戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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第39話 絶唱VS絶唱!進行する破滅の時!

 ウェル博士を追跡していたのはソロモンの杖を回収せんとする二課のエージェントだった。しかし、エージェントたちはノイズにより炭化させられてしまっていた。

 

「至急、翼とクリス、拓実くんに連絡を!」

 

 すると、拓実から連絡が入った。

 

「俺が先につきそうなんですが、どうやら立花さんに小日向さんを入れた5人とこの間のマミーモンが交戦しています。」

 

「拓実くん…響くんは…」

 

「分かってます!これ以上戦わせるわけには…」

 

 その時、二課のモニターにガングニールの波形をキャッチしそれが響によるものだと知った弦十郎は唖然とした。

 

「拓実くん!こうなったら、君は極力響くんをサポートするんだ!ギアを纏える制限時間以内で敵を倒せるようにするんだ!」

 

「分かりました!」

 

 拓実はベタモンをメタルシードラモンにワープ進化させ、現場に向かった。

 

「早まるなよ…!」

 

____________________

 

(ここから先は 正義を信じて握り締めて を聴きながら読むのを勧めます)

 

「この拳も!命も!シンフォギアだ!」

 

 一方、響がノイズを倒したと同時に力が漲るようになった。木の葉が一枚響の肩に触れたが、すぐに焼け尽きてしまった。

 

「響!」

 

「この熱…立花さんの?」

 

「何がどうなってんの?」

 

 寺島と板場が唖然となる中、デジモンが響を攻撃しようとしたのを見たアグモンもデジヴァイスから飛び出して来た。

 

「アグモン進化!!グレイモン!

 

 グレイモン超進化!!メタルグレイモン!」

 

 アグモンがグレイモンを経由してメタルグレイモンに進化し、サンティラモンを攻撃した。しかし、残りの3体は未来たちに迫っていた。

 

「きゃあああああ!!」

 

 未来たちの悲鳴を受けて、彼女たちのデジモンもデジヴァイスから飛び出した。

 

「ピヨモン進化!!バードラモン!」

 

「ゴツモン進化!!モノクロモン!」

 

「マッシュモン進化!ウッドモン!」

 

「フローラモン進化!キウイモン!」

 

 成熟期4体で辛うじてズドモンを食い止めていた。

 

「ハンマースパーク!」

 

「メテオウイング!」

 

「ボルケーノストライク!」

 

「ブランチドレイン!」

 

「リトルペッカー!」

 

 ズドモンのハンマーによる衝撃波と成熟期の攻撃がぶつかり合うもズドモンの方がパワーは上。当然、成熟期4体は打ち倒されてしまった。バードラモン以外はあっというまに退化したが、デジヴァイスに戻された。

 

「ゴツモン!」

 

「フローラちゃん!」

 

「マッシュー!」

 

「お願い、バードラモン!」

 

 未来がデジヴァイスを掲げた。

 

「バードラモン超進化!!ガルダモン!」

 

 ガルダモンがズドモンを格闘戦で押し込む中、メタルグレイモンはワーガルルモンをギガデストロイヤーで追尾させていた。

 

「お前は!いつもいつもこっちの計画をしっちゃかめっちゃかにするお前はああああ!!」

 

 逆上したウェル博士はさらにノイズを呼び出した。

 

「ヒーローになんて なりたくない 思いを貫け 3、2、1、ゼロ!」

 

 ノイズも響により一方的にサンドバッグにされ、次々と倒されていった。

 

 その後ろでマミーモンがサンティラモンに攻撃されていた。

 

「くそっ!強え…あいつなんかに好き勝手させるかってんだ!勝手に人の工事を邪魔しやがって…!」

 

 マミーモンはサンティラモンの必殺であるクリシュナを受けて、ボロボロだった。

 

(ダメだ…動かねえ…)

 

「アルティメットストリーム!」

 

 その時、未来たちよりも上からレーザーのようなものが放たれズドモンとサンティラモンを撃ち抜いた。そして拓実が背中から飛び降りた。

 

「拓実さん!」

 

「メタルシードラモン!そのマミーモンをこっちに!」

 

「ああ!」

 

 メタルシードラモンがマミーモンを連れて来た。

 

「ここは避難するんだ!もう時期ここの戦闘が派手になってくる!

