戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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今回、地球と月が引き寄せられてしまった中で響たちがいよいよアヌンナキを目指します。

訃堂とリコリス、そして七大魔王…残る敵はわずかですがそれらを超えるアヌンナキの力も注目です。

アヌンナキ自体は本放送でどう表現されるのかが楽しみなだけに今作ではアヌンナキは実体を持った姿なのではないかと予想して展開運びを進めています。


そして前回、何故未来が響のようにさせなかったのかというと流石に訃堂も制御が効かないようなのを自らの兵器として用いないだろうと考え変化させない方針で案を練りました。その答えがあと数回で明かしますのでお楽しみください。


第222話 神の間への道 振り返らない歩み

 月に到着した訃堂とリコリスは宇宙服のようなものを着て月に降り立った。

 

「小日向未来は奴らに奪われたか。」

 

「まあいいだろう。月さえ破壊して仕舞えば良いだけのこと。そうすれば万事は決する。」

 

 訃堂は忌々しく地球を眺めていた。

 

「どうした?」

 

「我が国の小ささを儂は疎んでいる。こんな小さな国で良いのか?大国として強大な力を持つことこそが国の防人である儂の使命だ。」

 

「ほう、そいつはしおらしいことだな。弱小国として舐められてるってのに意識の高いことで。」

 

「黙れ、貴様などただの使い捨てよ。それを忘れるな。」

 

「はいはい、精々寝首をかかれるなよ。小日向未来を立花響みたいにしなかったのは今のお前じゃ制御ができねえからだろ?」

 

「そう、万が一失敗して我が国を壊す行為を二度と行わせないためだ。だからこうしてアルゴを発掘してレイエネルギーをアルゴ全体に行き届かせたのだ。」

 

「それで、あとはこいつを月にぶつけさせるってわけだな?」

 

 訃堂が睨むとそこにはSONG本部が映っていた。

 

「さて、あやつらを引きつけるか。引きつけさせて動きを封じさせてくれる。」

 

 訃堂が上へと登った。それを見てリコリスも上へ向かった。

 

「…」

 

____________________________

 

「みんな、死ぬなよ。」

 

「「はい!!」」

 

 拓実が決意を固める中、毒蟲はなおも成長を遂げ蝕んで行った。

 

(もう少しだけ持ってくれよ。)

 

「拓実、死なないでね。」

 

「バカヤロウ、俺が死ぬかよ。爽谷こそ気をつけろよな。」

 

「うん!言われなくても!!」

 

 それからクリスのミサイル攻撃で響たちは操縦区間手前まで一気に接近した。宇宙ではギア

 

「爽谷…お姉ちゃん、待ってるからね。」

 

「これは…!司令、未来ちゃんが一緒の出撃しています!」

 

「なんだって!?未来くん、君は病み上がりなんだ、戻るんだ!」

 

 響の後ろには宇宙服を着た未来がいた。

 

「そういうわけにはいかないんです!眠ってる間に私はあの神様が泣いているのが見えたから…あの神様の涙を晴らしたい!」

 

「なんだって!?」

 

「まさか、レイラインからのエネルギーを受けたことで地球の記憶の一端を垣間見たのかもしれません。」

 

「しかし、そうは言うが君にはギアなど…」

 

「関係ありません、私はただ神様と話し合いたいんです!響がかつてギアを捨ててマリアさんと向き合ったように今度は私が!!」

 

 未来の根気に負けたのか弦十郎たちが苦笑いを浮かべた。

 

「全く、いっつも予想外なことをするな。」

 

「だがそれがあの子達らしいやり方なのかもしれないな。」

 

____________________________

 

 そしてアルゴは月に不時着していた。月が引き寄せられる状況下で訃堂は宇宙服を着てアヌンナキの元に向かった。

 

「風鳴訃堂ーーーーーーーーッ!」

 

 しかし背後から鬼気迫りながら追跡してきた翼の声が聞こえ振り返った。

 

「不肖の娘が…」

 

「私は防人として風鳴 訃堂!お前を止める!!」

 

「ふん、貴様らに儂の野望は止められん。

 

 諸外国やアヌンナキに我が国を蹂躙されてなるものか!儂は国を守る!そのためなら民などいくらでも犠牲にする覚悟だ!」

 

「貴様のことを…私は父と認めない!」

 

「貴方には絆がない。だから分からないのよ!息子たちが得てあなたにはないものが!」

 

