戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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2周年が近づく中、次回でいよいよ最終回です。戦いが終わった後の響たちはどういった未来を歩むのか妄想の域を出ませんが個人的に書かせていただきます。

XVでは響がどうアヌンナキと接するのか、私の答えをここに載せます。200話近い物語、最後までご覧ください。


第225話 光溢れる世界へ

「この歌も命もシンフォギアだ!!」

 

「そうか、ならばこの一撃を受けろ!」

 

アヌンナキが指先からエネルギーの宿った球体を生成させた。

 

「もはやこの星まで病んでしまった以上人間を抹殺する!」

 

球体は肥大化していった。

 

「こんなものが爆発したら地球が!」

 

「そうはいかない!」

 

響たちが立ちはだかった。

 

「無駄だ、この星は終わる!お前たちの歌では相殺などできん!」

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl 」

 

「無駄だと言ったはずだ!地球の力を纏ったとて我が一撃で何もかもが本当に終結する!」

 

「終わらないさ、終わっていいわけがねえからな!」

 

「ああ、この星は滅びたりなんかしない。」

 

すると床を突き破ってその場に拓実と爽谷が現れた。

 

「2人とも無事だったんですね!」

 

「ああ、危うく死ぬかと思ったけどな。だけど安心してくれ。魔王は俺たちで倒した。」

 

「さて僕たちも行こうか。」

 

「ああ!今なら限界を超えられる!!」

 

すると全てのスピリットが輝きだした。

 

「エンシャント…スピリットレボリューション!」

 

全てのスピリットと拓実と爽谷が駆け出して球体をまず生身から攻撃していった。

 

「生身…いや違う!」

 

ヒューマンスピリットの小回りの効いた攻撃から間をおいて今度はビーストスピリットへと変化し攻撃を受け止めた。

 

「なんなのだ!?ただの人間にここまでの力が…いや違う!また変化した?」

 

「うおおおおおおおお!!」

 

そして超越形態から2人が融合した。

 

「「スサノオモン!!」」

 

そしてアヌンナキの放った球体を切り裂いて一気に詰め寄った。

 

「余の一撃を片手で切り裂いただと!?」

 

「アヌンナキィイイイイイイイイ!!!」

 

防御する暇もなく一発の拳を放たれた重い一撃がアヌンナキを吹き飛ばした。

 

「S2CAガイアヴァージョン!!」

 

そして広大なエネルギーが亜空間全体に渡り、出入り口を突き破って地球へと降り注がれた。

 

「なんだこのエネルギーは!?」

 

「ただのフォニックゲインでは…うわああああああ!!」

 

ロイヤルナイツたちですらその強大なエネルギーに弾かれてしまっていた。そして亜空間が白く包まれた。

 

 

月はほとんどが欠損してしまいもはや3分の1程度しか残っていなかった。

 

「くっ、余がここまで…」

 

アヌンナキは全身がボロボロで立っているのもやっとだった。しかし響たちもギアが大破しアンダースーツのみになってしまっていた。

 

「どんだけ耐えられんだよ…」

 

「やめだ。」

 

____________________________

 

アヌンナキの発した言葉で周囲は静まり唖然となった。

 

「なんのつもりだ?」

 

「「別に、ただお前を一発だけぶん殴りたかった。」」

 

スサノオモンを逆に殴り返した。そしてアヌンナキは拳を収め背を向けた。

 

「…やめだ。」

 

「なっ!?どうして?」

 

「もう良い、これ以上は決着が付かぬ。」

 

アヌンナキが玉座に戻った。

 

「余が創造したものが余に歯向い、勝手に争う。望んだものを汚した行為が許せない。

 

そして余が築き上げた人の過ちがバラルの呪詛だったのだ。

 

それだと言うのに貴様らは余が捨てさせたはずのもの______歌で余を追い込んだ。

 

貴様らはなんなのだ?そこの2人は人間か?」

 

「シンフォギア…」

 

「両方だよ。」

 

