日々だった。
(確かにマムはあの時、もうフィーネを演じなくていいと言ったけれど…どうしてこのタイミングで?)
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一方、切歌たちもマリアたちに合流後に検査を受けた結果オーバードーズによる負荷はほとんどなくなっているとウェル博士に告げられ、彼も奏者の管理や維持を努めろとナスターシャに釘を刺された。そんな中で切歌は調を守ろうとした時に出たバリアーはフィーネのものであることから自分にフィーネの魂が宿るのかという疑念が湧いてきていた。
そして目的地に到達した飛行船ではフロンティアを浮上させようとしていた。飛行船から現れたシャトルマーカーを出し、神獣鏡のエネルギーを一点集中したレーザーを放とうとしたが、ウェル博士に止められた。
「フロンティアを浮上させれば、その存在が露わになる。全ての準備が整ってからでも良いのでは?」
「心配ありません。」
そういうとナスターシャはスイッチを押し、レーザーが発射され、シャトルマーカーにより反射し、その光は深海へと伸びた。
「これでフロンティアに施された封印が解ける〜!解ける〜!」
ウェル博士が嬉しそうにその様子を見ていた。フロンティアが浮上するかと思われたが、わずかな水飛沫を上げただけだった。
「解けない〜!?と、解けない?」
ウェル博士がフラフラっと後方に倒れそうだったが、爽谷に受けとめられた。
「ドクター…」
「"出力不足"です。如何に機械的な力で神獣鏡を力を引き出そうとしても、浮上には遠く及ばない…」
すると、ウェル博士の持つ宝玉がわずかに点滅した。
(なんだ?ドクターがこんなのを持ってるなんて…)
するとウェル博士は爽谷を突き飛ばしてナスターシャに詰め寄った。
「あなたは知っていたのか!?今の我々では到底不可能であると!違いますか!?」
怒るウェル博士に動じずナスターシャはこれからの大切な話があると言った。それを聞いたウェル博士は怒りと悔しさで歯ぎしりをしながら唸っていた。
「じーっ、じーっ」
「調!なんか言わなきゃマズイデスよ!」
「じーっ」
「さっきからこれなんだよ。なんか一点集中してるっていうか…」
「調?どうしたですか?」
「ああ…切ちゃん。後書きの台本を読んでたの。」
(切歌、キャンドモン、ワームモンずっこける)
「もうあと20秒デス!」
「え?」
第36回 調、切歌、キャンドモン、ワームモン(inFIS飛行船)