戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
「ぐをおおおおおおお!!!」
シャッコウモンが吠えた。
「エンジェモンとアンキロモンが合体した!?」
翼が驚愕した。
「ジョグレス進化だと!?」
弦十郎が驚いた。
「ジョグレス進化…オメガモンと同じ進化か。強敵だぞ。」
ロードナイトモンがモニターを見た。
「何!?あの土偶!」
「邪魔すんじゃねえ!」
RED HOT BRAZEでシャッコウモンを攻撃したが、そのボディには傷一つつかなかった。
「固い!?」
「だったら!」
メガシードラモン、メガドラモン、メタルグレイモン、レイヴモンで攻撃を仕掛けるもそのボディに弾かれてしまった。
「ニギミタマ!」
シャッコウモンがメガドラモンとメガシードラモンを攻撃し、海に叩き落とした。
「背後から攻撃だ!レイヴモン!」
シャッコウモンの背中からレイヴモンとメタルグレイモンが攻撃したが、なんとシャッコウモンは動体を回転させた。
「嘘!?」
響が唖然となっていた。
「どんだけやべえんだよ!この土偶は!」
クリスもボウガンで背中を果敢に攻撃するもやはり傷一つつかなかった。
「アラミタマ!」
シャッコウモンが目から赤い閃光を放った。メタルグレイモンとレイヴモンは光が直撃したため、すぐにアグモン、ファルコモンに退化してしまった。
「そんな!」
「奴は完全体だ!しかし…強い!」
「こうなったら!」
クリスがデジヴァイスを構えた。
「俺も行くぜ!」
拓実もデジヴァイスを構えた。
「メガドラモン究極進化!ムゲンドラモン!」
「メガシードラモン究極進化!メタルシードラモン!」
「立花さん、これを!」
拓実がメモリを投げた。
「は、はい!」
響が受け取ったメモリをデジヴァイスに挿入した。
<アンドロモン!デジメモリオン!>
響たちの前にアンドロモンが現れた。
「スパイラルソード!」
腕を回転させて放ったエネルギー型の刃がシャッコウモンを攻撃したがやはり防がれてしまった。
「ニギミタマ!」
腹部パーツが展開し、攻撃してきたのを拓実は見失なかった。
「こうなったらこれだ!」
<ピッコロモン!デジメモリオン!>
今度はピッコロモンが現れ、なんとシャッコウモンの腹部に潜り込んだ。
「何考えてんだよ!ピッコロモンが食われちまったぞ!」
クリスがシャッコウモンを指差した。
「いいや、これでいい。外だけがダメなら中と外の二段階で行くんだ。そうしたら、どうなる?」
「そうか!爆発する!」
「ああ!行け、メタルシードラモン!」
「ムゲンドラモン!」
「アルティメットストリーム!」
「ムゲンキャノン!」
頭部からのレーザーと背中の砲台からのエネルギー弾を受けた。内部でもピッコロモンがピットボムで連続攻撃を放った。そしてシャッコウモンはあっけなく爆破し、デジタマに戻った。そしてメモリがエンジェモンとアンキロモンに分かれた。
「敵は倒したけど…!」
「ああ!逃げられちまった。」
クリスと拓実が肩を落としているところにメタルシードラモンとムゲンドラモンが近づいて来た。
「大丈夫さ。今度は負けないさ。」
「ああ…クリスのために!」
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一方、武装組織フィーネのメンバーを乗せた飛行船ではウェル博士と爽谷が切歌に殴られていた。
「下手打ちやがって!連中にバレたら計画実行まで、どう身を潜めればいいんデスか!」
「ごめん…」
爽谷が睨みつけてくる切歌から目をそらす中、ウェル博士は何一つ言わなかった。
「おやめなさい。そんなことしたって大したことにはならないわ。それに、爽谷。謝るときは相手を見てから言いなさい。」
「そんなこと言ったて、胸糞悪いデスよ。」
「ごめん…」
爽谷は床に落ちた眼鏡を拾い上げ、体育座りをしたまま謝った。
「驚きましたよ…謝罪の機会すらくれないのですから…」
ウェル博士はニヤニヤしながら切歌を見た。
「ドクター…」
爽谷は若干引き気味だった。するとナスターシャがモニターから話しかけて来た。
「なんとかネフィリムを守れましたが、アジトを失ってしまいました。ネフィリムに上げるための餌も少なくなったこの状況では危険です。」
「今は、おとなしいけどいずれお腹を空かせて、暴れ出す…」
