戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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イノセント・シスター編です。まさか今後の展開で出そうよ思った装者全員クリスマスがXDさんに先を越されるとは思いませんでした。


第209話 復活のN!

 警報が鳴った。

 

「新宿にノイズと…!ネフィリムが出現しました。」

 

「ネフィリムだと!?そんなバカな!!」

 

 装者たちは二手に分散し、現場に到着した。

 

「ネフィリムに正面から当たるのは危険だな。側面から行くぞ!」

 

「はい!」

 

「どらああああ!!」

 

 クリスの連続射撃攻撃を受けるはずのネフィリムだったがなぜか弾丸がすり抜けてしまった。

 

「どういうことだよ!」

 

「分からん、遠くがダメなら…!」

 

 翼も接近戦で攻撃を仕掛けてダメージを与えられたがすぐにネフィリムは消滅してしまった。

 

「消えた!?」

 

「…一旦本部に戻ってくれ。作戦会議だ。」

 

____________________________

 

 戦いを終えて響たちは再び現れたネフィリムの会議を行うこととなった。

 

「まず分かったことは一つ、あのネフィリムはこの世界のものじゃありません。」

 

「なるほど、並行世界ね。」

 

「流石はマリアさん、正解です。今回現れたネフィリムが原因か知りませんがギャラルホルンから微小なエネルギーが放出されてます。」

 

「ということは…!」

 

「ああ、また誰かに行ってもらうことになる。おそらく繋がった先でネフィリムがなんらかの影響を及ぼしているのだろう。」

 

「だったらここは私が!」

 

 マリアがまず立候補した。なお今回の任務では並行世界でのフロンティア浮上を考慮して神獣鏡の未来の出動は控える方向になった。

 

 続いて、翼と響の二人が立候補し早速ギャラルホルンの繋がった先へと向かった。

 

 向かった先は木々生い茂る森だった。そしてまず空を見上げて月を確認したところ欠けていた。つまりこの世界ではすでにルナアタックが起こったことを意味している。

 

「他には…!?あ、あれ!」

 

 響が指差すと近くの建物から火が上がっていた。

 

「どうやらタイミングが悪い時にきたみたいね!」

 

 マリアが先行して現場に向かった。しかし、森を出る寸前になって何故かマリアが先行して駆け出した。

 

「マリア!?」

 

(嘘かもしれない、けど信じたい…確かに生きているのなら!)

 

 巨大なノイズが目の前に立ちはだかる中マリアは左拳でノイズの胴体を貫通してその先にいた人物に向けて声を振り絞って叫んだ。

 

「セレナああああああああああーーーーー!!」

 

 目の前の少女セレナは目を丸くした。さらに見たことのない装者がさらに二人が介入してあっという間にノイズを一掃したのだ。セレナはそれを棒立ちで見守るだけとなっていた。

 

「まさか…!なぜ!?」

 

 戦いの後マリアたち3人はセレナと共に本部へ向かった。森の中の本部であるものの中自体は所々二課本部の面影があった。

 

「お待ちしていましたよ。」

 

「マム…」

 

 司令室にいたのはナスターシャ教授だった。しかしこの世界で彼女は五体は満足で失明はしてはいなかった。

 

「セレナ、あなたはいつも通りメディカルチェックをお願いします。」

 

「うん、マム。」

 

 セレナが出て行った後にマリアたちとナスターシャは向かい合って経緯を話した。

 

「並行世界ですか、成る程…」

 

「この世界の脅威が実は少なからず私たちの世界に影響していたんです。」

 

「そんなことが…分かりましたあなたがたの手をお貸し願います。ただし条件があります。」

 

「条件?」

 

 マリアのアグモンが首を傾げてナスターシャ教授を見つめた。

 

「はい、この並行世界へ行けると言う話はここだけの話に留めてください。その強大な性質ゆえにそれを狙う勢力が襲ってくるかもしれないのです。しかし現女医はネフィリムのような災厄に手を余しているのでそんな余裕はありませんが…」

 

「ネフィリムは力だ。」

 

 部屋に金髪の男と紫髮の男が入ってきた。

 

「ドクターアドルフ…爽谷。」

 

「ナスターシャ教授、話は聞かせてもらいましたよ。災厄なんて人聞きの悪いこと言わないでくださいよ。」

 

「そうですよ、ドクターアドルフの思想は正しいんですから。」

 

 それを聞いたマリアたちが目を丸くした。

 

「ふざけないで!あんな災厄が力だと言うの!?あんな人を傷つけるだけのものをどうして再起動なんか!」

 

 マリアが掴みかかろうとしたところ爽谷が手首を握ってマリアの顔を見つめて振りほどいた。

 

「おや?なるほど、墓場から蘇りとはいかないようですね〜」

 

 爽谷が嫌味な雰囲気でマリアたちの目の前に立ってほくそ笑んだような表情を浮かべた。

 

「良いかね?あの力さえ解き放てば人類や国を救う力となれるのだよ。何故それがわからない!?」

 

「でも、そんな力…!」

 

 響の脳裏にはウェル博士の暴挙によって自らの腕を切断された記憶と操られた未来の姿が浮かんだ。

 

