戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
幕張にてノイズが出現した。翼とクリスが先陣を切って戦ったが派手に戦う前に姿を消してしまった。応援が駆けつける前にアルカノイズはそのまま撤退してしまい再度の襲撃を見越して本部では早急な対策が練られていた。
「なるほど…相当恐ろしい敵だったんだな…」
「ああ、今度会った時には必ず…!」
「翼さんとクリスにそこまで言わせるやつか。厄介なのが出てきたな。」
「しかも僕らもなんとか2人のサポートをして撤退させたくらいだから。あまり時間がないね。」
ファルコモンがデジヴァイスから飛び出してきた。
「翼さん!クリスちゃん!どんなアルカノイズだったの?」
「そうね、場合によっては対策が取れるわ。例えば、その姿とかね。」
「ああ、いっちょやってみるか?先輩」
「そうだな、そうすれば対策を講じられる。」
響とマリアの提案で翼とクリスはパートナーデジモンと共にアルカノイズの姿を思い起こしていた。
「よし、これでいいなファルコモン!」
「う、うん…」
「こうだったような…」
「タブンソレハコウダ!」
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悪戦苦闘すること数分、ようやく絵を書き終えた2人だった。
「さあどうなるかな!?」
「僕も楽しみです!」
「何が出るかな〜?何が出るかな〜?」
弦十郎たちも2人の絵を心待ちにしていた。
「あ、あんま期待すんなよな!!」
「さて、どんな作品が来るかな?クリスくんから頼む。」
「ああ…」
モニターに順に現れたのは歪な箱らしきものと鋭い眼光を放つ姫らしき姿だった。
「…」
「…」
これには司令室にいた面々も目を丸くして沈黙してしまった。
「これは…なんとも…」
「片方はまだ特徴がわかる分もう片方は…」
「どうだ?上手くかけただろう!」
「あんまり覚えてないからうろ覚えになっちゃったけど…」
「何を言ってるファルコモン?これが私の見たアルカノイズそのものだ。」
「そ、そうですねー!これは参考になりそうですねー!」
気恥ずかしくなったクリスに対して翼は自信満々な表情でうなづいていた。
「わかったの、響?」
「ううん、全然。」
「なんか、翼さんのやつは眼光鋭いおばはんでクリスちゃんのはピアノとカエルが混ざった奴みたいな感じね。」
アケミが絵を見て2人の方を見つめた。
「おいおい!カエルはねえだろ!?」
「でもこれって…」
「と、とにかく!これで対策を打つ以外あるまい!」
それから絵を参考にできたかどうか疑わしいがSONGも敵の対策を練っていた。とはいえ話を聞いた推測が8割だったが…
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それから新型のアルカノイズが現れた。その場所を聞き、翼はマリアと調そして拓実と、クリスは響に切歌、爽谷と共に4対1でそれぞれ迎え撃つことにした。
港前、アルカノイズが暴れていた。しかし、翼の描いたアルカノイズらしきものは見えなかった。
「さあてどいつかな?あの黄色いのか?」
すでにヴォルフモンへ変わった拓実とシードラモンが港付近のアルカノイズをあらかた撃破していた。
「お待たせ!避難は完了したわ!どう?どれが翼の描いたやつか分かった!?」
「それは多分消去法的にアイツなんじゃ…!」
拓実が指差したのは四角い体をして両腕が鎌の形をしたアルカノイズだった。
「そんなのありえな…「うむ!!」」
調が否定しようとしたところ翼が首を縦に振った。それにマリアと調はポカーンと口を開けて沈黙が訪れた。
「すまない翼、マリアが今驚きすぎてるんだが"本当に"あいつがあなたの描いたアルカノイズなのか?」
「何を言う!あれぞ私の描いたアルカノイズそのものだ!!」
「おいおいおいおいおいおいおいおいい!!
