戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
翼の攻撃でカディンギルは破壊された。響も暴走状態から普通の姿に戻ったがすぐに変身が解除されてしまった。スカルグレイモンもエネルギーを使い果たし、アグモンに戻ってしまった。
「そんな…!」
響が失意の表情を浮かべながら倒れてしまった。
モニタールームでは全員、翼の壮絶な特攻に言葉を飲んだ。
「天羽々斬…反応、途絶…」
友里は思わずモニターから目を背けてしまった。
「俺はまたなのかよ…!2度だけじゃなく3度も!
なんでだよ!なんでこんな目に会うんだよ!みんなだれかのために戦ってきたのに…こんなのってあんのかよ!」
拓実はまたも壁を殴った。
「身命を賭して、カディンギルを止めたのか…翼…お前の歌は世界に届いたぞ…」
「弦十郎…」
弦十郎も涙を堪え、震えていた。それを見た板場はその状況で錯乱していた。
「分かんないよ…どうしてみんな戦うの!?痛い思いして、怖い思いして、みんな死ぬために戦ってるの?」
「くっ!」
(それに関しては正解だ。俺だってある意味痛い思いするために戦ってるようなモンだ。俺もあいつらと同じなのかもしれない…)
拓実も俯いてしまった。
「もうダメだ、おしまいだ…勝てるわけがない。
みんな、殺される…殺される…!」
「拓実!」
ベタモンが拓実をひっぱたいた。
「そんなの拓実らしくない!いつもの明るい拓実じゃない!僕はそういう拓実の明るいところが好きなんだ!それなのに…暗い拓実なんて見たくない!」
「ベタモン」
板場の手を涙を流しながらも凛としていた未来がギュッと握った。
「分からないの!?」
「え?」
「分からないの?」
「弓美…」
「未来…」
ゴツモンとピヨモンはその様子を見ているだけだった。
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翼の特攻はフィーネを苛つかせるのには十分だった。
「おのれ!どこまでも忌々しい!月の破壊でバラルの呪詛が解ければ重力により惑星間の天変地異をもたらす!そうしたら、人々は恐れ、うろたえ、聖遺物を持つ私に帰順するはずだったのだ…!痛みだけが人をつなぐ!それをお前は!」
フィーネは八つ当たりと言わんばかりに響を蹴り飛ばした。
「とはいえ、お前は生体と聖遺物の初の融合症例だった点においては役立ったよ…お前がいたから私はネフシュタンと同化させられたのだ」
フィーネは響の頭を片手一本で持ち上げ頭から地面に向けて投げつけた。
「翼さんにクリスちゃん…学校もボロボロで、みんないなくなった」
響は虚ろな目で空を見ていた。
「私は一体…なんのために?」
「もう随分前だ。私はあの方__創造主を尊敬していたがその胸の内を告げられなかった。それからすぐに言葉が奪われたのだ。それにより唯一創造主と語り合えた統一言語が奪われたのだ。それは"歌"。それを解くため私は数千年間たった1人で…」
1人語りを始めたフィーネを響は見ていた。その悲しき背中を__
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一方、地下では多くの足音が聞こえてきた。
「司令!地下のシェルターに多くの生存者を発見しました!」
「そうか、よかった!」
弦十郎はホッと安心したがそれでも地上の状況が悪いため、すぐに厳しい顔に戻ってしまった。
「あっ!ママ、かっこいいお姉ちゃんだ!」
「こら!」
小さい少女が走り出してモニターを見た。
「君は確か…あの時の!」
拓実はその少女に見覚えがあった。
「ご存知ですの?水琴さん?」
「ああ、立花さんが初めてガングニールを纏った時に初めて救った子なんだ」
「え?」
板場が驚いた。
「あ!かっこいいお兄ちゃん!久しぶり!」
「うん、久しぶり」
「ビッキーのこと知ってるんですか?」
安藤が尋ねた。すると少女の母親がうなづいた。
「ええ、そこの方の言うとおり危険を顧みずあの子を助けてくれたんです!他にも助けられた方もいるはずです」
「響の…人助け?」
「ねえ…カッコいいお姉ちゃんを助けられないの?」
少女の訴えでもこの場にいた者たちはあまりにも無力だった。
「ごめん、こんな時にカッコ悪いお兄ちゃんで…」
「助けようと思っても、私たちには…」
寺島が俯いてしまった。
「だったら、応援しようよ!ねえ、ここからお姉ちゃんを応援できないの!?」