すると、ウェル博士がすっと立ち上がり策はまだ残ってることを告げた。そして切歌の胸のペンダントを見て不敵に笑んだ。
「あの…具体的にどんな案なんです?その策っていうのは…」
爽谷がゆっくりと立ち上がる。
彼によると聖遺物の欠片はその辺にゴロゴロ転がっているから、敵のシンフォギアのペンダントを奪えばいいという決断に至った。
マリアがそれを引き受けようとしたが、力を使えばマリア自身が塗りつぶされてしまうということから調と切歌が断固拒否し、自分たちが行くと宣言した。彼女たちのパートナーであるワームモンとキャンドモンも頷いた。そして彼女たちは爽谷を見てニヤッと笑みを浮かべた。
「えっと、何?」
一方、マリアらを取り逃がしてしまった響たちは消沈していた。そんな中拓実は大の字になって空を見上げていた。
(マリアさんはフィーネなのか?イマイチ信じられねえ…
だって数ヶ月で目覚めないし、俺らのことくらい知ってるだろ普通…)
「無事か!お前たち!」
ハッチから弦十郎とロードナイトモンが現れた。
「了子さんと…たとえ全部分かり合えなくても、少しは通じたと思ったのに…」
「通じないなら…通じるまでぶつけろ!言葉より強いのを知らないお前たちではあるまい!」
「師匠…」
クリスが呆れながら笑うと響が立ち上がった。
「はい!言ってること全然わかんないけど、やってみます!」
拓実も起き上がって首を縦に振った。
弦十郎たちが朝日をバックに決意を新たにした瞬間だった。
その後、斯波田事務次官が蕎麦をすすりながら弦十郎たちに伝えたのは武装組織フィーネとはアメリカの聖遺物研究機関の化学者たちにより構成され、正しくは"米国連邦聖遺物研究機関"通称FISの一部が暴走した集団だということだった。そして斯波田事務次官は噂によるとFISは日本政府に対しアメリカが情報を開示する以前からあり、櫻井 了子もその職員だったことを告げた。
数日後、リディアンでは多くの家族や一般人たちにより学祭が賑わっていた。
「わーい!チョコバナナ!チョコバナナ!」
「翼に後でここのクレープが美味しいってことを教えてあげないと!」
「ドコニイッタンダ、クリス?コノ"タコヤキ"トイウヤツハケッコウウマイノニ…」
「この焼きそばもうまいな〜ああ!幸せ〜」
アグモン、ファルコモン、ハグルモン、ベタモンが食べ物を食べる中拓実は息切れを起こしていた。
拓実は板場たちに学祭に来るよう誘われたのはよかったものの、来てすぐに翼とクリスと響にたまたま会い、パートナーたちが満喫したいからしばらく面倒を見るように頼まれていたのだ。
「お前ら…あんまり走り回らないでくれよ。
屋台を行ったり来たりは結構しんどいんだぜ…」
辺りを見ていると見覚えのありそうな2人の少女と見かけない少年たちがいた。
(なんじゃ、ありゃ?どっかで見たことあるような…)
それもそのはず。彼女たちは眼鏡をかけただけで変装した調と切歌だった。
「じーっ」
「何やってるデスか!?早く行くですよ!」
2人の後ろに爽谷が出て来た。
「何故にその格好をしなきゃなんだい?」
「それは、これは美人捜査官メガネだからデス!」
「美人捜査官メガネ?」
すると調が顔を近づけて来た。
「それは…かけるだけで色々な捜査を解決させてしまう凄腕の美人捜査官のメガネだから…」
「いや、説明になってないよ!」
「そんな細かいことはどうだっていいんデスって!それよりも地図のようなのが欲しいデスね!」
「だったら、この間見たドラマの真似をしてこようかな…知ってるかい?場所を聞くときは親切そうな感じの人に尋ねるといいんだって!」
「そうなの?」
「そうなんデスか!?」
「じゃあ、やってくるね!」
「ここは私が…!」
すると調が切歌の手を掴んだ。
「私たちが行っちゃうとあいつらにバレちゃうよ?切ちゃん…」
「ハッ!そうだったデス!ありがとうなのデス、調!」
「ううん、いいよ切ちゃん…」
調が顔を赤らめた。
そして爽谷が言ってくると地図を5枚も持って来た。本人曰く、お願いしたらすごい勢いでくれたとのことだった。
「さてと、どうする?僕は人が集まるであろうこのホールに行ってくるけど…」
「頼みますデスよ、爽谷!調と私に任せればそれ以外の場所の調査なんてチョチョイのチョイデス!」
「そっか、"三人揃えば文殊の知恵"って言うから僕らで見つけようか。
なんなら、競う?誰が最初に手に入れられるかをさ!」
「ふっふーん!きっと私たちの圧勝デス!」