あんなスマートなボディがどうしてあんなクレイジーなのになるんだよ!?」
マリアのアグモンとキャンドモンが困惑してアルカノイズを見つめていた。
「クレイジー?奇怪とは失礼な!」
「もしかしてアーティスト特有の感性なの?」
「…翼とは一緒にしないでね。」
「お前たちいくぞ!!」
「はい!」
困惑する調とマリアもデジモンを呼び出して周辺の残ったアルカノイズの一掃に当て4人がかりで攻めかかった。しかし、アルカノイズは凄まじい回転を放ち攻撃を跳ね返してしまった。
「ならこれで!」
TORNADO†IMPACTで回転を起こしてぶつけるもアルカノイズの回転は収まらなかった。
「そんな!」
「はああああっ!」
続けざまに蒼ノ一閃を放つも通用せず弾かれてしまい調に命中してしまった。
「大丈夫か月読!!」
「はい、でも回ってる間アイツは物理的な攻撃は効かない…まるでコマのよう…」
「コマ…そうか!水琴、マリア、月読!私に考えがある!!」
そういうと拓実は頭部を、マリアは足下、調は胴体を連続で攻撃した。しかし、その攻撃は本人にまとめて跳ね返ってきた。
「くっ!」
アルカノイズは回転を続けたが地面に接触してから突如としてそれが弱り始めた。
「これは…!」
「やはりな、昔遊んだことがあるからわかる!コマとは回してもいつかは軸が傾いてしまうため回転が弱まってしまうのだ!どうやら3人連続の攻撃はお前の回転軸をずらすのにはちょうどよかったようだな。改めて我が太刀を受けるがいい!!」
<風林火山・月煌>
アルカノイズは正面の攻撃をはね返せずに一撃で敗れた。
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一方、クリスたちのもとにも新型アルカノイズが現れた。
「クリスさん、あれで間違いないかな?」
「ああ!アイツだ!!」
「ええ!?あれがデスか?」
「そうだよ!だって…!」
響が懐から取り出したのはクリスの描いたアルカノイズだった。しかし目の前にいたのは桃色のボディに七色の縞々が頭部にあるクリスの描いたものとはかけ離れた姿を持ったアルカノイズだった。
「ぷっ、ははははははははは!!」
響と切歌が絵と実物を見て笑い出した。
「こんなのになるなんて変だよね〜」
「ぷっ、ぷぷぷぷ…」
「クリス先輩、絵を描くの下手だったんデスね。」
「弱点発見だね、切ちゃん!」
クリスは響と切歌さらにはパートナーにまで笑われて赤面してしまった。
「ちょっと!?立花さん!切歌!見てないで戦ってよ!!」
爽谷はアルボルモンの姿でただ1人真面目に戦う中クリスは身震いをしていた。
「だあああああああ!!こうなったら徹底的にやってやる!!スーパー懺悔タイムだ!!」
切歌たちに茶化されたクリスはヤケになりつつ攻撃を仕掛けた。
アルカノイズは音をそのまま発射してきた。
「音を発射してきた!?」
「見ての通りアイツはあの頭部から音を発射しているんだ!」
「とおおおりゃあああ!!」
響が音をかわして直接頭部を攻撃してきたがまるでダメージになっていなかった。
「嘘!?」
そのまま響はアルカノイズの音をなんとか防いだものの吹き飛ばされてしまった。
「これ以上は行かせない!」
音を放つ体勢になった瞬間爽谷はそのまま飛びかかって頭突きで頭部を攻撃するとアルカノイズが自らのエネルギーで暴発して動きが鈍くなった。
「今だクリスさん!暴発したやつに一撃を!!」
「ああ、礼を言うぜ!恥を書かせた礼を…倍返しで全部のせだ!!」
クリスの一斉攻撃を受け止められずにアルカノイズは爆発、消滅した。
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「いや〜終わりましたね〜!」
「しっかしまあ、あの絵もよくよく見たらピンポイントで似てそうなとこはあったな。」
全員帰りながら雑談していた。
「でも2人とも全然似て…「それはNGだよ切ちゃん!」」
調が切歌の口を覆い隠して切歌はモゴモゴと話していた。
「なあ雪音、思ったことがある。」
「なんすか?」
「私、もっと絵を練習しようと思うのだ。」
「奇遇だな、あたしもだ。」
(むしろ練習しなきゃダメよ!)
クリスと翼がさりげなく決意表明する中でマリアが内心ツッコミを入れていた。