戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
第186話 和の侵攻者!武者の力を受けよ!
時は平成某年 10月の末___3人の少女が立っていた。
「今度は負けねえぞ。」
「鍛え上げたあたしたちの力を見るデス!」
「負けない…」
少女たちは異形の影とにらみ合っていた。そして歌を口ずさんだ。そのあと光が放たれ、1人は弓使い、1人は姫武者、1人はくノ一を思わせる姿へと変化した。
なぜこうなったか、話は数日前へと遡る…
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数日前、突如として謎のノイズが現れた。
「なんなんだよこいつは!」
「新しいノイズ?」
「近くには!?」
マリアが辺りを見回していた。過去に見たこともないノイズであれば、アルカノイズすなわち錬金術師の操り人形である可能性が高いからだ。
「うおおおおお!!!」
響が先陣を切ったが軽々とノイズの太刀に受け止められてしまった。
「え?うわっ!」
「どいてろ!」
クリスがアームドギアで連続射撃を仕掛けるもその太刀筋を前に弾丸が切り捨てられた。
「嘘だろ!?」
「ならば!」
翼がクリスの背後から現れて攻撃を放つとノイズは受けきれなかったのか大きく後退した。
「まだだ!ツヴァイ・ズィーガー!」
さらにヴォルフモンが光の速さで連続攻撃でノイズは姿を消した。
「倒れた?」
「いや、倒れれば残骸みたいなのが出てくるはず…逃げたのかもしれない。」
SONG本部では装者たちが戻ってきていた。
「お疲れ様です。早々で申し訳ありませんが、緊急事態発生です。」
「おいおいまたかよ!」
「うむ、どうやら突然ギャラルホルンが世界を繋げたようだ。」
「こちらのタイミングを読まずとはね。」
先ほどの戦いでは爽谷だけは周辺のアルカノイズを撃破しており唯一武者ノイズとは交戦してはいなかったためか比較的負傷してはいなかった。
その後切歌と調が自ら世界を飛ぶのにかって出たことと敵と翼の天羽々斬との関連性を考慮して今回は立候補した二人とクリスが派遣されることとなった。
「にしてもまさか調や切歌が立候補するとはな〜!」
「本当にいいの?」
「何を言うデスかワームモン!あたしたちにできる事があるんならやるんデス!マリアや響さんたちばっかり無理はさせないデス!」
「私も同意見。私たちでやるんだ。」
「カッコつけんのはいいが、あたしがいるのも忘れんなよ。行くぞ!」
3人はゲートに飛び込んだ。
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3人がゲートに飛び込むと目に移ったのは街を荒らすクワガーモンだった。
「どうやらこの世界にもデジモン入るみたいだな。」
「クリス先輩!あれ!!」
公園らしき場所にはすでに何名かの軍隊がノイズに囲まれていた。
「クリス先輩はクワガーモンをお願いします!」
「ああ、任せたぞ!」
クリスがデジヴァイスを構えてハグルモンをメカノリモンに進化させた。
「頼むぞメカノリモン!」
「オッケー!」
クリスが直接メカノリモンに乗り込んで戦うのは拓実の提案でもあった。メカノリモンにはコックピットがある。
「あたしの操作を見せてやる!」
調と切歌も徐々に接近していたが突如身震いを始めた。
「切ちゃんも感じたの?あの悪寒が?」
「はいデス、でも今は片付けるだけデス!」
二人は乱入してノイズたちを切り捨てていた。
「なんだ?ノイズが倒れた?」
一方クリスはメカノリモンで飛び回ってクワガーモンを投げ飛ばした。
「クワガタ野郎がおねんねしてな!」
メカノリモンの腕でクワガーモンは容易に叩き落とされた。
「このレーザーでお陀仏だ!」
メカノリモンのレーザーでクワガーモンが倒されるとすぐにクリスは二人の元へと向かった。そこでは二人と軍隊の隊員らしきもの達が言い争っていた。
「何者だと言ってるんだ!」
「だからさっきっから言ってるじゃないデスか!」
「私たちはSONGの…」
「まあまあ隊長、落ち着いてください。我々は助かったんです。今のところは感謝しておきましょう。」
「そうですよ。皆さん。」
3人は聞いたことのある声を聞いて表情を変えた。
「このドクターウェルの顔に免じてどうかこの場を頼みますよ。」
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「ドクター…」
