戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
第27話 新たなる戦いの始まり
6年前___アメリカ某所の研究所にて1人の少女が鎧を纏いながら白い化け物を前に歌っていた。それをもう1人の少女が呼んでいた。辺りが火の海に包まれるなかもう1人の少女は必死に歌っていた少女の名前を叫んだ。
「良かった…」
歌った少女は目から血を流し、その後瓦礫に押し潰されて死亡した。享年13歳の出来事である。そしてもう1人の少女も押し潰される間一髪に老年の女性に守られた。
「セレナああああああああーーーー!!!」
残された少女の叫びが木霊した。炎はただ燃え上がっていた。
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それから6年後の現在__特異災害対策機動部二課、通称特機部二はアメリカ政府の依頼によりアメリカ聖遺物研究機関の生化学研究者であるジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス(同僚からはウェル博士と呼ばれている)を伴い、かつてルナアタックでクリスやフィーネが使っていた完全聖遺物__ソロモンの杖を岩国の研究所まで護送する任務があった。
その任務には友里と響、クリス、拓実が赴いていた。
「みなさん、本日はありがとうございます。」
「いえ!これも人助けですから!」
「ったく、ここまで来るとお人好しもいいとこだな。」
「まあ、立花さんらしいし、いいんじゃね?」
「ふふふ…」
友里が微笑んでいた。
「しかし、これだけ皆様に守っていただけるとは思いませんでした。」
「まあ、任務ですからね。いつノイズが出て来てもいいようにデジモンたちを準備させてるので大丈夫です。」
拓実は護送に際し、クワガーモンにサンダーボールモン、メカノリモン、アクィラモン、ガーゴモン、ガルダモン、ディアボロモンたちのデジメモリで護送した電車に回していた。
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その頃、日本ではQUEENS OF MUSICの準備が進められていた。アーティストは日本のトップである風鳴 翼とわずか数ヶ月にして全米ヒットチャートのトップになった孤高の歌姫__マリア・カデンツァヴナ・イブの2人であり、しかもこの様子は全世界に公開されるらしい。まさしく世紀の祭典である。
「もうすぐだね!翼さんとマリアさんを学祭の参考にするわよ!」
「うん、弓美!」
板場とゴツモンは帰り道に明日のことが楽しみで燃えていた。
「ナイスですわ!板場さん!」
「楽しみね。」
寺島とフローラモンも心待ちにする中、未来が時計を見ていた。
「あれ?ヒナ、ビッキーはまだなの?早くしちゃうと見逃しちゃうんじゃない?」
「大丈夫、響ならきっと来てくれるはずだから…!」
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一方、その響たちの列車を追うかのように空飛ぶノイズの大群が電車を襲っていた。
「ノイズが出現!迎え撃ちます!」
「来たか!頼むぜ!」
電車を守っていたクワガーモンとガーゴモンにノイズの攻撃を、ディアボロモンに固定砲台の役を任せ拓実たちは前の電車の車両に移った。
「カタストロフィーカノン!」
究極体ディアボロモンの光弾は多くのノイズを一掃したがそれでも後方にはまだ多くのノイズがいたためそれほどの効果がなく、すぐに消滅した。
「クソッ!これだけ多いと必殺技1発で消えちまうな!」
「あおい!」
「任せたわ!」
カメモンが車両の屋上に上がった。
「カメモン進化!ガワッパモン!」
ガワッパモンがアタマの皿を投げ出した。
「DJシューター!」
「さあ!こっちへ!」
ノイズたちもデジモンに負けてはおらず電車に装備された砲塔を破壊し、数名の護衛を炭化もしくは爆死させた。
その衝撃は響たちの車両にも届いた。
「きゃっ!」
「大丈夫ですか!?」
友里の横にいた拓実が手を差し伸べた。
「私は大丈夫!拓実くんはウェル博士を!」
「はい!こっちです!もっと前の方にお願いします!」
「はい…」
ウェル博士が不安そうに2人を見ると後方から響とクリスが現れた。
「大変です!ノイズの大群に加えて今度は暴走デジモンまで現れました!」
ノイズの大群の後方にはセイバードラモンにディアトリモン、エアドラモン、ウィングドラモンが控えていた。
「奴ら…明らかにこっちを獲物に定めてやがる…それも誰かに操られてるかのように見えるぜ!」
「なんだって?」
