戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
調と切歌に決闘を申し込まれた装者たちだったが、その場にいたのはウェル博士と爽谷だった。
「あいつら!」
ウェル博士はソロモンの杖からノイズを呼び出した。
クリスたちは自分のデジモンを完全体に進化させた。爽谷はそれに対して無言のままデビモンとオーガモンのデジメモリを挿入した。
「2体同時に!?」
響が驚いた。
「この間の土偶みたいな奴だ!気をつけてくれ!」
拓実は一般人が立ち入れないということで遠隔地から通信で連絡した。ベタモンも響たちと共に戦っている。
「フュージョン…レボリューション!」
<デビモン!オーガモン!フュージョンレボリューション!ジョグレス!スカルサタモン!>
するとデビモンの紫の光とオーガモンの茶色の光が融合し、骸骨と悪魔が融合した姿になった。さらにホルスモン、ディグモン、ペガスモン、ネフェルティモン、タンクモン、ブロッサモン、ギガドラモン、そしてメタルティラノモンを呼び出した。
「Balwisyall Nescell gungnir tron」
「Imyteus amenohabakiri tron」
「Killiter Ichival tron」
3人が聖詠を唱えた。
響が走りながらラリアットの要領で、翼が切り裂きながら、クリスがガトリングで攻撃しながらノイズをあっという間に倒して行った。
「ゴールドラッシュ!」
ディグモンが奏者たちに鼻と両手のドリルで攻撃したが、クリスのMEGA DEATH PARTYで相殺させ、翼の千ノ落涙でホルスモンごと倒された。
「ジェノサイドキャノン!」
メガドラモンのジェノサイドキャノンでデジモン軍団を抑え込むのには成功したが、スカルサタモンが素早く立ち回り打ち落とされてしまった。しかも、タンクモンの弾幕でデジモンたちの攻撃が鈍っていたのだ。
「メガドラモン!拓実、頼む!」
「オッケー!」
<モノクロモン!レオモン!デジメモリオン!>
モノクロモンとレオモンがタンクモンに突進して動きを封じた。
「ボルケーノストライク!」
「獣王拳!」
2体の攻撃でタンクモンが倒された。
しかし、デジモン以外にもノイズが立ちはだかっていた。
「調ちゃんと切歌ちゃんは!?」
「あの2人なら謹慎中ですよ。だから私と爽谷くんがこうして出てきているのですよ!
お友達感覚で計画に支障をきたされてはねえ…困るんですよ。」
ウェル博士が嫌味を言いそうな表情で奏者たちを見た。
「貴様らは一体何を企てているのだ!?」
逆羅刹で翼がノイズを一掃し、ウェル博士に問いただした。
「勝手な思い込みはしないでください。僕たちは人類を救済しようとしてるんですよ!」
ウェル博士はスカルサタモンがヤタガラモンとメタルグレイモンを相手に有利に立ち回っている横で翼をソロモンの杖で指した。
「甕布都ノ神!」
「ギガデストロイヤー!」
「シューティングアロー!」
「ロゼッタストーン!」
スカルサタモンが攻撃をかわし、メガシードラモンを攻撃しようとした中、ペガスモンとネフェルティモンが現れヤタガラモン、メタルグレイモンに勝負を挑ませた。メガシードラモンもメタルティラノモンをメモリに戻し、スカルサタモンと戦うことになった。
「その通り!月の落下で損なわれる無辜(むこ)の命を可能な限り救い出すことだ!」
「「「月を!?」」」
「バカな!あれは響たちが阻止したはず!」
メタルグレイモンがウェル博士を見た。
「それにその公転軌道は3カ月前から各国期間が計測中だ!落下などという結果が出たら黙ってなど…!」
「黙ってるに決まってるじゃないですか!」
ウェル博士が挑発するかのように翼の言葉を遮った。
「彼らは対処法のない極大災厄だから、かえって余計な混乱を生むだけと判断する。そしてそれを知った連中は自分だけが助かりたいと願うから不都合な真実を隠蔽しようとしているんですよ!」
スカルサタモンがメガシードラモンを一方的に攻撃し、反撃として放ったサンダージャベリンをかわした。ペガスモンとネフェルティモンはそれを受け、デジタマに戻った。