 全員が訃堂を睨む中一歩も引かず訃堂は忌々しそうに全員を見た。

 

「ほざけ、国を蝕んだ歌女などこの場で儂が…!」

 

 訃堂がデジヴァイスを構えた。その時、背後から訃堂の腹部を刃のような鋭利なものが貫通した。

 

「き、さまは…!」

 

 呆気にとられた一行が前方を見渡すと口笛が聞こえてきた。

 

「お役目ご苦労様、風鳴訃堂」

 

 現れたリコリスが傷だらけの訃堂の肩に手をポンポンと置いた。

 

「リコリスさん!?」

 

「お前は役に立つ老いぼれだったぞ。それに…!」

 

 リコリスは訃堂の服を破り捨ててデジメモリを取り出した。

 

「こいつが手に入ったしな!」

 

「あれはキメラモンのデジメモリ!?どうして?」

 

「簡単なことだよ冷泉くん、お前はフュージョンレボリューションできなくなる時に手術したろ?

 

 その時のデジモンのデータが蓄積してたから処分される予定だったメモリのデータを米国が隠し持ってやがったんだよ。

 

 そいつを裏ルートでこのジジイは国防のためだとかでご丁寧に肌身離さずに持ってたんだ。」

 

 宇宙服が敗れた訃堂は呼吸困難で苦しみ始めた。

 

「さいしょから…そのつもり、だったか…」

 

「仲間割れか!!」

 

 リコリスは尋ねてきた拓実の言葉にいも介さず、笑顔で訃堂の懐を蹴り続けた。

 

「だったどうした?お前みたいに厄介な老害にこの俺が手を貸すと思ったか?

 

  まあ月を地球と激突させるのは俺のアドリブだったけどな。お前の計画は月と地球を引き寄せて大量のレイエネルギーをアルゴに収束させて月と共に破壊するのが目的だったが放出されることはない。

 

  これから俺の手で月と地球を激突させてアヌンナキごと全ての人間を殺す!!」

 

「何ですって!?」

 

 響たちは顔を歪めだしたリコリスを前に言葉を飲んだ。

 

「そのおかげでお前の国は真っ先に消滅だ。

 

  良かったな〜!お前の願い通り、お前の守る国は他国にもアヌンナキにも侵略はされないぞ。

 

  俺の手で壊されるんだからな。」

 

「最初からそれが目的で!」

 

「貴様あああああ!!!」

 

 訃堂がリコリスに掴みかかろうとしたがリコリスの体は水に溶け訃堂の体を包み込んだ。

 

「何をッ!?」

 

「さあて、用の済んだジジイはあの世で夢でも見てるんだな。」

 

「お、おのれえええええええ!儂の理想が…!儂の守るものがああああああああ!!」

 

 水がもがく訃堂の老体を締め付けた。そして次に響いたのは骨があらぬ方向に曲がったことを示す鈍い音だった。

 

 そしてリコリスは目障りとなった死体を放り投げて手足をバラバラに切り裂きながら床に投げ捨てた。

 

「ッ!」

 

 臓器や血が容赦なく降り注ぎ響たちには嫌悪感しか残らなかった。そして刻まれた訃堂の肉体が辺り一面に飛び散っていた。

 

「はっははははははは!!はーっははははは!!ついに…ついに俺の元にきたか!!」

 

 あまりの凄惨さに全員目を背けたがリコリスは笑みを浮かべながら血の雨の中にいた。そして転がった生首を踏み潰してリコリスは歯をむき出しにしながら響たちを見つめた。

 

「さてと、ゴミ掃除を済ませたし始めるか。俺が何もかもを終わらせてやるよ。シンフォギアも、バラルの呪詛を…破壊してな。」

 

「リコリスさん、あなたは本当に…何もかもを壊すんですか?サンジェルマンさんたちが守ったこの世界を!」

 

 響が叫ぶがリコリスはまたもニヤリと歯をむき出しにしながら笑った。

 

「言っただろう?俺は恐怖でこの世界を包むと。その答えが何もかもの抹殺さ!

