戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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一気に話を進めますよ。今回は未来救出作戦をメインにしつつ司令の見せ場を用意しました。

きっとXVでもカッコよく活躍することを信じてのこの展開です。かれこれ後5ヶ月ちょい、今から楽しみですね!


第221話 大人として!弦十郎の決意!!

  それからさらに数日が経過した。アルゴには各国ならびにテイマーたちも食い止めようとしたがその巨大さに歯が立たずにいた。

 

  一方、ロイヤルナイツたちもアルゴ号起動と同時に残りの魔王が同時行動を始めたため現実世界の調査を始めていた。

 

「いよいよこの世界も危うくなってきたな。」

 

「この世界の人間の創造主…我々もいずれ合間見えなければならぬなハックモンよ。」

 

「ええ。だがあなたのパートナーは大丈夫なのか?大分危険だったと聞くが」

 

「問題ない、弦十郎の体調は良好になりつつある。風邪を引く確率は低いがゆっくり休めば数日で治るやつだ。」

 

「そうですか…ではまた後で。」

 

「ああ、引き続き国連の動きを探ってくれよ。」

 

  ハックモンはうなづいて瞬間移動で消えた。

 

  アルゴ号起動を許したことで国連は一層慎重な構えを見せていた。各国は無謀にもヒンリヒとアヌンナキを殲滅させるべく各国のテイマーを集結させ交戦準備を始めていた。

 

  日本政府もこの流れに逆らえずに全国から腕利きのテイマー達を任意で募集することにした。

 

  そしてSONGは活動自粛を通知された中での独断での行動に避難の的とされ、解散してしまうという根も葉もない噂が流れ出していた。

 

「こんなことになってしまうなんて…」

 

「未来を助けることができていればこんなことにはッ!

 

 私ってやっぱり壊すことしかできないのかな?

 

 了子さんとわかり合ってからいろんな人たちに出会ったけどみんな通じたら離れていった。

 

 やっぱり壊すことしか…」

 

「立花、まだ小日向がどうなったかという保証はないんだ。我々に出来ることをしよう。少し落ち着け。」

 

「はい、でも…」

 

  オペレーターたちも必死で未来の居場所の特定を1週間交代交代で行なっていた。

 

  その間にも各国の間で月面破壊兵器開発の動きが見られていた。

 

「月を破壊すればそのカケラでさらなる被害が出ることを了承せずに行うとは無謀だな。」

 

「でも、相手は神…無謀と言えばそうだけど私たちでもどうにかなる保証はない。」

 

「人類は…このまま終わってしまうのか?」

 

「終わらないだろう?」

 

  聞き覚えのある声に全員ハッとして振り返るとそこには十全となった弦十郎が笑みを浮かべて立っていた。

 

「確かに俺たちSONGやその前身だった二課は…国の膝元にいて戦うだけの飼い犬みてえなモンだ。

 

  けどな!俺はそうなりたくはない!子供が泣いてんのにだぞ…いい歳こいた大人が国ばっか見て目の前の泣いてる子供に何もしてやれねえのは恥ずかしいじゃあねえか!!」

 

「師匠…!」

 

「だからみんなは安心して突き進め!俺たちが君たちの前ではなく横を走る!だからなんの憂いもねえ!」

 

「そうね、私たちのすることは変わらない、最後までみんなと戦うわ!」

 

「怖いけど、みっともなく叫んでられない状況下だしな!」

 

 弦十郎の復活でSONGの隊員たちも鼓舞されたかのように作業を続けた。

 

「弦、ここからは私も戦うぞ!お前の補助としてな!!」

 

「兄貴、話は聞いたよ。」

 

「ああ、私の妻はもういない…あの男のせいで発狂して自殺してしまったのだ。

 

 だからこそあの男が偽りの大義に取り憑かれた今、復讐でない娘への愛情を奴にぶつけるのさ。」

 

「お父様!私はあなたの娘、そんなつれないこと言わないでください。お父様の愛情は私を今も支えてくれてますから。」

 

「翼…お前にそこまで言われてしまうなんてな。」

 

  八紘があまり見せない笑みを浮かべ司令席を立った。

 

「ここはお前の席だ、弦!」

 

「ああ!!」

 

 ____________________________

 

  それから一気に士気をあげたSONGは太平洋上に謎の電波があること掴んだ。そして治療中のエルフナインも元に戻った。

 

「みなさん…」

 

「エルくーーーーーん!お姉ちゃん寂しかったよ〜!」

 

  アケミが涙交じりにエルフナインに抱きついた。

 

「アケミさん、皆さん…僕は信じてました!皆さんなら助けてくれるって!!」

 

「ええ、そうね!」

 

  全員微笑みを浮かべた。それから部屋を出ようとした時拓実がうっと胸を押さえていた。

 

「拓実さん?その傷はまさか毒蟲!?」

 

「なんじゃそりゃ?」

 