一行が緊迫する中、電車は走り続けた。
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響たちの様子は二課の新本部のモニターにも表示されていた。
「このノイズたちはやはり操られています!出なきゃこんな正確には動けません!」
藤堯の報告に弦十郎が険しい顔を浮かべた。
「やはり、これは何者かによるソロモンの杖強奪と見て間違いはないかね?」
ロードナイトモンがソファーに座りながらモニターを見つめていた。
「ああ!もう間も無く目的地にたどり着くというのにこの手際の良さ…目的はソロモンの杖強奪なら我らも攻めねばならないな。」
モニターには多数のノイズに混じって高速で動くパターンが検知された。それはデジモンとはまた違ったものだった。
友里もその連絡を受けながら前方に避難していた。その頃、暴走デジモンたちは次々とデジメモリで召喚されたデジモンを蹴散らしていったが、ガルダモンとガワッパモンによりなんとかエアドラモンが倒された。
「あおい!完全体を頼む!なかなかしぶといぜ、こいつら!」
「オッケー!頼むわ!」
あおいがデジヴァイスを構えた。
「ガワッパモン超進化!シャウジンモン!」
シャウジンモンがウィングドラモンに向かっていった。
「はい、はい!!ノイズでもデジモンでもない正体不明の動く反応!?」
「3カ月前に世間を騒がせたルナアタックから世界に開示された櫻井理論、それの多くの謎をこの完全聖遺物であるソロモンの杖を解析することで新たな可能性が明らかになるはずです!」
ウェル博士が友里に話しながら全員は前方の車両に移動していた。すると、クリスが立ち止まった。
「そいつは簡単に扱っちゃいけねえんだ。」
クリスがこのようなことを言うのも無理はない。なぜなら彼女が以前フィーネと行動を共にした時に彼女によってソロモンの杖が起動させ、多くの人々を間接的に苦しめてしまったからでもある。
「クリス…」
「クリスちゃん…」
拓実と響は心配そうに見つめた。
「もっとも…あたしがとやかくいう筋合いはないけどな。」
クリスは一瞬目を背けたがすぐにウェル博士の方を向いた。すると、響がクリスの手を握った。
「お、お前!何考えてんだよ!?」
「クリス、確かにお前はこのソロモンの杖を起動させたから責任を感じているかもしれないがもう少し他の奴らを信用してくれ。そのために立花さんたちがいるんだ。」
「そうだよ!大丈夫だよ!」
クリスは顔を赤くして顔をそらした。
「お前らってほんとのバカ…!」
(どうやら、満更でもないようだな。)
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拓実が笑っていると拳銃を取り出した友里に合図された。
「迎え撃つわよ!私たちは後方のデジモンを倒すから響ちゃんたちは前方をお願い!」
「よし来た!やってやるぜ!2人は思いっきしやっていいぜ!」
その時、天井から槍状のノイズが現れた。
「行きます!」
「Killiter Ichival tron」
「Balwisyall Nescell gungnir tron」
2人が光に包まれギアのパーツを装着した。
「バァーン!」
「ハッ、ハッ、はああああっ!!」
クリスは銃を撃つように響は演舞のようなもので変身を完了させた。
(クリス…可愛くなっているな…)
「さてと、さっさと片付けますか。行くぞベタモン!」
「オッケー!」
拓実のデジヴァイスが水色に光った。
(ここからは、Brave Heart を聴きながら読むのを勧めます)
「ベタモン進化!シードラモン!」
ベタモンが光に包まれ、巨大なシーサーペントのような姿に進化した。シードラモンは水棲デジモンだが宙を浮くことができるため陸でも戦えるのだ。シードラモンはシャウジンモンのいる屋根の上に立った。
「アイスアロー!」
アイスアローはシャウジンモンの周りにいたデジモンをその場から離脱させた。
「すまない!助かった!」
「ブラックセーバー!」
その時、上空からセーバードラモンが足の爪で攻撃して来た。
「させるか!ここから先には行かせん!降妖杖・滝の陣!」
シャウジンモンの激流でセーバードラモンは倒され、他のデジモンの動きを止めた。
「まだだ!」
<サラマンダモン!デジメモリオン!>
現れたサラマンダモンがディアトリモンを叩き落とした。
「ヒートブレス!」
灼熱の炎が落下したディアトリモンを焼き尽くした。
「決めろ!」
デジヴァイスがさらに光った。
「シードラモン超進化!メガシードラモン!」
メガシードラモンがウィングドラモンに突撃した。
「一気に行くぞ!」
「おう!」
