戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
もともと今回の話は予定的に2話に分けるはずだったのを1話にまとめました。
アヌンナキの元を目指す響たちだったが突然目の前の壁が無作為に破壊されていった。
「おのれえええええ!!神だか知らんが生意気なやつだ!!」
バルバモンは怒り狂っていた。
「儂の欲しいものを奪うなど許せるかああああーーーーー!!!」
「あれは、バルバモン?」
「貴様ら…邪魔をするなぁ!」
「ったく、こんな時に…」
クリスがアームドギアを構えたが拓実がそれを制止した。
「行きな、完全に亜空間に飲まれるまでもう時間がないんだ。ここは俺に任せときな。」
「拓実さん…」
「最後くらいカッコつけさせてくれよ。魔王1人ぶっ倒すなんてそうそうないチャンスだ。
みんなの士気上げにはぴったりだろう?」
拓実はそういうとスピリットを構えた。
「ダブルスピリットレボリューション!」
「水琴!行きて帰れよ…」
翼の言葉でフッと笑いながらバルバモンへと向かった。
「もちろん!さてと…これは骨が折れそうだな。」
「逃すか!」
先を急ぐ響たちをバルバモンが攻撃するがベオウルフモンがそれを弾いた。
「まてよヒゲ、何か勘違いをしてねえか?お前の相手は俺だ!」
「エセ十闘士が粋がるな!」
バルバモンが魔法陣を展開するがそれをヒラリとかわしながら、武器であるリヒトアングリフで斬撃を浴びせた。
「ほらっ!そりゃ!!」
「ぐっ!」
「次はこいつだ。ダブルスピリットレボリューション!」
続いてライノカブテリモンの姿となってバルバモンを角で握り締めながら壁に激突させ、電撃で確実に追い込んでいた。
「舐めるな人間風情が!」
片手で印を結ぶとギズモンが現れた。
「やれ!」
ギズモンの照射攻撃を防ぎ背中からの放電で撃破したライノカブテリモンは一気にバルバモンにサンダーレーザーを放った。
「チッ!」
魔法陣でその電撃を吸収すると逆に反射させてきた。
「効くわけねえんだよ!」
「ならこれはどうだ!?」
電撃を無効化させ、一気に突撃しようとした瞬間身体がズキンと痛み出した。
「ぐっ…があああああああ!!」
拓実が突如苦しみ出した。痛みは次第に激しくなりその場で身悶えしてしまうほどだった。
「こんな時に毒蟲かよ…」
「ふん、わしがアダムにプレゼントした毒蟲の改良型を施されたようだな。本当はあの神殺しを抹殺するのが最善だったろうがまあいい。
そんな体で勝てるものか!焼き尽くせ、強欲の魔法____パンデモニウムロスト!!」
「うわあああああ!!」
油断に漬け込んだバルバモンの一撃で拓実の変身は解かれた。
「カハッ!」
「ふんッ!ふんッ!貴様だけはなぶり殺しだ!」
バルバモンが杖で魔法陣を展開して生身の拓実に電流が流れ出した。
「うわああああああああああ!!」
「そぉらっ!そらっ!」
さらに魔法陣から放たれた光弾が容赦なく彼の身を傷つけた。
「ふん、口だけの若造が。貴様などあの時の十闘士以下だな。さて…」
「おらあああああっ!!」
それでもバルバモンの顔面を殴り飛ばそうと拳を構えたが毒虫により吐血してしまった。
「貴様、まだやるのか?」
「ったりめえだ。生身の人間をなめんじゃねえよ。デジモンばっかが俺じゃねえっての。」
生身のまま無謀にもバルバモンを殴りつけるがほとんどダメージを受けなかった。
「いい加減に…死ねエッ!!」
魔方陣で吹き飛ばされ壁に叩きつけられてもなお拓実が立ち上がった。
「ハッ、死ねるかよ…」
生身になって血を流し、足元がふらふらになりながら拓実は必死に相手に殴りかかったが片手で弾き飛ばされてしまった。
「オラッ!」
「今度こそ死ねッ!」
「ぐあっ!ああ…」
また一回、また一回と弾かれとうとう…
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床に倒れなかった。ギリギリで踏ん張ったのだ。しかし毒蟲はなおも拓実を蝕んで行った。
(俺が気を抜いたばっかりにこんなめんどくせえモン体に飼わなきゃいけない状態になっちまった。あーあ、最悪だ。)
「悪りぃ、みんな。約束破るわ。」
「やめろ!」
スピリットに手を伸ばしたその時、精神世界で拓実はエインシャントガルルモンと向き合っていた。
「君の体はもう限界だ!毒が回る以上このまま傷ついた体で戦い続けたら命の保証はない!」