「東洋の錬金術師の秘術です。一度それを浴びた人は長くても数週間で死に至らしめると言われてます。今すぐ治療を…!」

 

「悪りぃなエル、みんなには黙っててくれ。」

 

「でも!」

 

「今ここで俺が戦線離脱してみんなが帰ってこれなかったら俺が後悔する。だから俺は命をかけて生きるために戦う。その邪魔をするなら俺はエル、お前を倒す。」

 

  そういうと拓実は部屋を出た。

 

____________________________

 

「謎の電波?」

 

「はい、旧フロンティア浮上地点に微弱ですがデジヴァイスと思われるものが発信源になってます。」

 

「よし、行こう!俺たちで止めるんだ、この国の影を!!」

 

  SONGはそのまま太平洋へと向かった。

 

「いよいよ最後の戦いが迫るんだね?」

 

「うん、僕も響たちと戦うよ!」

 

「思えば立花とともに私たちはあるのだな。」

 

  響とアグモンが決意を固める中、翼とマリアも出動準備を整えていた。

 

「あら、随分しんみりしたこと言うのね翼も。」

 

「最初はバラバラだった。」

 

「けど、今じゃ同じ道を歩いてる。これは偶然か?いや違うな…」

 

 パートナーたちも今この瞬間に想いを馳せていた。

 

「もうみんなしんみりしすぎデース!」

 

「切ちゃん、またそうやって自分だけで何かしようとしてるでしょ?」

 

「デデデデース!?どうしてバレてるデスか?」

 

「切歌は以前言ったじゃねえか、自分はお気楽だけどいざって時に肩代わりができねえってな。」

 

  キャンドモンと調がため息をついて切歌に抱きついた。

 

「お願い、もう二度と1人だけで気負わないで…」

 

  泣きそうなくらい弱々しい声で切歌も言葉が出なかった。

 

「僕からもお願い、切ちゃん。」

 

「調、ワームモン…分かったデス!重荷があったらみんなで肩代わりデース!」

 

  それから切歌と調、ワームモンとキャンドモンそしてクリスが円陣を組んでた。

 

「ったくあたしもかよ。しょうがねえな。」

 

「「ファイッ、オーッ(デス)!ファイッ、オーッ(デス)!」」

 

「みんなやる気満々みてえだな。」

 

「うん、それだけ今回の作戦は大事だ。それにもしかしたらこれが最後の戦いになるかもしれないしね。」

 

「ああ…生きるために戦ってやるよ、俺はな。」

 

「おいおい、俺たちはでしょう?君1人だけで判断しないでよ。」

 

「ああ、爽谷。最後まで戦おうぜ。」

 

「うん!」

 

 爽谷が去った中拓実はベタモンを呼び出した。

 

「拓実?」

 

「お前には色々助けてもらったし思い出も数え切れないくらいだったな。」

 

「うん、それももう昔のようだ。」

 

「けど、まだ足りねえだろ?」

 

「勿論!だから戦うんでしょ?明日の思い出のために。」

 

「ああ、その覚悟はできてるか?」

 

「勿論、拓実も無茶を承知で戦うんでしょ?」

 

 ベタモンは少しも表情を暗くせずに尋ねた。

 

「ああ…俺は死ぬなんて最初っから思ってねえ。嫌な気分になる思ってなきゃ大体そうならないんだよ。」

 

 緊張感漂う中で本部のアナウンスが鳴り、全員最後の作戦の配置についた。

 

____________________________

 

 アルゴに乗っているのは訃堂とリコリスのみ、未来は中心部に連れられていた。

 

「始めろ。」

 

「ああ、レイラインよ!再び流れつけ!!」

 

 リコリスが懐から何かを取り出した。

 

「それって…腕?」

 

「ああお前にギアを纏わせた上にこの状況を生み出した愚かな英雄、ドクターウェルの腕だよ。そして!」

 

 すると全員の後ろからアダムの一件で破壊されたティキが現れた。しかし表情もなく所々が補修された歪な姿となっていた。

 

「このためにティキを回収したのさ。お前らと別れた後に役に立つと思って回収したがまさかここまでうまく行くなんてな。」

 

 ウェル博士の腕をティキに繋いだ上でコントロールパネルに取り付けリコリスはアルゴの操作を行なった。

 

「?きゃああああああああ!!」

 

 するとその膨大なエネルギーは未来へと照射された。

 

「うっ…うう…ああああああああ!!」

 

 悲鳴が響き渡る中訃堂とリコリスは静かにその様子を見ていた。

 

「アルゴからレイラインによるエネルギーが照射されています!」

 

「そうか!このまま突っ込むぞ!」

 

「はあ…死にそうだ〜」

 

「死んだら私が天国で先輩をナデナデしてあげますよ!」

 

「2人ともぼやかない!」

 

 オペレーターたちの操作の元、潜水艦だった本部は海上のアルゴに無理やり激突、その後上陸した。

 

