戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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第38話 死線を超えろ!響の拳!

 翌日、響は無事退院してリディアンに通えるようになった。

 

「昨日は迷惑をお掛けしました!」

 

 響が2人に頭を下げた。

 

「なんだよ、存外元気そうじゃねえか。しばらく休んでろよ!」

 

 翼は休むのは得意でーすと言う響に大丈夫かと言った。響はガングニールとの融合が進み、これ以上戦えば死を迎えることを知っており響の腕が大丈夫かどうか確認するために掴んだが響はなんともないようだった。

 

「一体どうしたんだよ?」

 

 翼はクリスに弦十郎から何か言われたのか尋ねられたが、とても響が死ぬなど言えず彼女は足手まといを戦力として数えるなと言ってしまい、その場から去った。

 

「待てよ!おいなんの冗談だよ!」

 

「翼!幾ら何でもあんまりだよ!もっと他にいう方法があったんじゃないのかい?」

 

 クリスとファルコモンから剣幕を受ける翼は唇を噛み締めながら歩いていた。

 

____________________

 

 一方、カディンギル趾地ではウェル博士が息を切らしながら彷徨っていた。そしてうっかり滑り落ちてしまった。

 

「ぬわあああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 とにかく叫びながら、落ちた先で彼は暴走した響に投げ捨てられたネフィリムの心臓を見て不敵に微笑んだ。

 

「あんな奴にひどい目にあわされたが…これで英雄になれる!」

 

「ほう…貴様の願いはそれか…」

 

 どこからともなく声が聞こえた。

 

「誰だ!?誰だ?」

 

 ウェル博士がノイズをソロモンの杖で呼び出したが、緑色の光が出たと同時にその影に飲み込まれた。

 

「なんなんだ、お前は!」

 

「ワシはお前の願いを叶えるために現れた存在だ。お前から見えるぞ"嫉妬"が…たかが女子1人に怯えるとは…」

 

「黙れ!」

 

 ウェル博士が影を攻撃したが、影が分散してしまった。

 

「お主の"嫉妬"…面白い!これでいざという時にワシを呼べ…」

 

 影が黒と水色の宝玉に変化した。ウェルがそれを拾って歩き出した。

 

「なんだか知らんが…これで僕は英雄だ!僕こそが世界を!!」

 

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 FISの飛行船ではマリアがナスターシャの看病をしながら歌を口ずさんでいた。

 

(優しい子…私は優しい子たちに十字架を背負わせようとしている…)

 

 ナスターシャが目を瞑り、やがて起き上がった。

 

(私は間違っているのかもしれない…)

 

 すると通信が入った。

 

「私です…」

 

「もしかして、マム…デスか?」

 

「具合はもういいの?」

 

 調と切歌は商店街を捜索しながら連絡していた。

 

「マリアのおかげで急場はしのぎました…」

 

「よかった…」

 

「で、でね…マム。私たち待機なのに外を歩いてるんだけど…」

 

 切歌と調はナスターシャの指令を無視してマリアの判断で爽谷とウェル博士を探していた。

 

 叱るかと思いきやナスターシャは優しい母親のような表情でウェル博士と合流でき次第、新しい集合場所で落ち合うことになった。そして響たちの通うお好み焼き屋のフラワーを通り過ぎた。

 

「ん?」

 

「どうしたデスか?調?」

 

「あそこを見て、切ちゃん。」

 

 2人がまっすぐ歩いて行くと、爽谷の後ろ姿があった。

 

「ああ…あああ…」

 

 爽谷はふらふらしながら歩いていた。

 

「爽谷?」

 

 切歌が声をかけると爽谷が振り返った。彼の顔は目にクマができ、メガネがずり落ちていた。

 

「よかった、2人か。てっきりあの人たちかと思ったよ…」

 

「大丈夫なの?」

 

「なんとか…でも一日中逃げてたんだ。

 

 お腹すいちゃったけどね…どうしてここに?2人は待機中なのに…」

 

 調と切歌が事情を説明した。

 

「ドクター、僕を見捨てたんだ…

 

 けど、マムのために探さないとなんだね?」

 

「そうデス!マリアが探すよう言っていたから探すんデス!」

 

「うん、行こう!2人とも!」

 

 調と切歌が走り出したが、爽谷が転倒してしまった。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ〜!2人とも〜!」

 

 

 

 その頃、響と未来は板場たち3人と共に帰宅していた。

 

「にしても、うら若きJKが粉物を普通たくさん食べる?」

 

「食べない食べない。」

 

 ゴツモンがデジヴァイスの画面越しで手をブンブン左右に揺らしながら否定すると、板場が俯いたままの響を見た。

 

「ねえ〜聞いてる?」

 

「う、うん!」

 

「美味しさがトップだよね。おばちゃんのお好み焼きは!」

 

「お誘いした甲斐がありましたわね!」

 

「そうだね、詩織。以前ほど通えなくなっちゃったからね。それに水琴さんも辞めちゃったしね。」

 

 拓実は今、フラワーのバイトを辞めて進学を目指して勉強している。成績は普通よりも少し上なので今のところは安定しているようだ。

 

「けど、おばちゃんが元気そうで何よりだよね。これでビッキーも元気になったんじゃない?」

 

 安藤が響に尋ねると響は首をかしげた。それを見た彼女は苦笑いを浮かべ、響は板場からあんたはハーレムものの主人公並みに鈍いと言われ、今回のお好み焼きパーティーは未来が提案したものだと知り、彼女たちとデジモンは普通の放課後を過ごしていた。

 

 しかし、何台もの車が響たちを通り過ぎ、次の瞬間に爆発し炎上した。

 

「あれって!」

 

 響たちが爆発した方向へ向かった。

 

 そこでは運転手が炭化され、ワーガルルモンにズドモン、サンティラモンが暴れまわっていた。

 

「こいつら!好き勝手暴れてんじゃねえぞ!」

 

 暴走したデジモンが暴れるすぐ近くでは人間界で暮らすマミーモンが戦っていた。

 

「あれは!」

 

「アニメで言う所の仲間キャラ?」

 

 ゴツモンと板場がマミーモンを指差した。

 

「スネークバンテージ!」

 

 マミーモンが包帯でノイズを巻きつけ、武器の銃で吹き飛ばした。そして、響たちは包帯で包んだネフィリムの心臓を抱えたウェル博士と対峙した。

 

「ヒッヒヒヒ…これを渡してたまるものか…誰にも渡さん…」

 

「ウェル…博士…」

 

「なっ、何故お前が!ヒイイイイイイイッッッーーー!!!」

 

 ノイズやデジモンが襲ってきた。響が勢いよく走り出した。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

 響は生身のままノイズを攻撃した。

 

「響!」

 

「人の身で、ノイズを?」

 

 そして響がギアを纏い、ノイズは炭化された。

 

「はあああああああああああ!!!」

 

 そして衝撃波が発生し、ウェル博士をより恐怖させた。

 

「この拳も…命も!シンフォギアだ!」

 




G編最終回の登場に向けてマミーモンとあのデジモンの登場になります。そろそろ奏者たちと魔王を戦わせようと思いました。それにしてもFISと二課の戦闘って後半になるにつれて微妙に数が少なくなってるからパートナーが空気になることがありますが、自分でも戦闘が少ないと誰のパートナーが誰で技ってなんだっけという状況です。まだまだG本編では6、7話で先が長いです。

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