「ありがとうな、気遣ってくれて。けどその意見は聞けないな。」
「どうして!?」
「みんながみんな明日を願ってるんだ。俺は命がけで明日を生きてみせる。だから死ぬなんて考えねえ事にしたんだ。」
「でもそんな体では!!」
「大丈夫だ、そんくらいの覚悟は…」
現実に戻った拓実はマグナガルルモンへとハイパースピリットレボリューションした。
「とっくの昔に出来てるんだよ…!ハイパースピリットレボリューション!!」
ゆっくりと手足から人間からデジモンのものへと変化した。
「俺は死ねない、たとえ死ぬかもしれない状況にあっても絶対生きるのを諦めたくないんだ。たとえ俺の不注意で俺が苦しんでも最後までやってやるよ!」
「ほざけ!パンデモニウムロスト!!」
「ぐっ!ぐがああああああああああ!!」
「バカな、並みのデジモンなら灰になるほどの威力を…この男は気合で防いでいるとでも言うのか!?」
そしてバルバモンの攻撃を受けながらも突撃して壁に叩きつけながら武器のランチャーの銃口を突きつけた。
「歯ァ食いしばれこの野郎!ファントムスナイパー!」
右手で全力を込めた拳がバルバモンの顔面にヒビを入れた。そして左腕で首を掴まれ壁面に叩きつけられ、動けない状況で至近距離から放たれた一撃でバルバモンの下半身が消滅した。
「ぎゃああああ〜〜!儂の下半身が〜!」
「行くぜ!体が持たねえんだ、一気に最高速度でぶっ壊してやるぜ!」
鎧を脱ぎ捨てて光の速さを最高にまで高めたマグナガルルモンはバルバモンに向かっていった。
「はあっ!てやっ!だあっ!」
「バカな!?こいつのどこにそんな力が!!」
「こいつの出せる限界…光速をも超える神速だ!!」
(立花さん、翼さん、クリス…マリアさん、切歌ちゃん、調ちゃん、爽谷、みんな…
振り返らないでくれよ。
だって俺はまだまだ生きていたいからみんなが立ち止まってられると調子狂うんだよ。
みんなが歩いてたら俺は後から追いつく、今までだってそうだったよな?だから先行っててくれよ…なあ?)
武器の攻撃でバルバモンは下半身に次いで両腕が消滅したため防御もままならずあっという間に競り負けていた。
「終わりだ!スターライト…ベロシティいいいいいいい!!」
加速した一撃を防げずにバルバモンは何千、何万もの斬撃を受けた。
「儂が人間ごときにいいいいいい!!」
一閃の元、バルバモンは消滅した。それを確認するとすかさずマグナガルルモンは無言で鎧を纏った。
「俺は…死なない!せめて…一撃は繋いでやるッ!!」
武器を上の階に向けて構えた。
「全身全霊だ、届け…!」
(みんな…俺はちょっと疲れちまったけど、きっと追いつくよ。約束だ、でもってそいつでチャラにしてくれ。)
「マシンガン…デストロイッ!」
そう言うと全身全霊の一撃が四方八方に拡散して建物を大きく破壊させた。そのうち一発がアヌンナキの元に向かった。
「ふん…」
片手で防ごうとしたがミサイルが急加速してバリアをすり抜けた。
「なんだと!?」
顔面の攻撃を防げずにアヌンナキの顔面にミサイルが命中した。しかし、顔面自体は無傷だった。すぐさま別のバリアを張ることができたからである。
「バカな!この余の障壁をすり抜けて攻撃しようとしてきただと!?」
先を進む響たちも拓実の渾身の一撃にあわや巻き込まれていた。
「なんだってんだよ今のは…!」
「下からすごい揺れだった…」
「今のは、マシンガンデストロイ!?」
「まさか…いや進むんだ立花!」
翼が動揺したかに見えたが首を横に振って先頭を走り出した。
「でも!」
立ち止まる響の手をマリアが引いた。
「いいから!もう時間がないわ。みんなを信じてあげなさい!」
「…はい!」
響たちもそれに巻き込まれたが奇跡的に無傷ですぐに上の階を目指した。
そして拓実は変身が解け地べたに大の字になりながら眠っていた。
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拓実が壮絶な戦いを繰り広げていたのと同じ頃、響たちはアヌンナキの元を目指していた。
「あれは!」
「うん?ああ、君らは確か魔王をほとんど葬り去った人間どもか。」
「ルーチェモン!?魔王がここに…」
「君らもアヌンナキも私が倒す。しかし君らも愚かなもんだ。アヌンナキは絶対に世界を滅ぼす。戦って負ける以外出来ることは何もない!私がやつを倒す!!」
