戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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アヌンナキの姿自体まだ明らかにされてませんがその姿はご想像にお任せします。


第219話 降臨!アヌンナキの威光!!

 弦十郎が倒れ、エルフナインが誘拐され一夜が過ぎようとした。指揮系統の崩壊に伴い伴い関係省庁ならびに各国からの抗議がSONGに殺到していた。

 

「なんてこった、まさか司令が倒れるなんて…」

 

「確かにあの強大な力を持っていても叔父様も人だ。水琴もフィーネにより大怪我した瞬間を見ただろう?」

 

「はい…でも本当にどうして今更奴らがエルフナインを攫ったんでしょうか?」

 

「そう、そこデス!しかもちょっと戦ったら逃げちゃって…」

 

 本部の廊下で話し合っていた拓実たちだったが響だけがショックでこの場にはいなかった。

 

「何か目的があるのか?LiNKERを作らせないためにしてもあまりにもタイミングが遅すぎる。」

 

「何か、エルフナインが奴らの計画に影響を及ぼすような事に関わってたか?」

 

 拓実が首を傾げながらデジヴァイスを握っていた。

 

「強いて言うならLiNKERとギャラルホルンくらいじゃない?」

 

「ベタモンの言う通りだと思います。あとあるとしたらキャロル…」

 

 調がいつのまにか美人捜査官メガネをかけていた。

 

「おお!美人捜査官メガネデスね!?」

 

「うん、でも一回まとめましょう。きっとこれらに接点はあるはずです。」

 

 それから一行は今回の事件に至るまでを紙にまとめ上げた。

 

「まとめられたけど、やっぱり接点がわからない以上、今回の襲撃の箇所を最初から探るしかないわね。」

 

 さらに作業を続ける中、響は自宅で浮かない顔で本部にもいかず1人悩んでいた。

 

「間に合わなかった…どうして師匠たちが巻き込まれたんだろう?」

 

「響、聞いたよ。大丈夫?行かなくて?」

 

「うん…でも、分かんないんだよ。どうして私たちを狙ってなかったんだろう?」

 

「うーん…きっとエルフナインちゃんを悪いことに使うためとか?リコリスって人は何かを隠し持ってても不思議じゃないよ。響の誕生日の一件とかこの間とか私はあんまりあったことないけどね。」

 

「そうなんだけど、関係ない人を狙わないでほしいっていうか…あの人はきっと私たちに思いをぶつけたかってるんじゃないかなって思うんだ!

 

あの人は私と同じくサンジェルマンさんたちともっと話せてなかったからどうしてもあの人には自分で私たちに向き合ってほしいっていうか…」

 

「なら響がそうさせればいい、簡単なことだよ?」

 

「うん…でもなんか見えない不安があるっていうか分からないんだけど何が別で嫌な胸騒ぎがするんだ。」

 

「大丈夫だよ!きっと響なら!!」

 

「うん、そう考えたらちょっと安心したかも。」

 

____________________________

 

 それから二課本部には八紘がやって来た。

 

「みんな、これより私が弦の代理として指揮する。」

 

「お父様、一体なぜ敵はエルフナインを狙ったのでしょうか!?」

 

翼が間髪入れずに尋ねると懐からUSBメモリを取り出した。

 

「うむ、それに関して気になるものが見つかったんだ。これだ…」

 

 八紘はUSBを藤堯に渡した。そしてデータが展開された。

 

「これは!」

 

 全員目を丸くした。そこに映っていたのはかつてマリアたちFISが出現させ海上に沈んだはずのフロンティアだった。

 

「フロンティアがなぜ!?」

 

「そういえば、マムから聞いたことがあるわ。

 

 フロンティアはかつてカストディアンが用いた星間飛行船だって。そして調査の結果、当時アメリカ政府はひとつしか見つけることができなかったみたい。まさかもう一個存在してたなんてね。」

 

 マリアたちが神妙な表情を浮かべる中、次に映ったのはカディンギルとチフォージュ・シャトーだった。

 

「なぜこの二つの場所が載っているだろう?

 

今は機能を停止しているはずなのに…」

 

「ファルコモンの言う通り、昨日停止してたはずのこの二箇所に最近何者かが極秘で調査及び解体を行っていた履歴が見られたんだ。

 

その結果いくらかその残骸ならびに技術が回収されこの箱舟の改装の部品として取り込まれたそうだ。」

 

「けどそんなものを扱える方法や権限なんて司令以外、ほとんどないはずよ!」

 

「ああ、マリア君のいう通りだ。私もそのことは承知しているさ。そう思って独自で調査を続けた結果…」

 

 モニターにはかつて倒したはずのオートスコアラーのデータが表示された。

 

「オートスコアラー!?」

 

「かつて呪われた旋律をシャトーに送っていた彼女たちを利用したとここにある文書を見つけたのだ。

 

 これはどういう経緯があったのか国の極秘ファイル、それも現内閣総理大臣すら把握していない所から偶然発見されたんだ。

 

それも魔法少女事変からファイルが作られシカゴの惨劇の日以降に更新されていたんだ。」

 

「まさかこれは…」

 

「そう、我が国の影とヒンリヒが世界と神を制圧するつもりなのだ!」

 

「その影ってまさか!!」

 

 クリスに対して八紘は静かにうなづいた。

 

