戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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よりにもよって響ちゃんの誕生日に投稿です。ちなみにこの翳り裂く閃光のラストはAXZの意趣返しになれたらなと考えています。


第199話 死の兆し 響を襲う!

 基本世界におけるSONGでは響の入院が行われていた。時々眠っている時にもうなされており未来がお見舞いにくるも、病状は悪化していた。

 

「私、どうなっちゃうのかな?」

 

 マリアたちが去って1日、響の元に皆が集まっていた。今のところ明確な症状も出ないまま魘されていた響を残った者たちが必死に抑え込んだり友人の安藤たちを呼んだりして少しでもと手を尽くしていたが時間の問題だった。

 

「ほほう、随分とお疲れのようだな。」

 

 全員は振り返ると果物籠を持ったリコリスが病室の壁に寄りかかりながら立っていた。

 

「お前は…!リコリス!!」

 

「よっ!」

 

 全員構えるがリコリスはそんなことなど意にも介さずに全員の間をすり抜けて歩き出した。

 

「一体なんのつもりだ!?」

 

 翼と拓実が構えをとったがリコリスは無視して響の表情を見てカゴを置き、すぐに背を向けた。

 

「決まってるだろ?近くのお寺への用事ついでのお見舞いに来てやったんだよ。聞けばワーカーホリックで過労死するって噂が出てるぞ?ホラっ、近場のスーパーで買ってきたやつだ!」

 

「これって…!」

 

「んじゃ、あばよ。」

 

 リコリスは左手に持ってたフルーツバスケットを投げると姿を消した。切歌がそれを掴むと手紙が落ちてきた。

 

「なになに?“安心しろ、毒は入れてない。お前を倒すのはこの俺だ、それでも食って元気になって俺に倒されろ”だそうデース。」

 

「ったく嫌味な奴だ。」

 

「ハハ、いよいよ私もあれなのかな?死んじゃうのかな?」

 

「ちょっと!そこまでネガティブはいけないよ!」

 

「そうだぞ立花!」

 

 アグモンと翼が手を伸ばした。

 

「お前は、奏だけじゃない!多くの者を変えて新しい道を歩かせてきた。だから死ぬなんて言わないでくれ!」

 

 翼の声が震えていた。

 

「そうだよ響、響が居なくなったら泣いちゃう子だっている。だから…絶対に負けちゃダメだ!」

 

「そうだね、私大事なこと忘れてた。ごめんアグモン、翼さん…」

 

「それに響は忘れてる、あと数日で私の誕生日なんだよ!?」

 

「!!そうだったね…」

 

「響の誕生日の時には戦いがあったけど響には今度こそ戦いが関わらないで誕生日を祝ってほしい!だから落ち込まないで!!」

 

 アグモンたちが弱々しくなった響の手を取って握りしめた。

 

「うん…!へいき、へっちゃらだね。」

 

____________________________

 

 それから数時間してマリアたちが戻って来た。響は今は安静の状態で眠っているがいつまた魘されるか分からずにいた。この場には未来も真相を知る権利があるとして立ち会っていた。

 

「単刀直入に言うわ。あの世界の立花響は、小日向未来がいない日々を過ごして孤独に苛まれてるわ。」

 

「苛まれてるのが今の現状と深い関わりがあるんですかマリアさん?」

 

 マリアの言葉に拓実が疑問を投げかけたがエルフナインが考える仕草をとった。

 

「拓実さんの言う通り普通響さん同士が干渉することは滅多にありえません。しかし、もしその干渉の影響力が大きすぎたとしたら…」

 

「まさか響が、いえ響同士が響同士で苦しめてる!?」

 

「はい。未来さんの言う通り、あくまで今この場における推測にしか他ならないのですが、おそらくこの世界とマリアさんが行った世界の響さんはお互いに極端な位置付けにあるのかもしれません。

  両極端に偏っているせいでギャラルホルンがその影響力に干渉してしまったのかもしれないとしか説明できません。」

 

「でも、その理屈なら向こうの響さんにも影響は出てるはず!」

 

「調の言う通りマリアたちが何かしらで響さんを助けてあげられれば…!」

 

「いいえ、調、切歌。あの子はそんなことじゃオチやしないわ。」

 

「姉さん?」

 

 アケミが真剣な表情で並行世界の響の写真を見せた。

 

「いつの間にこれを?」

 

「先日たまたま見かけてアタックしたのよ。玉砕されたけどね。とまあ、彼女を正攻法で助けるキーマンはあなたしかいないわ。未来ちゃん!」

 

 アケミは未来を指差した。

 

「私!?」

 

「あなたがなんとかして向こうに行ってグレすぎグレグレ響ちゃんを助けてあげるのよ!」

 

「しかし…ギャラルホルンを使うには聖遺物がないとだぞ?」

 

「だったら簡単です!神獣鏡を使えばいいんですよ!!」

 

 神獣鏡という言葉に全員ハッとした。

 

「けれどあれはもう…!」

 

「マリアの言う通りだ冷泉姉!あれは立花の胸のガングニールと共に消滅したのだぞ!」

 

「ええええ!?そうなの?

 私、てっきりマリアのアガートラームみたく、どっかにスペアを保管もしくは本部に残っているかと思ったわ。聖遺物関係をだいたいなんとかできるやつだからいいと思ったのに、これじゃ振り出しか。」

 

 アケミが得意顔から一気にため息をついて落ち込んだ表情を浮かべた。一行は肩透かしを食らったかような表情をしたが弦十郎だけは腕を組んで考えていた。

 

「しかしこちらにないだけで、もしかしたら…」

 

「そうね、一か八か頼んでみるわ!」

 

 その後マリアたちがすぐに並行世界に向かって無事神獣鏡を入手することは叶ったがかつての起動実験に伴い、現在破損中ということですぐに元の世界へとって返すこととなった。


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