戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
現れた黒いガングニールの少女マリアを前に弦十郎は顔を険しくした。
(俺たちはまた戦わなければならないのか!?了子くん!)
弦十郎の脳裏にはかつてのフィーネであった櫻井 了子その人が浮かんでいた。
「弦十郎、気持ちはわかるがお前の役割は奏者やオペレーターたちの指示だ。私情で仲間を守れないのと己自身がさらに醜くなるぞ。」
ロードナイトモンが弦十郎の横で告げた。
「ああ…分かっている…!」
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朝焼けを背に受けたマリアを打ち落とされた翼とヤタガラモンが見つめていた。
「嘘ですよ…!だって了子さんは"胸の歌を信じなさい"って言って消滅したんじゃ!」
「リーインカーネーション…」
ウェル博士が呟いた。
「まさか、それって!?」
拓実がウェル博士を見て驚いた。そのリーインカーネーションこそがフィーネが永遠の刹那に存在するためのものである。櫻井 了子がフィーネに塗りつぶされたのも、そのリーインカーネーションによるものでもある。
「ああ、その輪廻転生システムだ!けど…」
「ああ、一つだけシンプルな疑問があるけど、わかる?立花さん。」
拓実とクリスがマリアを睨みながら一瞬響を見た。
「はい、アーティストとしてのマリアさんですよね?」
「ハハハハハ!!そんなものはこちらが知りたいですよ…!」
ウェル博士が笑う中、爽谷はただ大人しく捕らえられていた。
(もう時期だ。もう時期で切り札を出すとするか…)
そんなウェルたちをマリアは鋭い眼光で見ていた。
(ネフィリムを死守できたのは僥倖…けれど、これじゃあ次の一手を決めかねるわね。)
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マリアが1人静かに考えていると彼女のデジヴァイスからブラックウォーグレイモンを呼び出した。
「来るぞ…!」
「分かってるわ。」
翼が足のブレードをサーフボードの要領で移動しマリアに、マリアの背後からはレイヴモンが現れブラックウォーグレイモンと戦うことになった。
しかし、両者の攻撃は紙一重でかわされた。
「甘く見ないでいただこうか!」
<蒼ノ一閃>
「ブラストウイング!」
しかし、マリアのマントにより二つとも防がれてしまった。
「甘くなど見てはいない!」
マリアがケージを上に放り投げると、ケージは姿を消した。
そして二課の仮説本部である潜水艦にて天羽々斬とガングニール、レイヴモンとブラックウォーグレイモンの二度目の対決が始まった。
(ここから先は烈槍 ガングニールを聴きながら読むのを勧めます)
「だから、私はこうして全力で戦っている!」
アームドギアを取ったマリアが翼に向かった。
「この間のようにしてやる!ブラックトルネード!」
「ならば!スパイラルレイヴンクロー!」
その横の海上では回転攻撃の対決が行われていた。
マリアは翼にアームドギアで果敢に攻め込み、余裕があることを槍を片手で回転させて見せつけた。
「この 胸に宿った 信念の火は! 誰も消すことはできたしない 栄光の Braze!」
マリアは腕を掲げると背中からマントで翼を攻撃した。そのマントは潜水艦の装甲を抉るほどだった。さらにマリアはマントを竜巻状に回転させ攻守両方を兼ねながら翼を攻撃した。キリがないと判断した翼は上から攻撃するもそれはマリアにはお見通しだった。
そしてマリアが翼を次第に追い詰めて行った。
「涙など いらない 無双の一振りよ!覚悟を今構えたら 誇りとちぎれ!」
「翼!マリアをふりはらうんだ!」
潜水艦の船体の傷が多くこのままでは利用さえままならないと判断した弦十郎によりアームドギアを収めた翼は逆羅刹の攻撃に移った。
「ふざけるな!」
マリアの一撃を受けた翼だったが片足が突然痛み出した。それにも構わず突っ込んできたマリアに対して短いアームドギアで懐を攻撃した。
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「あいつ!どうして!」
「最初に足を攻撃されたんだ!」
「まずい!レイヴモンは助けに行けない!ブラックウォーグレイモンが邪魔だ!」
するとクリスがボウガンを構えた。
「だったら白騎士の登場だ!」
「俺も手伝うぜ!」
<メタルグレイモン!デジメモリオン!>
ウイルス型のメタルグレイモンが現れた。
「これなら船にも傷はつかないし安心してぶっ放せる!」
「ギガデストロイヤー!」
メタルグレイモンの攻撃がマリアに迫った。
「まずい!」
とっさにブラックウォーグレイモンがマリアたちを守った。
「くそっ!邪魔されたか!」
「だったらあたしがやる!」
クリスがボウガンを構えた。