得意げに切歌は地図を持った。
「そっちこそ"油断大敵"って言う言葉があるから気をつけてね。
うっかりナンパされたり、食べ物に誘われないようにね!」
「うっ、分かってるデスよ!とにかく、この前の失敗はこの機会でチャラにするために頑張るデスよ!」
切歌たちが走り去って行った。そして爽谷はすぐに響を発見した。
(あれが、融合症例第一号こと立花 響…
下手に近づくとバレかねないな。まあ、しばらくは追跡させてもらうよ。)
すると、未来が現れた。
「ひーびき!もうすぐ、板場さんたちのステージが始まるよ。」
「え!?もうそんな時間!?」
未来が響と手を繋いでホールに向かった。
(融合症例第一号には…親友ありで近づくのは難しいな…というか調と切歌以上に仲良いみたいだね)
爽谷も後をこっそりつけて行った。
そしてホールには響と未来、拓実がいた。
「やあ、2人とも。」
拓実がすでに座っていた。
「拓実さん?どうしてここに?」
「いやね、板場さんたちが歌うための手伝いとかをしたから是非来てくれって頼まれちゃって。」
「あはは…板場さんらしいなあ」
響が苦笑いを浮かべていた。
そしてコスプレをした板場たちがステージに上がった。板場が燃え、寺島がノリノリで、安藤は緊張し、それぞれがバラバラだった。
彼女たちは秋桜祭の勝ち抜きステージに出場した理由はただ一つ。それは"アニソン同好会"の設立だった。とはいえ、板場の野望だが…
「ナイスですわ!これっぽっちもブレてませんもの!」
「頑張ってね!詩織!」
「ああ…もうどうにでもなれ…!」
「クリー!そうだよね、破れかぶれだね!」
デジモンたちはデジヴァイスで応援していた。そして電光刑事バンのOPのイントロが流れた。
「始まるよ、響!」
「うん!」
「さあ、どうだ?」
爽谷が電光刑事バンの名前を聞くと動揺した。
「あの神アニメのOPが好きな人がいたとは…!
このリディアンは侮れないな!」
爽谷が目を輝かせていた。彼が日本に来た時に初めてハマったアニメこそ何を隠そうこの電光刑事バンなのだ。
「太陽輝く、その下で…涙を流す人々の悲しみ背負って悪党退治!燃えろ!現着、電光刑事!」
「君から届いた110番!」
「緊急出動!」
寺島がノリノリで歌っていた。
「胸にエレキ 走り抜けて」
安藤が緊張しながら歌っていた。
「「「痺れるぜ!!!」」」
響と未来と拓実は苦笑いをする中、爽谷はノリノリで見ていた。
「まさかこんな所にガチのファンがいたなんて!」
「アリバイ崩す デカの長官!所轄は地球!」
サビに移るかと思いきや鐘一つで終わった。
「えー!そんな…まだフルコーラス歌ってないのに…二番の歌詞が泣けるのに〜!」
観客たちが笑いに包まれた。しかし、爽谷は大きく凹んでいた。
「フルコーラス歌って欲しかったなあ…って、いけないいけない!僕の目的を忘れる所だった!」
響が笑う中、未来が微笑みながら響を見た。
(やっぱり、響は響のままで笑っていてほしいなあ…)
一方、切歌たちは外の捜査を行なっていたりはしていた。
「いや〜美味しいですね〜!まるで天国デース!」
「美味しいね、切ちゃん!」
ワームモンはわたあめを食べ、キャンドモンはたい焼きに夢中だった。
「じーっ…」
しかし、調は鋭い視線で切歌とワームモン、キャンドモンを見た。
「どうしたデスか?調?」
「私たちの目的は学祭を全力で満喫することじゃないよ、切ちゃん…」
「でも、少しくらいは…!アリトルでいいじゃない?」
キャンドモンは鋭い目つきで調に見られた。
「うっ…」
「これは捜査の一環なのデス!」
「そうそう、このうまいモンMAPを制覇して、どのお店に人が集まるかっていうのを計算してるんだよ、切ちゃんは」
切歌とワームモンの一言で調は頬を膨らませ鋭い目つきで顔を近づけてきた。
「分かってるデス!この身に課せられた使命を1秒だって忘れてないデス!デスけど…どうしたものか…」
すると調が翼を発見した。
「あっ、見つけた!爽谷風にいうとしたら"鴨がネギを背負って来る"だね!」
調が捕まえようとしたが、切歌に止められた。
「作戦も心の準備も出来てないのに鴨もネギもないデスよ!」
調と切歌が近づくと翼が振り返ってきた。慌てて隠れたため気づかれなかったが、不信感を抱かせてしまった。その場から歩き出した翼だったが今度はクリスとぶつかってしまった。
「いってえ〜」
「またしても雪音か!