「そして!我らに対する答えがネフィリムと!」
すると地面を突き破ってネフィリムが現れ、ウェル博士のデジヴァイスからもヴァンデモンが現れ、倒れたデジモンのデータらしきものを吸収し、光を放ち巨大化した。
「ヴェノムヴァンデモンか…」
ヴェノムヴァンデモンが現れ、パートナーデジモンの方へと向かっていった。
ネフィリムが地面を突き破った衝撃でクリスは地面に叩きつけられてしまった。それを助けようとした翼だったが、糸を吐くノイズに拘束されてしまった。
「こんなもの!」
ネフィリムが翼とクリスを襲おうとしたが、響がそれを食い止めた。
「人を束ね…組織を編み国を食べて命を守護する!それこそがネフィリム!」
「ヴェノムインフューズ!」
ヴァンデモンの目から放たれたレーザーにデジモンたちは苦しめられてしまった。
「さて、ネフィリムは…!?バカな!」
スカルサタモンが見たのは、ネフィリムを一方的に攻撃していた響だった。
「ルナアタックの英雄よ!その拳で何を語る!?」
両腕のスライドパーツを引き、片手で放ったパンチでネフィリムは吹き飛ばされた。そして背中のブースターともう片方の拳でネフィリムを攻撃しようとした。
「そうやって君はもっと多くの誰かをその拳でぶっ壊してるんだよ!」
ノイズを呼び出したウェル博士の一言に響はノイズを倒したものの大きく取り乱された。
「ネイルボーン!」
横からネフィリムの援護のために放ったスカルサタモンの攻撃で響は怯んだが、咄嗟に拳を放った。しかし、ネフィリムはその拳を口に含み次の瞬間食い千切った。
「え?」
「立花あああああ!!!」
あたりに響の血しぶきが迸った。
「嘘だろ!?」
拓実がモニターに唖然としていた。その場にいたスカルサタモンも少し、吐き気を催したがすぐに冷静さを取り戻した。あまりの出来事に響は悶絶した。
「いったあああああああああああああああああああああーーーーー!!!!」
それに対してウェル博士は嬉しそうに目をグワッと開かせ、恍惚な笑みを浮かべて空を見上げた。
「パクツイたあ〜!シンフォギアを〜!これでーーーーーーー!!!」
一方、FISのメンバーたちもその様子を見ていたが切歌が怒りと嫌悪感を露わにし、拳で壁を叩いた。
「あの奇天烈!どこまで道を外してやがるデスか!」
ネフィリムに聖遺物のかけらを与えると全員に告げたウェル博士だったが、その目的はギアを纏った人間をそのままエサにさせるというとんでもないことだった。もちろんウェル博士以外はその内容を聞かされてはいなかった。
それを見たマリアの脳裏にはウェル博士の放ったノイズによって殺害された少年たちが浮かび、思わず目を逸らそうとした。
「どこに行くのです?私たちはこの場で待機ですよ!」
「あいつは人の命を弄んでいる!こんなことが私たちのすることなの!?」
調と切歌も胸が痛んでいた。それを見たナスターシャは辛そうな顔をしながらもそんな優しさは今日で捨てろと告げた。
マリアは隣の部屋に座り、セレナのペンダントを握りながら泣き崩れていた。
「このままじゃ…私が崩れ去ってしまう…!」
完全聖遺物であるネフィリムは自律稼働する聖遺物であり、他のエネルギーを暴食する性質がある。響はルナアタックの頃から聖遺物との融合を果たしておりFISでは"融合症例第一号"と呼ばれていた。ネフィリムが彼女の腕を喰らうこと__それはさらなる進化を促すのにうってつけだった。
「さあ!行くぞ!これこそが…覚醒の鼓動だ!」
ネフィリムは体が巨大化し、黄色いアザらしき部分が赤く変色し、雄叫びをあげた。
「これこそがフロンティアを浮上させるんだ!フハハハハハハ!!!ウェヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!ヒャハハハハッハハハハ!」
狂ったように笑うウェル博士の声が木霊した。
「くっ!どこだ!どこに消えた!私の携帯!」
(翼、振り返る)
「みんなも携帯を無くした時に困らないように部屋はこまめに片付けた方がいい。防人からの提案だ。」
「翼さん…」
「そもそも携帯を無くさないようにしようよ。あと部屋も片付けなよ…」
第33回 翼、緒川、ファルコモン(in翼宅)