戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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前回、撃ち落とされたクリスちゃんですが自分も1期見てる時はこのシーンはショッキングでした。しかも、12話冒頭でEDが流れながら、落ちていく時の衝撃は今でも記憶に残っている出来事です。
今回はもうタイトルと響のパートナーからデジモンを知る人なら察することができますが今回は初代デジモンやテイマーズ、フロンティア(正確には暴走)、セイバーズにもあった暗黒進化が起こってしまいます。そんな中翼さんはどうするのか、ご期待ください。


第17話 暴走、暗黒進化!

 響は撃ち落とされたクリスを見て戦いを忘れ、泣き崩れてしまった。

 

「そんな…せっかく仲良くなれたのに…もっと話したかったのに!」

 

 翼は横で涙を堪えていた。しかし、フィーネはだからどうしたというような表情で月を見ていた。

 

「クリスちゃんには…夢があるって!私、それが何なのか聞けてない!」

 

「自分を殺してまで月への直撃を避けたつもりらしいが…ハッ、飛んだ無駄骨だったな」

 

「ほーんと、一時はどうなるかと思ったけど、あっさり自滅しちゃったじゃな〜い!バカなんじゃないの〜ウキキキキキ!!!」

 

「おまけに叶えたい夢とやらも見れずじまいとはなあ…笑わせてくれる」

 

 フィーネとメタルエテモンの行為により翼の怒りが頂点に達した。

 

「お前たちは命を散らした雪音を無駄とせせら笑うのか!?」

 

 翼の脳裏にはかつて多くの人々を守ろうと命を散らした奏の最期が浮かんでいた。

 

 そんな中響の怒りが高まり、黒いオーラが響を包もうとしていた。

 

「それが…!夢ごと命を奪った奴が言うことか!?」

 

 響の全身が黒いオーラに包まれると、デジヴァイスからも暗黒のチカラが流出した。そしてグレイモンを包み込むとおぞましい骨の形をしたグレイモンが現れた。

 

「ぎゃあおおおおおおお!!!!」

 

 獣のような荒々しい雄叫びが響いた。

 

____________________

 

 モニタールームでもすでに暴走した響とグレイモンが映っていた。

 

「あかん!あれはスカルグレイモンや!」

 

「スカルグレイモン!?」

 

 モニター越しで弦十郎がテントモンに尋ねるとクダモンが答えた。

 

「スカルグレイモン…闘争心のままにただ破壊と殺戮を繰り返す忌まわしき存在だ。メタルグレイモンと対になるデジモンでもある」

 

「それに…あれビッキーなの!?」

 

「そんな…」

 

 拓実は変わり果てた響を見て呆然とした。

 

「立花?おい、立花!」

 

「融合したガングニールの破片が暴走しているのだ。そしてやがて塗り固められる」

 

 響は人の姿をした獣になってしまった。そしてその怒りをフィーネにぶつけたが弾かれてしまった。

 

「もはや、人の姿をした獣…いや、破壊衝動か。フハハハハハハ!!!」

 

 響はまたも飛びかかったものの鎖を交差させて盾を作ったフィーネに防がれるばかりだった。

 

 <ASGARD>

 

 しかし、無理やり押し込んで盾を破壊した。そして爆煙が晴れるとフィーネはほぼ縦二つに切り裂かれていたがなおも健在でネフシュタンの再生機能により傷が次第になくなっていった。

 

「もうやめろ、立花!これ以上融合を促進させたら人でいられなくなる!」

 

 すると響は翼を攻撃し始めた。もはや響には知性などは一欠片もなかったのだ。その横ではスカルグレイモンがメタルエテモンを握り潰そうとしていた。

 

「こんなデカ物に負けるわけないでしょ?」

 

 しかし、スカルグレイモンはそのままメタルエテモンをカディンギルに投げ飛ばした。

 

「グラウンド・ゼロ!」

 

 脊髄からミサイルを発射した。それはメタルエテモンに直撃したが、なんとか自慢のクロンデジゾイド製のフルコーティングで防いだ。

 

「馬鹿者!カディンギルに近づけさせるな!」

 

「分かってるわよ!ああ、気に入らない。アチキよりも目立とうだなんて!こうなったら…ラブセレナーデ!」

 

 するとスカルグレイモンが弱ってきた。ラブセレナーデとはエテモンが得意とした戦意を喪失させる歌である。今、スカルグレイモンはそれを直接受けたのだ。

 

「終わりよ!No.1パンチ!」

 

 しかし、スカルグレイモンはメタルエテモンのパンチを受け止めそのまま腕をへし折った。

 

「ぎゃああああああ!!!何よ!?まだ、力が残ってたわけ?」

 

「よせ!」

 

 ペックモンがそれを止めたがスカルグレイモンにパンチ一発を受けファルコモンに戻ってしまった。

 

____________________

 

