戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
初めて武者ノイズを倒してもう数日は経過していた。あれからクリスたちは次々と武者ノイズを各個撃破していきかけらもすでに半数以上揃っていた。しかし、それを快く思わないものたちがいた。
「あの人たちはいつも助けにきてくれる…」
「けれどそれでいいのか?」
「そうだ、俺たちは今まで失いながらも必死に戦ってきたんだ…!」
「「あの3人には頼らない!!」」
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そんなことも知らないクリスたちは今ウェル博士の計らいで仮の住居を与えられていた。
「お待たせしました!渋谷のデパ地下スイーツを持ってきました!」
「おお、ありがとうデス…」
生活も少し緩んでいたものの比較的自由な暮らしをしていた3人だった。
「お前ら…」
「お前たち…」
「?デデデデース!?」
なんと食べようとしたお菓子から翼や拓実が現れた。
「常在戦場…」
スリと周囲の置物が2人の顔に変わって睨んだり笑ったり泣いたりしながら頭の上をくるくる回っていた。
「常在戦場!」
「「常在戦場!!」」
「はあっ!」
クリスが目を覚ました。
「んだよ…今の夢!」
クリスが見たのは翼と拓実が2人揃って迫ってくるという夢であった。
「デエエエエエエエス!!」
「!!」
切歌と調が目を覚ました。
「どうしたの、3人とも〜」
「朝っぱらからデンジャーだな。」
「ワルイユメデモミタノ?」
「いやハグルモン。なんでもない、それで…」
クリスは一瞬2人を見回したが次の瞬間ベットから追い出した。
「なんであたしと一緒に寝てんだよ!」
「そ、それは切ちゃんが…!」
「ええ!?調!?何を言ってるデスか!?」
調と切歌が狼狽えてるところワームモンがクリスに「共に力を合わせるなら一緒に生活リズムもおんなじにしよう」と2人が考えた結果だと告げた。当然怒られたが…
そんな中、警報が鳴った。3人はデジモンとともに現地に向かった。すでに現場にはノイズの大群に加えてムシャモンにイガモン数体が暴れていた。
「うをおおおおおおお!!」
「ダメです!ノイズのせいで限界が!」
「諦めるな!俺たちが諦めたら誰が人を守る!?」
部隊たちの攻撃にクリスたちが乱入してきた。
「おい、あんたらは下がってろ!」
「そうデスよ!」
「しかし、我々もいつまでも君たちを頼ることは…!」
「命がけなのにつまらない意地を張るんですか?」
調の言葉で隊員たちは戦意を喪失した。さらに現れた武者ノイズさえも瞬殺したのを目の当たりにした彼らの目には失意が込められていた。そして悔しそうにその場から立ち去っていった。
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「なんであの人たちはあんな目をしたんだろう?」
「あの人たちに申し訳ないことしちゃったね。」
「調たちにはいいことしたって思ってるだろうがそいつはミステイクだ。」
「カレラハ、イママデセイシト、トナリアワセダッタ。」
先ほどの戦いはデジモンが出てなかったのでデジヴァイスで待機していたパートナーが語りかけて来た。
「そっか!今回の事件が終わったらあたしたちは戻らないといけない…!」
「バビロニアの宝物庫が空いてる以上、彼らは私たちがくる以前に戻る…」
「そっか…そこまで考えてなかったな。あいつらは必死なんだ。それをあたしたちは…」
「ああ、いたいた!」
申し訳なさそうな表情を浮かべた3人の前にアケミが現れた。
「3人ともいるわね?ジョンくんが呼んでるから乗って。」
「うん…」
「なに?何か悩み事?」
「なあ、あんたたちはあたしたちをどう思ってるんだ?」
「さあね、私的には嬉しい援軍ってとこかしらね。さっき隊員さんたちにお昼を届けて来たけど表情が暗いのはそのためだったのね。」
「あたしたちがいなくなったらどうするデスか?」
「はいはい!暗いのは終わり!」
運転しながらもアケミは笑顔を崩さなかった。
「自分たちが特別だって思ってるのは間違いよ。あなたたちだって人、力を持ってると色々忘れることがあるかもだけど。
特に自分たちを支えてる人を忘れちゃダメよ。その人がいたから出来ることだってある。それをもう一回立ち止まって考えてみて。さあ、ついたわよ!」
「お待ちしておりました。ここでみなさんのデータのため訓練をお願いしたいのです。」
「これってFISの…!」
「実は今政府がこっそり進めてる訓練プログラムです。まあ、ケチケチしてるから独断ですがね。」
ウェル博士の説明の元、3人は訓練を始めた。その中でウェル博士はしたり顔を浮かべた。
(ふふ、これもまた野望のため。頑張ってくださいね。)
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数時間後、訓練を終えた途端にノイズが現れた。場所はライブが開催されているホール、ほぼ観客は満員の中でパニック状態だった。
「いやあああああ!!」
「く、来るなああああ!!」
「落ち着いて避難を!我らはあの3人とは違うのだ!なんとしても踏ん張れええええ!!」
すでに自衛隊の分隊が現場に入り込んでいたが、一方的に追い込まれていた。
さらにクリスたちが駆けつけた頃にはすでに観客の数割かは死亡していた。
「そんな!まだ逃げ遅れてる人たちが!」
「調、俺たちが行こう!」
キャンドモンたちがデジヴァイスから飛び出て成熟期に進化してノイズたちを食い止めていた。
「クリス先輩、あたしたちも…!」
切歌がアームドギアを構えたがクリスはじっと自衛隊たちを見ていた。
「ッ!」
クリスは何一つ言わずにステージに登って落ちていたマイクを拾った。その眼差しは緊迫したものであった。
「間違えるな!」
その場にいた自衛隊たちや観客は静まり返った。
「あんたたちはまだその人たちを助けられるんだ!だったら…せめてその人たちだけは助けてやれよ!優先順位を間違えるな!」
クリスの言葉の中でデジモンたちは立ちはだかるノイズたちを撃破していた。自衛隊たちはそれを見て呆然としていたがやがて人命保護のために避難誘導を始めた。
「あいつら…!」
クリスも微笑むとデジモンたちに加勢してあっという間にノイズを撃破した。すると足音とともに武者ノイズが現れた。
「出たか!けどいつもと大きさが違うな。」
「そんなの関係ないデス!」
「うん、私たちは負けない。後ろで守る人たちがいるから!」
武者ノイズを前に調がアームドギアの手裏剣で攻撃を仕掛けたがあっさりと刀で返されてしまった。
「これなら!」
切歌もアームドギアの薙刀で攻撃するが敵の動きが今までよりも素早く吹き飛ばされてしまった。
「速い!?」
その時銃弾が発射された。しかしノイズには効いていなかった。それでも諦めず発射された銃弾によりノイズは一瞬だが攻撃してきた自衛隊たちを向いた。
「人々の避難は完了した。もう私たちは間違えない。君たちの言葉で目が覚めたよ!だからこの一瞬でもチャンスを作るんだ!」
効果もない通常兵器の攻撃だが相手の隙を作るのには十分だった。
「ありがとうな!感謝するぜ!」
クリスのアームドギアの一発で武者ノイズは胴体を貫かれさらに左右から切歌と調の連続攻撃を防げずに倒された。
「やったあああ!!」
隊員たちも喜びの表情を浮かべた。しかもかけらは一気に10個も見つかり残るはたったの20個となった。