戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
響は苦しんでいた。
「うがあああああああああ!!」
鈍色の輝きに包まれ響は黒く染まっていった。
「響!」
ホウオウモンと共に未来がその場に現れた。
「くっ…!」
怒りのままに響は未来を攻撃しようとした。しかし、未来はかわすばかりで反撃もしてこなかった。しかもホウオウモンをデジヴァイスに戻して援護攻撃すらさせなかった。
(速すぎる!?これじゃあ響を助けられない。どうしたら!)
響の攻撃をかわすうちに未来は不意に空を見上げていた。すると真っ先に森の外へと出た。
「響!」
未来の呼びかけで一時は響の攻撃が止んだ。
「見て、こんなに綺麗な星だよ。」
響は唸り声をあげて睨んだが未来はアームドギアを手放して微笑んだ。
「響はそんなんじゃないよ、誰かと手を繋ぎたいって本当は願ってる。私は知ってるんだよ?」
「チガウ…!ワタシハッ!」
「自分をごまかさないで!寂しかったんだよね?私はあなたの知る小日向未来じゃない。でもほっとけない。響らしくないのはダメだよ!私に言って!翼さんにも!他の子にも!
響は泣いてもいいの。私の知る響だっていっぱい泣いて笑ってた。だから響も!」
すると暴走した響が黒い波動を発する中で涙を流していた。
「だから、聞いて?私の___歌を」
未来がそう言うと響が駆けだした。しかし__
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「Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el baral zizzl
Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el zizzl 」
それを聞いて響は歩みを止めた。残された意識の響はそれを唖然としながら見ていた。
(な…んで?)
「うっ、あああああああああああああ!!」
未来から凄まじい波動が発せられ響も無意識のうちに歌っていた。
「Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el baral zizzl
Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el zizzl 」
すると虹色の光が発せられた。その中で響から黒い衝動が剥がれうっすらと素顔が見えていた。
「み…ク…ワタしを…助けて?」
「うん!いいよ!!」
微笑みののちに虹色の光が未来を包んだ。そしてそのギアは滑らかな外見から高貴な輝きが放たれた。
「これが私の…シンフォギアだッ!」
奇跡の姿___エクスドライブとなった未来は臆さずに光線を放った。
「大丈夫、響は心のどこかで手を伸ばしてる!私は手を伸ばすんだ!それがこのギアをまとった私のできることなんだ!」
光を響は防ぎもせずに受け止めた。そして光により響の影となっていたものはカルマノイズの姿となって光を受け消滅した。
「未…来…」
響がその場に倒れて手を伸ばした。それを未来は静かにとってなにかを口ずさんでいたが響には聞こえていなかった。
「小日向!」
その場に翼たちが現れ、空に山吹色の流れ星が一つ落ちた。
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それから響はガングニールを失った。しかし、その後復学したそうだ。元々リディアンに入学したものの、授業にも時々しか参加していないため休学みたいなものだったが一応毎日来るようになったそうだ。
一方で元の世界の響はと言うと…
「うう…苦しいよぉ〜」
「このバカ!帰って早々心配かけさせんな!!」
クリスたちに怒られていた。
「いくら病み上がりとはいえ、暴飲暴食は良くないぞ立花。」
「はぁ〜」
拓実や爽谷、マリアたちもため息をついたり苦笑したりする中未来は微笑んでいた。
「でもでも〜もうパーフェクトもハーモニーもない向こうの響ちゃんもスマイルになってるからこっちはいつも通りの笑顔でよかったじゃない。」
「よかった…響。」
未来もホッとしてため息をついた。
「うん!未来の声、ずっと聞こえてたんだよ。だから響は信じてたんだよ!」
響のデジヴァイスにいたアグモンがデジヴァイスから出てきた。
「そうそう、それに明日は未来の誕生日だからさ、頑張らないといけないから!」
「もう、響ったら〜!」
「よーし、早いとこ退院しちゃうぞ〜!」
響が立ち上がると何か衝撃が来たらしく突然お腹をさすった。
「た、食べ過ぎが…!お腹に…!」
「もう、響ったら!食べた後にそんなに動くからだよ?」
一同が笑い突然の響の異変はあっという間に解決し、後日盛大に未来の誕生日が行われた。
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一方、並行世界でも11月になった。
「…」
この世界の響も自分と向き合い学校にも復学して数日が経っていた。響は制服を脱いで一人で公園に来ていた。心なしか以前よりも笑顔が増えていた。
「響?」
声がした方を見ると響はホッとため息をついた。
「なんだ、未来か…「会いたかったよ!!」」
声の主は未来だった。しかし何故か私服が以前よりも地味で何より涙を流していた。
「実はね、こっちに戻ってきて…そしたら特異災害対策機動部二課の人が…」
「…まさか!」
響があっけにとられて涙目になった未来を見るとぎゅっと手を握ってきた。
「今まで…寂しい思いをさせてごめんね!」
「未来…」
響もそれのお返しにぎゅっと抱きしめた。
「ただいま。」
「おかえり、そしておめでとう未来。私の______ひだまり」
響も涙を流して未来と強く抱き合った。