____________________________

 

「弦、大丈夫か?」

 

「兄貴こそ老体間近だってのに平気なのか?こんな荒っぽいやり方、相当やる気みたいだな。」

 

「お前ほどじゃないよ。」

 

 弦十郎が八紘に肩を貸して立ち上がった。2人は辺りを見回したが重傷を負っている隊員たちは見られなかった。

 

「よし、全員無事だな。後は任せたぞ、響くん!」

 

「はい!」

 

 ほぼ大破した本部からミサイルが照射された。

 

「未来ううううううううう!!」

 

 光の柱めがけて飛行していたが訃堂たちは何もしなかった。

 

「よし…レイラインの力を利用した第二のカディンギルを放つのだ!」

 

 そしてティキが操作を行なったことで収束したレイラインのエネルギーは一気に月へと照射された。

 

「バカな…あんなものを用意していただと!?」

 

「了子くんがかつて用いたカディンギルの技術…今回は争いのために、か。」

 

 弦十郎は脳裏によぎったかつての仲間が行なったものとは違う方法に奥歯を噛み締めていた。

 

「あの子たちに託そう、未来を…」

 

「ああ!」

 

 月に向かうエネルギーを前にアヌンナキは玉座から立った。

 

「おのれ…!」

 

 そういうと両手をかざしたがエネルギーの大きさに障壁は破られ、月の塔はほとんどが崩れ去った。

 

「人が時の中で生み出した神殺し、地球に鞭打って得たエネルギーで人間はどこまで余を愚弄するというのだ!!」

 

 傷だらけとなったアヌンナキは怒りながらも再び玉座についた。

 

「地球はせめて余が人類とともに消してやろう。それが最善、時が縮んだだけか…」

 

 月が静かに地球に引きつけられていた。

 

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「未来に何をしたんだ!?」

 

「来たか…」

 

「何をしたんだあああああああ!!」

 

 響が倒れた未来を見て殴りかかろうとしたがリコリスが未来の倒れた区画を浮遊させて盾の代わりとして構えた。

 

「ひ、びき…」

 

「ッ!」

 

 殴りかかろうとした中大きく体勢を崩した響は顔から地面に落ちた。

 

「こいつはただの電池、すっからかんだからお前らに返してやるよ。用済みな電池と今のうちにわんわん泣いてるんだな。」

 

「どこへ行くの!?」

 

 翼たちが構えたがティキが端末を弄るとリコリスは地下へと落下した。

 

「地球と月を再び引き寄せた!アヌンナキのいる月とこの星をぶつける世紀の祭りをそこで見てるんだな!!」

 

 そういうとリコリスと訃堂は地下へと消えた。そしてティキはネフィリムの力が順応できなかったのかその場で爆散した。

 

「最深部に向かう気なのね、でも今は彼女を!」

 

「はいデース!」

 

「最速で本部に!」

 

 切歌と調が未来を抱えて本部に戻った。

 

____________________________

 

 一方、最深部に到着したリコリスと訃堂はコアに向かっていた。

 

「ほらよ、エルフナインの記憶から作ったLiNKERだ。あんたに調節したやつだから安心しな。」

 

 アンプルを腕に注入した訃堂は腕がネフィリムの持つ黒いものに変色した。

 

「これより月へと向かうよう命令しろ。」

 

 すると凄まじい揺れとともにアルゴは海上から空へと浮上した。

 

「司令、アルゴが宇宙に向けて浮上している模様!」

 

「やはりアヌンナキが目的か!」

 

「宇宙で戦うこととなると…緊急用の空気供給管はどれだけある、弦?」

 

「ざっと13本ほどだ。元々海底での大破時に呼吸困難にならないための備えがまさかこんなところで役立つなんてな。」

 

「よし、これより我らはアルゴを追う!」

 

 弦十郎がデジヴァイスからクダモンを呼び出しスレイプモンへとワープ進化させ、一気にアルゴへと近づいていた。

 

____________________________

 

 本部病室にて響は未来の手を握っていた。治療は迅速に行われている中重い空気が漂っていた。

 

「未来、大丈夫…だよね?」

 

 未来は目を閉じながら見たこともない光景が見えていた。

 

「ここは…どこ?」

 

 そこでは人々が互いに争い合い山々や森を焼き払い、海を汚していた。

 

「ひどい…」

 

 目を背けていると金色の光と共にその荒廃した世界は元どおりになったが人々は感情を露わにしなくなっていた。

 

「みんな、笑っていない?人形みたいだ。」

 

 空を見上げているとアヌンナキは目に涙を浮かべ地球を去っていった。

 

「はっ!!」

 

 目を覚ました未来を見て全員あっけに取られていた。

 

「未来、未来〜!!」

 

 響はそれに気づかずに手を強く握っていた。

 

「ッ!痛いよ響!!」

 

「え?」

 

 響が見上げると未来が優しく響の頭を撫でた。


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