「うげえ…」
ウェル博士が現れるや否やな3人は露骨に嫌そうな表情を浮かべた。するとウェル博士の脇から白衣を着た青年が現れた。
「あの…どうかしましたか?」
「冷泉!?」
クリスがさらに顔色を変えた。
「はい、僕は冷泉ですが?」
爽谷はメガネではなくコンタクトにしておりウェル博士と白衣はお揃いだった。
「どう言うペアルックしてんだよ…」
「全く、あなたたちにはわからないのですか!?彼女たちが来なかったら我々も危なかった。だからこそこの場は感謝するべきです!」
ウェル博士はそんな中で一礼をしたのちに頑固な隊員たちを叱り、解散させた。
「さてと…」
ウェル博士が時計に目を通すとすると一台の車がやって来た。
「ジョンくーん!!」
「え?」
「おいこの声って…!」
車から出てきた人物を見て3人と3体はまたも表情を一転させた。
「ああ、アケミさん!」
なんとこの世界のアケミが現れたのだ。それを見たウェル博士は笑みを浮かべた。
「ああ失礼、彼女は僕の妻です。」
「え…」
クリスたち3人が凍りついた表情を浮かべた。
「アケミ、結婚してたの?」
「アリエナイ…」
「サプライジングリーだな…」
「ジョンくん、大丈夫だった!?」
「はい、彼女達がノイズやデジモンを追い払ったんですよ。」
「あら、あなたたちが?ありがとうね。これはお礼よ。」
アケミが小さな小箱のようなものからパンを渡した。
「みんなに上げるためのパンだけど今日はサービス、あなたたちにあげちゃうわ。」
「あ、ありがとう…」
クリスたちも戸惑いながらパンを食べウェル博士のラボに向かった。
「それにしても3人とも可愛いねえ〜」
「か、可愛い!?人のことをそんなに、可愛い可愛いとか言うんじゃねえ!」
クリスが顔を真っ赤にさせる中車は走り出した。
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到着後にクリスたちは自分たちの出自や目的を話した。そしてその中で知ったのはこの世界には「装者がいない」と言うことであった。さらに最近では武者のようなノイズが発生していることも知った。
その原因となったのは「哲学兵装 ムラマサ」
という刀であった。
「ムラマサは危険な代物なんです。その証拠に歴史上でも様々な不幸をばらまいてるんです。大きさは2尺2寸8分おおよそ69cmほどで現在はかけらになって分かれてしまっているんです。その数はおおよそ60ほど…」
「そんなにあんのかよ!?」
「はい。しかもこのムラマサ、ドクターや僕らの研究の末、哲学兵装という物だと判明しました。流石に定義付けは曖昧ですが便宜上そう名乗らせてます。」
「爽谷くん、説明ありがとうございます。」
爽谷はムラマサの画像を見せた。彼はこの世界では義兄であるウェル博士の助手として聖遺物研究を進めていた。
「特に有名なのが、かの徳川将軍家にとって幾度となく命の危機に陥らせたと言う説ですね。これが哲学兵装と呼ばれる所以でもあります。先の起動実験の際にそれが散り散りとなって今、強力なノイズが各地で散見されてるようです。やっとの思いで二つ獲得されましたがまだまだ予断を許さない状況です。」
「歴史の授業でやったところだね、切ちゃん。」
「え?将軍は源さんに足利さんに豊臣さんに徳川さんたちじゃないんデスか?」
「あほ、豊臣は天下統一後、秀吉が死んでから家康に滅ぼされたんだよ。授業ちゃんと聞いてんのかお前は!にしてもンな危険なものをどうして起動なんかしたんだ?」
「僕は反対しましたよ!なのにそれを知らない高官どもときたら…!」
ウェル博士は冷静そうな表情から一転して怒りの表情を浮かべた。
「はいはい怒っちゃダメよ。ジョンくんも色々あったけど怒らない、怒らない。」
アケミが怒るウェル博士の頭を撫でで鎮めさせた。
「はい、すみません取り乱して。それにしてもシンフォギアですかそれは面白い…」
ウェル博士は不敵な笑みを浮かべてペンダントを見つめた。
「やっぱり苦手…」
「けどあのデジモンはどう説明するデスか?」
「はい、近年は凶悪なデジモンによる地上侵略も多発していてなんとか国のお偉方はデジヴァイスを持つ人々を増やしてうまいところ戦力にしようなんてバカげたことを考えてますよ。」
「まあこちらとしては今後その哲学兵装が鍵になるな。よし!一旦戻って色々対策を練ってるからな。」
「はい!お気をつけて!」