 

  この世界の呪いから救われるにはこの世界を壊すしかない!どいつもこいつも死んじまいな!!フハハハハハハハハハ、ハーッッハハハハハハハ!!!」

 

 狂った笑いを上げ、懐からデジヴァイスを取り出してムゲンドラモンのデジメモリを取り出した。

 

「ムゲンドラモン!キメラモン…!地獄の力見せてもらうぞ!!」

 

<ムゲンドラモン!キメラモン!インフェノフュージョンレボリューション!!>

 

 すると禍々しい闇が血に濡れたリコリスの体を包み込んだ。

 

「高エネルギー観測!」

 

「なんだこの波動は!?」

 

 クダモンも未知の波動に恐怖を覚えていた。

 

____________________________

 

「地獄進化…!ミレニアモン!!」

 

 響たちが唖然としていた。

 

「何もかも、破壊してやるよ!」

 

「そんなことはさせない!」

 

 響たちがデジモンを究極体に進化させて共に立ち向かったがミレニアモンは一歩も動かなかった。

 

「でりゃああああああ!!」

 

 響のパンチが腹部を狙おうとした瞬間右手で叩き落とされた。

 

「ふふ、遅いな。」

 

「ならムゲンドラモンにはムゲンドラモンだ!」

 

「ムゲンキャノン!」

 

 クリスとムゲンドラモンの連携攻撃を左右から放たれたが片手で受け止められた。

 

「どうした?お終いか?」

 

「嘘だろ!?」

 

「お返しのムゲンキャノン!」

 

 放たれた一撃を防ごうと翼が剣を何枚も盾のようにクリスの前方に仕掛けたが威力を減衰させられずにそのまま吹き飛ばされた。

 

「ぐああああああ!!」

 

「この!調!!」

 

 切歌と調が左右から拘束して同時攻撃を放つも攻撃する瞬間にまとめて薙ぎ払われた。

 

「ディメンション…」

 

「遅い!」

 

 グランクワガーモンのハサミ攻撃で腕を挟み込むもそのまま武器がわりにされ一撃で進化を解かれた。

 

「なんて強さ…これがムゲンドラモンとキメラモンの力を併せ持ったあいつの力なの!?」

 

「さあて、吹っ飛べ。」

 

 ムゲンキャノンの一撃で響たちは瓦礫の下敷きとなった。

 

「お前らはそこで寝てろ。準備運動は整った。あいつが拒絶した世界など俺の手で滅ぼしてやるよ!」

 

____________________________

 

 一方アヌンナキは時が来るまで玉座で眠っていたが目を開けた。

 

「貴様…何かと思えば余の端末から作られた存在が何の用だ?」

 

「あなたには消えてもらおうと思いましてね!」

 

「貴様ら…死にたいようだな。」

 

 そこに立っていたのは七大魔王のルーチェモンとバルバモンだった。

 

「死ぬのはお前だ!グランドクロス!」

 

 ルーチェモンが惑星を直列させて衝撃を起こしたがアヌンナキは動じずただ静止しただけでかき消した。

 

「なんだと!?」

 

「儂らの力が通じないだと!?」

 

「余の聖域を汚す血愚か者どもと余に会いたがる愚か者。なぜにするべきことが多くなるのやら…」

 

 そして片手であっさりと2体を吹き飛ばしてしまった。

 

「余の眠りを妨げるな…」

 

「おやおや、魔王すら赤子か」

 

 ミレニアモンがその場に現れた。

 

「まだ邪魔をすると言うのか?」

 

「さあて…全て飲み込んでやるよ!」

 

 ミレニアモンは一気に月の遥か上へと舞い上がった。

 

「これは!?ミレニアモンから黄金錬成に勝るとも劣らないほどの巨大エネルギーが!!」

 

「総員注意しろ!」

 

「俺に限界はない!タイムアンリミテッド!!」

 

 ムゲンキャノンから黄金の球体が放たれるとそこから黒い空間が広がった。

 

「なんじゃありゃ!?」

 

 すでに脱出してリコリスを追っていた響たちもそれに巻き込まれた。

 

「うわあああああああ!!」

 

「未来!!」

 

「響いいいいいい!!」

 

 そして月は闇に閉じ込められた。

 

____________________________

 

 ミレニアモンがすべてのエネルギーを解き放つと月の一部が完全に暗黒に包まれた。しかしその空間ごと地球は引き寄せられていた。

 

「これは一体!?」

 

「我々のいる艦とアルゴそして一部区間がどんどん引き寄せられてます!」

 

「貴様…何をした?」

 

 アヌンナキが冷静に辺りを見回していた。

 

「タイムアンリミテッド、俺を含めた何もかも永久に亜空間に閉じ込めるんだよ。」

 

「なんだと!?」

 

「お前さえ目覚めなければよかったんだ。二度と起きられない闇の中で、地球や全人類とともに眠っちまえアヌンナキィッ!!」

 