構えを解いた響の声でアヌンナキは静かに微笑んだ。

 

「そうか…あの巫女め、とんだ置き土産を残したものだ。そう!これこそが余の愛したものだ。

 

歌…それは命と命の結び目なのだ。今確かに余はそれを幾星霜の時の元お前たちを通じて改めて空の地球に余は命を育んだ、歌を知った。絶唱、それは耐えず叫ぶ命の歌…そうか。」

 

アヌンナキはどこか満足げな表情を浮かべ再び玉座に座した。

 

「神さま…」

 

「だが忘れるな、バラルの呪詛は消えぬ。

 

余がこの星を捨てようと、歌を剥奪された人間同士の共喰いはこれからも続くぞ。」

 

「それはどう言うことだ!?」

 

翼が尋ねるとアヌンナキは背を向けた。

 

「余は貴様らを見限ったのだ。

 

もう貴様らのすきにしろ、地球に認められてしまったのだからな。

 

余の使命は宇宙のあらゆる命無き空の星に命を育むことだったがこの星で剥奪したはずの歌で命が育まれたことがわかっただけでも良しとする。

 

だが忘れるな、貴様らが歌を捨てた時、余はいつでも蘇ってこの星をチリにしてくれる。」

 

「忘れねえよ!ぜってえ忘れるもんか!」

 

「人の営みを守ってきた私たちは絶対に負けない。」

 

ある少女たちは孤独の闇の中にいたが歌という小さな糸で結ばれてそれが大きな力になった。

 

「不器用だけど一生懸命に進んでいるのはあなたが教えたくれたんだ。それを私たちは受け継いでいる。」

 

「私は繋がりあってる。だから命ある限り歌うんデス!」

 

ある少女たちはバラバラだったが一つの糸に結ばれて消して離れなくなった。

 

「俺たちの歌は終わらない!ある人たちの生き様が教えてくれた。人は命尽きる時がある。でも、その人生の中で人は多くの出会いと別れを歌に示すんだ。完璧でない歌はやがて共に奏でられ、星の歌となる。」

 

「僕たちの胸に歌はなかった。でも、歌を作ることはできる。そして繋げることも。」

 

少年たちも少女たちの歌を聴き自らの歌を見出した。同じ明日を見るために…

 

「「歌が命である限り、人の歌は死なない!」」

 

それを聞いてアヌンナキが手をかざした。

 

「そうか…良い回答だ。では眠ろう、行け」

 

アヌンナキが最後に虹色の光とともに響たちを吹き飛ばした。

 

「な、何を!?」

 

「貴様らを返してやる。歌を繋げ、そして生きながらえさせろ。それはこの星の使命だ。せいぜい足掻いて余を興じさせろ。」

 

アヌンナキはフッと呟き玉座で眠りについた。

 

「ありがとう、そしてさようなら神さま。」

 

____________________________

 

「ぐおおおおおおおおお!!」

 

その時、塔を破壊する影が現れた。

 

「あれは…!デジモンなの!?」

 

あたりを構わず破壊するどう猛な怪物に力が残されていない響たちは愕然と眺めるだけだった。

 

「キサマラ…ツブス!」

 

「まさか…ルーチェモン?」

 

「生きてたのか!」

 

「こんな時に…!」

 

うろたえる響たちはアヌンナキより一人一人、本部に戻された。

 

「神さま!?」

 

響の姿が消え最後に未来が残った。

 

「さて、他の奴らは別の場所に戻した。

 

最後に教えよ人間。貴様は何故…余を人間と同じと評した?」

 

アヌンナキが未来に尋ねた。

 

「あなたはきっと人を信じていたのではないのでしょうか?すぐに滅ぼさずに残すことで何かを得たかったのではないのですか?」

 

それを聞くとアヌンナキが見せなかった笑みを浮かべた。

 

「ふっ、愚か者め。人間になど推し量れるものか。」

 

未来の姿が消えるとアヌンナキもふふふと笑みをこぼしてルーチェモンを見つめた。

 

