戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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今回は短めです。次回あたりで一期をやって絶唱しないシンフォギアも入れようと思います。


第20話 明日への歌!別れの時!

 戦いが終わり夕方になろうとしていた。避難していた人々が地上に出てその変容ぶりに驚く中、ノイズの死骸である炭素の塊が散乱している状況だった。

 

 響は倒れたフィーネを助け起こした。

 

「お前…」

 

「このスクリューボールが」

 

 クリスもやれやれという表情で響を見た。

 

「もう終わりにしましょう。了子さん…」

 

「私は、フィーネだ…」

 

「大丈夫!私たちはきっと分かり合えます」

 

「ノイズを生み出したのは先史文明期の人間だ。彼らは"手をつなぐこと"より"誰かを殺すこと"を求めた」

 

「人がノイズを…」

 

 響は悲しそうな顔を浮かべた。

 

「やっぱり世界で一番皮肉な生き物ですね、ノイズってのは。

 

 人間を殺すために人間が作り、そしていいように利用されるとはねえ…

 

 それでも、あんまし同情はできないですけどね」

 

 拓実もフィーネを見て言った。

 

「そうだろう?だからこの道しか選べなかったのだ」

 

 フィーネは鎖を握った。しかし、響は笑顔になって答えた。

 

「人が言葉以外に繋がれるものがない。そんなのわからない私たちじゃあありません」

 

 フィーネは溜息を吐くと鎖を放った。響はフィーネに攻撃するのをギリギリの所で止めた。

 

「バカめ!私の勝ちだ!」

 

 鎖は宇宙空間まで伸び、月のカケラに突き刺さった。

 

「はあああああああああああああ!!!!」

 

 フィーネが力を入れて何かを引っ張っていた。

 

「フィーネ、何をしたんだ!?」

 

 クリスが尋ねるとフィーネは顔を上げた。

 

「月のカケラを落とす!私の邪魔をする存在はここでまとめて消してやる!そして何度でも蘇るのだ!聖遺物のアフツヴァッヘン波形がある限り!」

 

 弦十郎と緒川は苦虫を潰したような顔を浮かべた。

 

 響はポンとフィーネの胸に拳を置いた。

 

「そうですよね。了子さんは何度でも蘇る。だったらみんなに伝えてください。人を束ねるのは争いではなく…言葉を超えてきっと未来で手を繋ぎ会えるということを!」

 

 響の後ろでは拓実たちが見ていた。

 

「私にはできないから…了子さんにしかできないから!」

 

「お前…まさか…」

 

 フィーネは何かを察したようだ。

 

「了子さんが伝えられるように…私が今を守りますね!」

 

 フィーネが目を瞑りチリになる中、目の色が金色と紫に変わっていた。

 

「ほんとにもう…放っておけないんだから!

 胸の歌を…信じなさい」

 

 そしてフィーネ__櫻井 了子は風に流されながらチリと成って消えた。

 二課の者たちやクリスは涙を流し了子の最期を見守った。

 

____________________

 

 そしてすぐに月の軌道計算が行われた。数時間後には月のカケラは確実に落下してしまうとのことだった。

 

「あんなのが落ちたら、私たち…」

 

 すると響が歩き出した。

 

「響?」

 

「なんとかする!ちょーっと行ってくるから…生きるのを、諦めないで」

 

 響は未来を真剣な眼差しで見た。

 

「水琴さん、翼さん、クリスちゃん。みんなを頼みます」

 

「ああ、分かった!」

 

 しかし、他の2人は黙ったままだった。そして響は月のカケラを止めるために宇宙空間へち向かった。

 

「行くよ、ウォーグレイモン!」

 

「うん!」

 

 ウォーグレイモンも宇宙空間へと向かった。

 

「響…!」

 

 未来の頬から涙が流れた。そして響は絶唱を口にした。

 

「Gatranndis babel ziggurast edenal

 Emustlronzen fine el baral zizzl

 Gatranndis babel ziggurast edenal

 Emustlronzen fine el zizzl 」

 

 そのまま響は月のカケラに向かった。

 

「そんなにヒーローになりたいのか!?」

 

「こんなところで挽歌とは…立花には驚かされっぱなしだ」

 

「翼さん!クリスちゃん!」

 

「「僕らもいるよ!」」

 

 レイヴモンにムゲンドラモンも同行していた。

 

「まっ、一生分の歌を歌うのにはいいんじゃねえの?」

 

(ここから先は FIRST LOVE SONGを聴きながら読むのを勧めます)

 

 3人は手を繋ぎながら月のカケラに向かって行った。

 

「それでも…私は立花や雪音ともっと歌いたかった」

 

「ごめんなさい」

 

「ばあーか!こういう時はそうじゃないだろう」

 

「ありがとう、2人とも」

 

 3人の装者はスピードを上げた。

 

「開放全開!行っちゃえハートの全部で!」

 

 光になる中3人はこれまでを思い浮かべていた。

 

「みんながみんな夢を叶えられないのは分かってる。だから、みんなが叶えられる未来は等しくなきゃ!」

 

 クリスが響を見ると翼も響を見た。

 

「命は尽きて終わりじゃない。尽きた命を残した者へ受け継ぎ、次代に託す。それが人の営み、だから剣が守る意味がある」

 

「たとえ声が枯れても、この胸の歌だけは絶やさない!夜明けの鐘の音奏で、鳴り響け!

 これが私たちの絶唱だあああああああああああああああああ────!!!!!!」

 

 翼がいつもより10倍の大きさの剣を構え、クリスはいつもより10倍のミサイルを用意し、

 響はいつもの10倍の長さまでスライドさせた。デジモンたちも天之尾羽張、ムゲンキャノン、ガイアフォースを放とうとしていた。

 

「「「はあああああああああああああああああああああああああ──────────────────────ー!!!」」」

 

____________________

 

 やがて月のカケラは破壊され大爆発を起こした。その影響で流れ星が世界中で見られたという。その中で響たちは帰らずあたりには悲しみだけが残った。

 

(立花さん、翼さん、クリス…あんたたちはきっと戻ってくる。俺はそう信じて明日を生きて行く。だから、いつでもいい。戻ってきてくれよ)

 

 拓実も未来たちと同じように涙を流しながら空を見た。そして3つの流星が空に流れた。


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