クリスが頭を抑える中、翼は耳元まで近づいて小声で話しかけた。
「追われてんだ!さっきから連中の包囲網が確実に迫ってる!」
「やはりそうか!」
するとクリスのクラスメイト3人がやってきた。彼女たちはクリスを勝ち抜きステージに参加してほしいと告げた。
「お願い!登壇まで時間がないの!」
「けど、なんであたしが!」
クリスが振り返った。
「だって雪音さん、楽しそうに歌ってたんだから!」
クリスが赤面すると翼が近づいていた。
「雪音は歌うのが嫌か?」
「あ…あたしは…」
そして数分後、翼がアリーナの観客席に現れた。
「あれ?翼さん…」
「あ!翼!」
ファルコモンが翼に近づいて来た。
「翼さん、どうかしたんですか?」
「フッ、ちょっとな。」
すると次の挑戦者としてなんとクリスが登壇した。
「クリス!?ドウシテ?」
「響!あれって!」
「嘘ーん!」
「え!?クリス!?」
ハグルモンたちが驚いていた。
「ああ、私立リディアン音楽院二回生の雪音 クリスだ!」
(ここから先は教室モノクロームを聴きながら読むのを勧めます。)
「クリス…」
拓実がステージを見ると、クリスはとても乗り気ではなかったがクラスメイトの励ましで歌い出した。
「あれ?切歌に調?どうしたの?」
「ちょっと、気になったので来ちゃいましたデス!」
「ああ、あの少女以外にも2人この場にいるよ。チャンスだね…」
「そう…」
調と切歌はせっかくペンダントを奪うチャンスに巡り合ったがクリスの歌に夢中だった。爽谷も何故か乗り気ではなかった。それどころか聴き入っており、3人とも感動して涙目になっていた。
クリスの脳裏には転入した初日やクラスメイトたちと馴染めなかったことや初めての人助け、翼、響、未来、拓実、クラスメイトたちとの日常が映っていた。
「こんなに こんなに 暖かいんだ あたしの帰る場所 あたしの帰る場所」
緊張していた顔から笑顔が溢れ歌い終えた時、観客たちはその歌に魅せられていた。
(楽しいな…あたしはこんなに楽しく歌を歌えるんだ…そっか、ここはきっと…"あたしがいても良いところ"なんだ…)
観客席ではハグルモンが号泣していた。
「良い歌だったな…ハグルモン…」
拓実がハグルモンをなだめ、すぐにクリスにサムズアップを送った。するとクリスが首を縦に振った。
そんな中で拓実たちの座っているところの反対側で切歌たちも泣いていたが、爽谷が特に号泣していた。
「良い歌だ…良い歌すぎる…」
すると調と切歌が何かを決心したようだ。
クリスが歌い切った時、外のコスモスの花が舞った。まるでこれからのクリスの未来が美しくなるということを示すかのように…
「あたしは、歌で世界を平和にしてみせる。って、ボウガンとガトリングぶっ放してるあたしがいったところでどれだけの説得力があるか!」
「クリス、アニメニハコンナコトヲイウヒトガイタヨ。"オレノウタヲキケ"っていう人が。コレカラナニカウタウトキソレヲイイナヨ!」
「お前、それを誰から聞いた?」
「エ?ベタモンガ、タクミガソウイッテタヨッテイッテタ!」
「あいつかー!」
第32回 クリス、ハグルモン(in歌い終わった後の日の夕方)