 

 俺は立花さんと後で一緒に行くから、そのデジモンをひとまず病院に!」

 

「はい!」

 

「響…!」

 

 未来が心配そうに響を見た。

 

「ヒナ!ここは拓実さんの言う通りにしよう!」

 

 未来たちとガルダモンが去って行くと、拓実の目の前には怒り狂いながらノイズを発生させるウェル博士が見えた。

 

「お前は…いつも!いつも!いつも!いつも!いつも!いつも!いつも!いつも!いつも!いつもおおおおおおおお!!!」

 

「立花さん!あんたは休んでてくれ!ここは俺がなんとかするから!」

 

 拓実の声は届かず響は拳1発でノイズを撃破し、ウェル博士がさらに発生させたノイズを貫き、博士を攻撃するのかと思われた。

 

 しかし、円盤状のノコギリが盾の役割を果たした。

 

「盾!?」

 

 なんとウェル博士の背後には調とその背中を切歌が支えていた。

 

「なんとノコギリ。」

 

「調ちゃんに切歌ちゃん!?」

 

「デスペラードブラスター!」

 

「バーニングフィスト!」

 

「スパイキングフィニッシュ!」

 

 上空からメタルグレイモンとメタルシードラモンは攻撃を受けた。

 

「見つけた…!」

 

「お前は…!冷泉!」

 

「この間はよくも僕をイジメてくれましたね…!」

 

 爽谷が響を背後から攻撃しようとしたが、凄まじい熱気を前に後ずさりした。

 

「この熱気…!普通じゃない!?」

 

「アルティメットストリーム!」

 

 メタルシードラモンのアルティメットストリームをかわした爽谷__パイルドラモンはそのまま調たちの方に戻った。

 

「気をつけて、2人とも。あの融合症例は何か様子がおかしい。」

 

「分かってるデス!」

 

「この身を纏うシュルシャガナはおっかない見た目だけど、汎用性に富んでるから防御性能には不足はない…」

 

「それでも、2人がかりでやっとなんですけどね!」

 

「ごめんね、切ちゃん。私のヒールじゃ踏ん張りが効かないから…」

 

「いいってことデス!」

 

(このままじゃ2人がもたない!)

 

 パイルドラモンがジャンプしてもう一度デスペラードブラスターで響を攻撃し、距離を取らせることには成功した。

 

「聞こえてる?2人とも?目的は分かってるわね?」

 

「ドクターと爽谷の回収。そしてすぐに撤退すること…」

 

「分かってるんデスけど…あいつを相手にするからには簡単じゃすまないデス!」

 

「こうなったら!」

 

 一度レボリューションを解いた爽谷はエクスブイモンとスティングモンのメモリを挿入した。

 

<エクスブイモン!スティングモン!

 

 コンバート!ジョグレス!パイルドラモン!>

 

 パイルドラモンが響を足止めしていたが、素早く立ち回る響により押されていた。

 

「フュージョンレボリューション!」

 

<ナイトモン!フュージョンレボリューション!>

 

 爽谷は屈強な騎士型デジモンのナイトモンにレボリューションし、大型の剣で響を攻撃しようとしたが、メタルシードラモンに妨害された。

 

「邪魔をするなああああ!!」

 

「ギガデストロイヤー!」

 

 切歌のスティングモンとメラモンもメタルグレイモンのギガデストロイヤーで吹き飛ばされ、退化した。

 

「切ちゃん。ごめん…」

 

「調、こいつらを攻略すんのはイージーじゃねえ…ハードモードだ…」

 

「ワームモン!あいつをどうにか出来ないんデスか!?」

 

 すると、響が胸のアザから光を放ち、苦しみ出した。

 

「まずい…!離脱するんだ、立花さん!」

 