シャウジンモンが飛び上がった。
「降妖杖・渦紋の陣!」
「サンダージャベリン!」
二体の合わせ技により、ウィングドラモンが倒された。しかし、ノイズは健在だった。
「残りを片付けるぞ!」
「おう!」
デジヴァイスがさらに激しく光った。
「メガシードラモン究極進化ーーーー!!!メタルシードラモン!」
メガシードラモンがクロンデジゾイドのボディを纏った。
「終わりだ!アルティメットストリーム!」
頭からのエネルギー砲塔から放たれた光線はノイズたちを次々と撃ち落とした。
「よっしゃ!」
「友里さん!後方のデジモンたちは片付きました。」
「ええ、ご苦労様。助かったわ」
メタルシードラモンとシャウジンモンはそれぞれのデジヴァイスに戻った。
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(ここから先は 正義を信じて、握り締めて を聴きながら読むのを勧めます)
クリスと響も屋根を突き破ると至る所にノイズがいた。
「雑魚がウジャウジャと!」
「でも、今日まで特訓して来たあのコンビネーションなら…!」
「バカ、あれは未完成だ。いきなり実戦で入れるわけないだろ!?」
クリスと響は事前にコンビネーションの特訓を行なっていたが結局完成せずに、この場に来てしまった。
「そっか、取っておきたいとっておきだもんね!」
「まっ、背中は任せたぞ!」
クリスはボウガンの長さを少し伸ばした。
「うん!」
響が振り返った。
「ぎゅっと握った拳 1000%のサンダー 解放全開 3、2、1 ゼロ!」
クリスがボウガンで後方を攻撃する中、響は持ち前の近接格闘で前方とクリスの討ち漏らしを倒していた。後方からクリスを攻撃しようとしたノイズも響の蹴りで一掃された。
クリスもボウガンを弓状に変え巨大な矢を放った。それは空中で分裂して無数の小さな矢に変化し空飛ぶノイズを一斉に攻撃した。
<GIGA ZEPPERIN>
その時、高速で移動するノイズをクリスが発見した。
「あれがリーダーか!」
クリスは腰から砲塔を取り出し、ミサイルを発射する。
<MEGA DEATH PARTY>
しかし、ノイズはミサイルよりも早く飛行したため効果がなかった。
「だったら、こいつだ!」
クリスはボウガンをガトリングガンに変化させる。
<BLION MEIDEN>
しかし、ノイズは槍状に変化しガトリング攻撃を受け流した。
「クリスちゃん!」
響も腕のパーツをスライドさせてノイズにパンチを浴びせたがまるで効果がなかった。
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その様子を弦十郎たち二課のメンバーも見ていた。
「異質だな。弦十郎、あのノイズは命令されているような動きをしている。」
「ああ。だが、果たしてソロモンの杖以外にそんなものがあるのだろうか?」
響とクリスは高速移動するノイズに攻めあぐねていた。しかも、電車がトンネルに入ったため、地上に出られなくなってしまった。
「どうしたらいいんだ!」
「そうだ、こう言う時はね…電車の連結器を壊せばいいんだよ!」
「それってオッさんの戦術マニュアルだろ?参考になんのかよ?」
「車両に加えてもう一個ぶつけちゃうんだよ〜!」
響は自信満々に笑ったのをクリスは疑問に思いながら見ていた。
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ノイズが迫る中、クリスが連結器を壊すと後方の電車はノイズに向かっていったが当然ノイズはそれをすり抜けた。
「君だけを守りたい だから強く飛べ!」
しかし、響は腕のパーツをスライドさせずに拳を放つと、背中のブースターにより勢いが加わってノイズたちに向かっていった。
「響け! 響け! ハートよ! 熱く! 歌う! ハートよ!平気へっちゃら! 覚悟したから!」
その勢いで先頭のノイズを撃破し、電車を爆破させた。その爆風でトンネルに入ったノイズは全滅した。
(あいつ…列車ごとノイズをやったのは軌道を制限出来るって気づいたからなのか…)
クリスは唖然としていた。そして夜明けとともに響たちは目的地に到着した。
「いよいよ第2期だ!みんな頑張ろう!乾杯!」
「防人の歌をもっと多くに届けてみせる!」
「お前の出番は次回だぞ?」
「何だと!?」
(スケジュール表確認する)
「ほ、本当だ!」
「翼さーん?」
「うう…歌女としての私は次回なのか…何故、初回ではないのだ。」
「尺の都合ですよ、翼さん!」
「おのれ、尺めええええええ!!!!」
第25回 弦十郎、翼、クリス、響(in27話開始前の二課本部)