戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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今回切歌ちゃんと錬金術師が戦います。流石に敵側も結社の残党なので聖遺物の一つは持たせました。敵の錬金術師は正直言ってどうしようもないやつです。そんなどうしようもないやつに優しさを武器にした常識人が立ち上がります。
そしてリコリス一派の組織名と同盟相手(?)も今回で判明します。組織の実体はいずれ語ります。


第194話 切歌VS焔の錬金術師!怒りの獄鎌唸る!!

 目的を達したリコリスは背を向けた。

 

「待ちやがれ!」

 

 ギアを纏ったクリスはそのままリコリスを狙ったが横からエクストラが殴りつけて来た。

 

「いいねえ〜そのギア…噂に違えず、ただの鉄屑の割りに壊し甲斐が有りそうだ。リコリス様!ここは僕に任せてください。」

 

「ああ、遊んでやれ。」

 

 リコリスはテレポートジェムを割って逃走した。

 

「お前のそれ、聖遺物だな?」

 

「ご名答!これはヤールングレイプニルさ。パヴァリアの研究施設を再利用してファウストローブほどではないけれど武器として聖遺物を改造した籠手だね。」

 

 エクストラが左腕の籠手を見せて来た。

 

「じゃあ、楽しい楽しい殺し合いの始まりだ。」

 

「何をおおおお!!」

 

 切歌がアームドギアを構えるもひらりとかわされた。しかし、続けざまの調の攻撃には防御の結界を張った。

 

「2人揃って危ないね〜そらあっ!」

 

 ふうとため息をついたエクストラは右手から火球を放った。しかもそれは響たちだけでなく街の方にも放たれた。

 

「なんだこの火の玉は?こいつ!」

 

 ヴォルフモンも人々に当たらないように火の玉を攻撃した。

 

「これじゃ埒があかない!スピリットレボリューション、ラーナモン!」

 

「拓実、手伝うよ!」

 

「頼むぞ、シードラモン!」

 

「アイスアロー!」

 

 ラーナモンとシードラモンで街は守られたが森の方が激しく炎上していた。

 

「やっぱり形あるものを焼き尽くすのは楽しいなあ…!アハハハハハハハ!!」

 

 狂ったように笑いながらエクストラはなおも手から火球を放ち、手当たり次第にものを焼き払った。

 

「うわあああああああ!!!」

 

「きゃあああああああ!!!」

 

 中には巻き添えになった国民もいた。炎に包まれながら動き回る姿をエクストラは楽しげに見ていた。

 

「けど何より楽しいのは…生きているやつを焼き殺すことさぁ!」

 

 なおも火球を放とうとしたのを響の拳が止めた。

 

「これ以上、傷つけさせない!」

 

 流石にギアに生身は危険なためエクストラはあっさりと離脱した。続けざまに攻撃する響の隙を狙いながらエクストラは反撃しようとした。

 

「へえ、君いいギアを着てるねえ。それに、その腕、いい太さだ!筋肉も程良く弾けてるねえ。ちょうど武器もぼくとお揃いだねえ…」

 

「どいてろ!」

 

 クリスがアームドギアを構えたがあっという間にエクストラが間合いを取った。そしておもむろに全身を触りだした。

 

「その反抗的な目と整った体つき、いいねえ…」

 

 クリスが嫌悪した表情を浮かべ反撃しようとしたが軽々と身を交わした。

 

「クリス先輩に手を出させない!」

 

 調が横からエクストラを攻撃した。そして背中を撫で始めた。

 

「細々しい全身、ギア同様壊しやすそうだ。良い体つきだねえ…」

 

「気持ち悪い…!」

 

 振り返りざまの攻撃もヒラリとかわされエクストラは高笑いをあげた。

 

「君たちは僕の理想の体だ。一人一人味わって叩き壊した後火達磨にしたいねえ!その指紋がべっとりと着いたボロい鉄屑でも綺麗な体ならいいよねえ…」

 

 エクストラは恍惚な笑みで舌舐めずりをして構えた。

 

「くっ、急いで街の人たちを助けないと!」

 

「響さん、ここはあたしがやるデス!」

 

「無茶だよ切歌ちゃん!」

 

「あいつは許せない!あたしが直接やってやるデス!調は未来さんとバシーリカを頼むデス!」

 

「いいよぉ〜僕は別に。ただデジモン持ちならこっちも考えはあるけどね。」

 

<フレイドラモン!コンバート!>

 

「君んとこのパートナーも忙しそうだし助け舟でもね?」

 

 フィンガースナップで切歌と響たちが炎で分断された。

 

「さあ、邪魔もないからじっくり味わってあげるよ。」

 

「気をつけてね!切歌ちゃん!!」

 

____________________________

 

 フレイドラモンはスティングモンを横から攻撃していた。周りは炎上する中でスティングモンにはあまりにも不利な状況だった。

 

「そぉら!」

 

