戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
マリアが眠ってから響と翼に変わって切歌と調がやって来た。理由はセレナにマリアについて勘繰られないようにするためとネフィリムによるダメージの蓄積である。
その一方でFIS高官はネフィリムの回収に当たって装者をエサにネフィリムを回収せよと命令した。当然反論しようとナスターシャ教授は試みたが聞き入れてもらえずに作戦実行の時が迫っていた。
「マリア姉さん…」
「大丈夫だ、マリアは頑丈なやつだから死ぬはずがないさ。」
「うん…マリア姉さん入るからね。」
セレナも当然恐怖し、起きたばかりのマリアに相談したが、マリアもマリアで表情を曇らせていた。
「セレナにそんなことはさせないわ!私が守ってみせる!」
マリアは決意を込めた表情を浮かべた。
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翌日、突然切歌と調はナスターシャに起こされ司令室に呼び出された。
「マリアがセレナを連れて脱走!?」
「はい、実は先日米国本部より命令が届いたのですが大方それを聞いて脱走したのでしょう。」
「それってなんなの?」
「装者を囮にネフィリムを捕縛せよというものです。しかし安心してください、別にセレナを犠牲にさせる気などありません。囮にしろとはなにも犠牲にしろとは言ってないのですから。」
「でも酷い作戦だな、クレイジーなのはいまに始まったことでもなさそうだが。」
「キャンドモンの言う通り酷いかもしれない。でも私は信じるからマムを。」
「そうデース!ワームモンも協力してくれるデスね?」
「もちろんだよ。」
それから2人は基地周辺5キロの探索に当たっていた。まずセレナ自体体力がそこまで高くもないので自ずと平地に探索範囲を2人は絞った結果あっさり逃亡中のマリアとセレナを発見した。
「マリア!探したデス!」
「調さん、切歌さん?」
「!?どうしたの?」
「マリア、どうして私たちに相談しないの?」
「ッ!それは…セレナを犠牲にさせられないからよ。」
「でもマムは今そうしないように必死に考えて…「だとしても!」」
マリアが響の言葉で声を荒げた。
「これ以上セレナが犠牲になるかもしれないなら私は戦わせない。殺させてたまるものですか!!」
「そんなことをマリアが1人で背負う必要はないです!」
「あなたたちには関係ない!引っ込んでて、もし邪魔をするなら!」
マリアは素早くギアを纏い切歌を攻撃してきた。
「マリア姉さん!?」
セレナが唖然としていた。
「やめてマリア!!お願い話を…」
「そうでしよマリアさん!」
スティングモンやメラモンが止めようとしたがマリアはデジヴァイスからアグモンを呼び出した。
「悪いな、そういうわけにはいかないんだ。俺はマリアの味方だ。マリアの意思を果たす!」
「やむを得ないか!」
セレナ以外で装者同士での戦いが繰り広げられる中、セレナは戦いに割って入っては皆を制止していた。
「切歌さん、姉さんやめて!」
「退いてセレナ!」
マリアは冷静さをかいているため、セレナを払いのけて切歌と調を一方的に攻撃した。
「だあああああ!!」
すぐ横ではジオグレイモンがスティングモンとメラモンのタッグに苦戦を強いられていた。
その時、全員の戦っている場所にネフィリムの幼体が現れた。
「へえ…力入ってるね。僕も混ぜなよ。」
「あれがこの世界の爽谷?」
調と切歌を見るなり、爽谷は不敵な笑みでデジヴァイスを構えた。
「へえ、死に損ないが蘇った感じか…
面白いピエロどもの公演だね。まとめて餌にしてやればいい感じだね!」
嫌味を言いながら爽谷はデジメモリを取り出した。
<アシュラモン!フュージョンレボリューション!>
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「フハハハハ!そら!!」
動揺する切歌と調を容赦なく突き飛ばしてアシュラモンセレナを殴り飛ばした。
「くっ、セレナ!」
マリアとジオグレイモンが止めに入るも疲弊しきっていたため一方的に追い込まれた。
「ドクターアドルフはきっとこういうね。勝つために君らはコイントスで決める、それは間違いだってね。」
「なん…デスと?」
「勝つためにはね、両方表にすればいいんだよ。イカサマだけれども勝つことを確定させたければそうさせればいい。」
ネフィリムはその場に静止してヨダレを垂らしていた。アシュラモンは一歩ずつ歩き出した。
「そんなのイカサマデース!」
「こんな卑怯な奴だったなんて…!」
「さあてまずはそこの小さいやつから消そうかな?モルモット如きが余計なことするからだよ。」
アシュラモンは一歩ずつセレナを狙った。
「や、やめて…!」
しかし背後から銃弾による連続射撃を受けた。
「ハアッ、ハアッ…なんとかうまくいったわね。」
「カメレモンとライズグレイモンのデジクロスだね?」
「今よ3人とも!ネフィリムのうち一体は動けない!きっと命令がなければ!!」
「了解!切ちゃん!」
切歌と調は空高く舞い上がり足を鋸と鎌に変えてネフィリムを貫いた。
「てやああああ!!」
セレナが正面からアームドギアをブーメランのように投げつけ油断したネフィリムは攻撃によりばたりと音を立てて倒れた。
「くっ、4体1で追い込まれた挙句にネフィリムを一体倒すとは…!」
爽谷も変身が解かれ息が上がっていた。
「もういいでしょ?あなたは悪い人じゃない!だから…「甘い!」」
セレナがアームドギアを下ろしたが爽谷はせせら笑うような仕草を見せた。
「この程度で僕を倒したつもり?」
「まだ立てるの?もういいでしょ、同じレセプターチルドレン同士が戦うなんてやめようよ!」
「第1、気づいてないんデスか?ネフィリムを操ってるアドルフは多くの人を傷つけようとしてるんデスよ!?」
調や切歌が説得を試みるが爽谷は一枚デジメモリを取り出した。
「フッ、知っているさ。僕は彼の言うことに賛同した上で行動を共にしている。」
「「なっ!?」」
全員呆気に取られていた。
「いいか、力こそが正義なんだ!勝ったものがこの世界を支配し束ねる。弱き者は強き者に従えば良いのだ!」
「そんな!そんなのって…!」
「じゃあ強ければ何をしてもいいと言うの!?」
マリアが声を荒げた。
「そうですよ。僕が協力している理由は簡単だ。この世界は病んでいる、それを救えるのは力を持って全てを蹂躙し操れる存在のみ!
それに、眠ってばかりだった惰弱な小娘1人にこれから何ができるというのです?大方FISの高官に餌となって死んでくれって言われたんでしょう?
力はあるが将来性が不明瞭な人物よりも今確実な将来の方向性を見出せる人物こそ救済するにふさわしい!たとえ間違いだろうと結果は人によって美化される!!」
全員の間に沈黙が訪れた。
「僕は分かった。何者にも屈さない絶対的な力こそがいまこの世界には必要なんだ。弱き者は死んで行く…覚えていろ!」
<ナノモン!フュージョンレボリューション!>
ナノモンに変身してあたりに爆弾を投げその隙に爽谷は逃亡した。