「風鳴訃堂…」

 

 全員その名を聞いて唖然とした。その中で翼は拳を握るなど他と違って怒りを明確にあらわしていた。

 

「そんな…司令やあなたの父親が息子を殺すよう錬金術師たちに頼むなんて!」

 

 マリアは訃堂の非道な行いは知っていたが、彼が息子を殺そうとする行為をとても信じられずにいた。

 

「そういう男だ…あいつはな。」

 

 八紘は声を低くして表情を強張らせた。

 

____________________________

 

 一方ヒンリヒはエルフナインを機械に閉じ込めていた。

 

「何をするんですか!?」

 

「お前にはキャロルの記憶が全くと言っていいほどない。だからエネルギー源として使うんだ。そこの奴らの触媒としてな。」

 

 機械の窓の部分からリコリスが見つめ、あたりを指差した。するとオートスコアラーたちが瞼を閉じながら機会に閉じ込められていた。

 

「ミカ!?レイア!ファラ!ガリィまで…」

 

「さて、お前の記憶エネルギーの一部を複製させてもらうぞ。肉体をここに連れて来れば精神構造からレイラインからわずかに奪ったエネルギーを一応取り出せる。これでエンジンを起動させるには十分だ。」

 

 レバーを下ろすとエルフナインに電流が走った。

 

「あああああああ!!」

 

 リコリスはその場を去り訃堂に連絡を取った。

 

「こっちはうまくいったぜ。お前の息子は病院送りで当分はリタイアだ。」

 

「当然だ、貴様はそのくらいの働きをしてもらわなくてはな。」

 

「さて、お次の目星はこいつなんてどうだ?こいつをエンジンのイグニッションキーとして利用するんだ。」

 

「構わぬ、すきにしろ。計画に支障が出なければそれで良い。」

 

 送られてきた画像は響と未来だった。

 

____________________________

 

 それから数時間、敵の動きを調査するべくSONG本部では必至の捜索が行われていた。しかし、敵の行方は以前としてしれなかった。

 

「まだ何もなしか…」

 

 その時警報が鳴り響いた。

 

「大変です司令代理!オリオン座から謎の高エネルギーが月に向けられ、謎のワームホールが!!」

 

「なんだって!?神の力の際にアダムに利用された天のオリオン座から!?」

 

 それから装者が集められた。

 

「どうしたんですか?」

 

「月から高エネルギー反応だ!今各国が緊急招集を行なっているのだが…」

 

「大変です!その中心から巨大エネルギーが出現!」

 

 すると空に巨大な影が投影された。その存在を威嚇射撃する戦闘機は瞬き一つで撃ち落とされた。

 

「跪け、愚かな人間よ!余__アヌンナキの生み出した端末どもよ!」

 

「あれがアヌンナキ…!」

 

 響たちがその姿を見て言葉が出なかった。全ての元凶にして根源でもある神、その目は透き通るようなもので整った顔つきをしていた。

 

「貴様らは余が生み出した端末、統一言語を剥奪させて貴様らに呪詛を施し、眷属として生み出したにもかかわらず対等に語り合おうなど愚かしい行為に出た。その結果はこの通りこの監視装置が意味している!」

 

 全世界にもアヌンナキの姿が見えていた。

 

「貴様らは争い合い、この星を汚しあった挙句に神や同じ人の残した遺物を汚し、私欲を満たさんとした。これにより余は決心した!!

 これから1ヶ月後に全世界に向けて一斉にノイズを放出する!その数2億!!」

 

 その数に人々は恐れ慄いていた。

 

「貴様らに選択の余地を与えよう!このまま死ぬかそれとも過ちを認め余を拝み奉るか!精々自らで選ぶがよい。これが狼煙よ!」

 

 アヌンナキが片手から小さな光の粒を放った。すると粒が落ちた山脈地帯に一斉に隕石のようなものが落下した。それにより山一つは跡形もなく消滅した。

 

「世界4位の山脈が完全に…消滅した!?」

 

「良い返答を待つ…」

 

 そう言ってアヌンナキが姿を消した。

 

「私たちが何もできなかった…?」

 

「あの威圧感…やべえな。」

 

 司令室にいたマリアたちが呆然としていた。

 

「勝てる気が全くしねえ…」

 

「まだだ、神殺しの力さえ使えば…!」

 

 拓実が励まそうとしたが誰もうなづかなかった。

 

「それでも立花響に負担を背負わせてしまうだろう。」

 

「じゃあどうしろと!?このままおめおめと引き下がれませんよ、司令代理!」

 

 拓実が必死に現実から逃避しようとしていたがどうしようもなかった。

 

「手は打つ。絶対にな。」

 

____________________________

 

 一方、月に降り立ったアヌンナキは片手で月そのものを要塞へ変化させた。

 

「フィーネめ…余と対話を試みて目覚めさせたと思ったら監視装置を地球へ激突させて機能を再起動させ挙句余を殺そうと企てたとはな。」

 

 玉座に座して静かにアヌンナキは片手を振るうとバビロニアの宝物庫らしきものが完全に復活していた。

 

「この中にいるノイズたちをもっと早くから放っておけばよかったのか?まあいい…いずれにせよ先史文明期から続いた人類の歴史は終わる。」

 

 玉座に静かに座したままアヌンナキは目を閉じた。


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