戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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今回からXDの人気ストーリーの一つ翳り裂く閃光編になります。ブログでグレ響が出てからストーリー登場まで1年となりますが正直言ってグレ響の方が響よりしっかりしてるイメージがある気がします。


第198話 響に迫る死神!

 10月も残り十数日になったある日、装者達が集められた。しかし、その場にはなぜか響はいなかった。

 

「風鳴司令、立花さんは一体どうしてしまったのですか?訓練中になったかと思いきや突然気絶して何かに魘されていましたが…」

 

 ここ数日突然響に違和感があるとして未来が見守る中、拓実や翼、クリスが響といつも通りのメニューで訓練しているその中、突然響が倒れてしまったのだ。この突然の出来事に急遽SONGは装者たちを全員集めて対策を取ろうとしていた。

 

「うむ、それに関してはよくわかっていないんだ。今未来くんが響くんの病室に入って看病しているのだが…」

 

 予想外の響の現状に弦十郎は頭を抱えて悩んでいた。

 

「ベタモン、ピヨモンから何か聞いてないか?」

 

「うーん…最近ピヨモンから聞いたのは響は暗いところに閉じ込められてるようで助けを求めていたってところかな?」

 

「あのバカが助けを?」

 

 その時、エルフナインが遅れながらやってきた。

 

「大変です!ギャラルホルンの様子にわずかな異変が生じています!」

 

「なんだと!?こんな時に…!」

 

「なあ、おっさん!並行世界に今すぐあたしをいかせてくれ!」

 

「なっ!この間並行世界へと行ったばかりだろう!!」

 

 クリスの嘆願に弦十郎が狼狽えたがクリスは両腕を強く握りしめていた。

 

「さっきの訓練、あたしはあいつと戦ってたんだ。それは先輩や拓実もよく知っている。もしかしたらあたしがあいつを悪くしちまったかも知れねえんだ!だから、貸し借り無しにしてえんだ。だからあたしにチャチャっと調査させてくれ!あたしの手で終わらせる!」

 

「全く、無茶はするものじゃないわ。その代わり、私も行くわ。それなら大丈夫でしょう?」

 

「マリア、私たちも…!」

 

「いいえ、貴方達は立花響の様子を確かめてちょうだい。今回は緊急時、ひとまずは様子見として私とクリスが向かえばいい。それに、翼だけじゃ立花響が不安になるからこそあの子を癒すのを任せたいの。」

 

「むー…そういうならいいデス。」

 

「でしたら、マリアさん。少し試してほしいことがついでにあります。」

 

「?何かしら?」

 

「今までマリアさん達はデジヴァイスを持ち運びすることができ、かつ並行世界でもデジモンを呼べた。ここからある推測が導き出されました。

  不謹慎かもしれませんが今回、マリアさんかクリスさんのデジヴァイスにハイブリッド体のデジモンを潜ませてもらえないでしょうか?デジヴァイスを経由させれば恐らく…持ち物と見なされるはずです。」

 

「そうか!デジヴァイスのデジモンはギャラルホルンの影響を受け付けない!その理論の応用ね。」

 

「エルくん、そのやつだけど私が行こうと思うわ。思いついたのは私だし。」

 

「アケミくん、君は戦闘要員では…!」

 

「分かってます司令、ですが今ここで必要なのは並行世界の迅速な調査です。それがひいては響ちゃんの完治に時間を割くための貴重な時間を稼ぐことになるんです。

 今ここで響ちゃんを守れる人は1人でも多いほうがいいのでお願いします。

 それに、実はこっそり鍛えてますから、私!」

 

「むう…分かった、あとで報告書で成果をちゃんと報告するんだぞ。」

 

「はい!というわけで拓実くんに爽谷、風のスピリットと水のスピリットを貸してくれないかしら?」

 

 スピリットを借りたアケミはゲートの前でスピリットを構えた。

 

「さあ行きましょう、マリアのデジヴァイスにお世話になるわ。」

 

 そのまま3人は並行世界へと向かった。

 

____________________________

 

 3人は着いてすぐに月を確認した。月は欠けていなかった。つまりこの世界ではルナアタックは起こってないと言うことである。

 

「さあて、速攻で終わらせちゃいますか!」

 

「いつになく乗り気じゃない、アケミ。」

 

 スピリットレボリューションを解いたアケミは辺りを見渡していた。

 

「そりゃあみんなのアイドル響ちゃんが大変な目にあったら、悠長にしてられないじゃない。」

 

「そうだな、ひとまず二課に行くか。」

 

 その時警報が鳴った。

 

「その前にお片づけみたいね!」

 

「ああ!」

 

 クリスとマリアはギアを纏い、アケミは自分用のデジヴァイスとは違ったパートナーのない空のデジヴァイスでフェアリモンにスピリットレボリューションした。そして現場に到着するとそこにはカルマノイズやアンドロモン、タスクモンが待ち構えていた。

 

「いきなり大物とはついてるわね。」

 

「ああ…やるぞ!」

 

「!?そこにいるのは…シンフォギアか!!」

 

 マリアたちはこの世界の翼を見つけたが狼狽えずカルマノイズへ攻撃を仕掛けた。

 

「この世界の…そこのあなた!今はあの黒いのの殲滅が先よ!」

 

