戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
「今こそ、ひとつに! メガロカイザー12月発売!」
テレビをつけたクリスはCMを見ていた。そこには白いロボットが飛行機と戦車そして剣を装備しておりいかにも重々しい雰囲気を醸し出していた。
「ふーん、こういうゴテっとしたものを買いたがるやつがいるんだな」
「クリス、アレカッコイイ!」
ハグルモンがクリスの制服を引っ張ってテレビを指差した。
「おいおい、お前もれっきとしたロボットデジモンだろ!? おねだりすんなよ、5千円だぞ? 学生の値段にしちゃネックだっての」
「チェー!」
クリスはテレビを消して学校に向かった。
「おお、クリスちゃん、クリスちゃん!」
「はあっ……お前なあ……」
響たちがクリスに声をかけて来た。
「おはよう、ふぁあっ……」
未来が欠伸をした。
「おいおいどうしたんだよ?」
「昨日響とロボット映画を見てて……そしたらすっかり夜が遅く無っちゃったの……」
「なあロボットの魅力ってなんだ? あたしのパートナーもロボットだけど普段そういうに考えたことないっていうか……」
「なんデスと!?」
「それは勿体無い、ロボットはいいもの」
その場にいた切歌や調も目を輝かせた。
「そーだよー! クリスちゃーん!」
「それじゃああいつにでも聞いてみるか。
けど、その前に……お前は敬語を使えといってるだろがあああ!! それにお前らも挨拶ぐらいしろおお!!」
それから放課後、クリスは拓実に声をかけた。
「なんだ、クリス? 珍しいな」
「なあ、ロボットの魅力ってなんだよ」
それを聞いた拓実はフッと言った。
「愚問だなクリス!
ロボットやサイボーグ、色々いるが俺が進めるのはド派手な合体ロボットだ! 分かるか!?そのシーンのバンクに使われるロボットたちの動き、まさに動き一つ一つを網羅する、まさに浪漫!そして燃えずにはいられない合体シーン!あれはまさしく……」
拓実が顔色と声色を変えて語り出した。なおクリスはすぐにその場を離れていた。
「あいつの浪漫バカは始まったもんじゃねえが別世界のアイツを思い出しそうだったぜ」
「ソウイエバイタネ、ソンナヤツ……」
ハグルモンも苦笑いをしてるうちに爽谷を見つけた。
「あれ、クリスさん? 今日訓練はどうしたんです?」
爽谷が廊下で訓練を終えて寛いでいた。
「ああ……」
クリスが経緯を話した。
「なるほど、ロボットか……僕は生憎、ああいうごちゃごちゃしてるのよりサイボーグの方が好きですよ」
「そうか……やっぱみんなロボットが好きなのか……」
「とはいえ、クリスさんのムゲンドラモンもある意味合体ロボットですよね?」
「ああ、けどパートナーだからあんま気になんねえっていうか……」
「でしたら、デジクロスで強いムゲンドラモンを自らで作り出してみてはどうでしょう? パートナーと共に戦うならデジクロスでの強化は今後必要なのでしょう?」
「ああ、考えてみるわ」
それからクリスはデジメモリの選抜を行うことにした。
「やっぱこれかな? いやこれだな! いや、これも捨てがたい……」
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そして翌日、街にアルカノイズの大群が複数出現したという報告が届いた。
「アルカノイズたちは町の数箇所に分かれたが避難が済んでない! 拓実くんと爽谷くんが避難誘導を進めているうちに装者たちは1人一箇所の持ち場に立ってくれ!」
「分かりました!」
「ちょうどいい、パートナーの成果を見せてやるよ」
<コンバート! イージスドラモン、キングチェスモン、クイーンチェスモン!! >
すると突如として究極体デジモンが3体が現れた。
「はっ、なら一気に見せてやるよ!」
クリスがデジヴァイスを構えて一気にムゲンドラモンへと進化させた。
「見せてやるよ。脅威の八体合体をな!」
<ムゲンドラモン、ハイアンドロモン、クロックモン、ケンキモン、ダークドラモン、タンクモン、ナノモン! メカノリモン! デジクロス!! >
「クリスさんが……八体のデジモンをデジクロス!?」
「あたしのロボット道、見せてやるよ!」
「行くぞ、ムゲンドラモン。いや……アルティメットムゲンドラモン!」
「ああ!」
クリスが頭部に用意されたコックピットに搭乗した。しかし、その間にアルカノイズが攻撃を仕掛けて来たがそのボディに傷一つついていなかった。
「そぉら!」
コックピットのレバーを操作することでトライデントアームを伸ばし、デジモン三体を攻撃したがかわされてしまった。
「甘いぜ、ホーネットボム!」
しかし関節部から小型の爆弾が三体を追尾した。
続いてキングチェスモンが力比べを仕掛けてきたがあっという間に押し返した。
「そんなのであたしのアルティメットムゲンドラモンを抑えられるかよ! ターボジェット全開!」
クリスがアルカノイズ相手に余裕で立ち回る中、アルティメットムゲンドラモンもエンジンから発せられるエネルギーによる圧倒的なパワーで究極体デジモン三体にまるで無傷だった。
「さあてトドメだ、アルティメットムゲンドラモン!」
「ああ、くらえ全部乗せ! ファイナルムゲンキャノン!」
コックピットのパネルで敵をタッチして真ん中のボタンを押すとアルティメットムゲンドラモンの全身からミサイルやレーザーが敵めがけて発射された。敵も必殺技を次々と放つも威力を消すことができずにあっという間にチリとなった。
「ふう、これでジ・エンドか。さあ、お片づけだ、他も行くぞ!」
「ああ!」
クリスがコックピットから操作してムゲンドラモンは戦闘機に変化した。
「はあっ! はあっ!」
別の場所では響も戦っていたが空から迫るアルティメットムゲンドラモンに唖然としていた。
「司令、クリスちゃんのムゲンドラモンによる援護射撃で他のエリアのノイズたちがすべて一掃されています」
「そうか!」
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戦いの後クリスは響たちに新しいデジクロスについて質問攻めを受けていた。
「ねえねえ、どういうチョイスなの!?」
「ムゲンドラモンがさらにごっつくなってるがロマン溢れるな、おい!」
「教えて欲しいデース!」
「興味あります」
「だああ、分かったよ! 今回の新しいデジクロスはその……今朝のCMで見たんだよ……」
「おお! あのCMか!!」
「あのゴテゴテした合体ロボデスか〜!」
「大っきい……」
「ったく、恥ずかしいんだよ。あんまし言わせんなよな……」
「あークリスちゃん真っ赤だ〜!」
「う、うるせえ!」
「全く……?」
戦いの後弦十郎は一人端末を見ていた。そこに注意書きのメッセージが届いた。
「なんだ? 不正なアクセスだと? クダモン調べてくれ」
「承知した」
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クダモンが端末に入り込んで5分デジヴァイスに戻った。
「やはりそうだ、ここ最近何者かのハッキングの形跡が見られている。それもヒンリヒの錬金術師たちの情報が入った時からだ。今、ようやく結果が分かったわけだが……」
クダモンが弦十郎の端末から飛び出した。そして端末のログインした痕跡をデジヴァイスに送信した。
「これは……!」
弦十郎がたまたまアクセス履歴を見ていると拓実の名があった。
「何故こんなものが!?」
一方街はずれを歩いていた拓実の後ろには黒い影が……
「フッ……」
その手には先ほど倒されたデジメモリがあった。