「この星はもう、育っていたか…」

 

ルーチェモンが唸り声を上げる中アヌンナキは涼しげな笑みで表情で閉じる亜空間を眺めていた。

 

「フィーネ…貴様が余に伝えたかったものを数千年の遥かなる時経てなお見せてくるとは、忌々しいものだ。」

 

その後亜空間の入り口は完全に閉じてしまった。

 

____________________________

 

「本部落下します!このままでは…!」

 

落下する本部を支える影があった。デジモンたちだった。

 

「みんな、大丈夫?」

 

「うん!大丈夫だよウォーグレイモン。」

 

パートナーたちの活躍に全員ほっと安堵のため息をついた。

 

それから切り離されたアルゴの一部ごとアヌンナキの加護により、SONG本部は海に落下した。

 

月の一部は丸ごと抉り尽くされ、もはや三日月のまま元の軌道に戻り、変わらず浮かんでいた。

 

「帰ってきたんだ…」

 

月を見上げていた中響が未来を静かに抱きしめた。

 

「うん!おかえり響。」

 

「ただ今、未来」

 

皆が勝利を確信する中スピリットが突然輝いた。

 

「みんなに話さなければならないことがある。」

 

「どういうことなんだ?」

 

十闘士たちの姿が消え掛かっていた。

 

「実は、もう私達の意識は消えてしまうんだ。」

 

「なに言ってるデスか!?」

 

「戦いの果てに俺たちはもう意識を持てなくなっちまったんだよ。ハイパースピリットレボリューションやスサノオモンの進化は本来ありえない進化だったからスピリットに負担をかけ、意識の消滅を早めちまったんだ。」

 

「そんな…!」

 

「メソメソするな!!」

 

「お前たちがいたから俺たちは最期の時まで戦えたんだ。それだけで満足だ!」

 

すると十闘士たちが消えていった。響たちもその光景に涙せずにはいられなかった。

 

「ありがとう、君たちのことは忘れない!!」

 

「ああ、俺たちはここにいる。お前らともう一度戦える日を待っているよ!」

 

「ああ!!」

 

そういうと各属性のスピリットは各地へと飛んで行ってしまった。

 

「行くぞ。」

 

「うん。」

 

「「はっ!」」

 

しかし、拓実と爽谷がスピリットが集結したところに飛び込んでスピリットを手に入れた。

 

「悪いがこれとは長い付き合いでね。また会おう!」

 

2人が手に入れたのは光と闇のヒューマンスピリットだった。そのままスピリットたちは各地へと散らばっていった。

 

「いいのか?それだけで?」

 

「翼さん、俺たちはいつか会えるって言ったんです。今はこれだけでも必ずまた全てのスピリットを揃えますって。それより…」

 

スピリットを手に入れた拓実はふらっと体勢を崩して倒れた。

 

「水琴!?おいしっかりしろ!!」

 

「体が、疲れた…」

 

「そうだね、ちょっと眠いかもね。」

 

拓実と爽谷が眠ったのは綺麗に澄んだ青空の下だった。

 

「全く、風邪をひくぞ?」

 

すると今度は腹の音が鳴り響いた。

 

「未来〜私ご飯食べたいよ〜!」

 

「はいはい、家に帰ってからね。うふふ…」

 

「ったく、家に帰ってからにしろっての。」

 

「はいはい、みんな立って!お家に帰るまでが任務よ!」

 

それから皆疲れを癒すべく帰り道を歩いていた。

 

「ったく、無茶しすぎたな。明日は筋肉痛確定だ。」

 

「でも本当に良かったね。こうしてまたいっしょにいられて。」

 

「ああ…お前と俺は離れて戦っていたが別に1人で戦ってるなんて思わなかったよ。」

 

「あっ、おんなじだね!僕もそう思ってたんだ。」

 

拓実とベタモンが自宅に到着した。

 

「…おかえり。」

 

ベタモンが不意をついて挨拶すると拓実も笑顔でドアノブを引いた。

 

「ただいま。」


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