 ミレニアモンが塔の天井を破壊してアヌンナキの正面に立った。

 

「ふん、余を捕まえたとて2億のノイズたちにより地球の人類は滅びる。無駄なあがきだ!」

 

「なら死ね!俺が死のうが地球と月はぶつかる!そうしたらお前が殺したがってる奴らもお前と一緒に死ぬぞ!」

 

 片手から放たれた衝撃波でリコリスはたった一撃でミレニアモンの変身を解かれデジヴァイスも跡形もなく粉砕された。

 

「かはっ…」

 

 その場に倒れ伏せたリコリスからアヌンナキは装者たちを見つめた。

 

「人の子らよ、余に挑むのならばバラルの塔の頂上にて待っているぞ。余が勝つか貴様らが勝つかを決めようではないか。」

 

「俺を無視しててめえ1人で気取るんじゃねえ!」

 

 もう一度生身で攻撃しようとしたがアヌンナキにダメージは当たらず、念動力で壁に叩きつけられた。

 

「眠れ、愚か者。」

 

 壁に取り込まれリコリスが姿を現わすことはなかった。

 

「サン…ジェ…」

 

____________________________

 

 タイムアンリミテッドはブラックホールのように強い引力が働いていた。

 

「くっ…脱出しなければ!」

 

「任せろ、弦十郎!」

 

「ああ!」

 

 弦十郎のデジヴァイスでクダモンはスレイプモンへとワープ進化を果たしてブラックホール入り口を攻撃した。

 

「入り口を攻撃すれば引力と真逆の力が働いて綻びが生じるはずだ。そしてそこから外に出られる!!」

 

 しかし攻撃を繰り返しても繰り返しても全く作業が進まなかった。

 

「くっ…やはり私1人では…」

 

 その時入り口にエネルギーが放たれ、歪みが大きくなった。

 

「これは!?」

 

「遅くなった、スレイプモン!」

 

「お前たち!」

 

 そこにはスレイプモン以外の全てのロイヤルナイツが集結していた。

 

「この亜空間は強大だ。我々の力で落下を押さえる。お前は人間たちと共に中から飛ばされないように持ちこたえてくれ!」

 

「わかった!」

 

「俺たちも協力するぞ、スレイプモン!」

 

 弦十郎の合図でオペレーターたちもデジモンを放った。その光景を見ていたアグモンはデジヴァイスから勝手に飛び出した。

 

「響、後ろは任せて!」

 

「アグモン、どうして!?」

 

「僕らに背中を預けさせてってことだよ!」

 

 するとパートナーたちがデジヴァイスから勝手に飛び出して行った。

 

「防人の意地を持つものとしてね!」

 

「ファルコモン?」

 

 ファルコモンが飛び出す中翼が困惑した表情を浮かべた。

 

「ダイジナ、トモダチノタメニ!」

 

「ハグルモン!」

 

 ハグルモンは一瞬クリスの手を握ってそのままクリスの後ろに立った。

 

「明日の思い出のために!」

 

「ベタモン…」

 

 ベタモンがうなづくと拓実もうなづき返した。

 

「家族が戻ってくるために俺たちがお前らの背中を守る!」

 

「アグモン、気をつけてね。」

 

 マリアのアグモンが先頭を歩き出した。

 

「クネモン…」

 

「うん、分かった。」

 

「怪我しないようにデスよ!」

 

 パートナーたちが究極体に進化して狭間に向かった。その光景を響たちはただ見ていることしかできなかった。

 

「…私は行くよ!」

 

 響が前に進んだ。

 

「響?」

 

「神様だけどさ、了子さんや多くの人、デジモンたちの想いを伝えるんだ!たとえ無理であっても!!」

 

「私も行く!私だって響と同じなんだ!」

 

「フッ、なら私たちはこの先に進む2人を守ろう!」

 

「このバカたちが切り札だ、あたしらも気張りどきだな!」

 

「響さんのわがままなら私たちが!」

 

「最期まで一緒にやってやるデース!」

 

「だから遠慮なく進んで欲しい!」

 

「大丈夫、何があっても僕らは簡単に死なないから。大事な人がいるんだ。負けられないさ。」

 

「ああ!俺たちはあんたたちを信じてる!

 あんたたちにバトンは繋ぐ、繋いでみせる!」

 

「うん、みんな行こう!神様の元に!!」

 

 響たちは走り出した。


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