「うん、できないんだ…」
藤堯も悔しそうに言った。
「だったら、私たちの声を響に伝えられませんか!?響を助けたいんです!」
未来が弦十郎に尋ねた。
「助けるって言ったってなあ…」
「もし、学校の施設が無事なら、ここから声を送れます!」
「でしたら、こっちへ!この先に切り替えレバーがあります!これで学校からこちらに電力を送れます!」
しかしその穴は小さかった。
「でも…緒川さんじゃあ…」
「私が行くよ!」
その時、板場が進言した。
「弓美?」
「普通こう言うのはアニメだったら、体のちっこいのが役に立つんだよね」
「でも、アニメじゃないんだよ!?」
ゴツモンが心配した。
「アニメを真に受けて何が悪い!ここでやらなきゃ私、アニメ以下だよ!非実在青少年にだって慣れやしないわ!それに、この先響の友達って胸張って答えられないじゃない!」
「ナイス決断ですわ、私も手伝います!」
「普段、ビッキーが頑張ってるんだ!私たちだって!」
そして未来を入れた4人は穴の中に入り、無事レバーを起動した4人は嬉しさにハイタッチをかわして。
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地上では夜明けが迫っていた。
「私は伝えたかった…この胸の内を伝えたかった。それなのに…!それなのに!恋心も知らぬお前に!」
フィーネは再び響の頭をもち地面に激突させた。
「シンフォギアの唯一の欠点は絶唱した時のバックファイア…融合体のお前ならどれだけの被害を抑えられるのか…本当は実験して見たかったのだが融合体は二つもいらぬ」
響にトドメを刺そうとしたフィーネだったがどこからともなく聞こえた歌によりそれを中止した。
「なんだこの歌は!?」
学校のスピーカーから地下にいた生徒たちのリディアン校歌が流れていた。人々はそれを微笑みながら見ているだけだった。
(響…私たちはここにいる!だから…負けないで!)
「なんだ!?このどこから届く不快な歌は…歌!?」
(これって…リディアンの?)
「聞こえる…みんなの声が…」
そしてあたりから日が登り、響は拳を握った。
「みんなが歌ってるんだ!まだ、歌える!」
その時瓦礫を退けてメタルエテモンが現れた。
「散々手間取らせちゃって〜!もう許さないわ!」
「頑張れる…!戦える!」
その時、大きな波動でメタルエテモンは吹き飛ばされた。
(ここから先は Syncrogazer を聴きながら読むのを勧めます)
「まだ戦うのか!?何を支えに立ち上がる?何を握った力と変える?お前が纏っているものはなんだ!?なのに、お前がなぜ纏っている?それはわたしが作ったものか!?お前が纏っているそれは一体なんだ!?何なのだ!?」
フィーネは呆然としながら響に質問攻めを行なった。そして響が立ち上がると3つの光が空に放出された。3つの光は森から、カディンギルから、そしてフィーネの目の前から上がり、そこから倒れたはずのクリス、翼そして響が立ち上がった。そのまま3人は一気に空へと羽ばたいた。
「シンフォギアあああああああああああああああああ────────!!!!!!」
奇跡の光が新たな姿を生んだ。さらに3人のデジヴァイスからも光が輝いた。
「アグモン、ワープ進化あああああああああああああ!!!!」
「ファルコモン、ワープ進化あああああああああああ!!!!」
「ハグルモン、ワープ進化ああああああああああああ!!!!」
アグモンからはグレイモン、メタルグレイモンのヴィジョンが、ファルコモンからはペックモン、ヤタガラモン、ハグルモンからはメカノリモン、メガドラモンのヴィジョンをそれぞれ経由した。
アグモンはクロンデジゾイドの鎧をまとった龍神に変化した。それは勇気の戦士だった。
「ウォーグレイモン!!」
ファルコモンはクロンデジゾイド製のサイボーグに変化した。その姿はまるで忍者のように軽やかでカラスのような黒い羽と白い羽を生やしていた。
「レイヴモン!」
ハグルモンは全身フルメタルのドラゴンに変化した。背中には二本の巨大なランチャーが装備されていた。
「ムゲンドラモン!」
ここに3体の究極体と3人の装者の奇跡の形態が姿を現した。
「なんだと!?」
「みんな…行くよ!」
今回はCM風後書きはないです。ですが、エクスドライブモードに究極体というもう負けるはずがない状態です(完全勝利できるとは言ってない)。