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クリスがボウガンを構えるなかでウェル博士に爽谷は妖しく微笑んだ。
(ここから先は獄鎌イガリマを聴きながら読むのを勧めます)
すると円盤型のノコギリが飛来してきた。
「これは、まさか!」
その隙に爽谷は拓実を押し倒して逃亡した。
「待て!」
<ハンギョモン!フュージョンレボリューション!>
爽谷はハンギョモンにレボリューションして水中に逃げた。
「頼む!メガシードラモン!」
「ああ!」
メガシードラモンも水中に潜りハンギョモンを追った。
「どこだ!?」
クリスが辺りを見回すと切歌が攻撃してきた。
「なんと、イガリマ!」
切歌は近接格闘を苦手とするクリスをイガリマで追い詰めて行った。
「警告メロディ 死神を呼ぶ 絶望の夢Death13
レクイエムより 鋭利なエレジー 恐怖へようこそ」
調はスケートのように素早く動きながら響にノコギリで攻撃を仕掛けた。
<α式 百輪廻>
ノコギリを連続で発射したが響の拳で砕け散った。それを見た調は空中でバック宙をし、ノコギリを輪状にして突撃してきた。
<非常Σ式 禁月輪>
響はなんとか調の攻撃をかわしたものの、適合係数の低下によりクリスは一方的に近距離攻撃で切歌に攻撃されていた。
当然、彼女たちのパートナーも助けに向かったがジュエルビーモンとデスメラモンに妨害されてしまった。
そんな中調がウェル博士にソロモンの杖を嫌々ながら渡した。
「時間ぴったりです。むしろこちらが遊び足りないくらいです…」
「勘違いしないで…あなたのためじゃない。」
調は顔色一つ変えないのに対してウェル博士は手厳しいとお手上げな動作をした。
しかも、調と切歌がなぜ現れなかったのかは二課のオペレーターの藤堯と友里でも分からず調査が難航していた。
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一方、潜水艦では翼が息切れを起こす中、マリアは先ほど腹部にできた傷を見ていた。
(こちらの攻撃に合わせて攻撃するなんて、この剣可愛くない!)
しかも、翼が出力が戻る中マリアは何故か息切れを起こしていた。
そしてマリアがナスターシャと通信をする中で"時限式"という言葉で翼はハッとし、ある確信を得た。
マリアも天羽 奏と同じリンカーを打ってできた装者だということを。そしてマリアは突如として現れた飛行船に乗った。
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その頃調たちと響たちが向かい合っていた。
「あなたたちはなんのために戦ってるの!」
「正義では守れないものを守るために…」
そういうと水中から浮上してきた爽谷はウェル博士を、切歌と調は1人ずつロープを掴み、そのまま飛行船に乗った。
しかし、クリスが咄嗟に最後の悪あがきでRED HOT BRAZEを構え飛行船を撃ち墜とそうとした。
「ソロモンの杖を返しやがれ!」
すると飛行船が紫の光で姿を消したと同時に小さな黄色と緑の光が降り立った。
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「…せめてもの土産だ。」
爽谷が放ったのはアンキロモンとエンジェモンだった。
その様子をナスターシャが見ていた。
(私たちのステルス機能はこの神獣鏡(しぇんしょうじん)が可能にしているが、儚く…脆い…)
実はこの神獣鏡は6年前に長野県の皆神山において発見されたが櫻井 了子ことフィーネがそれを強奪しそのままアメリカに持ち込まれた聖遺物の欠片である。その時、当時の発掘スタッフの中に天羽 奏の両親が含まれ、奏以外は全員ノイズに襲われ死亡し、以降奏はノイズを恨みシンフォギア奏者として戦うようになったのだ。
そして、武装組織フィーネはこれを解析する過程で"ステルステクノロジー"を手にした。これにより、今まで二課への逃亡や奇襲を可能にしていたのだ。
するとモニターを見ていたナスターシャが咳き込んだ。彼女の手には血が付着していた。
「急がねば…!儚く脆いものが他にもあるのだから…」
フィーネを乗せた飛行船は飛び去って行ってしまった。
<アンキロモン!エンジェモン!コンバートジョグレス!シャッコウモン!>
そう告げると海に土偶の形をした天使型デジモンが現れた。
「知っていますか!?日本最古級の土偶は、形が小さくて手足が突起のようなもので表されていました。しかし、女性の体格の部分は明瞭に表現されていたという!」
(爽谷、ドヤ顔)
「へ?」
「何言ってんだあいつ?」
「だからどうしたんだ!」
第31回 爽谷、響、拓実、クリス(in爽谷逃亡前)
1発目がシャッコウモンですが、侮ることなかれ。02ではデザインでしょっちゅう叩かれてたダサ…特徴的なシャッコウモンですが本編では究極体の攻撃を防いでいた有能な盾役者ですから。