「そうだな、誰だか知らぬが手を貸してくれ!」

 

 4人はカルマノイズを難なく追い込んでいた。

 

「トルネード・ビハインド!」

 

 フェアリモンのサマーソルトキックがカルマノイズに放たれたが簡単に受け止められてしまった。

 

「そこだ!」

 

 翼が懐から隙を突いてカルマノイズの腕を一本切断するのに成功した。

 

「初めてとはいえ、いい連携ね!」

 

 するとカルマノイズは近くで逃げ遅れた老人とその介護士を見つけて襲いかかった。

 

「まずい、助けないと!」

 

「ダメだ!間に合わない!」

 

 そのとき、現れた影が一瞬にしてカルマノイズを地面に叩きつけ首根っこを掴みながら片腕の衝撃波で首を飛ばした。

 

 カルマノイズは動かなくなりチリと成って消えた。その影を見て翼が敵意を現した。

 

「やはり来たのか。立花…響!」

 

「あれがこの世界の!」

 

「ヤッホー、響ちゃん元気〜?」

 

 空気を読まずにアケミが近づこうとしたが、響の拳が顔面を狙った。

 

「おっとととぉ〜?」

 

「私に、構わないで。」

 

 そういうと響がアケミに拳を振るってきたが軽々と受け止められた。

 

(この感じ…!)

 

 響はそのまま夜の闇に消えた。

 

「さてと、あとはデジモンだけね!」

 

 タスクモンは並行世界のペックモンとジオグレイモンが、アンドロモンはメガドラモンが押さえつけていた。

 

「苦無羽!」

 

「メガバースト!」

 

 2体の連携攻撃でタスクモンが倒れ、メガドラモンも腕のジェノサイドギアでアンドロモンをなぎ払った。

 

「喰らえ、ジェノサイドアタック!」

 

 ミサイル攻撃を受け止められずにアンドロモンは破壊された。

 

 その後戦いが収まったが翼は二課に連絡を取っていた。

 

「すまな…「はい、案内よろしく〜!」」

 

「二課に案内したいのよね?いいわ。」

 

 クリスたち3人は本部へと向かった。

 

____________________________

 

 それからクリスら3人はこの世界の二課に状況を説明しカルマノイズが存在する事を知った。

 

 そして響についても聞いたがこの世界の弦十郎曰く彼女はある日突然翼の前に現れノイズを一撃のもとに葬り去っていた戦士であったとのことである。

 

 その時の翼は奏の問題をすでに己で決着をつけただ歌を届けながら人を守る己を見つけ、奏と同じガングニールであっても何故だと問いかけず礼を言い共闘を持ちかけた。しかし、興味がないと威嚇されてしまい以降は手が出せなくなっているらしい。

 

 実際彼女の目撃情報は見られるも居場所が二課のネットワークをしても調査中で今現在わからずにいた。

 

 それからカルマノイズの対策を考慮している間に翼たちは廊下を歩いていた。

 

「カルマノイズの基本的な習性は分かっている。しかし私はただ1人の装者である以上敗北は許されない。頼む!私を鍛えてくれ!」

 

「何を思い悩んだかと思えば…それくらいいいわよ。」

 

「あたしら3人で…って、アケミはどこいった!?」

 

 クリスが全員を見回したがピコデビモンとアケミはその場にいなかった。

 

「雪音クリスといったな?彼女ならさっき表に出ていって散歩してくるといっていたぞ。」

 

 それを聞いてマリアがため息をついてトレーニングルームへと向かった。

 

「全く、どこをほっつき歩いてるんだか!ひとまず3人でやりましょう!」

 

____________________________

 

 一方、町外れの公園にて少女は暗い表情で空のデジヴァイスをにらんでいた。

 

「…」

 

「ヤッホー響ちゃん!」

 

 そんな時横からアケミが抱きついてきた。

 

「あらやだ、いい体してるじゃない!あっちもあっちでいいけどこれもこれで…」

 

 アケミが胸を揉みしだこうとしたは少女は思いがけない出来事なので突き飛ばした。

 

「何か用?」

 

「いや〜昨日はありがとね!お礼の印に…ほれ!」

 

 2人ベンチで座ってクレープを渡したアケミだったが響は首を横に振って拒んだ。

 

「…いらない。」

 

「遠慮してるの?可愛いわね〜!そういうの嫌いじゃないわよ。私は冷泉アケミ!そういうあなたは?」

 

「…立花響。」

 

 響がちらっと横を見るとクレープを一口

 

「響ちゃん…あなた、随分寂しそうだけど笑えてる?」

 

 寂しいという言葉に反応したのか響はアケミを睨みつけてきた。

 

「ごめん、それじゃ…」

 

「あなたは今甘えたがっている。今度私にもし甘えたくなったらお姉ちゃんって呼びなさい!」

 

 響はそのまま走り去っていってしまった。

 

「アケミ、初対面の子にいきなりなんてことしてんのよ。」

 

「ノンノンノン!ああいう子は寂しがりや、だったら甘えたくなるはず。これも寂しくなったら甘えさせる作戦なのよ!」

 

 アケミがお気楽にピコデビモンと話しているが響の表情は暗いままだった。

 

「私に大切な人なんかいない…私は孤独…」

 

 響の曲がりきった背中は雑踏に中に消えていった。


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