 乱暴に床や柱を破壊するエクストラの動きを切歌は冷静に把握していた。

 

「でえええい!!」

 

<封伐・PィNo奇ぉ>

 

 肩から連続で攻撃を仕掛ける切歌だったが軽い身のこなしによりかわされてしまった。

 

「はい、死んじゃえよ!」

 

 左手でのアッパーで切歌は一気に空中まで押し上げられた。

 

「この哲学兵装は北欧神話のトールが身につけていた籠手で霜の巨人を倒すのに使われたのさ。さあ、これで奇妙を黒焦げにしてあげるよ!エルピゾ・オーティカイーク!!」

 

 右腕から炎の柱をあげ切歌はそれに飲み込まれた。

 

「ハハッまずは1人!!エルピゾ・オーティカイークは焼き尽くされた希望という意味がある。だから君の希望は完全に焼き尽くされた!!ハハハハハ!!」

 

「切ちゃん!」

 

「ナックルファイア!!」

 

 拳から放たれた火球が呆けたスティングモンを襲った。

 

「グッ…!」

 

 なんとかそれを耐えたスティングモンだったが息が上がっており危機を迎えていた。

 

「まだまだデース!!」

 

 切歌の声が聞こえるとエクストラが動揺した声をあげた。

 

「バカな!?黒焦げになったはず…!?」

 

「やらいでかああああああああ!!」

 

 なんと切歌は炎の中でアームドギアで勢いよく回転して逆に炎を纏っていた。

 

「なにぃ!?炎の中で自らに命中しないように別の渦をアームドギアによる回転で作っていただと!!」

 

「切ちゃん!よぉし!」

 

 切歌のデジヴァイスが輝いた。

 

「スティングモン超進化、ジュエルビーモン!」

 

 ジュエルビーモンは進化してすぐに槍でフレイドラモンを突き刺した。

 

「受けてみろ!スパイクデストラクター!!」

 

 そのまま地面に落下しゼロ距離でスパイクバスターを放たれたフレイドラモンは消滅した。

 

「デエエエエエエエス!!」

 

<焼刃・ジyAん堕るK>

 

 受けるはずの炎を逆にアームドギアへ回転とともに巻き込みながら纏った斬撃を一気に飛ばした切歌はエクストラにそのまま発射した。

 

「ごああああああああああ!!!」

 

 受け止めきれずエクストラは刃に切り裂かれて右腕に深い切り傷と全身に火傷を作ってしまった。傷からは血がポタポタと落ちていった。

 

「こいつ…!覚えてろおおおお!!」

 

 テレポートジェムを割ってエクストラはその場から脱出した。

 

「行くぞ!シャインシュトラール!!」

 

 表でもヴォルフモンが武器をアルカノイズに向けて投げ出し自らの両腕から光線を発射して全てを撃破していた。

 

「やった!これで終わった!」

 

____________________________

 

 その後街では復興作業が始まった。しかし国としては騎士団長を除き全滅、大臣も死亡し国政に多大な支障が生じていた。

 

「大丈夫なの?バシーリカちゃん。」

 

「未来、心配することはありませんよ。私はお姫様としてできることをするだけです!自分にできることさえやってみんなで助け合えばできないことなんかありません!」

 

「ハハッ、その様子なら十分この国は大丈夫そうだな。」

 

「また、いつでも遊びに来てくださいね!」

 

「はいデス!今度はマリアたちも連れて遊びに行くデス!」

 

 切歌たちはそのまま潜水艦に乗って帰国した。

 

「リコリスのやつはいよいよ動き出したわけだが…」

 

「はい、シカゴの一件以降各国政府は彼の様子を把握できなかった上、今回のクーデター…」

 

「まるで"誰かの手で存在が隠されている"ような気がしませんか?司令」

 

 友里と藤尭は今回の被害の報告を弦十郎にしていた。

 

「それにさらなる力と言っていました。ボルトバウタモンさえ凌駕するデジモンを彼は知っているのでしょうか司令。」

 

「…まさかな。」

 

 弦十郎は何か思い当たる表情をしたが首を横に振った。

 

____________________________

 

 時を同じくして某国の地下アジトでは負傷したエクストラが歩いていた。その腕と顔には火傷と切り傷が見られ、醜く化膿し出血していた。その横でリコリスが立ち尽くしていた。

 

「あの小娘、次はあいつから血祭りに上げてやる!」

 

「エクストラ、少し休め。俺たち"ヒンリヒ"の真の戦いはこれからなんだ。そうだろ?」

 

「はい!そうさせてもらいますよ!!」

 

 エクストラは不機嫌にその場から歩き去って行った。するとリコリスのデジヴァイスに通信が入った。

 

「おやおや、随分お早い連絡じゃないか。」

 

 モニターらしきものに電源をつけると徐々に白髪男性のシルエットが浮かんだ。

 

「風鳴訃堂…何の用だ?」


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