「何があったか知りませんけど、出しゃばらないでもらえます〜?さっきは到着が遅れましたけど尻拭いは僕がやってるんです。それにネフィリム起動で負担が減るんだし別に良いじゃないですか。守れる人間はいるんだ、方法は問題じゃないんですよ。」

 

 爽谷が2人の目の前に立ちながら不遜な態度で笑みを浮かべた。

 

「貴様、そんなことを本気で言えるのか!?」

 

「分からないだろうな、所詮シンフォギア装者のあなた方には無辜な民の救いに縋る声などな…」

 

「まあせいぜい僕の足を引っ張らないでくださいよ?クッククク…」

 

 そのままアドルフと爽谷は去った。

 

____________________________

 

それから響たちはこの世界の状況を知った。

 

 まずセレナの生存、これはネフィリムの起動実験の際に彼女は絶唱を唱えた後に衰弱が著しく止む無く7年もの間コールドスリープしていたことであった。

 

それと同時に知ったのはこの世界のレセプターチルドレンたちは実験後に発生した黒いノイズにより殆どが死亡していることでそのうちにマリアも含まれていたのだ。

 

「そう…カルマノイズに…」

 

「マリアさん…」

 

 マリアの物憂さげな表情を見て響たちは悲しそうに見つめていた。

 

(奏の時と同じ、誰かが生きているなら自分は生きているとは限らない…)

 

 並行世界で大切な人であった奏と再会した翼には痛いほどマリアの気持ちが分かっていた。

 

「ねえ教授、マリアさんたちのことはわかったけど二課はどうしたの?」

 

「二課は…フィーネとの戦いの後に装者三名を喪った事でその責任を取らされ解散、今は私たちアメリカ政府の内聖遺物技術に通じたFISが後続という形を取っています。」

 

「それではおじさま達は!?」

 

「大丈夫、彼らは無事再就職に成功して新たな人生を送っています。」

 

「それじゃ、拓実さん!拓実さんは!?」

 

 響が尋ねた。

 

「彼なら今無事に生きてますよ。ほら。」

 

 ナスターシャ教授が渡したのは一枚のポスターだった。

 

「これは…?<たたた、たっくん>ドームライブ開催決定?ボーカルは…!?」

 

「嘘!拓実さんがボーカル!?」

 

「彼は我々への加盟を拒否して今は別の道に励んでます。」

 

「どうして!?」

 

「これは、この施設に呼んだ時のものです。」

 

 ナスターシャ教授によりその日から数ヶ月前の時間が残ったビデオが再生された。

 

「嫌だね、あんたらの言うことを聞くつもりはねえ。」

 

「…そうですか。」

 

「あの人たちがいない今俺は俺で新しい人生を探す。まあ暇なときに連絡でもよこしな。あばよ。」

 

 ビデオが止められ響達は改めて共闘することとなった。しかし、マリアの胸には何故か不安だけが残っていた。

 

____________________________

 

 その時、警報が鳴った。

 

「ノイズ!私たちが行くわ!!」

 

 マリア達はデジモンを進化させて現場に向かった。

 

「フュージョンレボリューション!!」

 

<アンドロモン!フュージョンレボリューション!>

 

「どけ!」

 

 響達に割って入るように遅れてやってきたアンドロモンが乱入してきた。

 

「なにを!?」

 

「お前らの出番はない!そこで眺めてな!スパイラルソード!!ハアアッ!!」

 

 右腕から上に振り上げたことで生じた斬撃波でノイズが消滅した。

 

「さて、見せてもらおうかお前らの力!おりゃあああ!!」

 

 アンドロモンがいきなり3人を攻撃してきた。

 

「そんなことできるわけないじゃない!」

 

「私たちの知る冷泉と違って肉弾戦を得意としているのか!止めるぞ立花!」

 

「はい!あれ?」

 

 攻撃を受け止めるマリアに構わず執拗に攻撃を繰り返していると黒い瘴気とともにカルマノイズが現れた。

 

「「カルマノイズ!!」」

 

 翼と響が爽谷を止めようとしたが突如として現れたカルマノイズを迎撃せねばならないため反転して攻撃を仕掛けた。

 

「くっ、出たな!僕が倒す!スパイラルソード!!」

 

「待ちなさい!」

 

 視界に入ったカルマノイズを単独で狙った攻撃は命中こそしたがすぐに再生してしまった。

 

「バカな!?うわあああ!!」

 

 カルマノイズの腕から打撃を受けて一撃で爽谷は遥か彼方に飛ばされた。

 

「こうなったらS2CAよ!幸い奴は傷を修復している!」

 

「何をするんだ?」

 

 FIS本部も固唾を飲んで見守っていた。

 

(あれは絶唱?しかし何かが…)

 

 そして次の瞬間虹色の光に包まれカルマノイズは一撃でチリとなった。

 

「なんという高エネルギー…しかし、不安定すぎる。」

 

「そうですかドクター・アドルフ、わたしには彼女達が自信を持ってはなったと思いますが?」

 

 ナスターシャ教授がアドルフの物言いに食ってかかるように反論してきたがそれを聞いて肩を窄めてその場を去った。

 

「自信などなんの意味もないのだよ。根拠のないものなどね。」

 

「マリア姉さん…」

 

 その様子を見ていたセレナは真実を知らず無邪気に目を輝かせていた。


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