 拓実が叫ぶも、響はただ苦しんでいるだけだった。

 

 それを見たウェル博士が何かを取り出した。

 

「頑張る2人にプレゼントです…!」

 

____________________

 

 ウェル博士が取り出したものは適合係数をあげる薬物である"LiNKER"だった。天羽 奏やFISのように元々適合係数が高くないものがシンフォギアを纏うと、そのバックファイアで死に至ってしまう。しかし、LiNKERを打てば一時的に奏者として戦うことができるが定期的に投与しなければならないという問題があった。ウェル博士はそれを調と切歌を投与した。

 

「何しやがるデスか!効果時間にはまだ余裕があるデス!」

 

「LiNKER…」

 

「だからこその連続投与です!あの化け物を倒すには今以上のパワーをもってしてねじ伏せるしかありません!そのためには無理にでも、適合係数をあげる必要があります!」

 

 ウェル博士が得意げにメガネをクイッとさせた。

 

「ドクター…!なんてことを!」

 

 ナイトモンがそれを見ていた。

 

「余所見は禁物だぞ!」

 

 メタルシードラモンの突進を受けそうだったが、ナイトモンはそれを避けて、ウェル博士の元に現れた。

 

「ドクター!ここは逃げましょう!

 

 あいつも苦しそうですし、あの様子ならいずれ自滅するはずです!

 

 何よりも…調と切歌を酷使しないでください!」

 

「そうだ!調たちがオーバードーズでオーバーヒートしちまうぞ!」

 

「切ちゃんたちがそんなことするわけないじゃないか!」

 

 キャンドモンにワームモンもウェル博士に抗議した。

 

「するデスよ!いえ、せざるを得ません!」

 

 ウェル博士が目を大きく見開き、答えた。

 

「君たちはどうせ、連帯感や仲間意識からで私を助けたのではありません!

 

 おおかたあのおばはんのナスターシャの容体が悪くなったんでしょう!?

 

 それでおっかなびっくり駆けつけたに違いありません!あのナスターシャの病を直せるのは生化学者である私だけ!だったら、自分の限界を超えて私を守ってみせなさい!」

 

 ウェル博士が2人とデジモンたちを指差した。

 

____________________

 

 一方二課本部では、響の人体が不調になっていることを知り、弦十郎は焦っていた。

 

「翼とクリスくんは!?」

 

「現場には向かっていますが到着には時間がかかりそうです!」

 

「拓実くんも敵のパイルドラモンに翻弄され、響ちゃんのサポートどころではありません!」

 

 翼はバイクでスピードを上げながら現場に、クリスはヘリでそれぞれ向かっていた。

 

 響も苦しんでいたが、立ち上がった。調と切歌も苦しんでいたが、ナスターシャの元にウェル博士を連れ戻す任務のために危険を承知で立ち上がった。

 

「ドクター!あなたと言う人は!」

 

 爽谷はウェル博士に失望しながら、メタルグレイモンと戦い始めた。

 

「絶唱…デスか?」

 

「そう、ユーたち歌っちゃいなよ!適合係数がてっぺんに届くほどギアからのバックファイアを減らせるのは過去の臨床データで実践済み!」

 

 ウェル博士は有頂天になったような表情で2人を見た。

 

「だったら、LiNKERぶっこんだ状態の今なら!絶唱し放題の歌いたい放題のやりたい放題〜〜〜!!!」

 

「くっ!」

 

「やらいでか!デエエエエエエス!!」

 

 2人のデジヴァイスも輝いた。

 

「キャンドモンワープ進化あああああああ!!!」

 

「ワームモンワープ進化あああああああ!!」

 

 キャンドモンとワームモンが光に包まれると厳ついフランケンのような姿と巨大なクワガタの姿が現れた。

 

「ボルトモン!」

 

「グランクワガーモン!」

 

 そして、切歌と調も絶唱を唱えた。

 

「これは…絶唱?」

 

「しかも…2人だって!?」

 

 拓実もその状況を青ざめながら見ていた。

 