ルーチェモンの羽の一部が黒く変色し、肉体も幼い子供のような体型からどんどん筋肉質のものへと変貌していった。
「これがルーチェモンの真の姿!?」
「フォールダウン…堕天使ね、まるで。」
マリアがアームドギアを構える中、今度は爽谷が静止した。
「お前は、僕が止める。」
「無茶よ!あなた1人じゃ…」
「大丈夫、僕は死なない。みんなとまだ笑ってたいから…大将はマリアさんたちに預けます。」
「わかった、信じてるデスよ!」
切歌を先頭に全員アヌンナキのもとに駆けつけた。
「無茶だけはしないでくださいね!」
ルーチェモンは響たちを決して攻撃せずに爽谷とにらみ合った。
「いいのかい?君1人で私に勝てるとでも?」
「負けるつもりはないさ。」
静かにスピリットレボリューションを果たした爽谷はルーチェモンの悪魔と天使の力を持った姿に戦いを挑んだ。
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一方、ゲート入り口を攻撃して綻びを作るべくSONG本部でも必死に抵抗していたがロイヤルナイツが応援に駆けつけたにもかかわらず綻びは生じなかった。
「まだだ!」
ルーチェモンの圧倒的なオーラは爽谷の攻撃を全て防いでいた。
「くっ!これならどうだ!?」
なおも攻撃を仕掛けるが全く命中しなかった。
「君の力はそんなものか?」
「ッ!ダブルスピリットレボリューション!」
(上から畳み掛ければ…!)
ジェットシルフィーモンで上から攻撃を仕掛けようとするも通用せずにルーチェモンは大きくジャンプした。
「こちらから行かせてもらう!パラダイスロスト!!」
上空からジェットシルフィーモンを叩き落としながら両手両足を押さえつけて頭から激突させた。
「うわあああああああ!!」
塔の床を突き破って月は大穴を開けられ、そのクレーター部に変身が解けた爽谷が横たわっていた。
「他愛ないものだな。」
その場を立ち去ろうとしたルーチェモンだったが爽谷が立ち上がった。
「待て…まだ終わってないぞ!」
宇宙服を着ても頭から出血し、メガネにヒビが入りながらもルーチェモンをにらんだ。
「悲しいな、君のよう蛆虫はすぐ対局を見極めず死にに行く。」
必死に攻撃しようとする爽谷だったが攻撃がまるで通用せず跳ね除けられるだけだった。
「それでも…みんなの元にはいかせない!」
「ならば望み通りこれで終わりだ!!」
ルーチェモンはため息をつきながら黒と白の光を放った。
「デッド・オア・ライブ!!」
「うわああああああああ!!」
「光と闇の力を究極まで高めたこの技、まさに二択だ!」
二つのエネルギーが激突してあたりが吹き飛んだ。
「ほう…生身の姿でこれを食らって生きていたか。この技は50%で生き残れる技だが褒めてやろう。」
爽谷が再びスピリットを構えた。
「ハイパースピリット…レボリューション!」
「だがいくら姿を変えようともこれで終わりだ!パラダイスロスト!!」
再びルーチェモンの攻撃をカイゼルグレイモンは直撃し地面に叩きつけられようとしていた。
「ッ、その技は…もう見切った…!落下する際に僕と一緒に受けてもらうよ、炎龍撃!!」
剣を持っていたため落下しながら地面に龍が現れて自分ごと貫いた。
「バカな…人間ごときが土壇場で私の技を破っただと!?」
「ハアッ、ハアッ…」
ルーチェモンが逆上した。
「ならばこちらも本気を出す!人間風情がここら一帯を覆ったのはかえって好都合だ。
私以外のものを全て滅ぼしてくれる!!」
近距離で格闘を繰り広げる両者はいつのまにか空中に飛んでいた。
その時、一発のミサイルがルーチェモンの背後を狙った。
「なんだ!?」
「今だ!九頭龍陣!!」
大地から放った龍が落下するルーチェモンを狙った。
「この私が…バカな!うわあああああああッ!!」
ルーチェモンは落下しながら龍に襲われ、月のクレーターに無理やり押し付けられながら爆散した。
「今の技はまさか拓実?」
カイゼルグレイモンが塔に向かおうとして正面から登ろうとしたところ突然目眩がした。
「くっ…ここまでか…」
そう言って爽谷は階段にもたれかかるように眠った。
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「はあっ、はあっ!」
響たちが階段を登り玉座前に着いた。
「来たか、人間!」
「神さま…」