 その様子を見ていた面々はあまりの凄惨さに言葉が出なかった。

 

「もう、終わりだよ…学院もメチャメチャになって、響もおかしくなって…」

 

「弓美…でも、響は僕たちを…」

 

 ゴツモンはただ弓美を見るだけでそこから先が言えなかった。

 

「ゴツモンの言うとおりよ。響は私たちを守ろうと…」

 

「あれのどこが、私を守る姿なのよ!?」

 

 涙目の板場により、未来は言葉が出なかったがすぐに凛とした表情でモニターを見た。

 

「それでも、私は響を信じる!」

 

「私だって、響を信じたいけど…!でも!怖いよ!死んじゃうよ!助けてよ、響!」

 

 板場はその場で泣き崩れてしまった。

 

「なんとか、ならないのかよ!」

 

 拓実は目の前の現実に対しただ見ている自分に腹が立ってきた。

 

「拓実…」

 

 ベタモンが寄り添った。

 

「ベタモン…」

 

「今は見ているんだ。見えていることできっと何かが見える」

 

「けど、それじゃあ!」

 

「静まれ、拓実!我らとて助けたいのは同じだ!」

 

 クダモンの一喝で拓実は閉口した。しかし、依然として彼らが見ているのは破壊の限りを尽くすスカルグレイモンと助けると言うことすら忘れて暴れる響だけだった。

 

 地上では翼のギアが響の攻撃で損傷していた。そしてカディンギルがまたも起動していた。

 

「バカな!?」

 

「何を驚くのだ?普通兵器は1発限りというのはないだろう?このカディンギルはエネルギーの源としてデュランダルを使用している。必要さえあらば、何発でも撃てるのだ」

 

「だが、その前にお前を倒す!」

 

 しかし、翼の前には暴走した響が立ちふさがった。

 

「立花、私はカディンギルを止める…」

 

 なおも暴走する響を優しい眼差しでみた翼はわざと響の攻撃を受け、そっと抱き寄せた。

 

「これは、束ねて繋げる力のはずだ。だから、奏から受けた力をそんな風に使わないでくれ…」

 

 血を流しながらも翼は小刀で響の影を刺した。

 

<影縫い>

 

 ただ破壊衝動に包まれた響が初めて涙を流した。そして翼はフィーネの元に向かった。

 

「翼!」

 

 ファルコモンは翼のデジヴァイスに戻った。

 

____________________

 

(ここから先は絶刀・天羽々斬を聴きながら読むのを勧めます)

 

「待たせたな…!」

 

覚悟を決めたまなざしがフィーネに迫る。しかし、そんなものでは全く大きな変化にはならなかった。

 

「飽くまで剣となって死ぬか…」

 

フィーネが翼を嘲笑する。

 

「否ッ、たとえ今日に折れて死んでも…明日に人として歌うために!風鳴 翼が歌うのは戦場ばかりでないとしれ!」

 

「人の世界が剣を受け入れることなど、ありはしない!」

 

 フィーネの鎖の攻撃を避け、足元からのブレードで鎖を受け流した翼はそのままフィーネを狙った。

 

 <蒼ノ一閃>

 

 しかし、その一閃も鎖で相殺されてしまった。それでも翼は距離を一気に詰めてフィーネを吹き飛ばした。そのまま追い打ちとして翼は剣を投げた。その剣は巨大化し、翼は剣の持ち手に足を付け、剣と共にフィーネに襲いかかった。

 

 <天ノ逆鱗>

 

 フィーネも負けじとASGARDを三重に展開した。二つの技がぶつかる中翼の剣は垂直から今にも倒れそうだった。しかし、翼の狙いはカディンギルで、剣を踏み台にしてジャンプし回転、そのままカディンギルに突撃した。

 

 空中で足のブレードも展開した翼は回転しながら火を纏ってカディンギルに突撃した。

 

 <火鳥極翔斬>

 

「させるものか!」

 

 しかし、フィーネの鎖攻撃で翼はダメージを受けてしまった。

 

(やはり、私では…!)

 

(何弱気になってんだい!翼、私と両翼揃ったツヴァイウイングなら…!)

 

(そうだ。明日に人として歌うんだろ?)

 

 翼の精神世界に奏とムシャモンが現れ翼の手を引いた。

 

(そうだ!両翼揃ったツヴァイウイングなら、どこまでも遠くに飛んでいけるよね、奏!)

 

 翼はカディンギルの突起していた部分を踏み台にしてもう一度飛び立った。

 

(きっと、どんなものも超えてみせる!だから!)

 

「立花ああああああああああ!!!!!」

 

 翼は蒼い炎と共に勢いよくカディンギルに激突した。その一撃でカディンギルは破壊され同時にその場にいた響、フィーネ、メタルエテモンにスカルグレイモンは吹き飛ばされ、天羽々斬の反応も消失した。

 

響は暴走してもなお、涙を流した。


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