「メタルシードラモン!あの2人を攻撃するんだ!絶唱を唱えてる間に攻撃させれば彼女たちの命は削られない!」

 

「ああ!アルティメットストリーム!」

 

 メタルシードラモンが絶唱を唱えている最中の調と切歌を攻撃したが、ボルトモンとグランクワガーモンが立ちふさがった。

 

「トマホークシュタイナー!」

 

「ディメンションシザー!」

 

 2体の攻撃でアルティメットストリームは調と切歌には届かず、2人は歌い終えてしまった。

 

「シュルシャガナの絶唱は無限軌道から放たれる"果てしない斬撃"!これで動きでも封殺できれば…!」

 

 調のギアから手足が現れ、巨大ロボさながらの姿に変わった。

 

「続き!刃の一閃で"相手の魂を両断する"のがイガリマの絶唱!物質的な防御はない!まさに絶対に絶対デス!」

 

 切歌のアームドギアも巨大化し、鎌にブースターが取り付けられた。

 

 それを見た響は2人が絶唱を放つ前に絶唱を歌い出した。

 

「何考えてんだ、立花さん!これ以上やったら本当に死んじまうんだぞ!」

 

 すると、調たちは技を放たなかった。否、放てなかった。

 

「何!?」

 

「絶唱になった時のエネルギーが解放されない!?」

 

 調と切歌は絶唱を放つ前の姿に戻ってしまった。

 

「セットハーモニクス!」

 

 響の絶唱はなんと調と切歌のエネルギーを自ら抱え込んで放出させたのだ。

 

「絶唱のエネルギーを奪い取った!?そんなことができるのか!?」

 

 しかし、それは体内のガングニールをさらに侵食させることとなり、響の周りが軽く炎上していた。

 

「2人には絶唱を使わせない!」

 

 響の拳から虹色の波動が空に放たれると、響が膝をついてしまった。

 

「聞こえて?今すぐ撤退よ!」

 

「けど、今ならトドメをさせる!」

 

 調が反論したが、現場に天羽々斬とイチイバルが現れたことを知ったナスターシャとマリアにより現れた飛行船で調たちは撤退した。

 

「くっ!ベルセルクソード!」

 

 撤退間際にナイトモンが目くらましとして地面に剣を突き刺し、その勢いで素早くグランクワガーモンの背中に乗り、飛行船へ向かった。そして乗る手前でレボリューションを解いた爽谷は苦しむ響を見て困惑していた。

 

(何故助ける?あなたからすれば対立する敵がやられてもあなたにはなんの関係もないはずだ…それなのに…!)

 

 爽谷とグランクワガーモンが飛行船に入り、FISはその場から撤退した。

 

 

 

 戦いの後、未来がその場に駆けつけた。

 

「響!」

 

 響に近づこうとした未来だったが、強烈な熱気を前に近づくのを一瞬ためらってしまった。

 

「やめるんだ小日向さん!やけどどころじゃ済まない!」

 

 未来の前に拓実が割って入った。

 

「けど、響が!」

 

「拓実!」

 

 クリスがその場に駆けつけた。

 

「どうなってんだよ!なんでこいつがこんなことに!」

 

「それは…!」

 

 拓実は言えなかった。響の親友を前にして響が死ぬなどとても言えなかった。

 

「黙ってないでなんとか言えよ!」

 

 その時、クリスと拓実にはバイクに乗った翼が天羽々斬を纏い、バイクに乗ったままジャンプし、給水タンクを切り裂いたのが見えた。水が勢いよく響に降り注ぎ、響の変身は解かれた。

 

「翼さん…すみません…俺が守れなかったばっかりに…」

 

 拓実が翼に頭を下げた。

 

「顔を上げろ、水琴…私も守れなかった。」

 

「"私も"に"守れなかった"!?どういうことか説明しろ!あのバカがこうなるって知ってたのかよ、お前らは!」

 

 クリスが拓実と翼を問いただそうとする中、未来は泣きながら響の名を呼んでいた。

 

 その後、二課のヘリが到着し響は緊急手術を受けることになった。


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